『天気の子』醍醐虎汰朗さん、森七菜さんが、田村作画監督のもとで作画に挑戦! 2人が忘れられない、映画の名シーンは?

マンガ・アニメ

2019/7/25

 2016年に公開され、約250億円の興行収入を記録したモンスター映画『君の名は。』。“男女の入れ替わり”というモチーフを扱いながらも、切なさに満ちた予想外の展開に、大勢のアニメファン、映画ファンが胸を締め付けられたことだろう。

 そんな映画を生み出した新海誠監督による、待望の新作が7月19日(金)より公開されている『天気の子』だ。

 本作は離島から東京へと家出をしてきた高校生・帆高と、“天気を晴れにできる”という不思議な能力を持った少女・陽菜のボーイ・ミーツ・ガール。ふたりが迎える結末は賛否両論必至という前評判もあり、今夏最大の期待作となっている。

 そんな『天気の子』で主人公たちを演じたのは、醍醐虎汰朗さん、森七菜さん。ともに声優初挑戦となるふたりは、フレッシュながらも新海監督を「このふたりだったんだ」と唸らせるお芝居をしたそう。これはますます楽しみ……!

 そこで、醍醐さんと森さんのふたりを招いた特別企画を実施することに。本作の作画監督を務めた田村篤さんのもとで、アニメーター体験をしてもらった!

■『天気の子』主演のふたりが、初めての作画にチャレンジ

 7月某日、実際に『天気の子』を制作していたスタジオを訪れたふたり。プロが使っているデスクに座るやいなや、「本物の原画がある!」(森さん)、「滅多に見られないよね! すごい!」(醍醐さん)と興奮を隠しきれないよう。

 ここで田村さんから「今日はお気に入りのワンシーンを描いてもらいます」と言われ、ふたりが選んだのは……?

「ぼくは帆高が一番カッコいい表情をするシーンを選びました。陽菜が初めて天気を晴れにするシーンで、彼女に『晴れ女?』って聞くシーンなんです。ここの帆高の表情がとってもカッコいいので、描いてみたいと思います!」(醍醐さん)

「私は、みんなに期待されていないなか、陽菜が見事空を晴れにしたあとのシーン。『どうですか?』っていうセリフとともに、陽菜が達成感に満ちた表情を見せていて、すごく印象に残っていたんです」(森さん)

 ふたりとも、作品に対する思い入れは相当なもの。早速、それぞれに選んだシーンのトレース作業(原画に作画用紙を重ね、上からなぞり描く作業)にチャレンジ。

 制限時間はわずか30分。けれど、「絵を描くのが元々大好きで、今日のために練習してきたんです」と話す森さんは、開始早々、サクサクと鉛筆を走らせていく。これには田村さんも、「想像以上に速い……。この調子なら全部描けちゃうかも」とびっくり。

 一方、「本当に絵心がないんですけど、大丈夫ですかね……」と不安そうだった醍醐さん。描いては消し、描いては消しの繰り返しで、ちょっと苦労しつつも、徐々に帆高の輪郭ができてくると「すげー!」とハイテンション。

 途中、消しゴムの貸し借りをする様子は、まるで新人アニメーターそのもの。その姿を見て、若き日の自分自身を思い出した田村さんは、ぼそっと苦労話をこぼす。

「キャラクターの瞳のなかには、ハイライトと呼ばれる光の点があるんだけど、動画だとそれを20枚くらい連続でトレースしなくちゃいけなくて。それがとても難しかったんです。同じカタチで描くことができなくて、本当につらかったなぁ(笑)」(田村さん)

 田村さんの意外なエピソードを知り、醍醐さんも森さんも「大変……」とため息。あらためてアニメーションの世界の奥深さに触れ、感慨深い気持ちになっているようだった。

 そして、ここでタイムアップ! それぞれに描いた絵を田村さんに総評してもらうことに。「恥ずかしい」(醍醐さん)、「もうちょっと描けたのに」(森さん)と、悔しさをにじませるなか、田村さんの評価は?

「醍醐くんも森さんも、気持ちを込めて描いたのがすごくよくわかるね! 『これは帆高なんだ』『陽菜を描くぞ』って気持ちが入っていないと、どうしても別人になっちゃうんです。線のうまさは練習すれば上達していくけど、最初からこんなに気持ちを込めて描ける人はいない。やっぱり、ふたりともさすが本人ですね」(田村さん)

■ラストシーンで見せる陽菜の表情に、醍醐さんも森さんも惚れた

 思いの外、上手に絵が描けて満足げな醍醐さんと森さん。そして、楽しそうに絵を描くふたりを見て、とてもうれしそうな田村さん。ここでちょっとだけ、『天気の子』について振り返ってもらうことに。

――醍醐さんも森さんもアフレコ初挑戦でしたが、どのように役作りしたんですか?

醍醐さん(以下、醍醐):最初に新海監督から、『醍醐くんは帆高であり、帆高は醍醐くんだから、ありのままでリラックスしながら演じてほしい』と言われたんです。なので、ビデオコンテはたくさん拝見しましたが、具体的な役作りはしませんでした。帆高は家出少年ですけど、そういう過去も特に踏まえず、でも、東京という新しい土地にやって来て一生懸命頑張っているという境遇には共通点もあったので、シンパシーも覚えながら。

森さん(以下、森):私も必死に役を作っていくというよりも、新海監督とお話をしたりキャストのみなさんと一緒にお芝居をしたりするなかで、自然と役ができていった印象が強いです。

醍醐:物語の流れにそってキャラクターが成長していくから、ぼくらも成長させてもらったよね。

:そう。アフレコ初日は緊張もしていたし、期待通りに演じられるのか怖かったんだけど、振り返ってみるとすごく成長させてもらったと思う!

――田村さんはアフレコ現場を見学してみて、いかがでしたか?

田村さん(以下、田村):自分たちが描いた絵に命が吹き込まれていく様子に感動しましたし、ふたりの声を聞いてからというもの、絵を描いているとふたりの顔が浮かぶんです。『あれ? 醍醐くんになってる? 陽菜が森さんに似てない?』と、ふたりの姿がシンクロするような。

醍醐:もうそれはめちゃくちゃうれしいです……!

:こないだ制作スタッフだけの試写会があったんですけど、それを観たスタッフさんから、『映画からそのまま飛び出てきたみたいだね』と言われて。もしかしたら、田村さんが想いを込めてくださったからなのかなって思いました。

――ふたりが初めて帆高と陽菜を見たときの印象は?

醍醐:純粋にカッコいいなって思いました。くるくる表情が変わって、特に頑張っているときの表情がすごくいい子なんです。

:陽菜は可愛い! 特にラストのシーン……。

醍醐:あのシーン、やばいよね!

:そうそう(笑)。映画を観ていない人のために詳細は伏せますが、そこの陽菜の顔が本当に可愛くて、一気に好きになっちゃうと思います。

醍醐:まったく同じことを思ってたよ! あの表情を見たら、絶対に惚れると思う!

田村:あそこのシーンは、とても可愛い絵を描いてくれるアニメーターさんにお願いしたんだけど、きっとぼくらも醍醐くんと森さんの声を知っていたからこそ、より表情豊かに描けたのかなって思うんだよね。

:そうなんですね……! すごくうれしいです!

――みなさんが絶賛するラストシーンも楽しみです! では、最後にファンに向けてメッセージをお願いします!

醍醐:最初に出演が決まったときは、『君の名は。』の後ということもあって、ものすごくプレッシャーを感じていたんです。でも、アフレコが始まってからは余計なことを考えずに、帆高を演じることに集中しました。ただ……、完成した試写を観て、本当にすごいものに携わったんだなって実感して。始まりから終わりまで飽きる瞬間がないし、ずっと心が動かされっぱなしなんです。そして、映画を観終わった後、帆高を通じて自分自身を見つめ直せる作品になっていると思います。身近にいる大切な人への向き合い方が変わるというか……。

:そうだよね! それに何回観ても飽きないと思います! 声も頑張ったし、映像美も音楽もストーリーもすべてが素晴らしくて、何回観ても、最後には満杯の気持ちになれるはずです。登場人物はみんな個性豊かで、いろんな悩みを抱えていますが、きっと誰かに共感して感情移入もできるんじゃないかなって。夏の映画ということでキラキラしたものに見えるかもしれないですけど、それだけじゃなくていろんなことを考えさせられる作品になっています!

田村:ふたりの言う通り、もう全部が見どころになっているんですけど、絵も声も音楽も奇跡的なバランスでハマったような気がしていて。それをぜひ劇場で体験していただければうれしいです。

取材・文=五十嵐 大 写真=花村謙太朗
ヘアメイク:佐藤寛(森)、スタイリスト:申谷弘美(森)、衣裳協力:POU DOU DOU(森)

©2019「天気の子」製作委員会