書店員・花田菜々子さんが選ぶ「出会いがないという悩みに効く本」

文芸・カルチャー

2019/11/9

 本の世界には、あなたの今の悩みを軽くしてくれたり、生き方のヒントになる作品が数多くあります。今回は、「HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE」の店長で、著書に『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』がある花田菜々子さんに、出会いがないと悩んでいる人におすすめの本を紹介していただきました。

お悩み:出会いがない、出会いがほしい。

■選書したのは…

■処方した書籍は?

 元カノとのある事件をきっかけに、学校にも行けなくなり、心を閉ざしたままコンビニの深夜バイトに明け暮れる主人公。だが、バイトの先輩がネット動画の「歌い手」をやっていることを知ったり、真夜中に突然現れた女子小学生のようないで立ちの客が同じ深夜ラジオ番組の投稿仲間だと知ってから、人生がまた少しずつ動き始める。

 学生の頃は、学校だけが居場所のすべてのように思えて、その細いロープから一度落ちてしまったらもう二度と戻れないような気がしていた。しかし実際には、弱い人たちや負けてしまった人たちにやさしく開かれている場というものはたくさんある。作中に出てくるネット動画や深夜ラジオの世界のように、そんな場所は夜中のコンビニのようにずっと光っていて、私たちを迎え入れてくれようとしているのだ。そして、裏側の世界で出会った人だからこそ共有できる痛みもある。

 悪意や非難を受け、もう誰とも仲良くなりたくないと思っても、また誰かとつながることができる、とそっと背中を押してくれるような小説だ。

『明るい夜に出かけて』(佐藤多佳子/新潮社)