浦和希「『声大きいね』って愛情あるツッコミをよく受ける新人です(笑)」声優図鑑

アニメ

公開日:2021/2/24

浦和希

 キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第258回目に登場するのは、『フットサルボーイズ!!!!!』相庭京介役、『Dimensionハイスクール』園芸部員・土屋役などを演じる浦和希さんです。

どんな話をしても話題豊富な浦さん。普段は「君、声大きいね」「うるさいね(笑)」と冗談半分で言われることが多いそうですが、その言葉の中には作品や人への真摯な想いが詰まっているようです!

——声優という仕事に興味を持ったきっかけは?

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浦:高校3年の頃、プライベートも学業も何もかもうまくいかなくて落ち込んでいた時に、『ストライクウィッチーズ』を観て影響を受けました。主人公の宮藤芳佳はどんな窮地に陥ってもあきらめない熱い気持ちを持っている子で、演じている福圓美里さんのまっすぐなお芝居にボロ泣きしたんです。こんなに人の心を動かす力を持つ声優さんってすごい、僕もなってみたいと。決心した頃はすでに大学に通っていたんですけど、親に土下座をして養成所にも通わせてもらいました。

——大学ではどんなことを学んでいたんですか?

浦:もともとゲームクリエイターになりたくて、それまでにもいろいろ勉強していたので、大学ではプログラミングとかゲームに関することを総合的に学んでいました。アニメもゲームもいろんな人が携わって、たくさんの時間と心血が注がれているので、声優は最後のピースなんだという責任を感じられるようになったという意味では、いい経験になったと思います。

——今に生かされているのですね。子どもの頃はどんなタイプでしたか?

浦:矛盾してるかもしれませんけど、引っ込み思案なのに目立ちたがりでした。兄が2人、弟が1人いて同性と話すことには抵抗がないんですけど、女の子と話すのが本当に苦手で…。中学校で吹奏楽部に入部したら大半が女の子で、胃薬が欠かせませんでした(笑)。嫌われたくないっていう気持ちが根幹にあって、「どういう男の子でいるのがベストなんだろう」と理想の自分を作り上げようとして一時期けっこう悩みました。

——今はどうですか?

浦:気持ちに余裕が持てるようになってきて、素の自分で話せるようになりました! 胃薬はときどき持ってますけど(笑)。自分の中でキャラクターを丁寧に作り上げる経験はお芝居に必要なことだと思うので、その頃の経験は無駄にはなってないなと思いますね。

——中学校の吹奏楽部ではどんな楽器を?

浦:トロンボーンです。注目されやすい楽器で、僕は人前に出るのが苦手だから希望してなかったんですけど、顧問の先生が僕の喋っている感じを見て「向いてそうだから」と。面白いことが好きな先生で、演奏会でマリオのコスプレをして演奏させてもらったり、自分たちでクリボを作って「ビヨーン」って効果音をつけたり、引っ込み思案だから恥ずかしかったけど、みんなで一つのものを作り上げる楽しさはありましたね。

——喋った感じを見てトロンボーンを勧められるなんて、面白いですね。

浦:他にも「応援団やれ」とか「学級員やって」とか名指しで引っ張り出されることが多いんですよ。人と話すのが好きだから、いつもうるさかったんでしょうね。男の子同士で集まってバカ話をしていたら「じゃあ、やってよ」って言われることが多かったです。自分で言うのもなんですけど、うるさいわりには真面目だったので、言われたことはちゃんとやっていたと思います(笑)。

——引っ込み思案ではありつつも、なかなか充実した学生時代で。

浦:本当に充実してました。大学の頃はゲームを作りながら養成所に通いつつ、大学の広報部のお手伝いもさせていただいて。チラシの撮影をしたり、カメラを回したり。映像作品の課題では自分で企画を立てて、お芝居をして、台本から撮影まで一人で作ったこともあります。

——ものづくりが好きなんですか?

浦:そうですね。今思えば、子どもの頃から、アニメのおもちゃを買ってもらわずに、兄弟と一緒にダンボールで作るような遊びもしていましたね。

●『フットサルボーイズ!!!!!』で青春を取り戻してます

——では声優のお仕事を始めた頃、初めてのアフレコなどを経験して感じたことを教えてください!

浦:すごくおこがましいですけど、先輩方の真剣な姿を拝見できてすごく嬉しかったです。たとえば「あ」という一言のセリフでも、なぜ「あ」なのか、どんな「あ」なのか、僕みたいな新人では考えられないような深いレベルで考えていらっしゃって。それこそ、空き時間とか、ご飯食べながらでも、時間を惜しみながらチェックされていたり。そんな姿を見て自分ももっと頑張らなきゃって前向きな気持ちになれたので、すごく嬉しかったのを覚えています。

——ミディアミックスプロジェクト『フットサルボーイズ!!!!!』では、相庭京介役を演じられています。リアルな練習試合なども公開されていますが、この作品に携わってみていかがですか?

浦:体育会系の部活動をしたことがないので、失われた青春を取り戻している感じです(笑)。みんなで目標に向かって練習して、帰りにご飯食べながら反省話をしたり、他愛のない会話で盛り上がったりして。もちろんお仕事ですけど、心から楽しませてもらっているコンテンツです。29人キャストがいるんですけど、チームごとに練習することもあるし、全体での練習もあります。

——他のチームはライバルですけど、練習しながら話すことも?

浦:ライバルですけど、お互いに高めあう存在という感じで、みんなけっこう仲が良くて。一緒にご飯にも行くし、あんまりチームの垣根はないですね。

——別チームですが古田一紀さんとも共演されていて。同じ声優ユニット「SHALL WE BLACK OUT?」のメンバーですよね。いつもどんなお話をされるんですか?

浦:だいたいお笑いの話をします(笑)。僕は関西出身でお笑いが好きなんですけど、ジェラードンさんっていうトリオのネタをある番組でやろうとしたら、知っていたみたいで乗っかってくれて。それからお笑いの話をするようになりました。めちゃくちゃ研究しているから、僕が知らない東京の面白い番組もLINEで教えてくれたりして。フットサルのことも熱心に研究していて僕もちゃんとしないとって刺激をもらえるし、同じ方向を向いているからこそプレイで噛み合う瞬間があって、そういう時はすごく嬉しいです。

——古田さんはご自分の所属する恒陽学園高校が一番仲がいいと話していましたが、浦さんが所属する桃実高校はどうですか?

浦:いやいや、恒陽も結束は強いと思いますけど、仲の良さで言ったら僕たちの桃実高校がいちばんです! 桃実高校は、勝つことも大事だけど、それよりもみんなで楽しく取り組むことを大切にしているチームなので。試合を見ている人にも「フットサルってこんなに楽しいんだ」と思ってもらえることを目標にしているので、頑張りすぎない程度に頑張れる、すごく居心地のいいチームだと思います。

——2019年に出演した『Dimensionハイスクール』(園芸部員・土屋役)は、アニメパートと実写パートを行き来する珍しいタイプの作品でした。

浦:オーディションでアニメパートには合格できなかったんですけど、実写のほうで呼んでいただいて、僕にとって初めてのレギュラー作品。台本を暗記するのが初めで大変で、俳優の財木琢磨さんに覚えるコツを教わったり、石井孝英さんや大塚剛央さんに体を使った表現を相談させてもらったりしました。キャストみんなで1週間泊まりでロケ撮影したんですよ。みなさんのお芝居への取り組み方を間近で見ることができて勉強になったし、石井さんとは『フットサルボーイズ!!!!!』でも再会できてすごく嬉しかったです。

●家に帰ると誰もいないのに「ただいまー」って(笑)

——お休みの日はどんなふうに過ごしていますか?

浦:YouTubeを観ることが多いですね。お笑い系ならジェラードンさんとかロバートさんの公式チャンネルとか。ゲームも好きだから地元の友だちや声優仲間とオンラインで遊んだりとか。

——ステイホーム期間に始めたようなことは?

浦:もともとインドアだから、あんまり変わらないですね。家の中がすでに万全の状態にキープされているので、一歩も動かずご飯食べたりゲームしたり、ステイホーム期間はすごく快適に過ごしました(笑)。

——上京してきて一人暮らしは寂しくないですか?

浦:寂しいです。僕は兄弟が多いので、家に帰ってから誰もいない経験があんまりなくて。誰もいないのに「ただいまー」って言っちゃいます(笑)。だからインドアも好きですけど、できるだけ人に会うようにして、人との繋がりも大切にしたいなって思います。僕、道端で話しかけられることがすごく多いんです。「写真を撮ってください」とか「いい飲み屋さん知ってますか」とか。だいぶ前ですが、飲み屋さんのことを軽く話しているうちに気に入られちゃって、「いいね、お兄さん一緒に飲もう!」ってご馳走してもらったことがありました(笑)。

——そんなこともあるんですね(笑)。お仕事での繋がりもできてきましたか?

浦:そうですね。みなさん優しいし、仲良くなりたい人ばっかりなので、ご飯とかにも積極的に行かせてもらうことが多いです。かれこれ3年近く仲がいいのは、マウスプロモーションの森永彩斗くん。上京したばかりで飲み会に誘われた時に一緒になって、家が近いこともあってけっこう一緒にいますね。上京したタイミングも同じくらいで。

——では、これからどんな声優になっていきたいのか教えてください!

浦:やっぱり、いい役者だと言われるようになりたいです。最近は顔出しのお仕事や歌もありますけど、自分はお芝居に惹かれて声優になったので。まずは軸となるお芝居を突き詰めていけたらと思います。「君、声大きいね」「うるさいね」って愛情あふれるツッコミを受けることが多々ある新人なんですけれども、これからも作品とキャラクターに真摯に向き合っていきたいと思います。どうか応援のほど、よろしくお願いいたします!

——浦さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】浦和希さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

浦和希

浦 和希(うら・かずき)ヴィムス所属

浦 和希(うら・かずき)Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=麻布たぬ、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト