鶴見ゆき「甘えを捨てるつもりで上京したら、演技を学ぶのが楽しくなりました」【声優図鑑】

アニメ

公開日:2021/7/12

鶴見ゆき

 キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第264回目に登場するのは、2020年春に事務所に所属し、アプリ『ナイツクロニクル』のマティーナ役などを演じている鶴見ゆきさん。初めて会う人には「しっかりしてる」と言われることが多いそうですが、仲良くなると「内弁慶」な性格が顔を出すのだとか。そんな“真の姿”が今後さまざまな場所でお目見えするかも!? 声優になって初めてのインタビューに注目です!

——はじめて声優に興味を持ったのはいつ頃ですか?

鶴見:小学校くらいに観た『機動戦士ガンダムSEED』というアニメで桑島法子さんが2つの役を演じ分けていたのが衝撃で。すごいなって思ったのが最初ですね。その頃、地元の愛知県でオンエアされているアニメは曜日を全部チェックして録画してました。

advertisement

——ということは、相当数、観てますね。

鶴見:そうですね。優しさを教えてくれたのは『夏目友人帳』、性癖を作ってくれたのは『黒執事』です。最初はシエルが年上だったのに、いつのまにか年下になっちゃいました。

——声優のお仕事について学んだことは?

鶴見:高校の時に地元の養成所に2年通いました。でも色々あって一回やめちゃったんです。所内オーディションの日に逃亡して…。その時、私は声優になれないんだなと思って、ファッションの専門学校に進んだんですよ。そこでファッションショーのナレーションをやらせてもらったら、自分の作った洋服が歩いていくのを見るより、しゃべるほうが楽しくて。一番なりたいものを考えた時、やっぱり声優になりたいと思いました。

——それだけ声優に対する想いが強かったんですね。

鶴見:一回あきらめた身だから目指す資格もないって思ってたんですけど、友だちから「泣きたくらいやりたいことをやったほうがいい」と言われて。オーディションも最終まで行って落ちることが多かったから、あきらめがつかなかったんです。でもやっぱり落ちてばかりで、もうダメだ…と思っている時に、今の事務所の養成所を見つけて。甘えを捨てるつもりで1人で上京しました。

——上京して、何か変わりましたか?

鶴見:学ぶのが楽しくなりました。立ち芝居やメソッド演技の勉強もあったので、誰よりも上手くなりたいと思って、家でたくさん練習しました。飯塚雅弓先生に出会えたのは大きかったです。ちゃんとぶつかって向き合ってくださる先生だったので、色々教わりたくていっぱい練習したし、レッスンが終わってからも一番に質問しに行きました。「これからもあなたの持っている世界観を大事にして」って言われたのがうれしかったです。

——どんな世界観を持っているのか気になります。

鶴見:当時は、悲しい世界観が合ってるって言われました。養成所のあだ名は「プリンセス」でしたけど(笑)。審査の時に空手の道着を着ていったり、「働いたら負け」っていうTシャツを着ていったり、好き勝手していたので(笑)。

清楚って言われるけど実は内弁慶です

——幼少期はどんな子どもでしたか?

鶴見:近所にいるのが男の子ばっかりで、一番年下だったし、兄にくっついて男の子たちと遊んでいました。5歳の時に、父と兄が習っていた空手を自分も始めて、ハタチまでやってました。すごく緊張しいなんですけど、試合が始まってしまえば落ち着いて戦えていたので、それは今の仕事にも生きているなと思います。

——注目してほしい個性をアピールするとしたら?

鶴見:私、すごく内弁慶なんですよ! まだ仲良くなれてない人の前ではしっかりしてると思うけど、仲良くなると「5歳の子供みたい」と言われるんです。高校の時は内弁慶すぎて、仲良くない子がひとりでもいると「遊びに行かない」って言ったりしたくらい。でも、友だちは「それもゆきらしいよね」って言ってくれて。小学校と中学校は友だちがいなかったので、高校でいい友だちができてうれしかったです。

——個性を受け止めてくれる友だちがいるのはいいですよね。たしかに、ちゃんとしてるように見えます(笑)。

鶴見:それが、ちゃんとしていないので(笑)。相手を不愉快にさせたくない、面白いことを言おうっていう気持ちが強いから、ちゃんとしなきゃって思うんですけど。今は清楚って言われることもありますけど、これからお仕事を重ねるうちに、内弁慶な自分も見てほしいですね。

徹夜で実況動画を録りました

——これから挑戦していきたい役柄はありますか?

鶴見:キャラクターでいうと難しいんですけど、友だちのいない時期やアニメに支えられていた時期があったので、おこがましいですけど、観ている人にホッとするひとときを届けられるような、現実からちょっと目をそらせる時間をお届けできるようなお芝居をしていきたいと思います。

——最近は『声優e-Sports部』2期生として、ゲーム実況のお仕事もされています。

鶴見:初めてオーディションで受かったお仕事なんです。事務所に入ってすぐだったから、翌日が締め切りなのに提出できる作品がなくて。何はともあれ、実況をするのが一番だと思って、徹夜で実況動画を2本とりました。ホラーとFPS系で、ホラーはちょうどいいところで敵が来てくれたんですけど、FPS系は時間がなくなって…。2次審査に進んだ時も、面談で好きなゲームのことを話しすぎて、マネージャーさんと「しゃべりすぎたね」って話していたし…。

——結果、無事に合格できたんですね。実際に始めてみて、どうですか?

鶴見:楽しいです! 活動実績がないので、私だけ「声優?e-Sports部」だなって思いますけど(笑)。生放送とかコメント動画とか、e-Sports部のスタッフさんに教えてもらったことばかりで、ちょっとずつ成長を見てもらえるといいなと思います。

——ちなみに、よく観ているゲーム実況者はいますか?

鶴見:幕末志士さんが好きです。幕末の志士に扮して実況されているんですけど、坂本龍馬さんがすごくてトークが止まらないんですよ!実況動画は何千回と動画を撮り直して、やっと完成したものを公開するスタイルみたいで、とにかく完成度が高いんです。生放送は1時間弱とか、長くても3時間くらいなんですけど、その間本当にずっと面白いんですよ。エンターテイナーだなって。週に1、2回くらい配信されるので、それが毎週の楽しみになってます。

応援してくださる方に幸せになってほしい

——最近おうち時間が増えていると思いますが、ネットショッピングしたものを教えてください。

鶴見:あんまり家に物を増やさないほうなんです。父親が遊びに来た時も「殺風景だな。おもしろみのない部屋だな」って。何か買う時も、吟味に吟味を重ねます。最近は実録用のマイクを新調しました。周りの人におすすめを聞いたりして、これ!というのを選びましたね。

——部屋にはどんなものがあるんですか?

鶴見:大きなソファを買うのはイヤだから1人用のソファだし、本棚も置きたくないけど本が多いからベッド下に収納して。掃除機もないので、クイックルワイパーとコロコロで掃除してます。実家にいる時はゴチャゴチャしてましたけど、大雑把だから掃除をラクにしたくて。それが大きな理由です(笑)。

——(笑)。次に、寝る前についしてしまうナイトルーティーンを教えてください。

鶴見:実家でもひとりで寝ていたのに、上京してすぐの時は夜ひとりで眠れなくて、ピアノの好きな曲をずっと聞いていて。ジムノペディの3番はすごくよく眠れました。今年は年明けからコナンを観始めて、今800話を超えました。家にいる時はずっとコナンを流してる感じです。

——かなりハマってますね。

鶴見:犯人を見ちゃうんですよ。足に土がついてますねとか、子どものアイスがついてますよとか、凡ミスでバレちゃったり、もう少しねばれば大丈夫って時に自供しちゃったりするから、ここまできたんだからちゃんとせい! って応援しちゃいます(笑)。テレビ放送が1000話ちょっとだから、もうすぐ追いついちゃいますね。どうしよう…。

——次に観るものはこれから探しますか?

鶴見:探すと思います。『銀魂』もたくさん話数があるけど、もう観ちゃったし。今はアニメを観る時期ですけど、実況を観る時期もあれば、読書をする時期もあって。気になる作品があれば、また変わって行くと思います。

——では次に、最近のささいな悩みを教えてください。

鶴見:なんだろう…。うーん…。

——たとえば、ペットボトルの蓋がうまく開けられない、みたいなことでもいいですよ。

鶴見:あ! 私、柔らかい素材のペットボトルが開けられないんですよ。だから布みたいな滑り止めを持ち歩いてます。数年前に電車の中で苦戦していたら、近くにいたおばあちゃんが「あんた、これ使い」って貸してくれて、お礼を言ったら「持っときな」って。左利きなので、ボトルが硬いタイプじゃないと、うまく力が入らないんですよ…。

——本当に当てはまったとは驚きです(笑)。では、これからどんな声優になりたいですか?

鶴見:声優のお仕事を始めてみて驚いたのは、作品に関わっているスタッフさんが思っていた以上に多かったこと。応援してくださる方はもちろん、一緒にお仕事をする方に対しても気づかいを忘れない声優でいたいなって思います。私にしか出せない味を見つけて、長く続けていくことも目標です。

——最後に、鶴見さんを応援しているみなさんにメッセージをお願いします。

鶴見:ちゃんとご飯食べて寝ろよ! って…その前に、いつも応援してくださってありがとうございます、ですよね(笑)。私を応援してくださる方ってマナーがすごくいいというか、みなさん本当にいい人なんですよ。Twitterのリプも本当に丁寧に、時間をかけて言葉を紡いでくれているのが分かるので、私もそれに恩返ししたいなって。だから、ちゃんと元気に幸せになってほしいって気持ちになっちゃいます。

フォロワーのみなさんのTwitterを見るのも好きなんです。ま〜たラーメン食べて!とか、今から仕事なのか〜とか、学校がんばれ!みたいな。元気ない人が多そうだったら自撮りを載せたりして。見守るような気持ちで見ちゃいますね。今はこういう形だけど、今後は直接伝えられる機会があればいいなと思います。だから、それまでちゃんと食べて寝てね (笑)!

——鶴見さん、ありがとうございました!

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

【声優図鑑】鶴見ゆきさんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

鶴見ゆき

鶴見ゆき(つるみ・ゆき) アクロスエンタテインメント所属

鶴見ゆき(つるみ・ゆき)Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=麻布たぬ、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト