内山悠里菜「自分をさらけ出すことも表現の一つだと感じています」【声優図鑑】

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更新日:2021/8/19

内山悠里菜

 キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第267回目に登場するのは、2019年から声優ユニット「DIALOGUE+」のメンバーとして活動する内山悠里菜さん。六石陽菜役を演じる次世代声優育成ゲーム『CUE!』のTVアニメ化も決まり、ますます注目度が上がっています。

幼少期は自己主張が苦手だったものの、声優として仕事の幅が広がるうちに、「自分をさらけ出すことも表現の一つ」と感じるようになったとか。好きなゲーム実況者や漫画、好きな食べ物などプライベートについても聞きました。

小さい頃からお姉さんっ子でした

——2017年にスターダストプロモーションのオーディションに合格して声優デビューしていますが、声優になろうと思ったきっかけは?

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内山:幼い頃からお姉ちゃんとゲームをする機会があって、小学校低学年くらいの時に『テイルズ オブ ファンタジア』というゲームで、キャラクターが喋っているのは声優さんの声だと知ったんです。「この道しかない!」と思ったのは、中学生になってから『カードファイト!!ヴァンガード』の副音声を聞いた時。声優さんってキャラクターに命を吹き込んでプレイヤーの心を揺さぶるだけでなく、いろんな楽しみを届けられる仕事だなと感じて、自分もなりたい気持ちが膨らみました。

——幼少期はどんな子どもでしたか?

内山:いつも人に流されて、授業中もみんなが手をあげてから自分もあげるような、自己主張が苦手な子でした。周りからもおとなしいって言われてました。家族の前では違いますけど。

——というと?

内山:父、母、姉、弟の5人家族で、みんな女子高生の会話みたいなノリなんです。「ばーが」っていう家族の造語があって、誰かがしくじると「ばーが! けけ」って笑ったりとか。失敗を笑える家族で、距離感が近くて、家ではめちゃくちゃお喋りなんです。

——普段はそのノリがなかなか出せないと。

内山:そうですね。結構ずけずけとしたノリなので、同じことをしたら相手を傷つけてしまうかもしれないし、そう思うと喋れなくなります。こんな家族の話をすると、「おもしろいからもっと知りたい」と言ってくださるファンの方もいますけど(笑)。でも小さい頃から、家族で声優ごっこみたいなことをしてました。ドラマのシーンを何時間もかけて再現したり。お姉さんっ子だったから、姉に誘われて、よく真似していました。

——お姉さんからの影響が大きいですね。学生時代にはまっていたことは?

内山:中学の3年間ハンドボール部で、早い段階からスタメンとして試合に出させていただいてました。シュートを決める爽快感が単純に気持ちいいし、ゴールが決まった時の歓声や、「よくやった!」って監督から褒められるのも嬉しかったです。1年生だけが出場する地区大会にも選出してもらって。

——部員同士の結束も固かったんでしょうね。

内山:そうですね。部室の鍵開けを1年生が任されていたんですけど、1度、鍵を職員室に返すのを忘れて、「今日の部活はなしだ」って怒られたことがあったんです。そこで先輩たちが「連帯責任だから」って、先生に「部活をやらせてください」と一緒に謝ってくれて。当時はつらかったけど、今思えばドラマのような1シーンだし、あの頃にしか味わえなかった青春だったなと。

——今、声優になって、自分のアピールポイントは何だと思いますか?

内山:なんだろう…平和主義ではあります。ライバル意識が高くなりやすい業界ですけど、負の感情を持って相手も自分もイヤな気持ちになるのが好きじゃないので。オーディションで受からなくても、相手を妬むのではなく、あの子が頑張っているなら私も頑張らなきゃって思えるので、アピールポイントとは違うかもしれないけど、声優を続けていく上で精神の安定は保てているのかなと思います。

自分をさらけ出すことも表現の一つなのかな

——その穏やかさが個性とも言えそうですね。声優ユニットの「DIALOGUE+」では今年8月、アニサマに出演することが決まっています。

内山:ドキドキです! デビューした年にけやき広場のステージには立たせていただいたんですけど、本ステージは初めてで。客席からステージを見学させていただいたら、めちゃくちゃ広くてペンライトに囲まれていて。ステージからはどんな景色が見えるのか、今から楽しみです。

——多くの声優ユニットが存在するなかで、「DIALOGUE+」はどんな特徴があると思いますか?

内山:声優でありながら素敵な音楽も届けるというコンセプトで、音楽プロデューサーの田淵智也さんが、声優だからこそ歌える楽曲を作ってくださっているんです。でもメンバー8人の声にそれぞれ特徴があるので、私はどの立ち位置なんだろうって悩むこともあります。ぴったりはまる立ち位置を模索している最中です。

——他のメンバーで声の特徴がはっきりしているのは?

内山:守屋亨香さんや鷹村彩花さん。歌声でいうと緒方佑奈さんとか、誰が聞いてもわかる声だから羨ましいです。私は自分の声があんまり好きじゃないこともあって、自分を客観的に見るのが難しくて。でも、可愛い声で歌うことだけを意識していた最初とは違って、最近は自分をさらけ出すことも表現の一つなのかなと思い始めています。

——メンバーには内山さんの立ち位置が見えている?

内山:結成当時は天然って言われてましたけど、芯があって抜けているから、天然というよりポンコツだと思っていて。最近は少しずつ自分をさらけ出せるようになって、「本当はめっちゃお喋りなんだね」と言われるし、ポンコツだとバレてきています (笑)。

——「CUE!」(六石陽菜役)の2ndパーティも8月にあり、忙しい夏になりそうですね。

内山:「CUE!」の場合は内山自身というよりキャラクターに寄り添う部分が多いので、ライブ前にストーリーを読み返したりして、自分自身を出さないようにしています。陽菜ちゃんは正統派でおしとやかなので、私の独特な動きが出たら大変…。

——独特な動き?

内山:メンバーから指摘されるんですけど、「DIALOGUE+」でよく、両手の人差し指で頭を指すような動きをしているみたいで。

——自分のクセを封印するのは難しそうですね(笑)。「声優e-Sports部」では、ゲームの実況を経験してみてどうですか?

内山:ゲーム好きを謎に隠そうしていた時期があったんですよ。でも、ラジオでゲーム好きを発信してから、ゲーム関連のお仕事をできるようになったのが嬉しくて。『荒野行動』がはやっていた頃も、こういうゲームはやらないっていう謎のプライドがあって、でも「フォートナイト」でバトルロイヤルにはまりました。今ではNintendo SwitchからPCに乗り換えたし、勉強のためにもゲーム実況をよく観るんですよ。

——好きな実況者はいますか?

内山:「フォートナイト」だと、ネフライトさんからはまって、はむっぴさんも。大会で1位を獲っているので、普段どういう練習をしているのか気になって。最近はまっている「マインクラフト」では、日常組さんとか、ワイテルズさんとか。ただサバイバルするだけじゃなくて、コマンド入力のおもしろい遊び方もあるので、今度はマイクラの実況もやってみたいです!

ラジオをきっかけに視野が広がった気がします

——プライベートについても伺いますが、よくコンビニで買うものを教えてください。

内山:定期的に買うのはビーフジャーキー。その前は枝豆とか、うずらの卵にもはまっていて、おつまみ系をお菓子みたいな感じで食べます。愛知県出身っていうのも関係しているのか、味の濃いものが好きで。ポテチもバター醤油味とか、味の濃いのばっかり。のり塩は味が足りないので、味を足しちゃいます。

——寝る前にしているナイトルーティーンはありますか?

内山:最近は少女漫画を読みますね。その後に寝ると、学生に戻って恋をしている夢を見るんですよ。恋するとこういう感じかな〜ってドキドキを味わってます。他にも漫画はよく読んでいて、最近のヒットは『転生悪女の黒歴史』。主人公がノートに書いていた妄想の中に転生するんですけど、おもしろくてはまりました。

——声優同士の交友関係も教えてほしいです。

内山:事務所の同期の立沢萌々瑚ちゃんはずっと仲が良くて、さっきもずっとLINEしてました(笑)。「DIALOGUE+」や「CUE!」のメンバーとも朝までゲームしたり。月城亜美ちゃんや高辻麗ちゃんとも仲良くさせていただいてます。麗ちゃんはマイクラの実況とか恋愛リアリティーショーの話で盛り上がります! 今度はお友だちとゲーセンに行ってみたいです。

——これからどんな声優になっていきたいですか?

内山:『凪のあすから』が好きで、P.A.WORKSのアニメに出るのが目標です。でも、お芝居だけでなく、歌やダンス、舞台もできるようになりたいから、今はいろんなキャラクターを演じたい気持ちが大きくて。ラジオも、全然喋れない自分には無理だと思ってましたけど、実際に経験したら「天才」と言われることがあって(笑)。いろんな意味合いがあると思いますけど、声優はインパクトも大事だと思うので、「おもしろい」って言っていただけるのは嬉しいです。

——視野が広がっているんですね。自分の意志を周りに伝えられるようになってきましたか?

内山:なってきました。きっかけとしてはラジオの存在が大きいです。一人しゃべりをする機会が今まではなかったので、自分が喋ることで相手が自分のことを理解してくれると、さらに自分を出しやすくなるというか。おかげで、視野が広がっている気がします。

——これからも楽しみですね。最後に、この記事を読んだ方にメッセージをお願いします。

内山:はじめまして。内山悠里菜です。ここまで読んでくださってありがとうございます。今の活動をまず頑張って、これからいろんな作品に出ていけたらいいなと思っていますので、応援してくださると嬉しいなと思います。これからもよろしくね♪

——内山さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】内山悠里菜さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

内山悠里菜

内山悠里菜(うちやま・ゆりな) スターダストプロモーション所属

内山悠里菜(うちやま・ゆりな) Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=麻布たぬ、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト