「出生前診断」とは

出産・子育て

2019/8/6

 女性特有のからだの不調やトラブルで悩んでいませんか。「お医者さんに行くほどではない…」「デリケートなことなので人には聞きにくい…」そんな体の悩みを、All Aboutガイドであり、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長の清水なほみ先生に聞きました。自分のからだと向き合い、健やかに過ごす手助けとなってくれることでしょう。

 広い意味での出生前診断は、妊娠中に胎児に異常がないかどうかを調べることを指します。一般の妊婦健診で行っている超音波検査も、胎児の発育や骨格・心臓などに異常がないかを見ているので、広い意味では出生前診断に当たります。

 狭い意味での出生前診断は、高齢妊娠など染色体異常のリスクが高い妊娠において、妊娠の早い段階で先天的異常の有無を調べることを指します。これまでに行われてきた出生前診断の方法は、トリプルマーカーテスト(またはクアトロマーカーテスト)、羊水検査、絨毛検査です。いずれも妊婦側の希望があった場合のみに、任意で行う検査です。

1)トリプルマーカーテスト(クアトロマーカーテスト)
 だいたい妊娠14~18週※に妊婦から採血した血液の成分を調べる検査。胎児に影響はなく母体への負担も軽いという利点がある一方、羊水検査に比べ正確性に劣ります。また、異常の有無が分かるのは21トリソミー(ダウン症候群)・18トリソミー・開放性神経管奇形の3種類のみに限られます。

 トリプルマーカーで陽性結果が出た場合は羊水検査を薦められます。

2)羊水検査
 だいたい妊娠15~18週※に羊水を採取してその中に含まれる代謝産物、あるいは浮遊する細胞の染色体を検査して、胎児の代謝疾患、染色体異常などを調べる検査。200分の1~300分の1の確率で流産を引き起こすリスクがあることや、胎児に異常が見つかった場合、中期の人工妊娠中絶につながる場合が多い、などの問題点があります。

3)絨毛検査
 だいたい妊娠9~11週※に胎盤の一部である絨毛を採取して染色体異常の有無を調べる検査。羊水検査よりも早い時期に検査ができるため、検査後に人工妊娠中絶を行う場合の負担は軽くなりますが、羊水検査より流産の可能性が高いというデメリットもあります。

 従来の出生前診断に加えて、最近可能になったのが「新型出生前診断」です。妊娠10週以降の妊婦から血液を採取し、その血液中に浮遊しているDNA断片を分析することにより、胎児の染色体異常を調べる非侵襲的検査です。

「新型出生前診断」はマスコミがつけた仮の名前であり、医学的に正確には無侵襲的出生前遺伝学的検査(non-invasive prenatal genetic testing; NIPT)、あるいは母体血細胞フリー胎児遺伝子検査(maternal blood cell-free fetal nucleic acid (cffNA) test)と言います。

 検査可能な時期は妊娠10週以降で、異常の有無が分かる疾患は21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーのみです。この3つ以外の染色体異常の有無は分かりません。陽性的中率は75~95%程度で陰性的中率は99.9%です。検査を受けられる人は、35歳以上の高齢妊娠・本人または夫が染色体異常保因者・染色体異常がある子どもを産んだことがある人、などのいずれかの条件を満たす人となっています。

 この検査を受けるにあたって注意すべきなのは、検査ですべての異常が分かるわけではないということです。先天異常の赤ちゃんは、100人に3~5人程度の頻度で生まれてきます。染色体異常症は新生児のおよそ0.6%に確認されると言われています。新生児の染色体異常症のうち、ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーが占める割合は3分の2程度であると考えられています。

 つまり、この検査を受けて「異常なし」という結果であっても、「正常な赤ちゃんが生まれてくる」ということとイコールではないということを理解しておく必要があります。

 最近は高齢になってから妊娠を目指す人が増えているために、検査を受けようかどうか迷うという方も多いと思われます。また、万が一結果に異常が出た場合にどうすべきなのかは、非常に悩ましい問題となってきます。

 検査を受けるかどうか、そしてその結果をどう受け止めるかは、妊婦本人とそのパートナーだけが決めることです。周りが「検査を受けた方がいいのでは?」と促したり、検査の結果を聞いて出した結論に対して意見を言ったりすることは絶対に控えるべきことです。検査を受けるかどうかは、まず遺伝カウンセリングを受けてからじっくり検討することをおすすめします。

※実際の検査時期は病院によって異なります