食事制限ナシで一生太らない体に! 人気ボディワーカー・森拓郎さんに聞くダイエット術

健康・美容

公開日:2019/7/1

 夏の足音が近づく度に頭をよぎる、ダイエットの5文字。去年も同じように「今年こそは」と決意したはずが、お腹には依然として脂肪が居座り続けている。いや、むしろ増えてすらいる…。ダイエットが思うように続かなかったり、一度は成功したものの、リバウンドしてしまったり。特に30~40代になると20代の頃と比べてヤセにくく、ダイエット宣言が初夏の恒例行事になっている人も多いのでは?

 今回はそんな悩める方々に向けて、『ダイエット事典』(飛鳥新社)、『5分トレーニングで翌朝小顔』(扶桑社)など、数々のダイエット本の著者で運動指導者の森拓郎さんに、一生太らない体のつくり方を教えて頂きました! 食事制限なし、ジムに通う必要もなし。大切なのは、楽しむこと…。これまでのダイエットの常識とはまったく異なる、まさに“一生モノ”の知識が満載です!

運動ばかりしていても結果は出にくい

――『ダイエット事典』の中で森さんは「運動を頑張るより食事を変える方が圧倒的にラク」とおっしゃっています。運動指導者である森さんが、食事の重要性を訴えようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

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森拓郎氏(以下、森):以前はフィットネスクラブで働いていたのですが、そこにはダイエットのために通っているお客様がたくさんいらっしゃいました。その時、運動を頑張っている方よりも、運動も食事も頑張っている方の方が、より結果が出ていたんです。運動ばかりしていて結果が出ない方はいますけど、食事をきちんとしたら、結果が出るというケースはあります。現場で見ていて、食事が大前提だということは明らかでした。そういった部分から、運動だけを指導していても、根本的な解決はしないんじゃないかと思ったのがきっかけですね。

――運動しているのに結果が出ないのはなぜなのでしょうか?

:ジムに行って汗をかくと、とても達成感がありますが、効果のあるレベルまでやれていなかったり、効果があるレベルまでやってはいても、それを過大評価しすぎてしまい、食事の部分をほったらかしにしていたり。週に1、2回運動しに来るんだけれども、その他の生活が全然良くないというケースが多いですね。

――食事で食べすぎてしまった分を運動で取り返すのは、大変なことなのでしょうか?

:それはすごく大変なことなので、根本的な食事の内容と、自分の活動量に目を向けることが、非常に重要になってきます。日本人の20〜64歳男女の平均的な1日の歩数が7000歩前後。厚生労働省がおすすめしているのは、1日8500歩~9000歩が目標です。でも聞いてみると、2000歩も歩けていないという方が意外と多いんですよ。7000歩を超えていないのに、フィットネスクラブに運動しに来るというのはギャップがものすごいと。であれば、もう少し普段から歩くようにした方が、その人の人生のためにもなっていきますよね。

 あと、食事は我慢するのではなくて、今までの内容を少しだけ変えていくことが大事です。極端にガラッと変えて「ダイエット始めたからには3~5キロヤセるぞ!」と意気込んで、力尽きてしまう方が多いという印象です。

実はとても簡単! 太らない体を手に入れる食事とは?

――食事制限をしてしまうのはやはり良くないのですね。それはなぜなのでしょうか?

:フィットネスクラブに来るような方の中には、運動+食事制限を始めてしまう方もけっこう多いんですよね。普段から食事のバランスがとれていないのに量を極端に減らして、運動でもエネルギーを消費してしまうと、さらに栄養素が入ってこないので、単なる栄養不足になってしまいます。やつれてはくるかもしれないですけど、体がそこで「駄目だ」となって、リバウンドし始めることもあります。運動していない人でも、一気に糖質を下げてしまったり、サラダばかり食べたりすると、必要な栄養素が入ってこないので、バランスが崩れて太りやすくなってしまうことがあります。

――美しくヤセるのとやつれるのは違うということですね。具体的に食事はどのようなことに気をつければ良いのでしょうか?

:簡単なところで言えば、食事って、主食、主菜、副菜に分けられるじゃないですか。主食は穀物で、炭水化物をとるためにあって、主菜はお肉や魚、タンパク質をとるためにあります。副菜はそれに足りないものを、サラダやおかずで補うというものです。主食と主菜をしっかり決めるだけで、ほとんどの三大栄養素をとることができます。その時点で70点とれてしまっているんですよ。もう20~30点とろうと思ったら、ビタミン・ミネラルを補うために野菜や海藻類を食べればいい話。シンプルに考えればいいんです。定食スタイルに回帰していけば、簡単に合格点の食事をとることができますよ。

――スーパーフードをはじめ、健康に良いとされる食材が度々ブームを呼んできましたが、そういったものをあえて食べる必要はないということでしょうか?

:スーパーフード自体に悪いものはないと思うんですけど、新しいものを食べたら劇的に変化があるんじゃないかとか、目新しさだけで食べている人が多い印象を受けます。でも、新しいものって流通量が少ないから、値段が高いんですよね。コスパを考えるんだったら、よっぽど卵の方がいいと思います。

手軽で効果的な運動は「踏み台昇降」

――太りやすくなってきたと感じる30~40代の女性におすすめの運動はありますか?

:まずは1日7000歩の活動量があるかどうかを、スマホのアプリなどで確認してみてください。最低限のラインに活動量が達していないのであれば、少し有酸素運動を足すのはアリだと思います。自宅でできる運動としては、踏み台昇降がおすすめです。ももを上げることで腸腰筋に効きますし、降りる時の衝撃でも骨密度を上げることができます。老化と共に腸腰筋が細くなると、背中が丸くなってきたり、足が上がらずつまずいてしまったりする原因になります。踏み台昇降はとても手軽にできて、効果的ですね。あとはスクワットもおすすめです。

――産後太りに悩んでいる女性に向けて、何かアドバイスはありますか?

:生活環境が変化した中で、うまく環境を整えられるかどうかが一番大事だと思います。ワンオペで育児をしていて時間がないとか、理由は色々あると思うんですけど、まずは環境を整えない限り、何を食べたらいいかという話ではなくて。産後に限らず、色々な理由で環境は変わっていくものなので、その時に自分のリズムがとれていないのであれば、うまく工夫したり、時間をやりくりしたりすることが、ダイエットの第一歩なのかなと思います。

――ダイエットをしてもなかなか顔はヤセにくい、という話を聞いたことがあるのですが、ヤセる順番というのはあるものなのでしょうか?

:人によっても違いますが、年齢が高くなるほど顔がヤセやすく、反対に若い人の場合、体は落ちても顔はヤセにくいケースが多いです。でも結果的に、顔ばかり落ちてしまう人もそうでない人も、同じ原因なんですよね。姿勢の悪さが原因で体全体に熱が循環されず、どこかで滞ってしまうから、満遍なくヤセられない、ということは多いです。

ストレスは最大の敵! 「楽しくバランス良く」が重要

――最後に、体型に悩む30~40代の女性に向けて、メッセージやアドバイスをお願いします。

:年齢を重ねるにつれて代謝が落ちたり、肌の張りがなくなったり、色々悩むことは多いと思いますが、見た目を気にして努力しすぎた結果、ストレスを溜めてしまっては、かえって体に良くないので、「自分が何をしたら楽しいと思えるのか」ということを考えて、バランスをとることが大事なのかなと思います。

取材・文=水野梨香