SUSURU「小泉さんがそのまま現実に出てきた」×『ラーメン大好き小泉さん』鳴見なる「ラーメンは生命維持装置」【対談】ラーメン二郎の思い出も!

マンガ

更新日:2020/12/28

 1年365日「毎日ラーメン健康生活」を掲げる、ラーメン系YouTuber・SUSURUさんによるこの連載。今回は、2020年末の特別回として、SUSURUさんと『ラーメン大好き小泉さん』(竹書房)などで知られる漫画家・鳴見なる先生の対談をお届けします。意外にも面識があったというお二人の対談は終始、ラーメンへ対する愛と真剣さがひしひしと伝わってくるような流れに。これを読めば、お気に入りのお店にきっと足を運びたくなります!

ラーメンならではのよさを“ポップ”に伝えたい

――ラーメン好きの間では、2019年10月にお二人が一緒にお酒を飲まれたと報告したツイートが話題になっていました。実際、初対面はいつだったのでしょうか?

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鳴見なる(以下、鳴見):なじみのラーメン屋さんが一緒で、そこの店主さんが主催するラーメン仲間の飲み会が最初でした。それがまさに今おっしゃっていただいたツイートの飲み会で、初対面は「いきなりSUSURUくんが現れた!」みたいな印象でした(笑)。

SUSURU:同じですよ。僕も知らなかったですから(笑)。

鳴見:その後、別のお店で行われていた年末の忘年会でも2日連続でお会いして。

SUSURU:そうでした。たまたま連続でお会いして。

――正直、それぞれの第一印象はいかがでした?

鳴見:初対面の前から動画を見ていたので「SUSURU TV.」のまんまだなと(笑)。

――SUSURUさんの動画を知ったきっかけは?

鳴見:一時期、2ヶ月だけスポーツジムへ通っていたときに、初めて知りました。ランニングマシーンで汗を流しながら食べ物系のYouTubeを見ていたときにたまたま見つけて、ラーメンをおいしそうに食べている人を見ながらトレーニングに励む背徳感も楽しみつつ(笑)。初めは「めっちゃ食べてるな」とぼんやり見ていましたが、だんだんと過去の動画もさかのぼるようになっていきました。

――かたや、SUSURUさんの第一印象は?

SUSURU:僕からすれば、顔出しをされていなかったので想像とは違いました。お会いするまでは、ザ・漫画家の先生みたいな方かなと(笑)。でも、いざお会いしてみたら作中の小泉さんがそのまま現実に出てきたような印象で、ラーメンについて話し始めると止まらなかったのも覚えています。

――鳴見さんの作品はご覧になっていましたか?

SUSURU:もちろん漫画やドラマで『ラーメン大好き小泉さん』を知っていましたが、YouTuberとしての活動を始めてからは教材として活用するようになりました。動画を作り始めたときに「作品内のおいしそうに見えるアングルや小泉さんの表情が参考なるかもしれない」とひらめき、当時出ていたコミックを一気に買って読み漁りました。

――SUSURUさんが思う『ラーメン大好き小泉さん』のスゴさとは?

SUSURU:食べているときのアングルなどはもちろん、異なるお店のラーメン一つひとつの特徴を捉えているところですね。だからこそ、自分の好きなお店が出てきたときによりうれしくなるといいますか。

©鳴見なる/竹書房

鳴見:実は、自分なりにもこだわっている部分で。一番目立たせたい食材には目が行くように少し大きめに描いたり、筆圧も細かく調整したりしています。肉がきわだつお店であればそこだけを強調したり。初めの段階では取材許可を取らずに店へ向かうので、そのときに提供されたままを伝えたいんです。取材用に提供される一杯だと整っている場合もあり、それはそれでいいことなのですが、あまりにもきれい過ぎるとお店ならではの特徴も薄れてしまうので、自然なままをなるべく描こうと。

SUSURU:スゴい(笑)。初めは覆面で食べに行くんですか。

鳴見:編集者に無断で、一杯を描くために二度、三度と一人で食べに行くときもあります(笑)。旅行先ではなかなか難しいんですけど、足を運べる範囲内であれば時間を変えて行ってみます。

――お二人ともラーメンの魅力を伝えるクリエイターという共通点がありますが、活動を通しての楽しさや難しい部分は?

SUSURU:誰かへアウトプットするときは、常にどこまで出せばいいのかを考えています。一杯のラーメンを味わって自分で感じたものをすべて出しても、視聴者の方に伝わらなければ独りよがりになってしまうし、とにかくポップにお店やそれぞれのラーメンのよさを届けたいといいますか。動画も気が付いたら見終わっているみたいに楽しんでもらうのが理想です。

鳴見:実際に見ていても伝わってきますよ。トレーニングのかたわらで私が見始めたのも、たぶんそれがあったからだと思うので。おいしいと一杯のラーメンの奥にあるものまで重く伝えたくなるけど、ただ「めちゃめちゃうまい」と伝えながら、いいところをさりげなく届けているのは分かります。

――鳴見さんは物語と共にラーメンの魅力を伝えるという点は異なるかもしれませんが、SUSURUさんに共感する部分は?

鳴見:一杯のラーメンにあるよさをポップに伝えたいのは、すごく分かります。ラーメンの背景にある歴史を細かく書いてくださいとお願いされたときも正直ありますが、それだとテーマとしても重く、おいしそうに見えなくなってしまうんですよ。情報を伝えなければいけない部分もありますが、個人的には、小泉さんをはじめ高校生の登場人物たちがつぶやくごく普通の感想を伝えたい気持ちが強く、読者のみなさんに近いさりげなさを出したいと考えています。

ラーメンとはなくてはならない存在であり、生命維持装置

――普段、ラーメン店の情報はどのように仕入れているのでしょうか?

SUSURU:ツイッターやインスタグラムで気になるラーメンをチェックするし、お店の方も含めたラーメン仲間からのクチコミなど色々です。あと、ラーメン関連の本も見ていますね。

鳴見:私も同じだけど、もう一つあるとしたら地方のラーメンが集まる百貨店などの催事場をチェックしています。主催している方のみきわめも信頼しているし、その場に集まるお店は地方から都内へ来てもクオリティが落ちないところを選んでいるんですよ。地方へ行くときの参考にもするし、調理環境の限られる催事場でおいしければ「お店ではもっとおいしいのだろう」と、一つの指標にしています。

SUSURU:たしかに。僕もやっていたら足を運びます。

鳴見:ラーメンと名が付くものは気になりますよね。電車の窓越しに「ラー」と書いてあるだけでも、気になってしまうし(笑)。

――お二人とも立場上、他の方から「おいしいお店を教えてください」と言われる機会が日常的に多いかとは思いますが…。実際、どのようにすすめていますか?

鳴見:私は「書いてます!」という感じです(笑)。本当に書いてるんですよ。コミック6巻のP40~41にまとめた質問を聞きたいので、もう読んでくださいと念を押しておきます。

©鳴見なる/竹書房

SUSURU:手ぶらで聞かれると困りますよね。醤油か塩か味噌かでも違うし、相手の行動範囲によるから。都内のはずで聞いた相手に「栃木のあのお店が…」と言ってもピンと来ないじゃないですか。だから、僕の場合は食べたい味や場所は聞き返します。

鳴見:まあ、コミュニケーションの一つでもありますし。その瞬間に「今ここにいる」と聞けば、ピンポイントでおすすめの場所を教えたりもしますね。

SUSURU:そうか、コミュニケーションと考えればいいんですね。

鳴見:あとは、どうしても悩んだら「ラーメン二郎」と答えればいいとも考えているので(笑)。

SUSURU:同じです(笑)。色々な場所にありますし。

――二郎のお話が出たところで、以前、SUSURUさんにはこの連載でお話していただいたのですが、鳴見さんにとっての思い出深い二郎は?

鳴見:最初にデビューしたのが今は移転してしまった神保町店だったので、印象的でしたね。めちゃめちゃ二郎の奥深さを鍛えられたので(笑)。あとは、三田本店やなくなってしまった新小金井街道店。行きやすいところではひばりヶ丘駅前店で、女性でもなじめると思います。また、都心ばかりですけど、地方でいえば京都店もおすすめです。あっさりめで盛りもきれいだったのを覚えています。

――ちなみに、お二人は一日に最高でどれほど食べたことがありますか?

鳴見:九州・福岡で1日に9杯食べたのが最高記録でした。長浜系は替え玉が前提だし、もはや飲み物じゃないですか(笑)。

SUSURU:1杯をペロッと行ける感じで。逆に、山形辺りは大変ですよね。自家製麺の量が多いし、太くて縮れているから。実家へ帰ってきたときみたいに「お腹いっぱい食べていってね」ともてなしてくれて。まあ、うれしいんですけど(笑)。

――SUSURUさんは最高で何杯食べました?

SUSURU:なる先生と同じで9杯ですね。朝イチで浜松のお店へ食べに行って、そこから都内へ戻る流れで静岡から神奈川、東京と食べ歩きました。

鳴見:クルマですよね。身体動かしながら食べ歩かないとキツくないですか?

SUSURU:分かります。動かないとけっこうキツい…。

鳴見:それこそ先ほど言った福岡で9杯食べたときは、徒歩で回ったから行けたんですよ。地方によっては取材として手配されたクルマで移動するときもありますけど、あるときは次のお店まで100mしかなくて「歩くよ!」と思ったときもありました(笑)。

SUSURU:だから、都内はすぐれてますよね。電車と徒歩でどこのお店もそこそこ回れるから。

©鳴見なる/竹書房

――お二人にとってラーメンとは人生でどのような存在でしょうか?

SUSURU:なくてはならない存在ですね。ラーメンを食べているときはすごく幸せだなと思えるし、これからも食べ続けていきたいです。それに、数が多いじゃないですか。1000円前後の値段で場所による振り幅がある食べ物はなかなかないし、食べ歩くのも楽しいし。色々な楽しみを身近に味わえるのが、ラーメンの魅力かなと思います。

鳴見:私にとっては、生命維持装置です(笑)。また、1杯の中にお店の人の並々ならぬ努力が詰め込まれているし、それを食べようと集まってくるお客さんやスタッフさんも好きなんですよ。ラーメン店に足を運んでみるとメニューに合わせて内装にこだわっていたり、場所によってはかけ声にも特徴があったり。店内で流れているBGMにも店主さんの趣味が垣間見えたりと、それも加味してお気に入りのお店を見つけてほしいなと思います。

――最後に、2021年に向けて、お二人がチャレンジしたいことは?

SUSURU:なる先生とのコラボソングですね。めっちゃやってみたい(笑)。

鳴見:ラーメン一色みたいな(笑)。

SUSURU:僕の「SUSURU TV.」でも何曲かアップしているので、その延長線上でなる先生にも歌ってほしいと以前から話しているんですよ。ちょっとラップにハマっていたとも聞いたから(笑)。お店の名前を繋いだり、合間でかけ声をサンプリングして挟んだりするのも面白そう。

鳴見:ぜひ、チャレンジしてみたいです(笑)。

取材・文=カネコシュウヘイ