「小林大紀」声優インタビュー&ミニグラビア【声優図鑑】

アニメ

更新日:2021/4/8

小林大紀

編集部が注目する声優に、仕事に向き合う気持ちからプライベートまでをじっくり伺い、撮り下ろしのミニグラビアを交えて紹介する人気企画「声優図鑑」。
第219回となる今回は、『フューチャーカード 神バディファイト』の星詠スバル役、『アイドルマスター SideM 理由あってMini!』の水嶋咲役などを演じる小林大紀さんです。

――今日の撮影では衣装にこだわったそうですね。

小林:普段はあまり着ない黒い上着を着てみました。いつも可愛い系のイメージを意識していたので、たまには少しクールな色も使ってみたくて自分でも新しい扉を開いた感じで新鮮でした。

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――インタビューでもクールな一面が出てきそう…?

小林:いや〜(笑)。中身が関西人というか恥ずかしがりなので、かっこいい感じを出すのって照れちゃうんです! キメたいけどキメきれないから、余計なひとことを言ってしまったりして…。まあでも、それが本来の僕なので、ありのままを受け止めていただけたら(笑)。

――では、ありのままでいきましょう(笑)。小林さんは2014年に声優デビューして以来、振れ幅の広い役どころを演じられてきた印象があります。声優を目指した時のことは覚えていますか?

小林:はい。声優という仕事を初めて意識したのは小学生の時でした。『おはスタ』をずっと見ていて、タレントだと思っていた司会の山寺宏一さんが、番組内のアニメーションに出演します、とおっしゃっていたので、どういうこと?と不思議に思って…。

それ以降は、国語の授業で自分なりに演出しながら教科書を音読することが好きだったり、中学生の時に深夜アニメを見て面白いなと感じたり。もともと何かを読んだり表現したりすることに興味があったんだと思います。だから、ストレートに大学に進むというより、早めにやりたいことをやるのもいいなと思って。高校生の時、大阪の養成所に半年くらい通っていました。

――養成所で何を学んだんですか?

小林:舞台に立って人前でお芝居をすることを経験して、ハマりました。学校が終わってからも公園に集まって稽古して。あの頃は青春してました (笑)。

――それから高校2年のとき、ヒューマンアカデミーさんでダブルスクールをされたそうですね。舞台などを経験しながらも、やっぱり声優への想いが強かった?

小林:そうですね。舞台ももちろん好きなのですが、もともと声優がやりたくてお芝居を学んだので。やっぱり山寺さんの衝撃が大きかったんでしょうね(笑)。山寺さんのお芝居を見て、自分とはまったく違うものになれることに魅力を感じたんだと思います。だから、声優になる!と腹をくくって上京しました。

――声のお芝居の面白さってどんなところでしょう。

小林:ある意味、お芝居にはロジック的なところがあると思うんです。そのキャラクターがどんな時代に、何を考え、何をして生きているのかを考えたりして、一つ一つその人物を表現するための空白を埋めていく。特に声のお芝居は舞台に比べると、お芝居で遊べる役柄の幅が広いのかなと思います。外画の吹き替えでも、日本語で当てることによって外国の言語原案とは違うアプローチができるのが面白いなと、演じていて思います。

――2018年から放送された『フューチャーカード 神バディファイト』では、星詠スバル役を1年近く演じていましたね。期間が長かった分、思い出も多いですか?

小林:はい。とても仲がいい座組みだったので! 収録後もほとんど毎回飲みに行っていました。キッチンスタジオに、食べるものをみんなで持ち寄ってパーティーをしたことがあるんですけど、寿司屋さんが来てくれたりとか、先輩声優さんが「ここのパンおいしいから」って30斤くらいパンを調達して、ずっとサンドイッチ屋さんになってくださったりとか。すごく豪華でした(笑)。

――お酒を飲むことも?

小林:飲みます! 僕、基本的に、お酒は何でも楽しく飲めるんですよ。ダンスリハーサルで汗をかいたりしたときは、ビールとかハイボールとか炭酸系が美味しいです。バディファイトでは相棒役の斉藤壮馬くんと何度か飲みました。最後のほうで芝居がすごく良くなったって言われて、「ほんと?うれしい。どのあたりが?」みたいな話をしたり。「でもあのシーンの芝居は好きじゃなかった」みたいなことも言い合ったりしました。熱が入るとつい芝居の話をしてしまいます。期間の長い作品で、お互いのことを話し合えたりできる環境があったのがすごく嬉しかったです。

――バディファイトでは、カードゲームの公式大会にも出演されていましたね。

小林:平成最後の日に主人公の真野拓実くんと「このデッキなら勝てる!」と話し合って、公式の大会で本気のデッキを構築しました! エントリー100組くらいのうち4位だったんですよ。この作品に関わってからカードゲームを始めましたけど、この時は運良く勝ち続けることが出来ました。

――カードゲームを始めてから1年足らずで!? うまくなるコツがあるんですか。

小林:やっぱりカードの知識をつけることが近道でしょうか。この時はスバルくんのデッキを使ったんですけど、魔法のドローが強くて、パワーでゴリ押せるデッキなので初心者の僕でも扱いやすかったです。魔法無効カードを出したときに、対戦相手から「そのカードを入れるとはガチで組んでますね」って言っていただいたり、頑張ってデッキを組んで良かったなと思いました。でも対策ばかりを考えて、妨害や防御のカードが多くなると、ライフが削れず、裏目に出ることがあるから、バランスが大事かなと思います。頭でいろいろ作戦を考えるのが楽しいですね。

――アドバイスをありがとうございます! 2018年は、『アイドルマスター SideM 理由あってMini!』の水嶋咲役でも、女装男子アイドルとして注目を集めましたね。

小林:僕はこの役に受からなかったら声優をやめようと思っていたんです。当時、そろそろ良い役を掴みたいなぁと思っていて。そんな時にピンポイントで受けさせていただいた役なので、運命的な出会いでした。マネージャーさんに、小林はこの役でオーディションに出そうって思ってもらえたのがうれしかったし、資料を見たとき、この子を演じたい!!僕なら表現できるはず!!って思いました。

――実際に演じてみてどうでしたか?

小林:ゲーム内のストーリーでバックボーンを知っていく内に、どんどん水嶋咲ちゃんのことがすごく好きになっていきました。でもアニメにはそんなに出ていないから、情報の少ないところはディレクターさんに確認して、アイドル水嶋咲を演じるように努力してきたつもりです。いつも一生懸命だけど、それを表に出さないような周りに気遣いができる子っていうイメージで演じています。今考えれば、自分と似ているところもあるのかな…。僕は自分に100%自信が持てないので、頑張ってます〜ってアピールするのは苦手だし、だけど決めるところは決めたいほうなので。やるしかないという気持ちで演じましたけど、実際に発表されるまでは、みなさんに受け入れてもらえるかどうか不安が強かったです。

――その不安をかき消すくらい、みなさんからは大きな反響が。

小林:一番うれしかったのは、ライブでプロデューサーのみなさんが「こばぴょーん」ではなく「咲ちゃーん」って呼んでくださったこと。水嶋咲としてステージに立ちたいといつも思っているので、うれしかったです。おかげさまで、セリフや歌の収録では「水嶋咲はプロだからね!」ってスタッフさんから任されることもしばしば(笑)。3月のプロデューサーミーティングの朗読パートでも、水嶋咲ならこのほうがしっくりするからってセリフを少し変えてみたり、咲らしさを考えながらも自由に発信させていただいています。

――これから演じてみたい役やジャンルはありますか?

小林:アニメーションの主人公を一度も演じたことがないので…。演じるなら、王道の主人公がいいですね。最近でいえば、ラノベ系の主人公とか、スポーツ系の熱血っぽい主人公とかも挑戦してみたいです。それ以外にも、いろんなチャレンジがしたいです。主人公に限らず、いい子を演じることが多いので、それを崩せるような悪役とか。男らしいキャラクターとか、中性的で寡黙キャラクターとかも、新たな挑戦になりそう。以前、バディファイトの監督から「小林くんはスバルくんを演じているときとガラッと変わるから面白い」と言われて、役者冥利につきるなぁと。うれしくて。それぞれの役になりきって、演じるたびに全然違う顔だなって言われるようになりたいです。

――プライベートでよく遊ぶ声優さんはいますか?

小林:作品がらみの打ち上げが多いですけど、この前は上村祐翔くんと公園でフリスビーをしましたね。祐翔くんが最近ハマってるみたいで「やろうよ!」って言われて。ベンチでパンをもしゃもしゃ食べた後に、フリスビーしながら近況報告して、その後は岩盤浴でリフレッシュ。

この前は古畑恵介くんに誘われて、美容鍼に行きました。急に誘われて「一回行きたいと思ってたからいいよ」って返事したら、じゃ予約入れとくって(笑)。どちらかというと、能動的に動くというより、受動的なほうです。普段はけっこう、駅前の焼き鳥屋にホッピーと焼き鳥2〜3本で居座っちゃうようなタイプなので。

――お話しやすいし、お話し上手だし、周りの方が誘いたくなるのかも。

小林:フットワークが軽いから、誘われて、ヒマしてたらいつでも行っちゃいますね(笑)。周りにも同じようなタイプが多いのかも。「この前誘われたから、次は誘うね」みたいな、持ちつ持たれつな関係というか。

――普段は聞けないようなプライベートなお話をありがとうございます! 最後に、これからどんな声優を目指したいのか教えてください。

小林:第一に、声優という仕事をずっと続けていきたいです。飽き性なのに、こんなに好きだなあ、面白いなあと思って続けられるのはすごいことだなって。やるからには、人と対面するお仕事なので、「小林くんがいれば安心だよね」とか、「後輩がいても小林くんなら面倒みてくれるよね」って頼られる人になりたいです。僕も先輩方からそうやって可愛がってもらってきたので。良い芝居をする役者ももちろんですが、それ以前に、人間として魅力的でいることを一つの柱にできれば、自分の人生も充実するんじゃないかなと思っています。

【声優図鑑】小林大紀さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

――ありがとうございました!

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

小林大紀

小林大紀(こばやし・だいき)81プロデュース所属

小林大紀(こばやし・だいき)Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=吉田有希、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト