「これからガンダムに触れるならこの2作品から」 映画「逆シャア」「F91」の楽しみ方を『ガンダムエース』編集長に聞いた!

マンガ・アニメ

2019/7/31



 名画チャンネル「シネフィルWOWOW」内の番組「世界がふり向くアニメ術」では、6月から3カ月連続で特別企画「日本アニメ史に残る3大名作」が放送されている。最終回の8月に登場するのは今年で40周年を迎える「機動戦士ガンダム」シリーズの傑作「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(以下、逆シャア)」(1988年公開)と「機動戦士ガンダムF91(以下、F91)」(1991年公開)である。

 本作は「機動戦士ガンダム」シリーズの生みの親、富野由悠季監督自らが手掛ける、シリーズの続編。「逆シャア」は、主人公アムロ・レイとライバルのシャア・アズナブルとの相克が描かれる。また「F91」は「逆シャア」から約30年後が舞台。宇宙で暮らす少年少女たちの戦いが描かれる。

「世界がふり向くアニメ術」では本編映像の前後に、アニメ・特撮研究家・氷川竜介氏による解説や、映画2作の監督・富野由悠季氏のインタビュー映像も放送されるので、視聴の参考に最適だ。

 そして本稿では、「機動戦士ガンダム」シリーズ専門漫画誌『ガンダムエース』の財前智広編集長へインタビューを実施。40周年を迎えたシリーズと、『逆シャア』と『F91』の楽しみ方を伺った。

――まず、財前編集長の「ガンダム」遍歴と『ガンダムエース』との関りをお聞かせいただきますか?

「私が小学校1、2年生のころに、初代『機動戦士ガンダム』のブームが起きました。当時はいちファンだったんですが、大学を卒業して作画スタジオ会社に就職し、ガンダムシリーズの作画に関わらせていただくようになりました。その後、縁があって『ガンダムエース』の編集に携わることになったんです。18年前、ガンダムのコミックはすでに存在しましたが、ガンダムのコミカライズは一作品でも十分大変なのに、それをガンダム専門の漫画誌をつくるということは大変な挑戦だと思いました。『機動戦士ガンダム ジ・オリジン』(著:安彦良和さん)きっかけで多くの漫画家さんが参加し、福井晴敏さん(『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』、現在では『機動戦士ムーンガンダム』連載中)にも参加していただきました。今年『機動戦士ガンダム』が40周年を迎え、『ガンダムエース』も18年目を迎えることができ、ここまで応援していただいたガンダムファンの方々には大変感謝しております」

――今回シネフィルWOWOWで放送される映画「逆シャア」と「F91」は、このガンダムシリーズにおいてどんな位置づけにある作品なのでしょうか。

「どちらもガンダムシリーズのターニングポイントとなる作品ですね。『機動戦士ガンダム』には”宇宙世紀”と呼ばれる時代設定があり、『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』や今後映画公開が発表されている『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』なども宇宙世紀シリーズとして存在しています。その中で『逆シャア』は初代『機動戦士ガンダム』に登場した主人公アムロ・レイとライバルのシャア・アズナブルとの戦いの決着が描かれる作品です。



『F91』は新しいガンダムの世界観がスタートする新機軸の意欲作。どちらも『機動戦士ガンダム』を手掛けた富野由悠季監督の作品ですが、このころから新しいスタッフがつくる『ガンダム』シリーズが生まれたのもひとつのトピックです。『逆シャア』の後に『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』、『F91』の頃に『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』といった作品をOVA(オリジナルビデオアニメ)として展開したことで、ガンダムシリーズが活性化していく。現在も続く宇宙世紀作品の流れをつくったターニングポイントと言えますね」



――ガンダムシリーズに大きな流れを作った先鞭的な作品でもあるんですね。『ガンダムエース』においても『逆シャア』や『F91』の外伝的なコミックを展開していますね。

「以前、アニメの制作会社の方が印象的なことをおっしゃっていたんです。ガンダムのアニメとコミックの関係は、野球とソフトボールの関係のようなものだ。似たような球技でありながら、全く異なる面白さと難しさがある、と。『ガンダムエース』では『逆シャア』の小説版をコミカライズした『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』を連載していましたが、『逆シャア』に流れるテーマ性を踏まえつつ、アニメの文法とは違う、漫画の文法で描いた新しい作品になっていると思います。『F91』では外伝となる『機動戦士ガンダムF90 ファステストフォーミュラ』の連載が始まりました。後者は『F90』発表当時に未発表だったF90のバリエーションも登場し、新たなストーリーを描くもので、プラモデル(ガンプラ)と連動している注目作です。あと『F91』の後日談を描いた『機動戦士クロスボーン・ガンダム』も是非、読んでみてください」

――「逆シャア」「F91」が公開されて約30年。いまだにこの作品が名作と呼ばれるのは、なぜだと思いますか。

「『逆シャア』は何度見ても楽しめる作品だと思います。『機動戦士ガンダム』で提示された”ニュータイプ”という概念があるんですが、人によって様々な解釈がされています。中でも『逆シャア』はその真骨頂といえる作品で、“ニュータイプ”について何度も考察する事ができる深い作品だといえます。『F91』は登場する人物もモビルスーツも一新されていて、この作品から『ガンダム』シリーズに入りやすい新鮮さがあります。余談ですが、最近『F91』が最初のガンダム作品で、その後ガンダムに夢中になったという方に会いました。今見ても新鮮さがあるといえます」

――『ガンダム』シリーズを初めて見る人にもふさわしい2作ということですね。

「どちらも映画一本で完結する作品になっているので初めての方でも見やすいと思います。この二作を見てより気になった人は、そこから派生するいろいろな作品も見ていくと良いんじゃないでしょうか。『ガンダム』シリーズの入り方は人によっていろいろあって、カッコいいと思ったモビルスーツのガンプラから入ってもいいし、もちろん映画やアニメから入っても、ゲームから入ってもいい。どんな入り方もできると思います。できれば友人や知り合いと一緒に作品を見ると、さらに楽しめると思いますよ」

 40年という歴史の長さに、これまでガンダム触れてこなかった人にとってはハードルが高く感じるだろうが、あまり構えずにまず見てみることが一番。この夏は自分なりの「ガンダム」という作品の魅力を見つけ出してはいかがだろうか。

©創通・サンライズ

取材・文=志田英邦

■放送日時
2019年8月4日(日)
21時00分~ 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』
23時30分~ 『機動戦士ガンダムF91』
※本編前後に、氷川竜介氏による解説、富野由悠季監督のインタビューを放送。

■シネフィルWOWOW 3カ月連続特別企画「世界がふり向くアニメ術」特別版
https://www.cinefilwowow.com/japanimation-3masterpiece/

■シネフィルWOWOW視聴方法
「シネフィルWOWOW」は、スカパー!BS252chで視聴できる映画・ドラマのチャンネル。
https://www.cinefilwowow.com/howto/