メインキャスト・木村珠莉と佐倉綾音が、“SHIROBAKO愛”を語る!

マンガ・アニメ

2020/3/9

劇場版『SHIROBAKO』 公開中、ショウゲート配給
© 2020 劇場版「SHIROBAKO」製作委員会

 劇場版『SHIROBAKO』の舞台は、TVアニメシリーズから4年後。制作進行からプロデューサーへと役割を変えた主人公の宮森は、立場の違うプロデューサー・宮井楓との出会いを経て、アニメ制作への情熱を再びたぎらせる。「宮宮コンビ」を演じたふたりに、『SHIROBAKO』への想いを語り合ってもらった。

木村珠莉さん、佐倉綾音さん

木村珠莉(左)
きむら・じゅり●福岡県生まれ。『SHIROBAKO』では、宮森役のほか、ミムジー、ロロの声も担当。主な出演作に、『風が強く吹いている』『みだらな青ちゃんは勉強ができない』『アイドルマスター シンデレラガールズ』など。
佐倉綾音(右)
さくら・あやね●東京都生まれ。水島努監督『じょしらく』、P.A.WORKS制作『Charlotte』のほか、『PSYCHO-PASS サイコパス』『BanG Dream!』『五等分の花嫁』など、出演作多数。

 

――劇場版『SHIROBAKO』公開おめでとうございます! 木村さんは5年前のTVシリーズにどんな思い出がありますか?

木村 TVシリーズのアニメ作品で、ひとつの役を長く演じるのは『SHIROBAKO』が初めてだったんです。だから、思い入れがすごく大きくて。収録をしていたときは、現場にベテランから若手までが集まって、収録が終わったあとは先輩方やスタッフさんと飲みに行って。本編のオンエアの日と収録日が重なっていたので、みんなでTVが観られる居酒屋に移動して、みんなでオンエアを観たり、クリスマスの日はみんなでプレゼント交換会をしたりして。

佐倉 ええーっ、いいなあ。

――良い現場だったんですね。佐倉さんはそんな『SHIROBAKO』に「嫉妬」していたそうですね。

佐倉 ははは。いろいろな作品の現場で『SHIROBAKO』が話題になっていたんです。業界的にも流行っていたんですよね。わたしは水島努監督の作品が好きで、出演させていただいた水島努監督作品(『じょしらく』)もすごく楽しい現場だったんです。だから、『SHIROBAKO』の一員になれなかったことが寂しかったし、悔しいな、と思っていました。でも、そんなふうに思っていた『SHIROBAKO』に今回参加できるなんて、人生何が起きるかわからないな、という気持ちです。収録前にTVシリーズを一気に見返して、モチベーションが高いままアフレコに臨むことができたので、とても幸せな気分でした。

『劇場版 SHIROBAKO』 場面写真

 

――劇場版では4年後の宮森とムサニが描かれます。彼女たちは挫折した状況にいるようですが、この展開はどのように受け止めましたか。

木村 TVシリーズの放送が終わったあと、設定資料集が発売されて、その後のムサニの仕事ぶりを知っていたので、きっとムサニは盛り上がっているんだろうなと思っていたんです。そうしたら4年後はかなり悲惨な状況で。宮森も頑張りたいのに頑張れないという状況がすごく哀しかったですね。

佐倉 わたしは、『現実ってこうだよな』と思いました。

木村 リアリスト……。

佐倉 上手くいくときもあれば、ダメなときもある。その浮き沈みがリアルだと思いました。宮森たちには幸せにアニメ制作に関わっていてほしいという気持ちと、でもこういう現実ってあるよな、という気持ちが、自分の中でせめぎ合っていました。しかも、劇場版は前半がずっと不穏なんですよ。

木村 そうなんですよね。前半はかなり重苦しいんです。でも、そんな状況を変えてくれるのが宮井(楓)なんです。

『劇場版 SHIROBAKO』 場面写真

 

――主人公の宮森あおいは、今回はプロデューサーとして登場します。彼女にはどんな印象がありますか。

木村 宮森さんはつらくても人に愚痴ったりしない、わりと自己解決する強い女の子なんですよね。でも、今回は宮井に出会って、お酒の力も借りることで、愚痴をかなり打ち明けるんです。宮井さんとは、よほど相性が良かったんだなと思いました。

佐倉 吐き出せる場所が見つかって良かったと、わたしもほっとしました。宮森は頑張り屋さんなんだけど、ため込みそうなんですよね。そういう人ってよくいるじゃないですか。宮森みたいな人を見かけたら、きっとわたしならムサニの人に『あの子、気を付けてあげないと、いつか壊れちゃうよ』と言ってしまいそう(笑)。

――今回、宮森はアニメの仕事への憧れを失いつつも、宮井との出会いで、その情熱を取り戻します。おふたりはアニメの仕事をしていて挫折したことはありますか?

木村 ちっちゃい挫折はたくさんしているんですけど、根が楽天家なのかな、なんとかなるだろうと思うタイプなんです。でも、学生のころに、燃え尽き症候群みたいになったことがあって。あのときはつらかったなあ。何もやりたいことがなくて。

佐倉 どうやって解決したんですか?

木村 やりたいことがないから、何でもやってみようと思って。ひとりで東京へ行って、美術館を巡ったり、映画を観たり。そこで『何かを表現してみたいな』と思って、今の仕事を目指したんです

佐倉 そうだったんですね。わたしの一番の挫折は、仕事をしていて体調を崩したときですね。声帯結節という病気で声が出なくなってしまって、これから仕事ができないかも、と思ったことがあったんです。でも、そのときに『この仕事を続けたいんだな』という自分の気持ちに気づけて。それがターニングポイントになりました。でも、挫折が描かれているからこそ、『SHIROBAKO』は面白いんだと思います。挫折に立ち向かう姿があるから、業界内外の人たちが『SHIROBAKO』に希望を抱いていたし、大変に見えるアニメ制作も客観的に見ると、まるで青春のように見えるんだなって、勇気をもらっていたんだと思います

——『SHIROBAKO』を通じて、おふたりはアニメの現場にどんな印象を持ちましたか?

木村 わたしは『SHIROBAKO』に関わるまで、アニメにほぼ出たことがなかったので、これほどにまで多くの人が関わっていることも知らなかったんです。声優という仕事は表に出ることも多い立場ですけど、みなさんが血のにじむような努力を捧げて、作品を作り上げてくださるからこそ、わたしたちがいられるんだと、改めて知ることができました。作品の一部として存在していられることが嬉しいです。

佐倉 わたしは学生のころからお仕事をさせていただいているのですが、当時は本当に何も見えていなかったんです。でも、制作スタジオにお邪魔する機会をいただいたときに、本当にすごい仕事だな、と思いました。決して大きくはない作画机から、広大な空や深い世界を作りあげることができる。スタッフさんたちの想像力は本当にすごいなと尊敬しています。いつもニコニコとわたしたちに接してくださるスタッフさんも、裏では額にしわを寄せて、難しい顔で打ち合わせをしているんだな、と『SHIROBAKO』を観て知りました(笑)。

――今回の劇場版で、宮森と宮井のコンビが誕生しましたが、まだ宮森の夢は叶ってないですよね。

木村 そうですね。宮森さんには高校時代の同級生たちと『神仏混淆 七福陣』という作品を作る夢があるんですよね。でも……これからどうなるんだろう?

佐倉 宮井という強力な仲間ができましたから!

木村 そうですね! 宮井さんと宮森さんがふたりで企画を立ち上げる姿を見てみたいです。

佐倉 次は毎週みんなで会えるようになると良いなって思っています。そのときは……収録後の予定は空けておきたいです!(笑)。

『劇場版 SHIROBAKO』 場面写真

 

取材・文:志田英邦 写真:GENKI(IIZUMI OFFICE)
ヘアメイク=加藤早紀(木村)
福田まい[addmix B.G](佐倉)