メインキャスト5人が語る、『メイドラゴン』の優しさと温かさ――『小林さんちのメイドラゴンS』スーパーちょろゴンず座談会

アニメ

公開日:2021/8/25

小林さんちのメイドラゴンS
TVアニメ『小林さんちのメイドラゴンS』ABCテレビ、TOKYO MX他にて毎週水曜放送中 Ⓒクール教信者・双葉社/ドラゴン生活向上委員会

 2017年に放送された第1期に続いて、4年ぶりに帰ってきたTVアニメ『小林さんちのメイドラゴンS』。OLの小林さんと、彼女の家に転がり込んで人間のメイドの姿でお世話をする異世界のドラゴン・トールを中心に、さまざまなドラゴンと周囲の人間たちが織り成す日常が魅力であり、2017年のTV放送時よりオープニング/エンディングを飾る楽曲が話題になってきた作品でもある。『メイドラゴンS』の主題歌“愛のシュプリーム!”を担当するfhánaのインタビュー(9月1日配信予定)とともにお届けするのは、ドラゴンを演じる5人のメインキャスト=トール役・桑原由気、カンナ役・長縄まりあ、エルマ役・高田憂希、ルコア役・髙橋ミナミ、イルル役・嶺内ともみによるユニット、スーパーちょろゴンずの座談会だ。エンディング主題歌“めいど・うぃず・どらごんず❤︎”やMV収録のエピソード、そして『小林さんちのメイドラゴン』からそれぞれが受け取ったものについて、リリース記念の配信イベントを終えたばかりの5人に語り合ってもらった。

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久しぶりではありつつ、馴染み深い場所に戻ってきた感じがあります(髙橋)

――今日は発売記念の配信イベントでスーパーちょろゴンずとして初めてパフォーマンスを披露したわけですが、どんな体験でしたか?

桑原由気:いつもの楽しい空気感をそのままお届けできたんじゃないかな、と思います。初めてスーパーちょろゴンずで歌うから緊張してる、みたいな感じは1ミリもなく(笑)。わたし自身は「明日大丈夫かなあ?」とドキドキしていたんですけど、ここに来てみんなと会ったらまったく緊張はなくなって楽しかったです。

髙橋ミナミ:嶺内ちゃんが入ってきてくれてスーパーちょろゴンずになって、パワーアップした気持ちはあるんですけど、新しい人が入ってきた感じはなくて。嶺内ちゃんもずっと一緒にいたような馴染み感があるし、このスーパーちょろゴンずがいる空間は絶対に楽しめる場所だなって思います。

嶺内ともみ:わたしは、レコーディングのときからイルルの声のまま歌うのが自分の中でハードルが高くて、今日も歌うまではずっと心配してたんですけど、みんながすごく楽しそうに歌ってくれることもあって、同じように感じることで、徐々に緊張もなくなっていきました。ほんとに、みんなに助けてもらったなっていう気持ちがあります。

――髙橋さんが言ってくれたように、4年ぶりにユニットとして活動しているというよりは、嶺内さんが最初からいたかのような雰囲気がありますよね。この関係性ってどうやってできていったものなんですか。

髙橋:たぶん、作品が持っている雰囲気もあると思うんです。

高田憂希:確かに!

髙橋:1期からアフレコをしてきて、作品の温かさを感じてきたし、ずっと温かい家族のような雰囲気があるんですね。その雰囲気を持って2期も始まったんですけど、そこにイルルが入ってきてくれて――「家族もうひとり、見ぃ~っけ」みたいな(笑)。アフレコを通してより絆が深まったというか、作品が持っている不思議な力もあると思いますし、もともとみんなが持っている性質もあわさって、パズルのピースが揃ったみたいな感覚はあります。

嶺内:わたしが入る前に、4人でやっているニコ生を1期の頃に観ていたんですが、皆さんのテンションの高さが均等というか、高いときはみんな高いし、平均的な高さがみんな同じくらいなのかなって感じていました。

長縄まりあ:なんか嬉しい(笑)。

高田:もう、そこにしっかり入ってるよ。

――『小林さんちのメイドラゴン』は2017年に放送された作品で、4年ぶりに皆さんは集まったわけですけど、『メイドラゴン』は作品のみならず、音楽面でも当時話題になったじゃないですか。楽曲に寄せられた反響で、何か印象的だったことはありましたか。

桑原:“青空のラプソディ”は4年前はもちろんそうですが、「見てたよ」って言っていただけることが今でも多いです。むしろ増えてきたというか。「実は、1期のとき見ていて~」と言われることが増えたねって、ちょうど最近まりあちゃんと話していたんですよ。

長縄:そうなんです。もう何年も前からご一緒してる人が、ほんとに最近になって――「『メイドラゴン』、楽しみにしてるんです」って言ってくれたりしてます(笑)。先に曲を知ってくれて、「作品見たよ」と言ってくださる方もいて、それも嬉しいです。曲と作品がすごく近いなあと思っているので、「見たよ」って言ってもらえるのは嬉しいですし、光栄だなって思います。

髙橋:(1期エンディング主題歌の)“イシュカン・コミュニケーション”には、映像も含めて癒されていたけど、2期ではイルルが入ってきて、勢いがついたエンディングに変わっていて。ファンの皆さんは、“イシュカン・コミュニケーション”も好きだけど、今回の“めいど・うぃず・どらごんず❤︎”もすごく好きでいてくれてるなって感じます。『メイドラゴン』は、もちろん作品も楽しみにしてもらえてはいるんですけど、曲も含めて愛していただけているイメージがあって。ふたつの親和性が本当に高いので、丸ごと愛していただけるというか。MVのYouTubeでの再生数にも、ファンの皆さんの愛が表れているので、わたしたちも「こんなに大事にしてもらってるんだ、嬉しい!」って、直感的に感じられるのが幸せです。

高田:今回のMVは、同じ監督さんが作ってくださってるのが嬉しいですね。

――“めいど・うぃず・どらごんず❤︎”のMVは、映像として魅力的であることはもちろん、出ている皆さんが本当に楽しそうなので、つい引き込まれてしまいます。

高田:もう、ずっと楽しいんです(笑)。『小林さんちのメイドラゴン』という作品に触れていると、なんだか自然と笑顔になっちゃうんですよね。

嶺内:確かに、楽しそうな感じが、どの曲からも伝わってきます。“イシュカン・コミュニケーション”も、かわいい曲だけど、お休み前にちょっと聴くような温かさもあって。エンディングでは、ここにいる人たち全員、ドラゴン同士の仲の良さが伝わってきたので、観ていて「なんて完成度の高い作品なんだ」と思っていました。

――今回、4年ぶりに『小林さんちのメイドラゴン』の新作に参加できることについては、どう感じましたか?

桑原:1期ではドラゴンと人間の出会い、キャラクターの関係性が描かれていたんですけど。とってもきれいにお話がまとまっていたので、ここからどう展開していくのかなって気になっていました。お芝居的にも、4年経っているので自分の声や演じ方がどうなるのかなって思っていたんですけど、マイク前に立って、まりあちゃんと田村睦心さん(小林さん役)と並んでお芝居を始めたら、あまりにもスムーズに収録が進んで(笑)。スッと役に入れたことが、今でも忘れられないです。

長縄:わたしも、カンナを1期のときのようにできるのかなって心配しつつ、台本をチェックして、超緊張しながら収録に行きました。台本を持ってマイク前に立ったとき、睦心さんと桑ちゃんと一緒の並びで、4年前がフラッシュバックして、なんだか感動がありました。

高田:わたしは、『メイドラゴンS』の台本をいただいたときに、「あっ、エルマ1話からおるやん」って(笑)。2期では、1期で明かされていなかったドラゴン同士のコミュニケーションの部分にもフィーチャーされていくお話があって、それも嬉しくて。改めて、帰ってこられて良かったなあ、と思います。

髙橋:帰ってきた感じはもちろんありつつ、ずっと作品とともにあった気がします。だから、すぐに作品に帰ってこられたところもあるのかなって。それくらい、『メイドラゴン』は人生の中ですごく大きな作品です。日常生活の中で、『メイドラゴン』を見ていた人たちが、わたしたちにも「いい作品だったね」って伝え続けてくれていたので、久しぶりに新しい話を録れることになって、「またみんなにこの素敵な日常を見てもらえるんだ」という嬉しさがありました。ご時世的なこともあって、みんなで一緒に録れるわけではないところもありますけど、それでも紡いできた絆があって、そのおかげで台本や画面からみんなの声が自然と聞こえてきたので、久しぶりではありつつ、馴染み深い場所に戻ってきた感じがあります。翔太くん役の石原夏織ちゃんとも、会うたびに『メイドラゴン』の話をしていたので、「久しぶりだね」というよりかは、「いつも振りだね」みたいな感じでした(笑)。

嶺内:わたしは、イルル役に決まってから録り始めるまでにけっこう期間があったのですが、話数を追うごとに作り上げていく、準備していくというよりは、1話からイルルをどうするか決めて臨まなければいけなかったので、緊張しながら収録の現場に向かったんです。でも、皆さんが4年前から築き上げた関係性だったり、掛け合いに助けてもらって、夢中になってやることができたのは大きかったです。

“愛のシュプリーム!”は、歌詞の言葉のひとつひとつから、「いろんな愛の形があっていいんだな」って感じさせてくれる曲(高田)

――今回、スーパーちょろゴンずはfhánaの“愛のシュプリーム!”をカバーしているんですよね。楽曲にはどんな印象を抱きましたか。

髙橋:個人的に、賛美歌のような曲が好きなんです。だから曲を聴いたときに、「すごく好きだなあ」って思うと同時に、「キャラクターで歌えるかな?」と思いました(笑)。レコーディング現場に行って、作曲されたfhánaの佐藤(純一)さんから「キャラクターのよさを出してください」という一言をいただいて、そのおかげで「上手くやらなくちゃ」という気持ちを捨てられました。それぞれの声が合わされば、『メイドラゴン』らしさ、スーパーちょろゴンずらしさは出ると思ったので、まずはルコアが歌う“愛のシュプリーム!”はこれだ!と出せたらいいな、と思いながらレコーディングしました。完成版も素晴らしくて、すごく好きになったので、何度も聴いています。

高田:“ドラゴン”のみんなで愛を歌うのもいいですよね。歌詞のひとつひとつから、「いろんな愛の形があっていいんだな」って感じさせてくれる曲です。ドラゴンたちが人間さんたち、特に小林さんと交流していくことによって受け取った愛を、この曲に込められたらいいなと思いながら歌いました。

桑原:リハーサル用の映像に曲が入っていて、その状態でfhánaさんの“愛のシュプリーム!”を聴いていたんですけど、本当に『メイドラゴン』らしさが出ていて。こんなにポップで楽しいメロディなのにちょっとだけ胸がキュッとなる、泣きそうになる素敵なメロディや歌詞が入っているんです。この曲をドラゴンたちで歌ったら、また違う雰囲気の楽曲になるのかなと思いました。わたしたちが歌ってもピタっとハマるのも、作品のことを考えてくださった楽曲だからなんだなって思えてきて、歌いながら感極まってしまいました。細かい部分まで、愛を込めて歌っているので、何度も聴いていただけたら、そのたびに新たな発見があると思います。

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