安達祐実「小説がないと現実がつまらなくなっちゃう」 書店で出会った1冊とは?

あの人と本の話 and more

公開日:2020/4/11

 間もなくスタートするドラマ『捨ててよ、安達さん。』で主演を務める安達祐実さん。毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』に登場してくれました。『狂王の庭』のこと、そしてドラマへの思いを聞いた。

安達祐実さん
安達祐実
あだち・ゆみ●1981年、東京都生まれ。2歳のときにモデルデビュー。2014年、映画『花宵道中』で主演を務める。他の近年の出演作に『王妃の館』『ウスケボーイズ』など。映画『#ハンド全力』が今年5月公開予定。昨年は、写真集『我我』やデビュー35周年記念本『YUMI ADACHI A to Z』も話題を集めた。
スタイリング:船橋翔大(DRAGON FRUIT)

 安達祐実さんは、本好きとしてもよく知られている。今でも小説は必ず、書店で装丁を眺め買っている。

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「読書は私にとって、大切な時間です。寝る前や移動の新幹線で、ちょっとずつ読んだり。小説がないと現実がつまらなくなっちゃうというか。日常の傍に物語があると、落ち着いていられるんです」

『狂王の庭』も、やはり書店で出会った。

「もうだいぶ以前、若い頃に買ったので、どんなきっかけで手に取ったか覚えていないんですけど。もう人間が愛の中でぐちゃぐちゃになって、それを読んだ当時の衝撃が忘れられません。小池真理子さんの小説は、いつも究極の愛情の形が描かれていて好きなんです。とくにこの作品の世界観には、ハマりました」

 主人公・杳子と青爾の愛の形については。

「モラルとして2人の恋はよくないことかもしれないけど、それを超えても人を愛してしまうということはありますよね。若い頃は2人のように狂うほど情熱的な恋をしたいと私も思っていたんですけど、今はもうそういう願望はなくなりました。穏やかなのが一番です(笑)」

 安達さんは、4月17日にテレビ東京ほかにて放送スタートする『捨ててよ、安達さん。』で、10年ぶりの地上波連続ドラマ主演を務めている。しかも演じるのは自分自身。夢の中で、擬人化した「捨てられないモノ」たちと会話しているのだ。捨てられないモノと向き合う=自分と向き合う。フィクションとリアルが交錯しながら、女優・安達祐実の内面の真実にも切り込む物語なのだ。

「ビジュアルも含めて、このドラマでは“安達さん”を、できるだけ素の自分に近づけていきたいなと思ったんですね。ドラマの映像はもちろん違うんですけど、メインビジュアルの写真は、実は主人に撮ってもらっています」

 安達さんのご主人といえば、写真家の桑島智輝さん。昨年は、桑島さんが安達さんを撮影した写真集『我我』、そしてデビュー35周年記念本『YUMI ADACHI A to Z』も話題を集めた。この2冊も、やはり安達さんの“素”を覗くことができるものとなっている。

「今でも、子役だった頃の私のイメージを持ち続けてくださっている方がたくさんいらして、それはすごく嬉しいことでもあるんですが、でもそれはやはり現在の私とは別物なんです。ですからこの数年は、今の私を知っていただくためにいろんなことを意識してやってきました。『捨ててよ、安達さん。』も、ぜひ素に近い私をご覧いただければと思います」

 そしてこのドラマでは、「捨てられないモノ」たちを演じる豪華ゲストにも注目だ。

「ゲストに来ていただけたらと願っていた、ほぼ全員の方がオファーに応えてくださって。こんな幸せなことあるんだなと思いました。みなさん、すごい主張の強い捨てられないモノたち(笑)。個性的で本当に素敵です」

取材・文=松井美緒 写真=山口宏之

 

ドラマ 25『捨ててよ、安達さん。』

ドラマ 25『捨ててよ、安達さん。』

監督:大九明子、成瀬朋一、林 雅貴 出演:安達祐実、川上凛子、西村晋弥ほか 4月17日より毎週金曜深夜0時52分〜1時23分 テレビ東京、テレビ大阪ほか ●“毎号私物を一つ捨てる”という雑誌の企画をお願いされた安達さん。夢の中に、謎の少女と「捨てられないモノ」たちが擬人化して登場し始める。 (c)「捨ててよ、安達さん。」製作委員会