乃木坂46・山崎怜奈、アイドルのパラレルワーク論「行き着いたところで頑張る」

文芸・カルチャー

更新日:2021/5/11

歴史のじかん

 昨今、本業を軸に副業でも活躍する“パラレルワーク”が注目されている。現役アイドル、乃木坂46の山崎怜奈もそれを実現した一人だ。

 グループでの活動と並行して、初の著書『歴史のじかん』(幻冬舎)では歴女としての一面を発揮。知識自慢の芸能人が競い合う『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』(テレビ朝日)では才女として功績を残し、平日午後帯のラジオ番組『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』(TOKYO FM)ではメインパーソナリティとして落ち着いたトークを展開するなど、多方面で才能を発揮している。

 自分の力で活躍の場所を広げ続ける彼女に、仕事についての思いを聞いた。

(取材・文=カネコシュウヘイ 撮影=花村謙太朗)

クイズ番組の楽しさ「素直に笑ったり真剣な顔をしたりした方がいい」

――アイドルはもちろん、歴女やクイズ番組、ラジオパーソナリティなど活躍の幅を広げている山崎さん。自分の現状については、どう考えていますか?

山崎:ありがたいの一言です。本当、十分過ぎるほど。つくづく幸せ者だなと思っています。

――仕事についての議論では “好きなことを仕事にするべきか”がたびたび話題にのぼります。著書『歴史のじかん』にある伊能忠敬の書き下ろしコラムでも、その問題を取り扱っていました。ただ、それを実現している印象もある山崎さんにとって、好きなことを仕事にするメリットとデメリットは?

山崎:続けやすいのは長所かなと思います。そもそも好きな理由ってないし、直感的じゃないですか。誰かに「何で?」と聞かれても「好きだからです」となる人が多いと思うので、熱心に打ち込みやすい気はします。でも、続けなければいけないと義務になってしまうと辛くなるし、それはデメリットだと思います。

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――例えば、まさに今活躍している分野 “クイズ番組”は楽しめていますか?

山崎:はい、楽しんでいます。クイズ番組では、現場で一緒になる別の出演者の方々とお会いしたいし、そのために頑張っている気持ちも強いんです。一緒に仕事をしたいと思う自分もいるし、そう思ってもらいたいと考えているので。だから、毎回、きちんと勉強して取り組むようにしています。

 それに、純粋に“楽しい”とか“悔しい”とか、感情を露骨に顔に出せるのもクイズ番組の楽しさですね。アイドルをやってきて、正直、これまで“悔しい”と表情に出してプラスに働いた経験はあまりないんです。そう思ってからは、卑屈になったりネガティブな発言をしたりするのをやめて、笑っている時間を増やしたら「明るい子だね」と言われ始めました。

 その経験を通して、物事は意外に単純だと気が付いて。だったら、素直に笑ったり真剣な顔をしたりした方がいいし、それがすべて許されるのもクイズ番組なので、知識欲もプラスアルファで楽しんでいます。

現状で「自由にやらせていただいているのは感謝しかない」

歴史のじかん

――仕事ではよく“自己実現”というキーワードも聞かれます。そして、その先にはおそらくそれぞれの“目標”もあるはずです。ただ、山崎さんは著書『歴史のじかん』にある合戦の書き下ろしコラムで「私は目標をつくりません!」と潔く宣言していました。それでもなお、聞くのも野暮ですが…。ぼんやりとでも、自分の将来像はありますか?

山崎:難しいですね。もう、現状にありがたさしかないので。メンバーとして、全然、仕事がなかった時期もあるので、これほど、自由にやらせていただいているのは感謝しかないです。

 だから、高らかな目標はないですが、やっぱり、今関わらせてもらっている番組やジャンルを通して、その面白さを浸透させていける存在になれればと思います。

 例えば、生き物のクイズに挑戦している姿を見てくれた人が「水族館へ行ってみよう」とか、ラジオで話した内容を聞いて「山崎さんが言っていたものを食べに行ってみよう」と思ってくれれば幸せです。

――ありがとうございます。そもそも「目標をつくりません!」と公言しているのに、それでもなお、将来像を聞くのはなかなか難しかったです。

山崎:難しいですよね。今後の展望はよく聞かれるけど、本当にないんですよ。これまでも、予測できたことなんて何一つないので。実は、2016年に大学へ入学した辺りから付けている“ブラックノート”があって、他人には吐き出せない思いをガーッと書いて本棚の奥にしまっているんです。

 それをつい最近、先日あったライブ(2021年3月28日開催の無観客配信ライブ「9th YEAR BIRTHDAY LIVE ~2期生ライブ~」)の2日前に読み返したんですが、20代でやりたいことが書いてあって。ノートの中には「舞台がやりたい」とか「お洋服のモデルをやりたい」とか、今とはまったく違う方向性の目標が並んでいました。

 正直、自分でも「大丈夫か?」と思ったほど違う方向に進んでいるけど、今の生き方がすごく楽しいと思っていて。想像してみて当たるものは何一つないと分かったし、だから、これからも行き着いたところで頑張ろうと思います。