市原隼人が、給食マニアの教師を演じて――「子どもが大好き。可能性と希望しかない」

あの人と本の話 and more

公開日:2020/2/24

 

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、主演映画『劇場版 おいしい給食 Final Battle』の公開を控える市原隼人さん。ここでは、映画への思いをさらに深く聞いた。

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市原隼人さん
市原隼人
いちはら・はやと●1987年、神奈川県生まれ。2001年、映画『リリイ・シュシュのすべて』で主演デビュー。04年、『偶然にも最悪な少年』で日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。以降出演作品多数。今後もドラマ『伴走者』、映画『太陽は動かない』、舞台『脳内ポイズンベリー』など出演作品が控える。
ヘアメイク:大森裕行(VANITES) スタイリング:小野和美(Post Foundation) 衣装協力:ニット2万8000円(LANVIN en Bleu/ジョイックスコーポレーションTEL03-5213-2510)(税抜)、その他私物

『劇場版 おいしい給食 Final Battle』の舞台は、1980年代のとある中学。市原さんは、給食マニアの教師・甘利田幸男を演じている。同じく給食を愛する生徒・神野ゴウを激しくライバル視し、「どちらがよりおいしく給食を食べられるか」という超絶バトルを日々繰り広げているのだ。

「甘利田って、ちょっと他では見たことのない面白いキャラクターなんですよね。給食を愛するあまり、給食を通して生徒を思い、人間関係を築き、給食に救われ自分を知る」

 甘利田の給食に匹敵するほど、市原さん自身が愛するものは?

「それはやはり芝居の現場です。いろんな芝居の方法があると思うんだけど、僕は完全に周りが見えなくなって入り込んでしまうんですね。だから甘利田の思いは理解できます(笑)。現場にいると、私生活でどんな嬉しいこと悲しいことがあってもすべてシャットアウトして、ただただ役のことだけを考えていられる。浦島太郎みたいな気持ちです。それがすごく楽なんです。人生の半分くらいを現場に救われているかもしれない」

 今回の『劇場版 おいしい給食 Final Battle』も、本当に楽しい現場だったという。

「僕、子どもが大好きなので、たくさんの生徒役の子たちと一緒にいられたのが最高の経験でした。みんな実際の年齢も中学生くらいだし、枠にはまっていない個性的な子たちばかりだったんですよね。もう彼らの中には可能性と希望しかないんです。それが輝いていて眩しくて。僕もデビューは14歳でした。当時は、セリフも覚えていなくて(笑)、でも好奇心の塊で。監督がお父さん、プロデューサーがお母さんで、一緒に家族旅行しているような気持ちで現場にいました。子どもだからこその、無垢で真っ直ぐな気持ち。目の前にあるものを素直にきれいと言える。そういう初心を思い出させてくれましたね」

 映画については、市原さんのファンの間からは早くも“続編を”という声があるそう。

「ああ、ぜひやりたいですね。今度は外国で給食バトルをしてみたい(笑)。給食って、その国の文化や伝統がはっきり現れていると思うんです。だから、国を変えるとまた違った面白さが加わると思います」

(取材・文:松井美緒 写真:干川 修)

 

映画『劇場版 おいしい給食 Final Battle』

映画『劇場版 おいしい給食 Final Battle』

監督:綾部真弥 出演:市原隼人、武田玲奈、佐藤大志、豊嶋 花、辻本達規(BOYS AND MEN)、水野 勝(BOYS AND MEN)、直江喜一、ドロンズ石本、いとうまい子、酒向 芳 配給:AMGエンタテインメント、イオンエンターテイメント 3月6日(金) 公開 
●1980年代のとある中学校。給食マニアの教師・甘利田は、生徒の神野ゴウと超絶給食バトルを繰り広げていた。しかし、その給食がなくなるという!
(c)2020「おいしい給食」製作委員会