100人の男女と寝たアタシが、今の男でいいのか迷っている女性に伝えたい。やってみて心地いいと感じるか、不快に感じるか、それ以上に大事なことはないの。『男の選び方大全』【後編】

恋愛・結婚

公開日:2020/3/20

『男の選び方大全』(クノタチホ/KADOKAWA)

<前編はこちら>

 セックスには男の生き様、過去、未来、すべてが表れて、女はその男が自分を幸せにするかを瞬時に嗅ぎ分ける。それが運命の男を知る最大の手がかりだ、と断言する性愛のカウンセラー、クノタチホさん。

 では、逆に「運命の女」になるにはどうすればいいのか。後編ではさらに具体的に伺った。

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――いい男を選んだ。では次に、その人に選ばれるにはどうしたらいいですか?

 女性は選ばれなくていいです。選ぶ側。女性が主人なので、選ばないとダメなんです。恋愛や結婚において、脚本や監督業は女の人が担当したほうがいい。

――でも、好きになってもらわないと恋愛関係に発展しないのでは?

 好きになってもらう、というスタンスはダメです。まず、選ぶ。女性が監督で、オーディションする感覚です。ただし、オーディションを受けてもらうには「企画」が必要です。この場合、企画とは「自分が人生で何を体験したいか」を明確にすること。じゃないと、男の人は何をどう頑張ればいいのかわかりません。実態のない自称・映画監督と同じで、そんな怪しげなオーディションに優秀な人は来ませんよね。

――二人で何をするか、という企画書…。

 その企画力が人生の分かれ目なんです。想像、妄想です。思い浮かべている時のエネルギーが重要で、そこにいい男が寄ってきます。アタシは男で、女装で女の子にもなるからわかるんですけど、想像力、感じる知性は女性の方が圧倒的に上です。性別には得意不得意があって、男性は想像より考えることや行動が得意。その実力を発揮できるいい企画を求めています。

――男女平等の時代ですが、そこは役割分担したほうがいい?

 男性の女性化とか、ジェンダーのフラット化と言われますが、やっぱり男性は幸せにすべき女の人を見つけてその企画にのる方が、より幸福度が高まりやすい。

――ということは、妄想上手な女性がモテる?

 みなさんからのご相談で「彼が欲しい」「結婚したい」というのは多いんですけど、「付き合って体験したいことは何?」「結婚しないと体験できないことは何?」と訊いても、なかなか具体的な答えが出ません。本にも書きましたが、自分の内なる恋愛小説家や人生のシナリオライターに自由に筋書きを書かせることから始めましょう。「これなら大ヒット間違いなし」という世間的な評価ではなく、「私のハマり役だから」「これを演じてみたいから」という自分本位の脚本で。

――一人芝居のシナリオではなく。

 一人で頑張ろうとしないこと。芝居でも、会社でも、一人でやりきる人もいますが、恋愛や結婚においては二人サイズの企画が必要です。特に、自分が苦手で、相手にやって欲しいことを明確化するといい。例えば、「パリに行きたい」という願いがあるとします。「ぜんぶ手配して欲しい」「お金を出して欲しい」と妄想していれば、それが得意な男性が現れます。要求下手は、指示が下手な監督と同じ。日常のデートでもプランは女性が立てた方がいい。そして、叶えてもらったら喜ぶ。それが男性にとって評価となり、やりがいにつながるので。


――それって、わがままな女性じゃないですか?

 わがままじゃないとダメってことです。幸せな女性はエゴに躊躇がありません。わがままの「我」は何かというと、感じていること。身体感覚です。「パリで彼とこんな体験をしたい。こんな時間を過ごしたい」というのも創造的な「感じる幸せ」なんです。大切なのは、男の人の頑張りが報われるかどうか。「パリに行きたい」という願いが、人との競争や劣等感に基づくとしたら、パリに行けても不足感は癒えません。次には、車が、家が、子どもの学校が…とキリがない。

――コンプレックスを埋めるのと、喜びベースの要求の違いですね。

 それに、女だから体験できる幸せと、男女どちらでも得られる幸せがあります。その違いを意識して二人サイズの企画を想像すると、性別という前提をより楽しめるんじゃないかな。今は経済力のある女性もいます。一人遊びが上手な女性も多いです。男の人に与えてもらう必要がないことまで「与えてもらうことがステイタス」「女の価値」とし出すと、的確な相手を見誤ります。極論、自分一人で満たせないことはなんでしょう?

――やはり、セックス?

 アタシ自身そう思っていますが、答えは人それぞれでいい。大事なのは、相手からすべて与えてもらおうとしないこと。よく「セックスの相性がいい男にかぎって生活力がない」という相談を受けますが、「セックスの喜びを純粋に受け取って、それ以上、その男に求めないように」とアドバイスしています。今の時代、生活はなんとでもなるじゃないですか。もう一つ、ぜひおすすめしたいのは「逆の性別に生まれ変わったら何をしたい?」と思い描いてみることです。

――男に生まれ変わったら何をしてみたいか?

「自分とセックスしたい」と想像した人、いるでしょうか? アタシは「美は内向きに」とよく言いますが、鏡を見て「この女性とやりたい?」と自分に聞いた答えがYesなら、外側で起きているパートナーシップもうまくいっているはず。逆に、フラれたり、思うようにいかないとしたら、実際の相手ではなく、自分の内側にいる男性(内なる異性)が「まだお断り」「もうちょっと頑張って」「もっと可愛くなれるでしょ」とツッコミを入れているんです。

――自分とセックスしたいか!?

 女性から出ているフェロモンは、これなんです。内側で感じているものが現実に醸し出されるので。妙に色気がある女性っていますよね? 髪の毛とかボサボサで、写真を見ても「?」という感じなのに、実際に目の前にいると、同性が見ても「なぜそんなにエロいの?」という女の子。そういう人は、先天的に内なる男性が見守っていることをほんのり感じていて、その男性に手伝ってもらいながら、女としての幸せを体験しようとしているんです。無意識に。

――女性の中に男性がいる??

 みなさん頭がこんがらがるんですけど、内なる異性の成長や成熟度に伴って実際のパートナーに出会っている、という考えが心理学にあります。女性の中にもう一人、男の自分が住んでいて、その内なる男性を育てるのを、実際のパートナーとの関係でやっている。男の人は逆です。内側に女性がいて、その女性を幸せにしないと、外側の女性を幸せにできません。

――それが本に書いてある「0.5人目の異性」ですか。

 どういう男性が内なる女性と仲良しなのか、本全体にふんだんに散りばめています。内なる女性と仲良しじゃない男性と付き合うと、そのうっぷんを「お前のせいだ!」と現実の相手に八つ当たりするので。恋人同士の喧嘩や夫婦の不仲はすべてこれです。そんな人を相手に女性がいくら頑張っても自己犠牲になるばかり。そうなる前に見極めて欲しい。

――それもセックスでわかるんですか?

 やってみて心地いいと感じるか、不快に感じるか、それ以上に大事なことはなくて。少なくとも、入り口まで立ってみないとわからないことはあります。ちゃんとシートベルトを締めて、少しでも不快に感じたら断る勇気と、断り方を心得てください。性の不一致やセックスレスになるのは「この人とは未来を創造するパートナーじゃない」と体が察知したアラームですから。

――事前にわかるといいですよね…。

 結局、その男性が「感じる幸せ」をどれだけ知っているか、が鍵になります。釣りが趣味、クラブが好き、ゲームに熱中、なんでもいいから意味のないことに夢中になる喜びを感じているか。あとは外見です。セックスの相手選びは、外見選びとも言ってもいい。

――人を見た目で判断するな、と言われますが。

 見た目は大事です! 一目惚れは「自分が異性に生まれ変わったらこうなりたい」という願望に他なりません。一般的なイケメンを探すのではなく、「なぜか惹かれる」その感覚を信じてください。

――生理的にダメ、というのも?

 100発100中、当たりです。そもそも、人が人を好きになるのは2パターンあって、不足感を埋めたい場合と、なりたい自分を外側に見ている場合。美人の人は、わざわざ「イケメンが好き」とは言いません。美人でももっときれいになりたい欲がある人はイケメンを選びますが。と、こんな風にセックス以前の見極め方や深層心理もたくさん本に書いていて、その1つ1つが幸せの企画力のトレーニングになります。


――この男は「あり」「なし」とジャッジしていくのが?

 「こういう人が好き」と想像すると、その感覚にふさわしい男の人が現れて、ふさわしい体験ができます。「成長とは選択肢が変わること」と言いましたが、心理学や脳科学を使って、選択を意図的にずらす仕掛けを本書に隠しています。いろんな男性やシーンが書かれていますが、その都度「自分ならどう感じるかな?」と想像して頂くと、一番おもしろくて、効果的な読み方ができると思います。例えば、「乳首を舐めてほしがる男」。嫌だと思うか、可愛いと感じるか。一人で想像してもいいし、友達とシェアしながら楽しんでもいい。定期的にチェックすると、結構、変化がわかりますよ。

――そうやって「こういう人が好き」という「快」がたまると理想の人が現れるわけですか。

 そうです。しかも、新しい自分になりたい、生き方を変えたい、そんな転機に運命の人が現れる確率が高いです。変化に必要なエネルギーをセックスが与えてくれるので。そのエネルギーを使って飛躍する人もいれば、本来の目的を見失って男にハマって終わり、という人がいるので、そこは注意が必要です。

――どうすれば道を誤らずにすみますか?

 やはり企画力です。最高に相性がいい男性と出会って、エネルギーで満たされる。すると、「そのエネルギーを何に使いますか?」と神様に聞かれます。「よくわかりません」「ユーチューブでも見ようかな」そんな答えなら、神様は「エネルギーを与え続けても仕方ない」と判断するでしょう。使い道がないわけですから。お金も一緒です。「こうしたい」とまず決める。決まらなくても、新しい方向に向かおうと意思を固める。そうやって企画が動き出すと、神様は必要なエネルギーを男性に託して、差し出してくれます。

――セックスには人生を変えるほどエネルギーがあるんですね。

 セックスをしないと性的な感度だけでなく、根源的な感じる機能が衰えてきます。セックスレスでエネルギーが滞り、閉塞感に悩む女性からのご相談が後を絶ちません。最悪、どうしてもできない人のために、魂のセルフセックス、ひとりエッチの方法もブログに書いています。

――こうしてお話を聞くと、正直、思っていた本の内容とまるで違いました。

 この本は恋愛に依存しがちな女性にも読んで欲しいと思って書きました。幸せを相手次第にしてしまう人です。100のチェックで男性をジャッジしながら、その裏側にある自分の価値観や視点が見えてくるので。男をジャッジして選ぶようでいて、本当にジャッジしているのは選んでいる自分自身。そこは中立なアタシでいたいな、と思います。女性の味方ですが、男性の味方でもあるので♡

――最後にもうひとつ、恋愛のアドバイスをお願いします。

 今一緒にいる人、これから出会う人。その人のことを仮に後から振り返った時、どんな場面を思い出すだろう? どんな状態の記憶を選択するだろう? そんな意識を持つと「今、ここ」の幸せをいっそう大切にできるんじゃないかと思います。笑えること? 悲惨な思い? 安心感? 未処理のテーマ? 未完了の幸せ? どこを切り取っても、何を選択してもいいんです。だったら今、どうしたい? そんな視点で相手を見極めてね、というのがアタシからの提案です。

取材・文=深谷恵美 撮影=内海裕之

【著者プロフィール】
クノタチホ
100人の男女とSEXをしたバイセクシャルの女装家セラピスト。男女両性としての恋愛・SEXの経験をもとに、SEX、恋愛、結婚、離婚、不倫など3000人以上の異性関係の改善を担当してきた。男の気持ちも女の気持ちも両方の気持ちがわかるセラピストとして口コミが広まり、毎月の予約は数時間で埋まる人気カウンセラーに。男モードでは、年商5億円の会社を営む経営者。米国NLP協会認定トレーナー、内閣総理大臣認定NPO認定 心理カウンセラー一級、アルマ・クリエイション認定 フューチャーマッピングファシリテーターの有資格者。

ブログ:https://ameblo.jp/gender-x/