自称サバサバ系女子、SNS匂わせ女子… “ウザい女たち”をスカッと撃退! 恋人が狙われたときの対策は?【染井ロキさんインタビュー】

マンガ

公開日:2021/6/9

彼氏の周りに湧くウザい女たち
『彼氏の周りに湧くウザい女たち』(染井ロキ/KADOKAWA)

「彼氏の相談に乗ってほしい」と飲みに誘う隙あらばワンチャン狙い女子、「私たち男同士みたいなもんだから~」という自称サバサバ友達系女子、画像の切り取りで思わせぶりな投稿をする承認欲求2000%!SNS匂わせ女子……。欲望に忠実で恋にアグレッシブな女子に彼氏が狙われてばかりで日々やきもきしている女子大生・ナナと、アプローチに一切なびかないナナ一筋の彼氏・ゆうき君の恋模様を描いた『彼氏の周りに湧くウザい女たち』(KADOKAWA)。Twitterでも大反響の同作はどのように生まれたのか? 作者の染井ロキさんにお話を伺いました。

(取材・文=立花もも)

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――悪人ではないけれど、絶妙にイラっとさせられるし、彼氏の友達には絶対にいてほしくないタイプの“ウザい女”たち。Twitterマンガとして投稿しはじめたきっかけはなんだったのでしょう?

染井ロキさん(以下、染井):会社の同僚や友達と恋愛話しているとき、ついついヒートアップしがちなのが恋人の浮気に対する怒り。ですが、いろんな人の愚痴を聞いていくなかで、浮気した恋人本人よりも近づいてきた異性により強烈な怒りが向かうこと、そして近づいてきた異性のアプローチの仕方に多くの共通点があることに気がついて、興味深いなと思ったんです。この発見をどうにかイラストやマンガに落とし込めないか……というのが、最初のきっかけでした。近づいてくる異性にどんなに腹が立ったとしても、まじめに恋人を想っている人ほど相手を尊重するから、苦しみこそすれ反撃なんてできない。ならばせめて、ウザい女たちが撃退されていく姿を読むことで、痛快な気持ちになってくれたらいいな、と。

――そして登場する約10人のウザい女たち……。あれだけの数を描き分けるのは大変だったのでは?

染井:そうですね……。でも、自称サバサバ系や悲劇のヒロインなど、私自身の実体験も随所に織りこんで考えた女子もいますし、これまでいろんな人とかわしてきた何気ない恋愛話から得た知見がキャラメイクには活かされました。ちなみに自称サバサバ系女子は、もともとどこかのタイミングで描くつもりではいたんですけれど、Twitterに第1話を掲載したとき、サバサバ系・ガサツ系女子を求める声が多かったこともあり、第2話でさっそく登場させることに決めました。

彼氏の周りに湧くウザい女たち

彼氏の周りに湧くウザい女たち

――「真面目な人大好き」と言いながら「君の理想に近付くように頑張るから私にチャンスくれませんか?」という“偽りの天然ぶりっ子養殖女子”に、ゆうき君が「彼女がいてそのチャンスをあげる人って、君の言う『真面目で誠実な人』じゃないんじゃない?」と答えるなど、スカッとするセリフが多いのも人気の理由だと思うのですが、とくに反響の大きかったエピソードはありますか?

染井:リアクションが多かったのは、自称サバサバ系女子のエピソードですね。元々の生息数の多さに加え、ひとめで自サバとわかる言動のおかげで、共感できる方が多かったのではないでしょうか? 番外編として描いた“ウザい男”が言う「浮気は男の本能だから」というセリフに「本能に理性で逆らって生きてるのが人間なんだけど」とゆうき君が返したときは、「よく言ってくれた!」というリアクションをいただくことが多かったように思います。

彼氏の周りに湧くウザい女たち

彼氏の周りに湧くウザい女たち

――あれは私も読んでいて、だいぶスカッとしました(笑)。ほかの“ウザい男”エピソードも読んでみたくなったくらいです。

染井:恋愛話をしていると“浮気を助長する同性の存在”がたびたび登場するので、彼氏を誘惑する・恋路を邪魔する存在を描き続けるうえで、避けては通れないエピソードでした。ウザい男ネタもまだまだありますが、ゆうき君とナナの物語と考えたときには登場させづらい連中が多いので、今後、別の形で描くかもしれません。

――ぜひ楽しみにしています! ご自身で描いていて、とくに印象に残っているエピソードはありますか?

染井:ep.10(Twitter版第9話)ですね。ダントツで作るのが楽しかった。巷で論争になりがちな「奢る奢られる問題」は、正解を決められないのも紛糾する原因だと思いますが、それを利用して「私なら割り勘なのに~」と近づく女子に対し、ゆうき君らしい考え方と言葉で答えを出せたことが、本当によかった。もともと4ページでまとめる予定だったエピソードを、もっとページを取ってじっくり語るべきだとアドバイスしてくれた担当編集さんがいてくれたおかげで作れた話でもあります。

彼氏の周りに湧くウザい女たち

彼氏の周りに湧くウザい女たち

――描くのに苦労したのはどんなところですか?

染井:単行本の最後にも少し書きましたが、“ゆうき君”という存在そのものです。仕掛けてくる女の子たちは言いたい放題やりたい放題なので、描いていてその言動に腹が立ってくること以外さほど苦労しませんが、ゆうき君はとにかく彼女思いなので、作者が言わせたいセリフや行かせたい場所があっても「彼女が嫌がるのでやりません!」と、思うように動いてくれないことが多いんですよ。何度脳内でゆうき君と議論し、打ち負かされたかわかりません。

――確かに、ゆうき君は察しがよすぎるうえに、言ってほしいセリフを全部言ってくれるので、読んでいて羨ましくなるほどでした(笑)。ナナとゆうき君の2人はどのように生まれたのでしょう?

染井:ウザい女たちのよく言うセリフなどのネタはたくさんありましたが、それらを描くうえで、どうすれば起承転結のあるマンガとして成立するだろうか、と考えたとき、どうしても攻撃を受ける側を登場させる必要があり、被害者カップルの立ち位置が生まれました。最初、敵の攻めを超ド天然でかわすキャラとしてゆうき君を考案していたのですが、誘惑に負ける男性が大半を占めるなか、パートナーはかくあるべきという願いを託した結果、彼女への一途な想いで立ち向かうキャラとなっていきました。ナナには当初、ツンデレ気味であること以外に具体的な設定はなく、練りきれていないまま見切り発車した部分があるので心配していたのですが、作者の心配をよそに、ストーリーを進めていくうちに自然と、ゆうき君の言動を素直に喜ぶ子になっていき、その穏やかで素直な人物像とウザい女への強烈なツッコミのギャップで、作品に良いテンポをもたらしてくれる存在になってくれました。

――確かにエピソードを追うごとに、ナナも愛情表現を惜しまないようになっていきますよね。信頼関係が育つとこんなふうにお互いがお互いにとってのベストパートナーになっていくのだなあ、と2人の絆が強くなっていくのも読んでいてほっこりしました。

染井:読者の方からも「ゆうき君がいい人なのはきっとナナちゃんも良い子だから。私も素敵な人と素敵な恋をするために良い子になるように頑張る」という趣旨のコメントをいただいたことがあって。マンガを読んで感じたことを生きる糧にしようとしてくれているのがとても嬉しく、印象に残っています。

――ナナ視点で読むとめちゃくちゃウザい女たちですが、彼女たちがいったい何を考えているのか、ナナがインタビューする描きおろしエピソードもすごくよかったです。一方的に「悪い女」と断罪しない姿勢は「ウザい女たちと似たことを自分もしちゃってたかも」とうっすら心当たりのある女性読者を、ほっとさせてくれるのではないかな、と。

染井:これは担当編集さんのおかげで実現した企画です。実をいうと担当編集さんも若干ウザい女気質をおもちで(笑)。おっしゃるように「ウザい女たちを一方的な悪とせずに描くところがあっても良いのでは」と助言してくださったんです。そこで、作品を読んでくださった方の中で「自分はウザい女側である」と自認されている方にインタビューをさせていただき、それを元にコミカライズしました。ページ数の兼ね合いで泣く泣く削った話も多々あるのですが、次々とくりだされる、マンガに引けを取らない弩級のエピソードに「もうお腹いっぱいです……」しか言えなかったのを鮮明に覚えています。

彼氏の周りに湧くウザい女たち

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彼氏の周りに湧くウザい女たち (KITORA)

著:
出版社:
KADOKAWA
発売日:
ISBN:
9784046050199