悪役令嬢×イケメン王子の激甘胸きゅんの超人気作が、オーディオドラマに! 梅原裕一郎&佐藤拓也インタビュー

文芸・カルチャー

更新日:2020/7/11

 原作小説とコミックスを併せて、シリーズは累計170万部(※2020年6月時点)を突破。〝悪役令嬢〟ブームの火つけ役となった超人気作『悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される』。悪役令嬢×イケメン王子の激甘胸きゅんラブストーリーが、大人気声優によってオーディオドラマ化されています。 アクアスティード役・梅原裕一郎さん、ハルトナイツ役・佐藤拓也さんに作品の魅力や収録時のエピソードなどを伺いました。

『悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される』(ほしな:著 ぷにちゃん:原作 成瀬あけの:キャラクター原案 KADOKAWA ビーズログ文庫/B’s-LOG COMICS)

*購入者特典オーディオドラマの視聴可能期間は終了。無料試聴版をお楽しみ頂けます。YoutubeのKADOKAWAオフィシャルチャンネルから『悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される』で検索!

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アクアスティード役 梅原裕一郎さんインタビュー

うめはら・ゆういちろう●静岡県生まれ。2013年に声優デビューし、『ヤング ブラック・ジャック』(15)で初主演。2016年に声優アワードで新人男優賞を受賞。主な出演作に『タイガーマスクW』(16)、『ゴブリンスレイヤー』(18)、『プランダラ』(20)。

同性の目から見てもアクアスティードは魅力的

〝悪役令嬢〟ブームの火つけ役となった超人気作品、『悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される』。

 乙女ゲームの世界観を背景に、憎まれ役であるはずの〝悪役令嬢〟でありながら、ヒロイン以上のヒロインとなっていく主人公ティアラローズ(ティアラ)。そんな彼女に惜しみない愛を注ぐアクアスティード。先の読めない展開と、二人の糖度高めな恋愛模様が、多くの読者の心を鷲づかみしている。

 原作小説8巻とコミックス4巻の発売を記念して、昨秋オリジナルオーディオドラマが公開された。超ハイスペックなヒーロー、アクアスティードを演じたのは、人気声優の梅原裕一郎さん。『ヤング ブラック・ジャック』の間黒男、『銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅』のジークフリード・キルヒアイス、『あひるの空』の八熊重信……数々の個性的なキャラクターを美麗なる低音ヴォイスで表現してきた。

 大国の王子にして容姿端麗、頭脳明晰、ちょっぴり腹黒な面もあるものの、そこもまたすてきなアクアスティードのことを「同性の目から見ても間違いなく魅力的」と語る。

「きらきらと輝いていて、それでいて落ち着きがあって、僕のように落ち着きのない人間が演じて本当にいいのだろうか……と、原作を読んで思いました。もしアクアスティードが実際にいたら、気軽に近づいたり、友だちになれる自信はありません(笑)。遠くから眺めるくらいでちょうどいいかな。今回のオーディオドラマはかなりラブラブなシーンが多かったので、一つ一つの場面を楽しく演じることで彼の魅力を伝えようとしました」

 そう、原作者のぷにちゃんさんが書き下ろした2編構成のこのドラマは、とっても甘々、かつ胸きゅんな内容だ。

 エピソード1「美味しいロールケーキの食べ方」は、ティアラ&アクアスティードと、アカリ&ハルトナイツの2カップルが、ロールケーキを食べながらWデートをするというもの。ティアラのことが可愛くて仕方がないアクア様は「あ?ん」と手ずからケーキを食べさせようとするのだが……。

「ティアラへの愛情で、恥ずかしさを乗り越えて演じ切りました。ここで渕上舞さん演じるティアラから『その表情はずるいです、アクア様!』と言われているんですが、僕は表情筋が死んでいるので、普段どおりの顔つきで甘いセリフを口にしていました。それでも気持ちと声はアクアスティードになりきって、余裕たっぷりな感じを表せるよう頑張りました」

思わずニヤニヤしちゃう! アクアスティードがティアラに向ける甘い言葉は攻撃力抜群。読むときは周りの目に注意が必要。

 もしも梅原さんだったら、好きな人にケーキを食べさせてあげるのと、食べさせてもらうのと、どちらがいいだろう。

「自分の食べるものは自分の手で食べたいですし、他人にも自力で食べてほしいですね(笑)。でも、人が食べているのを見るのは好きなんです。美味しそうに食事をする人、楽しそうにものを食べる人っていいですね。見てる方まで楽しくなってきます」

 また、アクアスティードはティアラに「アクア様」と呼ぶのではなく、名前を呼び捨てにしてほしいと、しきりにおねだりしている。まじめなティアラにとって、それはかなりハードルの高い行為。もじもじ照れ照れするティアラはなんとも可憐で、アクアスティードならずとも、きゅんとなってしまうだろう。

 男性心理からすれば、やはり恋人には呼び捨てにしてほしいものだろうか?

「大切な人から呼ばれるのなら、どんな呼び名であっても僕は嬉しいです。絶対にこう呼んでほしい、というこだわりは特にないですね。でも、アクアスティードのその気持ちも同性としては分かります(笑)」

男同士の会話から、アクアスティードのまっすぐな性格が出るように

 エピソード2「紅葉と焼き芋、とどめにかわいいティアラローズ」は、さらにいちゃラブ度が高い。
 季節は秋。紅葉を愛でながら焼き芋をする2カップル。サツマイモが焼ける間、恋バナをしようということになり、アクア様のティアラ褒めが止まらない……。

「無償の愛という感じですよね。彼がティアラに向ける想いは、見返りを求めるものではなく、ひたすら純粋でひたむきです。だから甘酸っぱくもあって、演じながら僕自身、どきっとする箇所も多かったです」

 このエピソードでは、男性陣が好きな相手の香りのことを話す場面がある。香りという官能的な感覚について語るアクア様の声はセクシーで、深みがあって、男性の色香そのものが匂い立ってくるようだ。

溺愛っぷりが顕著な“ティアラ褒め”の数々。想いをストレートに伝えるその姿はまさに女性の憧れそのもの。さすがです、アクア様!

 梅原さん自身は「夏の夜の香りが好き」という。

「うまく形容できないのですが、リラックスできる香りだなあと思います。僕には好きな香水があって、ずっと同じものをつけているんですが、甘すぎず、自然な香りが好きですね。心が落ち着きます」

 アクアスティードと対をなすヒーロー、ハルトナイツに扮しているのは佐藤拓也さんだ。お二人は幾つもの作品で共演しているが、今回は共にスペックの高い王子役に臨んでいる。

「佐藤さんには色々な現場でお世話になっていますので、ご一緒できて嬉しかったです。ハルトナイツとの男同士の会話から、アクアスティードのまっすぐな性格が出てくるよう心がけました。ハルトナイツはアカリに何かと振り回されているんですが、佐藤さんが演じているからなのか、困っている感じがまた微笑ましくて、聞いていて楽しかったです」

 本作をはじめ、女性向けの異世界転生ものは現在大活況を呈している。様々な作品で、異なる世界に放り込まれた主人公が、自らの知識や経験を活かし道を切り拓いていく姿が魅力的に描かれている。

 ちなみに梅原さんは、女性のどんなところに魅力を感じられるのだろうか?

「自然体で飾らない人がいいですね。それと、楽しそうに笑う人がうらやましくて惹かれます」

 最後に、オーディオドラマの見どころを語っていただいた。

「どきどきするシーンが多くて、原作ファンの方々はもちろん、今回初めてふれる方にもきっと楽しんでいただけると思います。音声を聴きながら、ぜひ情景を想像してみてください」

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ハルトナイツ役 佐藤拓也さんインタビュー

さとう・たくや●宮城県出身。20
11年『カードファイト!! ヴァンガード』の櫂トシキ役で注目を浴び、以降アニメ、洋画吹き替え、音楽活動など多方面にわたって活躍。主な出演作に『刀剣乱舞』(15)、『A3!』(17)、『Gのレコンギスタ I・II』(19・20)。

キャラクターの息遣いを細かく表現できるように意識して

『悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される』で、アクアスティードと人気を二分するヒーロー、ハルトナイツ。

 ラピスラズリ王国の王太子という高貴な生まれに加えて、白磁のように端整な美貌、高身長、高プライド、高スペックと、絵に描いたような王子様キャラクターである彼に扮したのは、佐藤拓也さん。『アイドリッシュセブン』の十龍之介をはじめとして、『ジョジョの奇妙な冒険』のシーザー・ツェペリや、『キャプテン翼』(第4作目)の日向小次郎といった人気キャラクターたちに鮮やかな息吹を吹き込んできた。

 今回のハルトナイツは、佐藤さんにとっては珍しい役柄だったそう。

「10年以上この仕事をやっていますが、実は王子様のような役をやらせていただく経験ってあまりなかったんです。なので、とうとう王子役がきたか!と嬉しかったですね(笑)」 

 超人気の本シリーズは累計100万部を突破。人気作品の常として、ファンにとっては好きなキャラクターの声に対する確固としたイメージもあるかもしれない。

「そうですね。その点も踏まえつつ、演技の幅に関してはできうる限り自由にやらせていただくことができました。なので楽しくリラックスして臨めました」

 もう一人のヒーローであるアクアスティードが、初登場時からほぼ完成形の人格であるのに対して、ハルトナイツは成長していくキャラクターだ。

 物語における最初の大事件―断罪イベントで、裁こうとしていたティアラから逆にやりこめられたのをきっかけに、ハルトナイツは変わっていく。悩み、迷いながら少しずつ男性として広がりを見せていく。

「演じながら、人間力のある男だなあと感じました。もし実際にいたら、いい友達になれそうな人物です。演じるうえでも表面的にならないよう、気をつけました。あくまでも原作小説&コミックに声を吹き込むということなので、絵と絵の間の動きというか、キャラクターの息遣い、生きている感じといったものを、細かく表現できるように意識しました」

自らの過ちを自覚し、成長していくハルトナイツ。傷ついた顔も憂いがあってかっこいい!

 オーディオドラマでは、そんなハルトナイツの魅力が生き生きと伝わってくる。

 エピソード1(『美味しいロールケーキの食べ方』)では、愛するアカリからロールケーキを食べさせてほしいとおねだりされて、恥ずかしさを押し殺して食べさせてあげるのが、なんとも優しい。

 その直後、今度はアカリの方から「あーん」と口を開けるように要求されて「さすがに、ここでそれは恥ずかしいんじゃないのか!」と必死に抵抗する焦り声が、たまらなくセクシーにしてキュート!

「ここで彼はアカリにケーキを食べさせてあげて、『ハルトナイツ様に食べさせてもらうと、より一層おいしいですね!』と言われています。たしかにそんなふうに素直に喜んでもらえたら嬉しいですよね。ハルトナイツは非常に照れていますが、彼自身の気持ちになって、自然な感じで演じました。ちなみに僕も、食べさせてもらうより食べさせてあげる方にときめきを感じます」

梅ちゃんとのお芝居はいつもわくわくするのです

 エピソード2(『紅葉と焼き芋、とどめにかわいいティアラローズ』)でのハルトナイツ王子は、コメディリリーフぶりにさらに磨きがかかっている。

 アクアスティードとティアラのもとへアカリに連れられて赴いたときの「突然の訪問ですまないっ」という台詞からして、アカリに振り回されている感じがよく分かる。

 ここで恋バナをする流れになり、アクアスティードがドヤ顔でティアラへの愛を語るのに対して、ハルトナイツは必死にこの話題を回避しようとするのがまた微笑ましい。

「そこに彼の性格が出ていますよね。僕自身は昔から恋バナをする方ではなく、もっぱら聞き役だったんです。人の恋愛話を聞くのは面白くて楽しいですが、いざ自分がするとなったら……どんな気持ちになるんでしょうね(笑)」

 お互いを尊重しあう、落ち着いた雰囲気のカップルであるアクアスティードとティアラとは対照的に、ハルトナイツとアカリはにぎやかで明るい。一見すると、自由奔放すぎるアカリが主導権を握っているような感じがするけれど、要所要所でハルトナイツがきちんとリードしているのだ。

 エピソード2の終盤では、アカリから抱きつかれて「好きな相手の香りというのは……ドキドキするな」と、色気のあるウィスパー・ヴォイスでアカリの、そして聴いている私たちの耳を軽やかにくすぐってくる。なお佐藤さん自身は「心が穏やかになるような、さわやかな香りが好き」だという。

 ひょっとしてハルトナイツはアカリの、自分にはない自由さや、小悪魔的な可愛らしさに魅力を感じているのかもしれない。ちなみに佐藤さんは、女性のどんなところに魅力を感じられるのだろう?

「優しい人に惹かれます。優しさのある人は女性としてだけでなく、人間としてもすてきだと思います」

天真爛漫なアカリに振り回される様は、これまでのハルトナイツにはあり得なかった姿。イケメン王子の様々な表情を引き出してくれたアカリに感謝したい。

 ライバルであり友人でもあるアクアスティードに扮しているのは、梅原裕一郎さんだ。もう何度目かの共演となるが、今回のセッションはどんな感触だっただろうか。

「梅ちゃんとのお芝居はいつもわくわくするのですが、今回も楽しくやらせていただきました。彼が演じるアクアスティードは、にくい程によくできた男性ですね。非の打ちどころがないくらい。普通だったら、こんな同性が間近にいたらどうしても嫉妬してしまうと思うんです。だけど、ハルトナイツは素直に彼のよさを認めている。そこがまたアクアスティードのすごいところなのだろうなあ、と演じながら感じました」

 最後に本作品の感想を尋ねると、

「話がとても読みやすくて面白く、なによりも絵がかわいらしくて綺麗ですね。読者の方のお気に入りキャラクターも気になりますし、あと、出てくるお菓子がどれもこれもおいしそうで、食べたくなります。オーディオドラマにもスイーツ要素はたくさん入っているので、どうぞ聴いてみてください」

取材・文=皆川ちか