「自称28歳」の役をやるか、珍しく悩んだという高岡早紀さんが、オファーの多い“ひと癖ある役”を演じることについて

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公開日:2021/6/18

 怖すぎて笑える。でも怖い! と話題沸騰だった高岡早紀さん主演のドラマ『リカ』。原作は、累計65万部を突破した五十嵐貴久さんの小説で、自称28歳、運命の相手を探し続けるリカの鬼気迫る純愛を描いたラブサイコスリラーだ。6月18日に公開される映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』では、リカの常人離れもパワーアップ!「なぜかクセのある役ばかりくる」という高岡さんに、作品への想いと女優としての今後についてうかがいました。

(取材・文=立花もも 撮影=山口宏之)

――昔からクセのある役をオファーされることが多い、というお話もエッセイでは語られていますね。

高岡早紀氏(以下、高岡) 何かきっかけがあった、とかではないんですよ。わりと最初からそうだから、たぶん私になんらかのクセがあるんでしょうね(笑)。でも、昔の写真を見ても、そんなにクセのある顔はしてないと思うんだけど。

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――してないですよね。

高岡 ただ、昔から気は強かったみたいなんですよね。今撮影している朝ドラの現場には、10代の頃から私を知っているスタッフもいるんですけど「昔のほうが怖かったよね~」とか言われたり。怖いといっても、怒るとかぶすっとしてるとかじゃなくて、まっすぐすぎて融通がきかなかったり、自分にも他人にも厳しかったらしいんですけど。今みたいな柔軟さはなかったんですよね。

――芯の強さみたいなものは、エッセイを読んでいても感じます。

高岡 そうですか? まあ、それだけが理由ではないだろうけど、クセのある役をたびたび演じるうちに、さらにクセの強い役が舞いこんできて、今に至っているという感じ。でも、なんでだろうとは思うけど、全然イヤじゃないんです。むしろ女優冥利に尽きるし、ありがたいと思っています。ふだんの自分とはまるで違う役を演じるのが女優の醍醐味ですし、そのおもしろさを次々と与えてもらえるのはうれしいですよね。そうやって、感情の振り切った役をやらせてもらえるからこそ、プライベートでは穏やかに過ごせますし。家で窓の外をぼうっと眺めているだけで楽しいなあ、なんて……いや、それはあんまり楽しくないな。

――(笑)。6月から公開される映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』で演じるリカも、だいぶクセの強い役ですよね。2019年に放送されたドラマの続編ですが……。

高岡 ほんとですよね。ドラマの企画書をもらったときから「雨宮リカ、28歳です」っていう決めゼリフ? があって。「28歳までに結婚するのが女の幸せ」だと信じる彼女は、ずっと28歳を自称していて、愛のためなら人も殺してしまうっていう、かなりサイコな役だった。殺人鬼を演じたことはなかったし、さすがに「なんで私にきたんだろう?」と思いました。今、この年齢でこの役をやるということを、珍しくじっくり考えましたね。

――ふだんは役を受けるときにそれほど悩まないんですか?

高岡 そうですね。よほどの理由がない限り、仕事は断るほうではないんですけど、リカに関してはちょっと、あまりに突飛な役だったから……。それに台本では、もっとおかしい人のように描かれていて。ドラマが放送されてからは「振り切れてて笑える」っていう要素もあったと思うんですが、最初に読んだ限りでは、くすりと笑えるような部分が全然なかったんです。演じることで、私の心の平和にも差し支えが出るような気がしたし、女優としての今後のイメージも大丈夫かな、って思ったんですけど、逆にいえば断る理由がそれくらいしかなかったんですよね。そんな2つ、3つの懸念は全然断る理由になってないな、と思ってお受けしました。

――実際、演じられていかがでしたか? ドラマは、おっしゃるとおり「笑える」という部分もありつつ、サイコスリラーとしての怖さもあり、大反響でしたよね。

高岡 そうなんですよ。こんなにも観ていただけるとは思わなかったし、映画になるほど支持していただけたのは驚きでした。リカに対しても「なんだかんだ憎めないよね」とか「かわいい」「ちょっとキュンとしちゃう」みたいな好意的な感想をいただいて。確かに彼女は度が過ぎているけど、あれほど人をまっすぐに愛することって、大人になればなるほどできなくなるじゃないですか。精神的にも体力的にも、しんどいし。観ている人はリカの姿に、忘れていたピュアな心を思い出したり、憧れたりするんだろうな、と思いました。

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