『乙嫁語り』森薫氏、『かぐや様』赤坂アカ氏、『真の仲間』ざっぽん氏の作業場で声出演も! “ラノベから始まった”BOOK☆WALKERが、10周年CM動画に込めた想い《橋場一郎氏×栗本直彦氏》

マンガ

公開日:2021/3/10

 サービス開始から10周年を迎えた総合電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」。これを記念して人気作家の森薫(『乙嫁語り』)、赤坂アカ(『かぐや様は告らせたい』)、ざっぽん(『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』)が出演する特別CM動画を放送・配信中! この動画に込められた「BOOK☆WALKER」の思いとは? 株式会社ブックウォーカーの代表取締役社長・橋場一郎氏、ストア事業部部長・栗本直彦氏に聞きました!

代表取締役社長・橋場一郎氏
代表取締役社長・橋場一郎氏

ストア事業部部長・栗本直彦氏
ストア事業部部長・栗本直彦氏

――森薫先生、赤坂アカ先生、ざっぽん先生の執筆風景がフィーチャーされた「BOOK☆WALKER」10周年記念CM動画が3月10日より公開されました。この動画がどのような経緯で企画されたのでしょう。コンセプトとあわせて教えてください。

橋場一郎氏(以下、橋場) 最初に栗本と話し合ったのは「BOOK☆WALKER」と他の電子書籍ストアとの違いはどこにあるのか、まずはそこを考えようということでした。我々の強み、アイデンティティ、もっとも大事にしていることは何かといった点をしっかりオリエンテーションしてほしい、といったことを伝えたと思います。

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栗本直彦氏(以下、栗本) 電子書籍ストアはサービスだけを見ればどこもそんなに大きく変わるものではありません。ですから、プロモーション動画を作っても同じようなものになりがちです。そこで、違いを出すためには、ユーザーの皆さんが「BOOK☆WALKER」に求めていること、あるいは逆に僕たちがユーザーの皆さんに期待していることを打ち出したい。それをどのようにしてビジュアルで見せたらいいのか、議論を重ねていきました。

橋場 私たちのカルチャーの根幹になっているのは、みんなの「本が好き」という気持ちを何より大事にすること。電子書籍市場ではコミックの売上拡大が続いている状況ですが、よく売れるマンガをスナックカルチャー的に消費してもらうことではなく、その「本が好き」という気持ちを追求していけるところが、「BOOK☆WALKER」らしさなのかな、と。

栗本 「本が好き」という気持ちを突き詰めていけば、実際に描いている作家に思いが至ります。そこで、ユーザーが読んでいる作品が実際に創られている現場を見せることで、「読者と作家をつなぐ」というテーマが生まれました。

橋場 電子書籍・電子コミックをデジタルデバイスを使って読むことが多い若い世代のユーザーさんは、読んでいる作品の裏側にリアルな作家がいるという意識が希薄になっているのではないかと常々感じることがありました。そういうユーザーにとって、作家の執筆風景は新鮮で、新しい価値観を提供できるものになるのではないか、と。また、電子書籍業界では常に海賊版の被害が大きな問題になっていますが、自分の好きな作品を実際に創っている作家の姿が見えてきたら、海賊版で消費しようとは思わなくなるのではないでしょうか。そういった点も含めて、執筆風景を見せることには意味があると思いました。

栗本 一方で作家さんにしても読者の存在を感じることが刺激になってアイディアにつながるという話をよく聞きます。ですから、今回の動画では、本の創作の現場でお互いがお互いを補完しているイメージなんですね。

実際の作業場で撮影! 人気作家たちの貴重な“声”も収録

BOOK☆WALKER

――「BOOK☆WALKER」10周年記念動画が、一般ユーザーが電子書籍を読んでいる日常と作家の執筆風景を組み合わせたものになっているのは、そういった意図があったのですね。執筆風景を見せる作家として、森薫先生、赤坂アカ先生、ざっぽん先生を起用された理由はどういったものだったのでしょう。

橋場 作家のリアルな執筆風景を見せたいとなったときに、まず名前が出たのが森薫先生でした。あの圧倒的な画力が紙に手描きで創られていく瞬間こそ、やはりマンガ創作の現場をよく知らない若い世代の人たちに見てもらいたいですから。

BOOK☆WALKER

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栗本 赤坂アカ先生の『かぐや様は告らせたい』は「BOOK☆WALKER大賞」に選ばれた作品で、数多くの人気作があるジャンプ系列の作品の中でもとくに「BOOK☆WALKER」ユーザーから高い支持を得ていることからご依頼しました。そして、ライトノベル作家にも出演してほしいということで依頼したのが、ざっぽん先生です。『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』は最近の人気ラノベを代表する作品のひとつで「BOOK☆WALKER」の企画「ラノベ総選挙」で第1位を獲得しています。ちょうどアニメ化も決定したタイミングということもあり、ぜひにと。どの先生も今回の企画趣旨に賛同してくれて、ご多忙の中、撮影についても丁寧にご協力いただけました。

橋場 アナログで手描きの森薫先生、デジタル作画の赤坂アカ先生、テキストを打っていくざっぽん先生と、それぞれ違った執筆スタイルが見せられたことも良かったですね。

BOOK☆WALKER

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栗本 森薫先生と赤坂アカ先生の執筆風景は実際の先生の作業場で撮影しています。森薫先生は原稿用紙に手の脂がつかないように指ぬきの手袋をして、あの緻密な描き込みをするためにつけペンで作画をしているところです。そんなことまでするんだと驚きましたね。赤坂アカ先生はデスクに4つのディスプレイを設置して完全デジタルの作業。同じマンガの執筆でもまったくアプローチが違うんです。

 対して、ざっぽん先生はそれこそキーボードひとつで、テキストを黙々と打って物語を創り上げていく。そうした違いが撮影に立ち会うだけでも非常に興味深かったですし、視聴するユーザーにも注目してほしいですね。

BOOK☆WALKER

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橋場 それと、これはプレスリリースにも出していなくて、この記事で初めて公表するのですが、今回のCM動画ではそれぞれの先生が“声”でも出演されています。

栗本 ナレーションで「話したこともないけれど、どこにいるか知らないけれど、こんな世界を描いてくれて、こんな世界を読んでくれて、好きなものが好きで、好きなことを好きでいてくれて、マジで本当に良かった」というセリフが入っています。このうち「どこにいるか知らないけれど」が森薫先生、「こんな世界を読んでくれて」がざっぽん先生、「好きなことを好きでいてくれて」が赤坂先生、そして最後の「本当に」は先生全員の声です。森薫先生と赤坂アカ先生は基本的に顔出しNGで、動画で声を出すのも今回が初めてではないでしょうか。ファンの皆さんにとってはすごく貴重なものになっていると思います。

橋場 今回のCM動画ではコンパクトに我々の大事にしていることをまとめられました。ちゃんと見てくれる人が見てくれたら、画面の向こう側に作品を創っているクリエイターがいることがちゃんと伝わるのではないか、と。ちなみに僕の娘が今、小学5年生で『かぐや様は告らせたい』のファンなんですよ。それで、ちょうど今回の動画の確認作業中に部屋に来たので「この人が本物の赤坂アカ先生で、こうやって描いているんだよ」と見せてみたら、「え、そうなの!」と興奮気味に食いついてきて(笑)。小学生でもそこにちゃんと興味を持ってくれたことが嬉しいし、「BOOK☆WALKER」がどういうことを大切に思っている電子書籍ストアなのか、きっと伝わっているんじゃないかなと思います。

栗本 それは嬉しいリアクションですね。コミックやライトノベルといったオタクカルチャーは僕たちの若い頃と違って、現在の若者世代では幅広く一般的に浸透しています。そういう意味で今回のCM動画は、多くの若い人たちに訴求し、共感してもらえる内容にしたかったんです。

“本が好き”な人たちを支える電子書籍のバリューチェーンに

BOOK☆WALKER

――10周年を迎えた「BOOK☆WALKER」は今後どのような電子書籍ストアを目指していくのでしょうか。

栗本 約10年前、当時の角川グループ発行の50冊程度の電子書籍から始まった「BOOK☆WALKER」ですが、現在では1200社以上の出版社と取引を行い、ラインナップもマンガ、ライトノベル、小説、ビジネス実用書など、さまざまなジャンルの作品80万冊を超えるまでに至りました。サービス拡大の原点がライトノベルのヒットだったこともあり、今後も文字ものにしっかり力を入れていきたいという思いはあります。そして、やっぱり“本好き”の人たちを大切にしていきたい。アプリで購入した電子書籍のコレクションをカスタマイズできる本棚機能をいち早く実装したのも“本好き”のユーザーたちが求めているサービスを考えた結果です。「本を持つ喜びを感じてほしい」ということをひとつのテーマとしてサービス開発をしていますし、それはきっとユーザーにも伝わっているんじゃないかなと思います。

橋場 「BOOK☆WALKER」はミッションステートメントに「出版文化からイノベーションを生み出す」を掲げています。ただ売れるものをバンバン売ってビジネスとして成功することがゴールではありません。市場が拡大して新たな作品が次々と幅広く出てくる電子書籍業界においてバリューチェーンを担うことを常に意識しています。既に人気作品になっているものをたくさん売っていくことよりも、次のヒット作が生まれる土壌を作っていくことに電子書籍ストアとしてどれだけ寄与できるかということが重要なんです。今後は一般ユーザーが出版社を通さないで作品を発表するUGCの動きも加速化していくでしょうし、そこで私たちがしっかり関与してヒットにブーストをかけられるようなサービスも実現していきたいですね。

栗本 それと日本のコンテンツを海外に発信していくことにも積極的に取り組んでいきます。現在、「BOOK☆WALKER Globalストア」「台湾BOOK☆WALKER」で海外展開を行っていて、売上も非常に伸びている状況です。紙とは違った電子ならではのアプローチもいろいろ考えていて、そこで日本発のカルチャーを世界中に届けるために私たちがしっかりリードして取り組んでいきたいですね。

橋場 海外に向けてオフィシャルの翻訳作品を配信することは海賊版撲滅のためにも重要です。海外の日本マンガファンには読めるものが海賊版しかないという状況で仕方なく海賊版に手を出す人も多い。まだまだ正規流通している作品が少ないので、そこは出版社とも連携してさらなる展開を進めたいですね。

取材・文=橋富政彦

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