【モーニング娘。’20インタビュー】手に入れたかった《わたしたちの憧れ》を守り、輝き続けるには?

エンタメ

2020/2/11

 1997年に結成されて以来「ハロー!プロジェクト」のアイドルを牽引し続けるモーニング娘。
卒業と新規加入を繰り返し、時代によってその輝きを変えながら女性たちの憧れであり続けている──
その魅力を探るべく現役メンバーから代表して6名に今回の特集テーマについて語っていただきました

牧野真莉愛さん、生田衣梨奈さん、譜久村聖さん

譜久村 聖(左)
ふくむら・みずき●1996年、東京都生まれ。モーニング娘。9期メンバー、9代目リーダーで在任期間は歴代最長。19年6月、ハロー!プロジェクトのリーダーに就任。3歳で、アニメ映画『劇場版 とっとこハム太郎』に登場したミニハムず(ミニモニ。)に出会って以来のハロプロファン。
生田衣梨奈(中央)
いくた・えりな●1997年、福岡県生まれ。モーニング娘。9期メンバーで、サブリーダー。趣味は小3から始めたゴルフでベストスコアは85。殺陣とアクロバットが得意。モーニング娘。加入以来、コンサートをはじめ年間100回以上あるイベントに皆勤を貫いている。
牧野真莉愛(右)
まきの・まりあ●2001年、愛知県生まれ。10・11期のオーディションで落選し、研修生として研修を積んだのち12期オーディションに合格。野球が好きで日本ハムの大ファン。応援歌をステージで披露したこともある。アイドルとしての目標は道重さゆみ。

 

石田亜佑美さん、佐藤優樹さん、小田さくらさん

小田さくら(左)
おだ・さくら●1999年、神奈川県生まれ。11期メンバー。憧れは自分の母親。好奇心旺盛で知識豊富、何があっても自分の責任と肚をくくって生きる強さを自分も身につけていきたい。アニメやマンガが大好き。宝塚歌劇団のファンでもあり、ややオタク気質。
佐藤優樹(中央)
さとう・まさき●1999年、北海道生まれ。10期メンバー。自由奔放な性格で、つんく♂から「不思議ちゃん」と評されたことも。文字の流れがわからなくなってしまうので、マンガを読むのは苦手。趣味はドラムと乗馬。絶対音感と優れたリズム感をもつ。
石田亜佑美(右)
いしだ・あゆみ●1997年、宮城県生まれ。モーニング娘。10期メンバーで、サブリーダー。歌とダンスはハロプロでも屈指の実力。最近の趣味は、図書館で借りてきた本を読むこと。自分の言葉や行動が人をよりよい方向に変えていく、影響力のある人になりたい。

 

――「ハロプロは女の人生を救う」が今回の特集テーマですが、女性ファンに支えられている実感は皆さんにもありますか?

小田 あります。モーニング娘。だけじゃなく、ハロプロの曲って、男性にとっての理想ではなく、女性が言ってほしかった言葉がつまっていると思うんです。以前、ハロプロの歌詞はえげつない、みたいなことをネタに芸人さんがコントするのを観たんですが、ゲストの女性が曲にものすごく共感してくださっていて。たとえば『ジェラシー ジェラシー』は、自分より若いのに優れたところがたくさんある女の子に嫉妬する歌で、簡単に褒めてなんてあげないよって曲。でもそれは意地悪じゃないし、〈悔しさが 明日を作る〉って意地のあるワードも入ってる。そういうところに、生き様みたいなものを感じてもらえているのかなあと。

譜久村 私は『女が目立って なぜイケナイ』が大好きで、歌っていると、普段の自分にはない強さをもって輝ける気がするんです。そんな私たちを観て、聴いて、ファンの方たちも一緒に強くなれるんだったらとても嬉しい。『人生Blues』は日々に疲れた人たちへの応援ソングのつもりで歌っていたんですけど、出産のときにこれを聴いて頑張れたというメッセージをもらったことがあって、誰かの人生の大きな節目を支えることができたなんて、なんて光栄だろうって思いました。

生田 曲だけじゃなく、私たち自身の発信にも影響力があるのを感じます。たとえば私の趣味がゴルフだからと若い女の子も興味をもってくれたり、ゴルフウェアを普段のファッションにとりいれてくれたり。今まで興味の対象にもならなかったことが、私たちをきっかけにファンの方にとって大切なものに変わってる。それってすごいことだなと。

石田 私は人見知りで友達が少ないって話をよくするんですが、ファンの人が、ロケで知らない人に声をかけられるようになった私の姿を見て励まされたとか、コンサートや握手会で出会ったファン同士で友達になれたとか報告してくれるのを聞くと、マイナスに思えるようなことでも発信することに意味があるんだなと思います。

牧野 私は、私自身が曲に救われていることが多くて。とくに『そうじゃない』って曲は、歌詞をもらったとき、どうしてつんく♂さんは私のことをこんなにもわかってくれるんだろう、ってびっくりしました。真面目だって思われがちだけど全然そんなことないし、もっと頑張らなきゃって思っているのにそれを誰にも言えずにいることとか。心の底にあった、自分でも気づかなかった気持ちを掬いとってくれるから、歌うたびに新しい、本当の自分に出会えるんです。そういう実感があるから、聴いてる人にも届くのかな。

佐藤 私は『ゼロから始まる青春』の〈どんなに真剣でも 気持ち届かない人もいるさ〉という歌詞を見たディレクターさんに「みんな佐藤にそれを思ってる」って言われたとき、まわりを困らせていることに気づきました。しかもその歌詞、私のソロパートで。嬉しいんだけど、いったいどんな気持ちで歌っていいやらと……。

――その後、なにか変わりました?

佐藤 いや、なにも。

小田 気づいて終わり(笑)。

佐藤 あと『愛の軍団』の〈近くにあるときゃ わからなくて 遠く離れたら 気がつく〉は卒業した先輩みんなに思ってる。メンバーの意見が対立したとき、鈴木香音さんがいつも場を和ませてくれていたなあとか、はるなん(飯窪春菜)はいろんなところから情報を仕入れて私たちに教えてくれていたなとか。〈叱られるうちは花〉というのもほんとだなあと思うし、あまりに近くにいるときは気づけなかった存在のありがたさとか、語り始めたら止まらないくらい気づかされることがたくさんある。なんでこんなにわかるの、って思うけど、つんく♂さんは、私たちと話す機会をたくさん設けてくれるから。女心がわからない男の人は、まずちゃんと女の人の話を聞いてみるといいと思う(笑)。

みんなで歌詞について語り合う時間が曲を育てる

石田 聴くタイミングによっても印象が変わりますよね。世界観も曲によってさまざまだから、気分によって「私」を選べるというか。今日はこの曲の主人公になってみよう、って落ち込んでいるときも生かしてもらえる気がする。

小田 現役メンバーの年齢に合わせてテイストを変えてますしね。中高生のときはザ・思春期!って曲が多かったし、最近は大人の女性の恋愛や生き様みたいなのが多い。

譜久村 だからといって通りすぎた過去の歌が響かないかというとそうじゃなくて、いつまでも少女みたいな気持ちにさせてくれる。

佐藤 最近、つんく♂さんの歌詞を昔と今とで比べたんですけど、「大事なのは信じるか信じないかだ」ってことは共通している気がして。私はこれまで、好き嫌いではなく、信用できるかできないかで相手を見ていたんですよ。でももう一歩踏み込んで、自分から「信じる」ってことが人を強くしてくれるのかなあと。裏切られるのは怖いけど、たとえ嘘をつかれていたとしても強固に信じていた時間はむだじゃないし、むしろ成長させてくれる。

小田 新曲(1月22日発売)の歌詞もまさにそんな感じだよね。

佐藤 つんく♂さんの歌詞ってジブリみたいなの。成長してから聴くと、自分の理解が浅かったことに気づかされるというか、そんな意味をこめてくれてたのかと感動する。

小田 だから、歌詞をもらったらまずみんなで考えるんです。「私はこういう意味だと思うけど、どう?」「え、重!」みたいな(笑)。

牧野 すごく好きです、みんなで歌詞の話をする時間。

譜久村 タイトル当てもするよね。「未タイトル」のまま歌詞を渡されることが多くて。この曲でいちばん大事なのはここだから、このフレーズを抜いてくるんじゃないかとかみんなで予想し合うんです。『Hey! Unfair Baby』というライブ新曲は、2コーラス目にちょっとしか出てこないんだけど、絶対にこれだと思っていたら当たって、わーいアイスおごりねー、って(笑)。

小田 歌詞もときどき未定で、『TIKI BUN』の〈寝不足は〇〇〇〇〇〇〉はみんなで考えたけど当たらなかった。正解は〈寝るしか無い〉だったんですが、そりゃそうだよね、どんな問題も原因をつぶすことでしか解決しないわ!って世界の真理にたどりついたような気分になりました(笑)。そういうのを、とくべつ打ち合わせするんじゃなく、ふだんの何気ない会話のなかで話し合います。年齢によってもそうだけど、人によって解釈もさまざまなんだとわかるのがおもしろいです。

譜久村 最近はつんく♂さん以外の方の作詞も多いから、言葉の感性が人によって全然違うのもわかる。関わっているすべての人の感情がまざり合ってハロプロらしさをつくりあげていくんだなあと思います。

手に入れたかった憧れと夢を守り続けていくために

――「強くてカッコいい女性たち」というのが、モーニング娘。を筆頭とした最近のハロプロらしさです。

譜久村 そうですね。私自身、カッコいい女性でありたいという意識でパフォーマンスしています。実際はけっこう夢見がちで、一人で焼き肉も食べられないけど(笑)、ステージには女戦士みたいな気概で立ってる。ほら見て、私強いでしょ、みんなも一緒に強くなろうよ、って。

生田 私たち9期が加入した頃には曲の世界観を大事にする気持ちが強かったんだけど、今の後輩たちは「がむしゃらに踊る」ことをより大事にしている気がする。変わったなあとは思いますが、実は変えたのは私たち自身なんですよね。「モーニング娘。ってあんなに歌って踊れるんだね、すごいじゃん」って言われるようになった姿に憧れて、入ってきてくれたわけだから。

牧野 私はコンサート前や振付を覚えるときはいつも、自分が入りたいと願った時代の動画を観るんです。今でもずっと憧れの存在だから。私も先輩たちみたいにカッコよくなりたいし、いつか入ってきた後輩に「このときの牧野真莉愛カッコいいよね」って言われるようになりたいです。たとえセンターじゃなくてもステージでの輝きに思わず目を惹かれちゃう、みたいな人に。

生田 その気持ちを大切にしてほしいな、と思います。メンバーが変われば雰囲気も変わるし、引き継ぐ伝統も変わっていく。だけど「自分たちが憧れたモーニング娘。を守る」と思い続けていれば、今の私たちに憧れてくれる子たちの夢を壊さずにいられる。どんなに性格が違っても「モーニング娘。になりたかった」って気持ちはみんな一緒だし、その一点で私たちは一つになれるはずだから。

石田 皆さんが感じてくれるカッコよさにはたぶん意志の強さもあって。私たちの発信には影響力があるし、そうありたいと思っているからこそ、信念やこだわりを曲げちゃいけないと思う。意志にそぐわないことは発信しない、ということがモーニング娘。を守り続けるうえでも大事なんじゃないかなと。歌は魂で歌うんだというつんく♂さんの教えを守り続けるためにも、自分のパフォーマンスに絶対妥協はしちゃいけない。どんなときも前向きでいなきゃいけないわけじゃないけど、せっかくオーディションで選ばれてモーニング娘。になれたんだから、それぞれが胸を張って好きだと思える活動をしてほしいですね。

譜久村 優樹ちゃんも言っていたけど、誰かを信じたほうが人は強くなれる。他でもない私が、小さい頃からハロプロに救われて生きてきたからこそ、どんな変化が起きたとしても、メンバーやファンの皆さんを信じて受け入れていきたい。守りに入っているだけじゃだめだとか、求められるものをちゃんと返さなきゃとか、リーダーとして考えることはいろいろあるけど、グループを守りたいという気持ちさえ忘れなければ、私たちは私たちらしく続いていけるんじゃないかと思います。

モーニング娘。’20

取材・文:立花もも 写真:網中健太
ヘアメイク:氏家恵子、渡邉栄子、市川良子(吉野事務所)

 

譜久村さんの選んだ本
『世界から猫が消えたなら』
川村元気 小学館文庫 620円(税別)
猫と暮らす30歳の「僕」は、ある日、脳腫瘍で余命わずかであると宣告される。絶望した僕の前に現れたのは、自分と同じ姿をした悪魔。寿命を1日延ばすかわりに、世界から1つ何かを消す。その取引に応じ、電話や映画など大切なものを僕は失っていくが……。
「命と引き換えにいろんなものを消しながら、主人公は、愛するとは消えてほしくないと願うことなんだと知っていく。自分と重ねてぼろぼろ泣いたし、消えてほしくないと思える人がいる私の人生ってとても素敵なんだとも思えました。いろんな人に読んでほしいです。」

 

生田さんの選んだ本
『創作あーちすと NON』
のん 太田出版 1800円(税別)
能年玲奈からのんに改名して最初のアートブック。桃井かおり、清水ミチコ、矢野顕子、いのうえひでのりとの対談、アクション・ペインティングや宇野亞喜良のアトリエ訪問。好奇心と「好き」が自由に爆発し、見た目も内容もカラフルな写真と言葉に溢れた一冊。
「『あまちゃん』を観て心打たれたあの美しさはやっぱり本物だった……とこの本を読んで思いました。私と違って、自分を決めつけずに興味ないものも好きになろうとする姿勢が羨ましいし、写真には見惚れるばかり。のんさんのことが改めて大好きになる本です。」

 

石田さんの選んだ本
『青い鳥』
重松 清 新潮文庫 670円(税別)
いじめの加害者になってしまった少年、父親が加害者になってしまった少女。誰にも言えない苦しみを溶かしてくれたのは、吃音がある非常勤講師・村内先生だった。生徒には馬鹿にされがちだけど、誰より人の心に届く言葉を紡いでくれる先生をめぐる連作短編集。
「いちばん好きなのは「おまもり」。どうしても意見を主張したくなるけど、立場で正義は変わるから押しつけちゃだめだと気づきました。村内先生は、絶対に自分の気持ちを押しつけない。それでも人の心を良い方に変えていける姿に憧れるし、私もそうありたいと思います。」

 

佐藤さんの選んだ本
『Alice’s Adventures in Wonderland』(POP-UP絵本)
Robert Sabuda LITTLE SIMON *ネット書店で購入可能
ポップアップ絵本の名手ロバート・サブダが手掛けた「不思議の国のアリス」。大人も子どもも夢中になってページをめくってしまうような多彩な仕掛けで、独自の世界観を見事に表現している。英語が苦手な方は、手にとりやすい和訳版がおすすめ。
「久しぶりに手にとったら、文章が全部英語で驚きました。だって小さい頃、普通に理解していたはずなんですよ。仕掛け絵本だからというだけでなく、読みながらアリスや不思議の国の人たちが本を飛びだし、頭のなかで動き回るのが楽しくてたまらなかった思い出です。」

 

小田さんの選んだ本
『ボクラノキセキ』(1~21巻)
久米田夏緒 一迅社ゼロサムC 552~620円(税別)
古に滅びた王国の王女・ベロニカという前世の記憶をもつ少年・晴澄。記憶を頼りに試した魔法が発動したのをきっかけに、前世は現実へと侵食しはじめる。同様に記憶をとりもどしていく同じ高校の仲間たち。ベロニカの死に関わる抗争も現代に蘇ってきて……。
「登場人物それぞれが前世の名前と肩書をもち、さらにベロニカ派と敵に分かれるのでなかなか複雑なんですが全然苦にならなくて一気に読んじゃう。前世での関係が必ずしも現世に影響するわけじゃなく、絡みあうのはけっきょく感情なんだというのもおもしろいです。」

 

牧野さんの選んだ本
『MAJOR 2nd』(1~17巻)
満田拓也 小学館サンデーC 各454円(税別)
プロ野球選手の父をめざしていた小学生の大吾。だが、肩が弱く才能もないという現実を突きつけられ、「才能がなくても楽しめばいい」とは思えないほど憧れの強い野球を諦めざるを得なかった。そんな彼の前に現れたのは……。前作の主人公・吾郎の息子の物語。
「お父さんの息子なのにどうして、って絶望した大吾が、それでもグローブを捨てられないシーンは思い出すだけで泣いちゃう。好きなものは好きだから頑張るしかない彼の姿に励まされるし、中学生編ではチームメイトのほとんどが女の子で、読んでいてわくわくします。」

 

『KOKORO&KARADA/LOVEペディア/人間関係No way way』

『KOKORO&KARADA/LOVEペディア/人間関係No way way』
モーニング娘。’20 
zetima 1月22日発売
[初回生産限定盤A、B、C]CD+DVD 各1600円(税別)
[初回生産限定盤SP]CD+DVD 1800円(税別)
[通常盤A、B、C]CD 各1000円(税別)

モーニング娘。’20公式Instagram
@morningmusume_official

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