あふれる“丼愛”と“たまご愛”から生まれた料理レシピ漫画が話題! 作者“杏耶”さんインタビュー

食・料理

2019/8/29

 ご飯の上におかずをのせておいしく食べるだけ。Twitterフォロワー17万人の食いしん坊イラストレーター“杏耶”さんがそんな丼への愛を描いた料理レシピ漫画『ド丼パ!』(一迅社)。2016年に第1巻が発行されると、「リピート決定!」「感動のおいしさ」と話題をさらい、2019年8月には待望の第3巻が発売された。卵料理だけを紹介したレシピ本『たま卵(らん)ごはん~おひとりぶん簡単レシピ~』(KADOKAWA)もヒット中の杏耶さんに、“丼愛”“たまご愛”を語ってもらった。

丼のご飯をかっ込んでいると脳が喜んでいるのがわかる

――見ているだけで食べたくなる楽しいイラストが満載ですが、もともと絵は得意だったのですか?

「料理はもともと好きで、2014年ころから食べ物イラストやレシピなどを描き始めました。イラストレーターになりたくて試行錯誤していたのですが、まったく成果が出せなくて、Twitterで友人に向けてレシピイラストを載せたら反応がよくて、そこから今のスタイルにつながりました。『ド丼パ!』は『何か楽しいことでもやりたいな』と、ひまな時間に描き始めたのがきっかけです」

『ド丼パ!3』(杏耶/一迅社)

――「ド丼パ!」というタイトルもなかなかのインパクトですよね!?

「実は、アニメ『ドラゴンボール』のキャラクター、桃白白(タオパイパイ)の技の名前『どどん波』が由来なんです(笑)」

――それは意外でした! ところで、丼のレシピ本を出すくらいですから、やはりかなりの白米好きなのでしょうか?

「はい、一番の好物といえば、白米です。ほぼ1日3食、食べていたのですが、最近、プチ糖質制限を始めて泣く泣く2食に。できれば、5食くらい食べたいんですけどね!」

――とにかく「おかずを白米にのせて食べるのが好き」とも書かれています。

「小さいころ、母が作った肉じゃがって汁が多めだったんですね。それを『ご飯にかけたい!』という衝動がずっとあって、隠れながら肉じゃが丼(第2巻で紹介)にして食べていました。丼の白米をグワーッと食べていると、脳がすごく喜んでいるんですよね(笑)。なので、丼は本能的に素晴らしい料理だと思っています。洗い物も増えなくて済みますし。1人暮らしを始めた専門学生時代はほぼ毎食、丼を食べていました」

『ド丼パ!2/54杯目 肉じゃが丼』より

第3巻は「短時間で楽しく作りやすく」がテーマ

――2016年の第1巻は「自分の描きたいものをおいしく楽しく」、翌2017年の第2巻は「王道からアレンジ系までさまざまな種類の丼、そして思い出の丼」がテーマでした。最新刊の第3巻は「初心に戻って作りやすい」「作っていて楽しい」「時短」をテーマに描かれたということですが、第3巻でレシピを1冊にまとめるにあたって、何かこだわった点はありましたか?

「夏に出版される本だったので、暑くても食べられるもの、暑いからこそ食べたくなるものを主に作ったり描いたりしてました。暑い時は食欲もなくなって夏バテになりやすいですから、そんな時にもすぐに食べられて、おいしい丼を考えていました」

――確かに、「長芋と明太子のたたき丼」や「海鮮ユッケ丼」は火を使わずに作れるのがうれしいですし、「カオマンガイ丼」や「チーズタッカルビ丼」などのエスニック丼も元気が出そうですよね。ご自身が特に気に入っている丼はありますか?

『ド丼パ!3/64杯目 海鮮ユッケ丼』より

『ド丼パ!3/チーズタッカルビ丼』より

「『蒲焼き茶漬け丼』です。さんまの蒲焼きの缶詰をご飯にのせて、冷たい麦茶をかけるだけの簡単丼ですが、蒲焼きの味付けはご飯によく合うし、麦茶のおかげでサラサラいけるので、最高の1杯ですよ! 火で調理しないで食べられる缶詰は、暑い季節にぴったりなんですよね」

『ド丼パ!3/59杯目 蒲焼き茶漬け丼』より

――これらのレシピのアイディアはどんな風に生まれるのですか?

「テレビで見たり、外食をしたりした時に『これはどう作るのかな、もっと簡単にできるかな』と考えながら思い浮かぶことが多いですね。昔も今も、最初は目分量で作ってみるんです。それでおいしくできたら、計量しながらもう一度作ります」

――第1巻は27品、第2巻は28品、第3巻は27品と、計82品の丼が紹介されていますが、これからも丼のレシピは増えていきそうですか?

「そうですね、第3巻では『ルーロー飯風丼』(台湾)、『ガパオライス丼』(タイ)など外国風の丼をいくつか紹介したのですが、もっといろいろな国の丼を食べてみたいし、作ってみたいですね」

『ド丼パ! 3/71杯目 ルーロー版風丼』より

『ド丼パ!3/75杯目 ガパオライス丼』より

幼少時からの“たまご愛”が成就した、たまご料理の本

『たま卵ごはん~おひとりぶん簡単レシピ~』(杏耶/KADOKAWA)

――杏耶さんといえば、『たま卵ごはん~おひとりぶん簡単レシピ~』も重版がかかるなど大ヒット中です。これは、月刊誌『レタスクラブ』で2018年9月から始まった連載をまとめた1冊ですよね。「365日、食べても飽きないほどたまごが好き」と聞きましたが。

「4~5歳の頃に夜店でひよこを買ってきて飼育したのがきっかけです。メスだったので成長してからはたまごを産み始めて、毎朝食べるようになりました。あと、もともと家族がたまご好きで、いつも冷蔵庫に卵があったので、その影響もすごく強いと思います」

『たま卵ごはん~おひとりぶん簡単レシピ~/はじめに』より

――たまご好きな人は多いと思いますが、そんなに好きな理由って…?

「とにかく、たまごを尊敬しているんです(笑)。ぷるんした白身、つるんとした黄身、それがすごくかわいくて好きなんです。メイン料理にもなるし、デザートにもなるし、幅広く変身して、料理の主役にも脇役にもなれるところがエラいと思っています」

『たま卵ごはん~おひとりぶん簡単レシピ~/
卵白をあなどるなかれ!ふわしゃきレタスチャーハン』より

――この本にもご飯ものからおつまみ、世界のたまご料理、スイーツまで載っていますが、中でも杏耶さんが特に気に入っているメニューはありますか?

「『たまごだけおでん』です。これは当初、大根やはんぺんなどいろいろな具を入れたおでんのレシピだったんですが、編集担当者さんに『私、おでんはたまごだけでもいいくらい、たまごが好きなんです』と言われて。もうこの人に付いていくしかないなと思いました(笑)。黄身が溶け出したおでんのつゆが日本酒にも合って、最高なんですよね」

『たま卵ごはん~おひとりぶん簡単レシピ~/
かたゆで派のあなたに たまごだけおでん』より

――ちなみに、初めて作ったたまご料理はおでんじゃないですよね…?

「母に作った最初の料理がオムレツだったと思います。失敗したような記憶もあるのですが、母が全部食べてくれたのがうれしくて。それから料理好きになったのだと思っています」

『たま卵ごはん~おひとりぶん簡単レシピ~/夢ごこちの食感…とろとろオムレツ』より

――今後、挑戦してみたいたまご料理はありますか?

「いろいろあるのですが、究極のベーコンエッグを作ってみたいですね。あと、子供の頃のようにひよこから育ててたまごを産ませて、それを食べたいと思っています」

『たま卵ごはん~おひとりぶん簡単レシピ~/
バターたっぷりでリッチな味に!スクランブルエッグ』より

――究極のベーコンエッグ、楽しみです。最後に、杏耶さんにとって、丼、たまごとは何でしょう?

「丼もたまごも、こんなに広がるコンテンツだとは正直思っていませんでした。自分の生活の一部として食べていたものが、みなさんの応援のおかげでこうして本になって、作家人生を変えてくれたものだと思っています。『ド丼パ!』はまさか3巻まで出せるとは考えていなくて、『もし出すなら自費出版かな~』なんて思っていました(笑)。4巻も出せるようにがんばりますので、食べながら待っていていただけたらうれしいですね」

取材・文=岡田知子(BLOOM)

◆試し読みはこちら
『ド丼パ!3』://ddnavi.com/serial/dodonpa3/

『たま卵ごはん~おひとりぶん簡単レシピ~』://ddnavi.com/serial/tamaran/