佐藤舞「“普通”なのは悪いことじゃないって一与ちゃんが教えてくれた」【声優図鑑】

アニメ

更新日:2020/4/1

佐藤舞

キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第234回目に登場するのは、次世代声優育成ゲーム『CUE!』の明神凛音役で、「MOON」チームのシングルを今年2月にリリースしたばかりの佐藤舞さん。大のお笑い好きでギャグ作品への出演を目指していることや、SNSにまつわるお話などから、真っ直ぐで朗らかな人柄が伝わってきました。

——声優デビューは2016年。声優のお仕事に興味を持ち始めたのは?

佐藤:高校生の頃ですね。小学校や中学校はアニメや漫画になじみがなくて、友だちと外で遊ぶほうが好きでした。部活も運動部でしたし。高校で友だちから『銀魂』を教えてもらい、もともとお笑いが好きだったから漫画にはまって、アニメも観るようになりました。

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——国語の時間が好きだったとか。

佐藤:はい。小学校の頃は国語の先生に名指しされて教科書を音読するのがすごく好きで、「私を当てて!」と先生にアピールするのが毎日の楽しみでした(笑)。それがなぜかはわかりませんでしたが。

——気づいたのはいつ頃?

佐藤:声優という仕事を知ってからです。今思えば一種の演技というか、感情を込めて音読するのが好きだったんだなと思います。でも声優なんてみんながなれる職業ではないし、ずっと気持ちを抑えていたんですが、あきらめきれず、進路を決めるギリギリで親や担任の先生に伝えました。それまでは幼稚園の先生を目指していました。

——『銀魂』に出会えたことに万歳ですね!

佐藤:そうですね。特に、猿飛あやねを演じる小林ゆうさんに憧れまして。演技が面白いし、他の作品を見たら少年役など幅広く演じられていて。『銀魂』のリアルイベントでご本人の姿を見た時、演技が素敵なのにものすごく腰が低いというギャップに感動して、私もそんな声優になりたいと思いました。

——お笑いは今でもよく見るんですか?

佐藤:バラエティ番組はほとんど録画して見ています。特に好きな芸人さんは、東京03さんと、なかやまきんに君。くだらない!って笑い飛ばせるようなこともあれば、舞台のようにすごく作り上げられた笑いもあって大好きです。

——SNSでダジャレを言うこともあるとか。

佐藤:フォロワーのみなさんが「つまらないね」ってはっきり言ってくれるんですよ。優しいようで厳しいようで。でも突っ込まれるのはすごく嬉しいし、上達にもつながるかなと思ってます。

——高校を出てからは声優の専門学校に。当時、声優としての目標はありましたか?

佐藤:やっぱり小林ゆうさんのように少年役ができて、いつかは我を忘れるくらいギャグに入り込める声優になりたいと思っていました。

——ちなみに、ギャグ作品の経験は?

佐藤:事務所に所属する前は、脚本や演出をしていた幼なじみと一緒に、女子だけの舞台でコントをしてました。恥を捨てて振り切ったほうが笑いは面白くなるなと学びも得られて、すごく楽しかったです。

——所属後のデビュー作品は『ニーノとミーヤのおうちきねんび』というWEBアニメ。どんな思い出がありますか?

佐藤:たぬきの弟役で「少年役だ!」とすごく嬉しかったのを覚えています。でも緊張のせいで収録時の記憶が飛んでいて、出来上がったアニメを見て「こんな演技をしてたんだ」って驚いたのと、エンドロールに名前があることに感動しました。

——現在は『CUE!』の明神凛音役が代表作の一つで、16人のキャラクターのうち「MOON」チームのメンバーとしてライブ活動も。この作品にはどんな思い入れがありますか?

佐藤:キャラクターも自分たちと同じ新人声優で、収録を重ねるごとに凛音とともに私も成長できているように思います。実際、スタートした頃と今ではボイスの感じがちょっと違うんですよ。よりキャラクターと一体になれている気がして、すごく嬉しいです。

——凛音にはどんな成長が?

佐藤:凛音ってちょっと抜けてるんですけど、じつはいろんな葛藤があって、それを考えた上での発言なんだと、演じるたびに理解が深まっています。凛音が所属する「MOON」では、4人で唯一率先して外に出て行くタイプで、太陽みたいに明るい凛音がいるからチームはまとまっているんじゃないかと私は思っています。ライブでも、凛音と同じようにおちゃらけながら場を盛り上げられるように心がけていますね。

——2月にリリースしたMOON初シングルの仕上がりはどうでしょう。

佐藤:他の3つのチームはかわいい楽曲が多いので、どちらかというとカッコいい私たちの曲は目立つのかなと思ってます。16人全員の曲もかわいいイメージなので、そのギャップを感じてもらえるのはラッキーですね(笑)。

——では「温泉むすめ」那須一与役の好きなポイントを挙げるなら?

佐藤:第一印象で「私と同じだ」って思ったんですよ。私は学校の成績が普通で、人に比べて声に特徴もないし、何をやっても普通。「いいね」とか「良くない」とか言われることもなく。それが悩みだったので、同じ悩みを持つ一与には最初から相性の良さを感じていました。そういう意味では、自分をポジティブにしてくれるキャラクターですね。私にはこういう声が合っているんだなと気づいた役でもあります。

——プライベートについてもお聞きしますね。最近ハマっているものを教えてください。

佐藤:家の模型を作るのにハマっています! もともとミニチュアが好きで、小さい頃からシルバニアファミリーに憧れていたんですが、絶対失くすからと親に買ってもらえず、大人になってから「やってやるぞ!」と決意しました(笑)。ちっちゃいものや細かい作業が好きなんですよ。「プラモ教習所」っていうYouTube番組にも出させてもらっています。

——大人になって爆発してしまったと(笑)。Twitterでは食べ物の投稿が多いようで。

佐藤:食べ物をセクシーに撮るのが好きです。オレンジ色のライトにこだわったり、食べ物がつややかに写る角度を探したり。それをコレクションするのが好きです。

——最近のヒット作は?

佐藤:ローストビーフですね! 血の滴るような肉を、黒い“映え”そうな板の上に乗せて撮ったのが、ここ最近のナンバーワン。いいのが撮れると、「これで飯テロができるぞ」って思います。深夜にアップするとフォロワーさんからツッコミが入るのが楽しいです。

——深夜の楽しみ(笑)。休日はどう過ごしているでしょうか。

佐藤:家族が好きなので一緒に過ごすことが多いです。私の模型を見て、母親も始めたんですよ! もともと好きだったみたいでハマってくれて、休日は一緒に作ることもあります。

——じゃあ室内にいることが多い?

佐藤:そうですね。外に出るのは犬の散歩くらいで、基本はゴロゴロしてます。犬はSNSにも登場してますけど、グレーのトイプードルで「プリン」ちゃん。SNSでは「毛玉」って呼んでます。ペットショップで「プーちゃん」って呼ばれていたから、それに近い名前を考えて。プリンって響きが可愛いし、私がプリン好きなので。

——プライベートでもよく遊ぶ声優さんは?

佐藤:それこそ「MOON」のメンバーです。レッスン終わりには毎回ご飯に行きますね。レッスンが夜8時に終わったとして、終電くらいまで。話し込んじゃうので、場所はだいたい、長くいられるファミレスか居酒屋です。今年は新年会もしました!

――作品が始まってまだ半年ほど。最初から仲が良かったんですか?

佐藤:じつは、最初は本当に喋らないチームだったんですよ。仲良くなるきっかけを作るようなコミュニケーション上手な子がいないので。でも1stライブのMV撮影で前乗りした時に、一つの部屋に集まってスッピンでプライベートの話をしてから、一気に仲良くなりました! みんな人見知りで、打ち解けるまでに時間がかかりましたね。

――振り返れば、幼稚園の先生になっていたかもしれない佐藤さんが、見事に声優として活躍しているわけですが。思い切って声優を目指して良かったことは何でしょう。

佐藤:負けず嫌いで良かったって思います(笑)。高校の三者面談で担任から「実現しないとは思うけど、やれるだけやってみたら」みたいに言われたのがすごく悔しくて、「絶対に見返したい!」と思って声優になると決めました。家族からも「せっかくお金を使うなら好きなことを目指したほうがいい」と言われたのも大きいですね。

――これからの目標は?

佐藤:少年役やギャグ的な役を演じたいという目標は変わらないですけど、今は『CUE!』のみんなで、もっと大きなステージに立ちたいという夢があります。4月にはZepp Tokyoでライブがありますが、いずれは武道館とか行けたら嬉しいです。

――ファンの方々にメッセージをお願いします!

佐藤:初期からずっと応援してくださるファンの方もいて力をもらっていますし、みなさんからのお手紙が、元気がない時のパワーになっています。くだらないダジャレを言いつつ根っこはシャイな私ですが、これからもよろしくお願いします!

――佐藤さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】佐藤舞さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

佐藤舞

佐藤 舞(さとう・まい) アミュレート所属

佐藤 舞(さとう・まい) Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=麻布たぬ、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト