公開直前! みんなで語ろう、映画『このすば』①――ゆんゆん役・豊崎愛生編

マンガ・アニメ

2019/8/24

『映画 この素晴らしい世界に祝福を! 紅伝説』 8月30日(金)公開 (C)2019 暁なつめ・三嶋くろね/KADOKAWA/映画このすば製作委員会

『この素晴らしい世界に祝福を!』(以下『このすば』)が、映画になって帰ってきた! 8月30日(金)の公開に先駆けて、ダ・ヴィンチニュースではメインキャスト5名に登場してもらい、それぞれの視点で『このすば』への愛をディープに、熱く語り倒すインタビューを敢行! 原作小説は累計発行部数が850万部を突破し、アニメも絶好調。キャスト・スタッフが一丸となって生み出す、最高に笑えて、観ていていつの間にか元気が出てしまう『このすば』はなぜ素晴らしいのか、徹底的に迫ってみたい。

 第1弾は、ゆんゆん役の豊崎愛生が登場。TVアニメ2期の次回予告では、どどんことふにふらへの切なすぎる(?)手紙で笑わせてくれたゆんゆんだけど、今回は「滅亡の危機に瀕した生まれ故郷・紅魔の里を救うために旅立つ」というストーリーだけに、きっとゆんゆんの大活躍を目撃できるはず。ということで、まずは『このすば』ならではの収録風景のエピソードから語ってもらった。

笑わせるつもりじゃないゆんゆんを演じるためにまず笑わせるっていう芝居の基盤を作らなきゃいけない、というのが、ゆんゆんの演じ方です(笑)

──キャストの皆さんにお話を聞いていると、『このすば』にすごく熱い思いを持ってやっていることが伝わってくるんですよ。まずそれこそが、『このすば』のすごさだなあ、と思ってまして。

豊崎:そうですね。もう、単純に楽しい(笑)。アフレコが、現場が、オンエアが楽しいって、すごく幸せなことで。もちろんキャラの作り方はそれぞれで、悩んだり迷ったりすることもあるけれど、それが絶対にネガティブな方向に行かない作品なんです。作品自体が明るいし、愛のあるスタッフの皆さんの中でアニメを作らせていただいてます。みんなでディスカッションしながら、「ここ、こうやってアドリブを入れるからこうやって返そうと思うんだけど、こっちのほうが面白いかな?」とか、笑いについてみんなで話し合ったりできるのも、とても楽しいです。

──アドリブが多いらしいですね。

豊崎:特にカズマしゃんのパーティーの皆さんは、TVシリーズからガンガン入れていて、それをよしとしてくださる監督(金崎貴臣)がいて。監督は、役者に任せる許容範囲を大きく持ってくださっていて、出たものを楽しんでくださるというか、「面白いからオッケー」みたいな感じも多くて(笑)。トライさせていただける環境も含めて、監督はじめ、スタッフさんが現場で空気を作ってくださってます。

──トライした分、作品にも反映されるなら、やりがいもありますよね。

豊崎:そうですね。音響監督の岩浪(美和)さんも、我々がポーンと放ったアドリブを、オンエアではSEとSEの間にスポッと入るように調整してくださったりするんですけど、考えて繰り出したものを大事にしてくれるんですね。やっぱりそれは嬉しいし、「次は何やろっかな」ってみんな調子に乗るというか(笑)。大事に使ってもらえて嬉しいから次もやってみよう、みたいなサイクルができていると思います。

──TVアニメ2期までを振り返ってみて、「ここ、面白くできたなあ」と個人的に手応えを感じているシーンはありますか?

豊崎:ゆんゆんとしては、本編で皆さんと戦ったり絡むことがあまり多くはなかったんですけど、個人的に好きだったのは、1期のOVAで野球拳をする話がありまして。ひたすらめぐみんとじゃんけんをするんですけど、そこはテンポ感というか、面白く緩急を積み上げることができたなあ、ということを、めぐみん役の高橋李依ちゃんと話してました。わたし、基本的にはオンエアを観て反省するんです。もちろん、『このすば』でもいっぱい思うところはあるんですけど、『このすば』はわりとセッションしている感覚が強くて。テストでみんなが持ち寄ったものを、「せーの! ドン!」ってやるんですけど、賑やかさやリズム感も含めて、みんなで楽器を持ち寄ってセッションして生まれた、偶然の産物!みたいな空気感があります。

 あとは、咄嗟に出たアドリブやツッコミのテンションをそのままオンエアにも活かしてもらえたりするので、瞬発力を大事にトライしている感覚がありますね。「たぶん、カズマしゃんはこういう感じで来るだろうな」「アクアちゃん、こういうこと言ってくるだろうな」みたいなことを想像した上で準備して、収録に臨むんですけど、全然違うのが来るんですよ(笑)。

──(笑)想像を超えてくる。

豊崎:そうなんです。特にカズマさんは、ほんとに斜め上を行く音を放ってくるので。本当に想像の上を行く面白さで返ってきちゃうので、そこに対して負けないようにクリティカルを出していく!みたいな感じ(笑)。このメンバーだからこそ生まれるよさ、ミラクルのようなものも、きっとあると思います。

──TVアニメの次回予告で、ゆんゆん担当の回が3週連続であったじゃないですか。あれも、だいぶ面白かったなあ、と改めて思い出しました。

豊崎:ゆんゆんのお手紙を読むコーナー、みたいな。だんだん焦ってくるんですよね。どどんこさんとふにふらさんが近づいてきてしまっていることに対しての……焦り(笑)。

──(笑)ゆんゆんらしさがとても出ている予告でしたね。

豊崎:そうですね。わりと、自分で墓穴を掘るんですよね。ひとりで転んじゃうタイプというか。何もないところでひとりで勝手につまずいて、空回りして転んじゃうタイプの子なんですけど、そこがまたかわいい部分だったりします。

──演じている豊崎さんだから気づけたゆんゆんのいいところ、愛すべきところって、たとえばどんな一面だと思いますか。

豊崎:豊崎的に言うと、彼女は笑われているキャラクターなんですけど、笑われるために笑わせる芝居を作る、というテーマがあって(笑)。まわりから、彼女が意図してないところで、笑われてしまっているというか。ゆんゆん自体は、笑かそうと思って行動しているわけじゃないんだけど、それが視聴者の皆さんにとっては笑いのポイントになっていて。一生懸命で、笑わせるつもりじゃないゆんゆんを演じるためにまず笑わせるっていう芝居の基盤を作らなきゃいけない、というのがゆんゆんの演じ方なんです(笑)。なんか、文字にするとわけがわかんなくなっちゃう(笑)。

──(笑)面白いですね。

豊崎:そういうキャラクターは楽しいです。結果、一生懸命やることに尽きるんですけど。あとは、コミュニケーションがとても苦手で、ひとりで誕生日会をやっちゃうぼっちの設定ではあるんですけど、輪に入れないからこそ、実は皆さんを俯瞰で見ている部分があって。輪の外にいるから、みんなの強さや弱点や性格、本当に大事にしてるものを、ちょっとだけ冷静に見れているところがあるんですね。たぶん彼女はそれも意図していないし、ほんとは輪の中に入りたいんですけど。入りたいけど入れないからこそ見える部分は、きっと彼女にはたくさんあって。そういうところは大事なシーンで言うセリフにも反映されていて、それでめぐみんが心を動かされたり、ちょっと感動する話につながっていったりするので、わたしはゆんゆんは現状のままがいいんじゃないかな、と思います(笑)。

──(笑)あえて輪に入れないままがいい?

豊崎:みんなの中に入っちゃうと、それはそれでまわりが見えなくなっちゃってテンパる、っていう絵が想像できるんです。それも賑やかで楽しいんですけど、意外とめぐみんのことをちゃんと見ていたり、大事なことをポンと言い当てたりするのも、実はゆんゆんだったりするので。そこがまた、やがて紅魔族の長になる素質みたいな部分だったりするのかなあ、と思ったりします。本人が意図してないところで、自然とそういうことができちゃったりする部分は、ゆんゆんの魅力だな、と思います。

──実は器が大きいし視野も広くて、リーダーの資質がある、的な。

豊崎:そうですね。いっぱい魅力はあるんですけど、でも一番はやっぱりメンタルの強さ(笑)。ひとりで誕生日会をできる人なので。メンタルが弱そうに見えて、見方を変えるとめっちゃ強靱な鉄のメンタルの持ち主だと思います。

声を出して思いっきり笑っていただけたら。笑いがあふれる劇場版って、素敵じゃないですか

──今回の映画のストーリーを知って、どんなことを感じましたか。

豊崎:えーっと……めぐみんとの友情が、深まります(笑)。映画ということもあって、展開もドラマチックだし、絵作りも壮大だったりするし、エンターテインメント的な要素もたくさんあるんですけど、友達について考えたり、単純にこの作品の面白さを仲がいい人と共有したりできるといいな、と思っていて。それこそ、それぞれがソロで観に行っていたとしても、劇場でたくさんの人と一緒に同じタイミングで観ることで生まれる気持ちというか、みんなで一体となって観ることに意味があると思います。誰かと一緒に観てもらえたらいいなあって思います。

──『このすば』って、作り手も演者の方も一丸となっている感じがありますけど、さらに言えば観てる側も同じテンションで参加できる感じがあって、そこがこの作品のすごさだなあ、と思います。

豊崎:そうですね。自分もパーティーの一員、みたいな。一緒に旅して一緒にピンチになって、という感覚が、特にTVシリーズの1期から観てくださってる方にはきっとあると思います。なんか、『このすば』を好きでいてくれているお客様同士って、すごく仲がいいイメージがあります。イベントでも、「一丸となって『このすば』を盛り上げよう!」みたいな感じを目の当たりにしているので、ほんとに感謝です。内容的には、難しいことを考えずに観ていただきたいですし、肩の力を抜いて『このすば』を観て、笑って、「寝よっ!」「明日も頑張ろっ!」みたいな、明るいパワーをくれるアニメだと思います。

──映画の収録は2日間でやったそうですね。

豊崎:めちゃくちゃしゃべったので、のどの疲労も相まって、達成感がすごかったです。みんな全力で叫んで、ギャグやって、戦って。日々、喜怒哀楽の中で一番難しいのは笑いだな、と思うんですよ。誰かを怒らせるとか、誰かを泣かせるって、簡単ではないけど、手段はたくさんあるじゃないですか。でも、誰かを笑わせる、しかもアニメーションで笑わせるのって、たぶん一番難しいことで。だからこそ全力で、熱を持って、本気を出してやらなければ、絶対に笑ってもらえないし、絶対面白くならないんですよね。『このすば』は、特に叫びのシーンもたくさんあって、シリアスなんだけど叫んでる内容がアレだったりすることもけっこうありますけど(笑)、みんなが全力でやっていて。その面白さが、音に出て、映像に乗っかって、劇場で響けばいいなあ、と思います。

──ネタバレにならない程度に、現場で見ていて面白かったシーンについて教えてもらえますか。

豊崎:詳しくは伏せるんですけど、シルビアさんとカズマさんの掛け合いが、ほんっとに面白くて。我々は一体何を聞かされているんだろう、みたいな(笑)。大事なシーンなんですけど、全力でギャグになってるところがいいなあ、と思います。ほんとに気が抜けないというか、うっかり笑っちゃうとノイズになっちゃうので、みんな本番では黙ってるんですけど、笑いをこらえるのに必死で。TVシリーズも毎回大変で、腹筋が鍛えられて帰ってきてたことを、収録のときに思い出しました。ほんとに、お腹の力を使う作品です(笑)。でも皆さんは、声を出して思いっきり笑っていただけたらいいな、と思います。笑いがあふれる劇場版って、素敵じゃないですか。我々は収録でめっちゃ我慢して、腹筋が割れましたけど(笑)。

──(笑)豊崎さん自身が『このすば』の世界にいるとしたら、どんなスキルを身につけて、どんなクラスにつきたいと思いますか?

豊崎:どうしようかなあ? でも、『このすば』の世界に入った段階で、スキルがついても何かオチがありそうな気がして怖いですよね(笑)。呪いの首飾りが外れなくなってどうのこうの、とか。何かができるようになったら、何かを失うような気がして、『このすば』に関しては警戒心満載なんですけど……でも、やっぱり健康が第一だと思っているので、とにかく『このすば』のパーティーにはヒーラーが必要だと思います。特に、二日酔いを治すスキルを身につけたいです(笑)。

──ははは。

豊崎:みんな、アクアさんとか、めっちゃ飲むじゃないですか。

──飲みますね、シュワシュワを。

豊崎:はい。シュワシュワを飲んだあとに、特に1期ではずーっとリピートで、馬小屋の横でオロオロオロ、みたいなシーンがいっぱいあったじゃないですか。輝くものが(笑)。

──(笑)はい。

豊崎:あれだけ飲むんだったら、それを一瞬で治せるスキルを、誰かがそろそろ身につけたほうがいいと思う。だからわたしは……スキル名・ヘパリーゼ、ですかね(笑)。

──(笑)胃にやさしいやつで。

豊崎:胃にやさしいスキルを身につけて、酒場の横に店を設けて、あこぎな商売をやります(笑)。なんか、あの世界ではちょっとお金持ちになれそうな気がしますね。アクアさんとか、毎日来てくれるんじゃないかな、と思うので、二日酔いを治すスキルにします!

──(笑)では最後に、今回の映画を収録してみて、改めて『このすば』という作品について感じたことを教えてもらえますか。

豊崎:はい。もう、「シンプルに、全力!」っていう感じが、映画版にもあるなあ、と思います。うちの後輩の雨宮天ちゃんがアクア役なんですけど、OKが出てるのに、「もう1回、ここのシーンやらせてもらっていいですか?」って言ってるところを見ていて。そこが思いっきりギャグのシーンだったり、叫びのシーンだったりするんですけど、何度もやってたんですよね。もちろん他のキャストさんも、笑いに対して貪欲な部分がすごくあって、「もうちょっと、面白くできるかもしれない」ということで、自主的にリテイクをさせてもらったりすることが、TVシリーズのときからけっこうあって。映画版でも、そういうみんなの貪欲さや全力なところが活きた収録になっていたと思います。キャストもそうだし、アニメを作ってくださっているたくさんのスタッフの皆さんもそうだし、『このすば』に関わってくださっている方全員が愛を持って楽しみながら、『このすば』を盛り上げるようとしていることをすごく感じます。みんなの全力が集まって、それが結果大きな愛になっている作品だし、何よりもファンの方のあたたかさをすごく感じているので、映画を通してたくさんの皆さんと『このすば』でつながって、一緒にいっぱい笑顔になれたらいいなあ、と思います。

──ゆんゆんについてはどうですか?

豊崎:ゆんゆんに関しては、今まで見られなかったカッコいいゆんゆんが大活躍するストーリーの映画になっているので、ぜひゆんゆんの魅力を再発見していただけたらいいな、と思います。わたし自身も、演じていて「ゆんゆんってこんな顔するんだ」「こんなふうに堂々と立つことができるんだ」「めぐみんとこんなに息が合ったシーンができるんだ」っていう発見がたくさんあったので、よりゆんゆんのことが好きになりました。ぜひ皆さんも映画を観ていただいて、新しいゆんゆんの魅力をたくさん発見して、応援していただけたら嬉しいです。

『映画 この素晴らしい世界に祝福を! 紅伝説』公式サイト

取材・文=清水大輔