田嶌紗蘭「安心してお仕事を任せられるような人間になりたい」【声優図鑑】

アニメ

公開日:2021/3/8

浦和希

 キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第259回目に登場するのは、『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の福丸小糸役などを演じながら、動画付きラジオ番組、あみあみチャンネルニューエイジ『田嶌紗蘭の今日はなにまる?』では一人喋りにも挑戦している田嶌紗蘭さんです。

中学生の頃から声優に憧れ、社会人経験を経て声優になる夢を叶えた田嶌さん。地元の和歌山県から上京して最近訪れた動物園の話や、2020年から始まった動画付きラジオ番組の話など、幅広く聞いてみました!

——きれいな色の服、とてもお似合いですね!

advertisement

田嶌:最近こういう色に惹かれていて。お姉さんというか、おしとやかに写してもらえたらいいなあと思って。フェミニンな雰囲気をイメージしてきました!

——いいですね。田嶌さんご自身はなんて言われることが多いんですか?

田嶌:おしとやかとは言えない……。「黙っていればいいのにね」ってよく言われます(笑)。大人っぽく見えるらしいんですけど、しゃべるとホワッとするというか、「あれ、意外とこんなキャラなんだ」って最初のイメージが崩れてしまうみたいで。

——大阪のアミューズメントメディア専門学校のご出身ですが、声優になろうと思ったきっかけは?

田嶌:興味を持ったのは小学校6年生の時で。将来の夢は何ですかっていう作文あるじゃないですか。その時は何も思い浮かばなくて「ショップ店員」って書いてたんですけど、友だちが「声優になりたいです」って発表しているのを見て「声優ってなんだろう」と。私もやってみたいと思ったのが中学2年生の頃。もともとアニメやゲームは好きでしたが、ますますアニメにハマった時期で。このキャラ、この声優さんが演じていたんだと調べていくうちに、いろんな役を演じ分ける声優さんのギャップに感動したことがきっかけです。

——特に印象に残っているのは?

田嶌:色んな方々に影響を受けているのですが、当時放送されていた『HUNTER×HUNTER』の新シリーズのアニメで、キルア役を演じられている伊瀬茉莉也さんが『Yes! プリキュア5』に登場するキュアレモネードや様々な役を演じられているのを知っていくなかで伊瀬さんが『HUNTER×HUNTER』のミュージカルを鑑賞したのをきっかけに声優になられていた事を知り、すごく素敵だなと、私にとっては夢のような事だなと思いました。私も好きな作品に携われたら、役と一心同体でその世界に生きることが出来たら幸せだなあという気持ちから、声優の仕事を意識しはじめました。

——他にハマっていた作品はありますか?

田嶌:深夜アニメを観るようになったきっかけは『デュラララ!!』でした。世界観が魅力的で、ちょっと非日常に連れ出してくれている気がして。キャラクターソングも既存の歌をカバーされていたりして、このキャラクターが歌うとこうなるんだ!って。歌でもキャラの魅力が伝わってくるのが、声優って面白いな、凄いなと思いました。

——声優の仕事に憧れている気持ちは、周りにも話していたんですか?

田嶌:最初は言いませんでした。きっと反対されるんだろうなと思って。親にちゃんと伝えたのは高校生の時。でもやっぱり反対されて、進路を決める時期にちょうどオーディションがあり、合格出来たら頑張っていいよと言われたんですけど、通らず、一度あきらめてしまいました。それから一年間は社会人をしていました。ですが、本当にしたいことを頑張ってみたいと思い直して専門学校に進みました。

——声優のお仕事をはじめてから驚いたことや失敗したことはありましたか?

田嶌:最初に呼んでいただいたアフレコがゲームのお仕事だったんですけど、とにかく緊張が凄くて、空間がどこまでも広がるような感覚でになってしまって……。
ガチガチで叫び声なんかもうまく出せなかった記憶がありますね。キャラクターの性格や気持ちもちゃんと汲めてなかったんじゃないかなと落ち込みました。

——最近の現場やお芝居で意識していることは?

田嶌:小さい頃から消極的で緊張しやすくて、人前に出るような人間ではなかったし、今も緊張するのですが、少しずついろんな現場を経験させていただいて。
演じさせていただくキャラクターはひとりひとり大切に、その子の性格だったり今どういう思いを抱いているのかを考えて、気持ちを丁寧に伝えられるように、意識してます。一番はそのキャラクターへの感謝です。

小さい頃に憧れた魔法少女が今でも心に生き続けています

——『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の福丸小糸役は、とても真面目で努力家の女の子。自分と似ているところはありますか?

田嶌:人見知りで緊張しやすいところや、内弁慶なところとか‥悩むとこと、考え方に共感することもあります。
新人アイドルと新人声優で、お互い初めての経験もあって一緒に勉強しているなと感じる反面、小糸ちゃんの常に努力をし続ける芯の強さ、どんな時もまっすぐで一生懸命な姿がかかっこよくてとても尊敬しています。

——もともと『アイドルマスター』という作品については知っていましたか?

田嶌:当時アニメを観ていて憧れていました! 演者さんは悲しい時も嬉しい時も、どんな時もアイドルたちの傍にいて、ステージのうえでキラキラを届けていてすごく素敵で……憧れました。私もそういう役者になりたいと強く思いましたし、『アイドルマスター』に関われていることが人生いちばんの衝撃で……!とても嬉しいです!! プレッシャーもすごいですが、この作品にふさわしい役者になりたいです。

——昨年からは、動画付きラジオ番組、あみあみチャンネルニューエイジ「田嶌紗蘭の今日はなにまる?」が始まりましたね!

田嶌:昔からしゃべるのが得意ではなく、ひとりで長い時間しゃべることができるのか最初は不安でした。いざ始まって喋ってみたら、お仕事としても、人間としてもスキルアップさせていただけている感じがして、毎回刺激的で楽しいです。

——人間としてもスキルアップというのは面白いですね(笑)。

田嶌:一人と言っても支えてくださるスタッフさんはもちろん、見てくださってる方から色んなお便りをいただけているので、番組を通して私自身も私のことを知れて、人間としての中身が増えていく感じがしています。

目標は「直立」。任せていただくことって簡単じゃないと考えているので、ちゃんと自分の足で前を向いて立って、人としても安心してお仕事を任せられるような人間になりたいです。

——ファンの方から寄せられたお便りのなかで印象深かったものは?

田嶌:どのお便りも素敵なのですが、「まるかわ」っていうコーナーがあるのですが、そこでは丸くて可愛いのものが好きな私に、リスナーのみなさんが丸くてかわいいものを布教してくださるコーナーなのですが、いただいたお便りの中で、おじいちゃんの後頭部のような写真があって、え!? おじいちゃん!? って驚きました!
じつはパピヨンの毛玉だったのですが、印刷機の調子が良くなかったみたいでそう見えてしまって‥(笑)

——それは驚きますね(笑)。これから声のお芝居でチャレンジしたい役柄やジャンルはありますか?

田嶌:沢山ありますが、ずっと憧れていた魔法少女になってみたいのが1つ。あとは頑張っている人が好きなので、スポーツとか一つの物事に対してひたむきに努力している男の子の役などを演じて、青春を味わってみたいです! それから、世界を救ってみたいです。

——いいですね、夢は大きいですね(笑)。

田嶌:はい。特に魔法少女は憧れですね。『おジャ魔女どれみ』の世代なんですけど、この間、20周年記念作品の映画『魔女見習いをさがして』を観に行ったんです。あのキャラクターたちの声をもう一度聴けるとは思ってなかったので、序盤から涙が止まらなかったし、「生きててよかった」と今でも感極まっています……! キャラクターたちは今でも私たちと同じように生き続けているんだなと感じると、私も何年も人の心に残るような役を演じてみたいし、「あのアニメで育ったんだよ」って思ってもらえるような作品に携わりたいなと思います。

“信頼のできる”水族館によく行っています!

——想いの強さが伝わってきます! では休日の過ごし方を教えてください。

田嶌:休日は家にいることが多いので、ゲームをしたり、お料理をしたり。最近は辛口のカレーを作りました! じゃがいもが好きなので、多めに入れるのがこだわりです。じゃがいもの料理ならコロッケやポテトサラダも大好きです。

——料理は自分が食べたいものを作れるからいいですよね。

田嶌:そうですよね! 私も食べるのが好きだから作っている感じです。「トマトスパゲッティが食べたい」と思ったら、コンビニで完成品を買うのではなく、トマト缶を買って分厚めのベーコンを焼いてツナを入れたり‥自分の食べたいトマトスパゲティを作ります。「今日はこれを食べたい」と思ったら、絶対にそれを食べたいです(笑)。

——ゲームでハマっているものは?

田嶌:最近は『ポケットモンスターソード』に新しいエリアができたので、また始めています。新しいポケモンだけじゃなく、歴代のポケモンたちも登場してきて、とても胸アツです。クリアしてからもまた新たに旅を続けられるなんてとても素敵ですよね。

——外に出かけるとしたら、どんなことをしていますか?

田嶌:水族館とか動物園に行きたくなります。一人でフラッと行くことが多いですね。特に、すみだ水族館はチンアナゴへの愛を感じるので好きです。緊急事態宣言でチンアナゴが人間の存在を忘れちゃって、人が近づくとすぐに土にもぐってしまうようになったらしいんです。飼育員さんが「これはいかんぞ」と、ネットを通じてお客さんたちの顔を見せるという企画をされていて、なんて素敵な企画なんだろう。信頼しかない!と思いました。

——生き物への愛が伝わると信頼につながりますね。動物園はどこが好きなんですか?

田嶌:お父さんがよく連れていってくれたのがきっかけで好きになりました。以前上野動物園を訪れた時、象がめちゃくちゃ笑顔で草を食べていたんですよ! すごく癒されました。まだ東京の動物園は多く訪れられていないのですが、今度は多摩動物園に行ってレッサーパンダに会いたいです。

——ご出身は和歌山県でしたね。では、声優さんでよく会う方は?

田嶌:和久井優さんと土屋李央さんと岡咲美保さんです。『アイドルマスターシャイニーカラーズ』で「ノクチル」というユニットで一緒に活動しているのですが、一緒にいてすごく安心します。初めて会ったのがパンフレット撮影の時。人見知りだから仲良くなれるのか心配でしたが、みんなの空気感がアットホームで、その場ですぐに仲良くなりました。プライベートでも仲良くさせてもらっています!

——誰から声をかけることが多いんですか?

田嶌:美保ちゃんが多いですね。みんなを引っ張り上げてくれる優しい子です♪

——田嶌さんは食べ歩きが趣味ということで、みんなに美味しいお店を教えてあげたりするのですか?

田嶌:そうですね。友達と美味しいものを巡る旅とかしてみたいです。
事前に美味しいものを調べたりするので、友だちの食べたいものに合わせつつ、おすすめできるかなって。東京に来て間もない頃に鎌倉に行ったときは、コロッケやあげまっしゅを食べたりしました。旅先の空気を感じながら友達と食べ歩きは特別なおいしさがあって好きです。

——これから東京の食べ歩きを攻略できそうですね! では最後に、記事を読んでくれた方にメッセージをお願いします。

田嶌:ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。まだまだ未熟な私ですが、私の携わった作品やキャラクターがずっと愛され続ける存在になっていくように、全力で魂を吹き込んでいきたいと思います。生涯ずっと役者でいたいです! これからもよろしくお願いいたします!!

——田嶌さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】田嶌紗蘭さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

田嶌紗蘭

田嶌紗蘭(たじま・さらん)リマックス所属

田嶌紗蘭(たじま・さらん)Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=麻布たぬ、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト