公開直前! みんなで語ろう、映画『このすば』④――アクア役・雨宮天編

マンガ・アニメ

2019/8/29

『映画 この素晴らしい世界に祝福を! 紅伝説』 8月30日(金)公開 (C)2019 暁なつめ・三嶋くろね/KADOKAWA/映画このすば製作委員会

『この素晴らしい世界に祝福を!』(以下『このすば』)が、映画になって帰ってきた! 8月30日(金)の公開に先駆けて、ダ・ヴィンチニュースではメインキャスト5名に登場してもらい、それぞれの視点で『このすば』への愛をディープに、熱く語り倒すインタビューを敢行! 原作小説は累計発行部数が850万部を突破し、アニメも絶好調。キャスト・スタッフが一丸となって生み出す、最高に笑えて、観ていていつの間にか元気が出てしまう『このすば』はなぜ素晴らしいのか、徹底的に迫ってみたい。

 第4弾は、アクア役の雨宮天が登場。TVアニメではカズマに振り回される駄女神アクアとして、酔っ払い、泣きわめき、ジャイアント・トードに丸のみにされるという、はじけた演技を披露した。今回は、めぐみんにメインヒロインの座を奪われ(?)、逆境に追い込まれてしまうことに。果たしてアクアの逆襲はあるのか? 本作でコメディエンヌとして本格的に開花した彼女の心境を語っていただいた。

『このすば』はいつまで経っても変わらないもの。「実家」感覚があります(笑)。

――最初に『このすば』の映画版の制作が決まったときは、どんなお気持ちでしたか?

雨宮:映画版をやるということよりも、『このすば』が続くということが嬉しかったです。『このすば』が続いて、アクアをまだ演じられて、大好きな『このすば』メンバーで新しいものを作れるということが純粋に嬉しかったです。わたしは自分の身体が持つ限り、アクア役を続けたいと思っていますから。

――身体が持つ限り!

雨宮:アクアは結構、体力が要るキャラなので(笑)。

――体力……ですか?

雨宮:体力が大事です! とくに全身の体力が必要ですね。肺活量はたくさんあったほうが良いですし、口も回らなくちゃいけない。今までいろいろなシーンを演じてきましたが、アクアは泣き叫びながらセリフを言うシーンが多くて。しかも、そこでけっこう長いセリフを言い続けなくてはいけないので、酸素を充分に取っていないと苦しいんです(笑)。声を張り続ける持久力みたいなものが必要です。腹筋とか、背筋とか、体幹の持久力。体力がないとできない役です。

――アドリブ的な掛け合いや、ボケに対するツッコミも多いですから、発想力や反射神経も問われそうですね。

雨宮:そうですね。とくに『このすば』のかけ合いの速度は早いですからね。あの速度があるから、面白さが倍増するんです。相手が振ってきたら、瞬時に判断しないといけない。相手の言い方にあわせて乗っかろう、とか。全然違う言い方で反応しよう、とか。相当、脳と身体を全開にしていないとできないでしょうね(笑)。まあ、ゆっくりやっても楽しいかけ合いかもしれませんが、『このすば』らしさは出ないかもしれないというか、面白さは半減してしまう感じがありますね。

――じゃあ、映画版の収録のときは、体調を万全にして臨まれたわけですね。

雨宮:あと……大事なことは……収録当日はお腹を空かせないこと(きっぱり)!

――お腹を空かせない!

雨宮:体力勝負のところがありますからね。アクアの収録をするときは、お腹を空かせないことが大事です。お腹が減ると、元気なくなっちゃいますし。収録の最後まで、体力がなくなっちゃいますから。

――その「お腹を空かせない」ことは、TVシリーズのときも気をつけていたことですか?

雨宮:そうですね。『このすば』を収録していたときは、常にお腹がそれなりに満たされていたと思います。お腹は基本、ですね。

――雨宮さんは、収録前に準備を綿密にするタイプですか。たとえば、お腹の満腹度(笑)だけでなく、演技プランもしっかり決め込んでおくのでしょうか?

雨宮:うーん、半分くらいは決め込んでおきますね。昔は、完全に作り込んでから収録に向かっていたんです。でも、そうすると、練習したお芝居をアフレコのスタジオでそのまま再現するだけになっちゃうんです。人の演技を聴かなくなっちゃいますし、相手にあわせることができなくなっちゃう。今は「こういう感じで行こう」とざっくりと決めつつも、相手のお芝居にあわせて、自分の芝居を変えられるくらいの余裕を持たせています。

――じゃあ、収録の流れによっては、自分の予想外の芝居になってしまうこともあるわけですか。

雨宮:そうですね。ほかのメンバーによって、自分の芝居は変わっちゃいますね。自分が考えていた以上に、相手が強めのヤツを繰り出してくると、わたしも負けられないですから(笑)。準備してきたお芝居を何倍もの強さを込めて返す、みたいなことがよくあります。

――『このすば』のキャストで、予想以上のお芝居をする人はどなただと思いますか。一番要注意の人物。

雨宮:アクアは、カズマとのかけ合いが圧倒的に多いです。(福島)潤さん(カズマ役)は、テスト収録と本番収録で全然違うお芝居を出してくるので、アクアはそのお芝居に乗っかったり、あえて乗っからなかったり。アクアはアクアの道をゆく、というときもあるし、潤さんのお芝居に乗っかるのかなと見せかけて、あえて乗っからないときもあるし(笑)。潤さんとかけ合いをするときは、頭を一番フル回転させています。

――アフレコ現場は気が抜けませんね。

雨宮:気が抜けないようで、身を任せているというか。なんか不思議な感じです。

――TVシリーズと映画版で、カズマとアクアの関係に違いや変化を感じますか?

雨宮:それが、違いを全然感じていなくて。この変わらなさが『このすば』なのかなって思います。他の作品だったら、エピソードを重ねたり、映画版になることで、キャラクターが成長したり、キャラクター同士の関係性が成熟したりするものなんですけど。『このすば』は変わらないんです。「実家」感覚というか(笑)。いつまで経っても変わらないもの、みたいな。安心感のあるキャラクターと、変わらないキャラクター同士の関係性が『このすば』なんだと思います。

いくらでもアニメ『このすば』をやりたい。アクアをずっと演じていたい

――雨宮さんからご覧になって、アクアってどんな女の子ですか。

雨宮:とにかく自分の気持ちにまっすぐな子ですね。ひたすら自分の気持ちに正直な子なんだと思っています。自分の気持ちを全力で表現しているから、たまに失敗したとしても、なぜか憎めないんです。人間らしい女神……っていうと変ですけど(笑)。わたしは好きです。

――雨宮さんご自身に近いところはありますか?

雨宮:わたしは、仲が良い相手には、自分の気持ちをかなりオープンに出すタイプだと思うので。アクアと似ているな、と思いますね。

――アクアは「駄女神」と呼ばれることもありますよね。後先考えずに突撃したり、泣き虫だったり、ケンカっ早かったり、お酒が好きすぎたり。そういうダメなところは、似ている感じはありますか。

雨宮:ダメなところか……相当、共通点があると思いますね。自分は心を開いた相手に、めちゃくちゃ甘えちゃうんです。わがままもいっぱい言いますし。子どもっぽい性格なんだろうな、と思うところがあるんです。アクアと同じく「やだ、やだー!」みたいなことを言うこともよくあったりします(笑)。あとは……お酒も好きです。

――アクアは酔うと、宴会芸をしますけど。

雨宮:わたしも気分が良くなると、宴会芸じゃないですけど、普段はしないことをついやっちゃうことがあるので(笑)。ああ、やっぱりアクアとの共通点はかなり多いですね。

――アクアは、カズマにいろいろさらけ出している感じがありますね。

雨宮:カズマとアクアの関係は「熟年夫婦」感があるんですけど。アクアは相手がカズマでなくても、自分の気持ちを前に出しちゃうと思うんです。酒場でも、アクアはかなり自分を出しちゃってますからね。カズマに特別甘えているわけではないと思います。

――今回の映画版『この素晴らしい世界に祝福を! 紅伝説』では、めぐみんの実家に行くことになりますが、めぐみんとアクアの関係ってどんなものだと思っていますか。

雨宮:実はめぐみんについて、あまり考えたことがなくて。いま聞かれてあらためて考えると、同じチームのメンバー……という関係なのかなと。カズマを通して、めぐみんを信頼をしているのかなと思います。カズマとアクアの間には、先ほど言ったように「熟年夫婦」的な特別な信頼感があると思うんですけど、めぐみんやダクネスと、アクアは個人的な関係があるわけじゃないんですよね。絡むシーンもあまり多くないので、もし今後もアニメ『このすば』の展開があるとするなら、めぐみんやダクネスとアクアのエピソードを収録してみたいですね。

――高橋李依さん(めぐみん役)や茅野愛衣さん(ダクネス役)との収録はいかがですか。

雨宮:すごく良くしていただいています(笑)。わたしはすごく人見知りなところがあって、『このすば』のTVアニメ1期の第1~3話のころは、自分から高橋さんや茅野さんに話しかけることができなくて。しかも、アクアはセリフ量が多いので、台本にずっとかじりついていたんです。そうしたら、李依ちゃんから話しかけてきてくれて。そこから、ふたりでご飯を食べるようになったり、連絡を取り合うようになったりして。最近は、収録のない日に遊びに行ったりするようになりました。愛衣さんとも、話数を重ねるごとに、すごく楽しくお話させていただけるようになって、本当に嬉しいです。『このすば』は収録が終わったあとに、飲み会が行われる頻度が多くて、キャストの参加率も高いんです。飲み会に参加することで、キャストのみんなとどんどん仲良くなることができました。

――飲み会のときは、作品のことが話題になることもあるんでしょうか。

雨宮:そうですね。その日の収録で「あのシーンの芝居が良かった」とキャスト同士で振り返ったり、スタッフさんが指摘してくださったりするんです。『このすば』の話をいっぱいしますね。その飲み会を通じて、キャストやスタッフと仲良くなれたことが、私にとってはすごく大きかったと思います。この飲み会で、キャストのみなさんを知ることで、収録の時に「この人だったらこんなお芝居をするだろうな」とイメージを持つことができたり、収録の最中もリラックスできるようになって。みなさんと早い段階で良い関係を築くことができたのは良かったです。

――『このすば』のようなコメディ作品にヒロインで参加をして、雨宮さんにはどんな経験になりましたか。

雨宮:そうですね。わたし、ギャグがこんなにも好きだったんだなって、『このすば』で気づいたんです。わたしは普段、考えすぎちゃうタイプなんですよね。今日の収録はどうだったかな、とか。収録が終わったあとも、ああしたらよかったのかなって、ずっと考えちゃったりするんですけど。でも、アクアはそんなことを考える余裕もなくて。毎回、そのときに出たもので勝負していく感じがあって、でもそれが良くて。余計なものをすべて取り払って、収録のその瞬間に集中して自分の全部を出せるのは、やっていてすごく楽しいんです。しかも、面白いものを出せたときの達成感もすごく大きくて、生きがいを感じました。

――ギャグに生きがい。

雨宮:思い出したんですけど、わたし、小さい頃から弟を笑わせるのが大好きだったんです。そもそも、人を笑わせたり、バカなことをしたりするのが好きだったんだなって。そもそもコメディは自分の性に合ってたんだなって、あらためて思いますね。

――先ほど「そのときに出たもので勝負していく」とおっしゃっていましたけど、雨宮さんの気の強さも、コメディ向きのような気がします。

雨宮:そうですね。収録のときは、「負けらんねえ!」みたいな感じがありますね。かけ合いの相手が面白いことをすると、もっと面白いことをやってやる、もっとすごいことをやってやる、って思いがどんどん積み重なっていくのは、コメディ作品を続けていく面白さだと思います。

――雨宮さんには『このすば』だけでなく、もっとコメディ作品で活躍していただきたいです。

雨宮:まわりの方からも「意外にコメディがハマってますね」と言われることが増えました。わたしはシリアスな作品に出演させていただくことが多くて、ヒロイン役を担当させていただけたときも正統派な役柄が多かったので、ここまで振り切ったギャグ作品に参加したことがほとんどなかったから最初はびっくりされましたし、「でも、それが良かったです」という反響をたくさんいただきました。

――今回の映画版で印象に残っているシーンがあればお聞かせください。

雨宮:今回はいわゆるゲストキャラがちょっと……面白すぎるんです。ぜひ、ゲストキャラのシーンを楽しみにしてください。収録のときもすごくて。「こんなにすごいの?」って圧倒されてしまいました。どんな映像になるのか楽しみです。

――アクアとしては、今回の映画はいかがですか。内容的には、めぐみんがヒロインとしてフィーチャーされている内容になりますが。

雨宮:そうなんですよね。今回はめぐみんがヒロインなので、アクアとしてはちょっと寂しかったです。台本をいただいて読んでいたら、「あれ? あれ? この10ページくらい、アクアが出てないぞ!?」と不安になって(笑)。でも、アクアが「泣いているシーン」があって、それがすごく嬉しかったです。やはり、アクアを久々にやる以上、「泣き」はやっておきたい(笑)。しかも、その「泣き」のシーンを収録したときに、潤さんが「うわ、まだ新しいのあるんだ」って言ってくれたんです。それが、すっごく嬉しくて。しかも、そのあと監督が「もっとやってください」と言ってくださったんです。「うわ、もっとやっていいの!? やった!」「じゃあ、もうここで全部を出してやる!」くらいの気持ちで、思いっきり「泣き」ました。その映画版の収録のあとも飲み会があったんですが、ほかのスタッフさんから「泣きのシーン、良かったよ」と褒めてくださって。「わたしは自分の役目を果たすことができた!」とほっとした気持ちを味わいました。

――「新しいのあるんだ」と言われて嬉しいというのは、完全にコメディアンの発想ですね。

雨宮:いやー、ほんとにそうですね(笑)。自分のお芝居でまわりの人が喜んでくれるのは格別に嬉しいですし、自分でも予想していなかった芝居ができたときは本当に楽しいんです。これがコメディの楽しさなんでしょうね。

――『このすば』の収録が終わった後に、「このすば・ロス(喪失感)」を味わう方もいらっしゃるようですけど、雨宮さんはロスに陥ったりはしていませんか?

雨宮:いまは映画の公開を待っている状態なのでワクワクしているんですけど、映画の収録をしているときは、終わりに近づくにつれて寂しくなってきて。次はいつアクアを演じることができるんだろう、次はいつこの面子で会えるんだろう、『このすば』に関わることができるんだろうってどんどん寂しさを感じるんです。TVアニメ1期が終わったときも寂しくて、ときたまメンバーで集まって飲み会をしたことがあったんです。こうやって取材をしていただいたり、エンディング曲の収録があったりすると寂しさが紛れます(笑)。公開が終わったあと、ロスが本格的に来ると思うので。そう思うと、ちょっと怖いですね。

――そのロスを癒す方法は……。

雨宮:飲み会をすること……じゃなくて、『このすば』が続くこと、ですね。わたしとしては、いくらでもアニメ『このすば』をやりたいんです。本当にアクアをずっと演じていたい。声優としても、収録をするごとに、どんどん「新しいもの」が現場で生まれていく作品に参加している実感があって。これからも、もっともっと「新しいもの」を作っていきたいと思っているんです。スタッフもキャストもみんなが愛を注ぎ込んで作っている作品なので、これからも続いていくことを願っています。

『映画 この素晴らしい世界に祝福を! 紅伝説』公式サイト

取材・文=志田英邦