峯田茉優「いろんな方とお話する声優の仕事。人として明るくなれました」【声優図鑑】

アニメ

公開日:2021/2/1

峯田茉優

 キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第256回目に登場するのは、『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の八宮めぐる役、『最響カミズモード!』の丹波リン役、『とある科学の超電磁砲T』の美山写影役などを演じる峯田茉優さんです。

2次元の世界でキャラクターを演じるだけでなく、朗読劇などでお芝居の幅を広げている峯田さん。アニメをきっかけに始めた声のお仕事の興味は、2次元を超えたリアリティの世界にも広がっているようです。「私よりキャラクターを見てほしい!」とお芝居を追求しつつ、アーティストデビューも目指しているという峯田さんに注目です!

——小さい頃からアニメが好きだったそうですが。

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峯田:はい。『おジャ魔女どれみ』あたりから見始めて、小学1年くらいで初代の『プリキュア』を。『プリキュア』はどちらかというと憧れで見てましたけど、アニメが好きって自覚したのは中学年くらいに見ていた『ロックマンエグゼ』ですね。小学5年のときには、『ソウルイーター』を見て、だいぶ早めの中二病に(笑)。まだプリキュアを好きとか言ってる子に「子どもかよ」って、ズバズバは言えないけど心のなかで言ってました。自分も小学生なのに(笑)。

——アニメとともに歩んできたんですね!

峯田:プリキュアは、中学になってからまた見始めました。美術部だったのでオタクのお友だちが多くて、一緒に映画を観に行ったりしました。グッズの下敷きを毎回買っていて、それを持って翌朝、「プリキュアおもしろかったよ〜!」って教室の床で転げ回ると、みんなが集まってきて頭を「よしよし」してくれて。記憶では、子どもの頃は大人しいほうだったんですけど…本当はあんまり大人しくなかったのかもしれない(笑)!?

——美術部は、何かやりたいことがあって入ったんですか?

峯田:小学生の頃からロボットが大好きで、本当は技術部に入りたかったんですけど、姉が同じ中学の美術部で、お姉ちゃんと同じことやるのもいいなと思って。
入ってみたら同じアニメ好きな友だちがいっぱいいるし、ボーカロイドというすばらしい文化も教えてもらって。中学3年のときは、月一の会議に出てる私かっこいい!っていうだけの理由で部長に。副部長にはいろいろ迷惑かけました(笑)。

——(笑)。声優を目指したのは『けいおん!』で竹達彩奈さんから影響を受けたのがきっかけだとか。

峯田:中学1年のとき、はじめて自分のお小遣いで買ったのが、竹達さんが演じてた中野梓のキャラクターCDでした。そのあと、声優になりたいと思ったのは高校2年の時だったと思います。悠木碧さんが演じている『七つの大罪』のディアンヌと『まどマギ』のまどかが、全然ちがう性格なのにぴったりはまってて、私もお芝居をしてみたい!とそこで思いました。お芝居自体は家族で劇団四季のミュージカルを見ていたから、もともと興味を持っていたし、アニメも好きだったから声優に。…だから、竹達さんと悠木さんのユニット、petit miladyは私にとって神様なんです…!

——声優を知ったきっかけが竹達さんで、なりたいと思ったのが悠木さんってことですね。

峯田:じつは私もアーティストデビューが目標なんです。アニソンではLiSAさんが大好きで、ああいうアツいロックを自分も歌いたい! それか、自分が前に出るというより聴いてくださる方に浸ってもらえるような世界観強めの曲を歌いたい。私自身もアニメやアニソンに心が救われたことが何度もあったので、今まだ難しいかもしれないけど、いつかはデビューして、私の歌を誰かの心の拠りどころにしてもらえたらなと。

——歌のお仕事も多いから、すこしずつ目標に近づいてそうですね。お仕事では『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の八宮めぐる役がやっぱり代表的なキャラクターで。

峯田:めぐるは、事務所に所属した1年目に初めてオーディションに受かった役なので、ずっと隣り合わせでここまできた感覚です。でも私は人と話すのが苦手なので、天真爛漫で誰とでも仲良くなれるめぐるとの共通点が正直わからなくて。アイマスはずっと好きだったから、資料をいただいた時点でプロデューサーセンサーが「黄色だろうな」と反応して、最初は、共通点というより歴代の「黄色」を意識しながらお芝居してました(笑)。

——(笑)。共通点というより、めぐるの気持ちを想像しながら演じてきたと。

峯田:はい。でもストーリーを知るにつれて、寂しがりやで誰かにそばにいてほしいから明るく振る舞っているんだなっていう“弱い部分”が見えてきて。こんなに明るいのに弱い部分もあるんだなって気づいたとき、一気に愛おしくなりました。守ってあげたくなるというか。

——そう感じるようになったのは最近のこと?

峯田:いえ、シャニマスが始まって1年目くらいです。めぐるが初めて弱さを見せるシーンがあったんですけど、うまく表現できなくて、収録後に泣いてしまって。でもゲームに実装されたら周りの方々が「よかった」と言ってくださったんです。

いつもお芝居に自分の感情を混ぜないようにしていたんですけど、そのシーンではちょっとだけ溢れてしまって…。だけど、一人の人間として役を演じることがあってもいいのかなとも思えて、その頃からお芝居がすこしずつ変わってきたような気がします。そういう意味ではお芝居に影響を与えてくれた役でもあるし、他の作品で明るい役をいただくことが増えたのも、その頃からですね。

——本当に、一緒に成長してきたキャラクターなんですね。『最響カミズモード!』の丹波リン役(2020年)はめぐるとは違って、クール系の女の子でしたが。

峯田:リンは、小学生なのにちょっと大人っぽいところがある子。もともと子ども向けアニメに出たいと思っていたので、『ハクション大魔王2020』(天野川みほし役)に続いて、この作品でオーディションに受かったときは「やったー!」と思わず言ってしまいました。でも子どもたちにわかりやすく伝えるお芝居ってむずかしいんですよね。たとえば同じような性格の役でも、作品の色によって芝居を変えていかないといけないんだなって気づかせてくれた役でした。

——そういう発見は自分で気づくことが多いんですか?

峯田:自分で気づくこともありますし、音響監督さんから教えていただくことも多いです。毎回毎回それを台本に書き込んで、学んでいけるのがすごく楽しいです!

——お芝居を楽しんでいるのが伝わってきます! 2020年は『とある科学の超電磁砲T』(美山写影役)という長寿シリーズにも出演を。

峯田:もうプレッシャーがすごくて…。手足が震えて息も上手く吸えないし、初めての少年役で「なんで自分にふられたんだろう」って不安もありつつ、でも期待に応えたい感情とかがぐちゃぐちゃになって、アフレコ現場で初めて泣いてしまいました。でもちゃんと「すみませんでした!」と気持ちを切り替えて、自分としては満足できるお芝居ができたんじゃないかと思います。

——新しい現場に行くたびに発見があるんですね。声優になってよかったのは、どんなことですか?

峯田:人として明るくなれたことかな…。いろんな方とお話する機会が多い職業なので、相手はライバルかもしれないけど、話をするうちに壁がどんどん壊れて、自分を出せるようになってきました。お芝居はもう、楽しいです!本当に毎日勉強で。同じような明るいキャラクターで、同じように声に聴こえるかもしれないけど、私の中では明確にちがっていて、そのキャラクターに合わせたお芝居を徐々にできるようになってきました。自分にしかわからないような些細な変化かもしれないけど、ちょっとずつ成長しているんじゃないかなと思います。

——ではプライベートについても伺いますが、休日の過ごし方を教えてください!

峯田:カラオケ! 歌うのが大好きで、ヒトカラに行ってます。仕事終わりにも、なんなら朝からレコーディングをしたあとに「歌い足りない!」って行くことも。キホンは家でゴロゴロするのが好きですけど、カロリー消費したいときはヒトカラに行きます。お散歩で知らない道を歩くのも好きだし、3時間くらい休まず歩いて洋服を見て回ることも。最終的にめちゃくちゃ疲れてすぐ寝ちゃうんですけど(笑)。

——趣味で、建設機械がすごく好き、というのも本当?

峯田:コンクリートから突き出ている鉄骨が好きで! 大きなくくりだと「無機物」が好きなんですけど、小学1年の時にロボットコンテストをテレビで見て、ロボットかっこいい!って思ったのがきっかけです。声優の前はロボット開発の職業につきたいと思っていたくらい。そのロボット好きがいつの間にか恋愛感情に似たものに変わって…今はショベルカーに恋してます! あ、超大型ビル解体専用機もめっちゃかっこいいんですよ。いつかアームの部分にお姫様だっこされたい…!

——完全に恋愛感情っぽいですね(笑)。では最近、声優さんでよく遊んでいるのは?

峯田:やっぱりシャニマスのメンバーが多くて。同期の涼本あきほちゃんとはご飯行ったり、昨日も夜中に3時間くらいずっと話しました。永井真里子さんも仲いいです。最近は河野ひよりちゃんと遊びに行ったりもしました!悩みとか最近の出来事とか語り合って、すごく支えになってます。

——これから声優として演じてみたい役はありますか?

峯田:一番の目標はプリキュア! いつか、プリキュアになりたいっていう夢を叶えたいです。少年役も、もっとたくさん演じてみたい。『とある』の美山役はクール系だったので、今度は明るめの少年の役とか。最近興味があるのはリアリティのある作品。大人っぽいというか、あんまりアニメっぽくないようなお芝居にも挑戦してみたいです。

——目指していきたい声優像はありますか?

峯田:アーティストデビューもしたいですけど、やっぱりお芝居を見てほしいです。もともと自分に自信がないのもありますけど、やっぱり作品を通して私の声を聴いてほしいので。憧れているのは上田麗奈さん。表に出ていない作品で娘ポジションのキャラクターを演じさせていただいたとき、上田さんのお芝居や歌を聴いていたら私のなかで神格化してきて…。憧れです!

——最後に、記事を読んでくれた方に一言、メッセージをお願いします!

峯田:もっといろんな役を演じていきたいです。すでにお芝居を見てくださっている方にはこれからの変化に注目していただきたいし、はじめましての方にはみなさんが気になってしまうようなお芝居ができる存在になりたい。私を通してキャラクターを愛していただけたらありがたいし、私の演技が作品やキャラクターを知っていただくきっかけになれたら、うれしいです。

——峯田さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】峯田茉優さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

峯田茉優

峯田茉優(みねだ・まゆ)ヴィムス所属

峯田茉優(みねだ・まゆ)Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=麻布たぬ、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト