高橋花林「“アニメは可愛くないといけない”っていう考え方が変わりました」【声優図鑑+】

アニメ

公開日:2021/8/30

高橋花林

キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。【声優図鑑+(プラス)】では、これまでに「声優図鑑」を飾ってきた声優たちが2度目の登場! 前回を振り返りつつ、成長したことや新たな目標をインタビューし、今の素顔に迫ります。

第10回となる今回は、2016年5月以来約5年ぶりの登場!『アイドルマスター シンデレラガールズ』の森久保乃々役などを演じる高橋花林さんです。
最近は『アサルトリリィ BOUQUET』(ミリアム・ヒルデガルド・v・グロピウス役)で舞台に出演するなど、お仕事の幅を広げています。
幼く聴こえる声や明るい言動で「孫」とも呼ばれる高橋さんですが、果たしてその後の成長は…? 仕事、プライベートと5年間の変化を聞きました。

「舞台に出たい」という目標が叶ってうれしい

——5年前の自分、と言われて思い出せることはありますか?

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高橋:2016年ですよね…。ぜんっぜん思い出せないんですけど(笑)、前回の記事を読んだら、すごく飛んでるというかフワフワしている印象を受けました。20代になったばかりで、インタビューもあまり受けたことがなくて、何を話していいのか分からなかったんでしょうね。その頃に所属していたTrefleの話をしていて、懐かしいな〜と思っていました。

——その頃から「ここが変わった」と思えることは?

高橋:「フリートークが苦手」と前回話していましたけど、以前よりは上手になってきたかなと思います。『A&Gリクエストアワー 阿澄佳奈のキミまち!』というラジオ番組で2年間くらいレポーターをさせていただいた時に、リスナーの方に伝わりやすい話の流れを考える機会があって。自分が質問された時の答え方も、こうしたら伝わりやすいかなってちょっとだけ分かってきた気がします。あと、番組などで誰かにお話を伺うときはできるだけその方について勉強してから臨むようにしています。それでも、「もっと知識があったらこう返せたな」とか「もっといいお話の振り方があったな」という反省がある時もあるのでまだまだ修行中ですね。

——念入りに準備しているんですね。

高橋:はい。それと、人への興味の表し方が分かってきたのかなと。デビューしたばかりの時、「人間に興味ないよね」って言われたことがあって、興味がないわけではなかったんですが会話のキャッチボールがうまくできなかったんです。最近は趣味が増えたのも幸いしてか、話の引き出しを増やすことには成功したのかなと思います。

——思い描いていた声優像に近づいている感じはありますか?

高橋:やっぱり声だけではなく“お芝居”ができる役者になりたいのは変わっていなくて、その中で前回お話していた「舞台もやりたい」という目標は、舞台『アサルトリリィ League of Gardens』で叶いました! 新しい視点や考え方を得られて、学びが多かった作品ですね。

——憧れの舞台に実際に立ってみた感想は?

高橋:第一声としては、やっぱり大変だった(笑)。台本を覚えたり、セリフを言いながら立ち位置についたり、初めてのことがいっぱいでパンクしそうでしたけど、終わったあとは楽しかったと思えて。Trefleでも一緒だった田上真里奈ちゃんがお芝居の相談に乗ってくれたり気にかけてくれたりで心の支えだったし、 演出の松崎史也さんが「これが初舞台で良かったと思える作品にする」と言う趣旨のことを言ってくださって安心してついていけました。支えてくれる人たちがいたからのびのびできてたくさん学ばせてもらえたし、達成感があったのかなと。

——ちなみに、新たな視点を得られたというのは?

高橋:舞台上のお芝居って目線がすごく大事で、目が泳いでいたら気になるし、目線を移動させることで次の注目ポイントを伝えることができると教わって。姿勢や距離だけではなく、セリフはないけど目だけで会話するシーンもあって、想像力が広がったというか、アフレコとはまた違った視点を得られたなと思います。

変な声だけど、それを生かせる役に出会えました

——前回以降だと『アイドルマスター シンデレラガールズ / スターライトステージ』の森久保乃々役が代表作の一つになりましたね。

高橋:驚いたのは、反響がすごい!ってことですね。乃々ちゃんと一緒に歩んでいくことが発表された時、Twitterで信じられないくらいリプライをいただいて、フォロワーも増えたので。それだけに、ライブでは、私の一挙手一投足で乃々ちゃんのイメージが意図しない方に動いてしまうこともあるのかなと、プレッシャーを感じる時もあります。

——たとえば、どんな時ですか?

高橋:初めてライブパートのある生放送に出た時に、Trefleでも慣れていたのでカメラ目線をしていたんです。そしたら、「森久保と目が合う」という感想があって、「そっか。乃々ちゃんはまだ目を合わせられないかもしれないな」と。それからは、ひとつのライブでストーリーを組み立ててパフォーマンスしていて、「歌って楽しくなったから目を合わせちゃった」っていう時とかには前を向くけど、基本は目を合わせないようにしています。

——ファンの方の反応はどうでしたか?

高橋:それが、変化に気づいてくださっている方が多くて! すごく嬉しいですね。そう思うとなおさらしっかりしなきゃと思えて、普段から緊張しないほうですけど、緊張というより、やり遂げるぞ! と言う気持ちがより強くなりました。

——他に、この5年間で印象深かった作品はありますか?

高橋:すべての作品が印象深いですけど、最近でいうと『SSSS.GRIDMAN』の怪獣少女アノシラス役(2代目)。可愛らしいところもあるけど、ちょっと普通とは違うし、笑い方がすごく変で。それを演じた時に監督が「おもしろかったね」と言ってくれたんです。それで『Fate/Grand Order』のヴァン・ゴッホ役では、躊躇いなく不気味さを出せたと言うか、音を濁らせるような喋り方をふんだんに取り入れて演じてみたんです。もともと自分の声は変だなって思ってましたけど、それを生かせたというか、クセのある役を演じさせていただく機会が増えたのは、怪獣少女がきっかけだと思います。

——試行錯誤したことが今に生きているんですね。

高橋:アニメって”可愛く”ないといけないって思っていたんですよ。でも、こんなに気持ち悪い笑い方でもおもしろいとか可愛いって言ってもらえるんだ、と思って。それも乃々ちゃんとの経験があってのことですかね。机の下から喋ったりライブで目を合わせなかったり、今までの私の常識を覆されたと言うか。そういう乃々ちゃんをみんなに愛していただけることも、自信につながっているのだと思います。

——一歩ずつ前進しているのが伝わってきますね。これからさらにチャレンジしたいことは?

高橋:やっぱりキャラクターソングを歌うのが好きなので、ずっと届けていきたいです。『IM@S MUSIC ON THE RADIO』でミンゴスさん(今井麻美さん)が、乃々ちゃんのソロ曲「もりのくにから」を選曲してくださって、ぬーさん(沼倉愛美さん)と一緒にすごく褒めてくださったんですね。乃々ちゃんも、『温泉むすめ』の那菜子ちゃんも、みんな、歌い方の癖や歌に込める気持ちっていう個性を考えながら歌うのが楽しいし。最近はDJが新たな趣味になっていて、とにかく音楽が好きなんです。だからこれからもずっと歌っていきたいです。

精神年齢は大学生くらい…なので料理を始めています

——ネットショッピングでつい買ってしまうものはありますか?

高橋:服とかコスメはよく見ちゃいます。外に出かけないのに新しい服ばっかり買っていて。コスメは、プロのメイクさんに「最近は何が流行ってるんですか?」って質問して、アイテムをチェックするのが好きです!

——プロに聞けば間違いないですね(笑)。

高橋:はい。最近初めて、眉毛の上側を剃ってもらったんですよ。ナチュラルな雰囲気にしたくて手を加えてなかったんですけど、『サンセルモ presents 結婚式は あいのなかで』という番組でウェディングドレスを着させていただいた時に、ドレスに似合う雰囲気にしてもらいたいなと思って。よく知っているメイクさんだったのでお任せしたら、眉毛の山のところを丸く仕上げていただきました。

——新しい自分に出会えたんですね。ファッションはどんな服を買うことが多いですか?

高橋:シンプルだけど形が不思議だったり、キラキラやレースがついている服が好きですね。コロナ禍の前は、3年くらい連続で海外に行って服を買ってましたけど、今はできないのでネットショッピングが多くなりました。

——夜寝る前についしてしまうナイトルーティンは?

高橋:Twitterで何かリツイートすることないかな〜とか、寝る前にSNSをチェックすることが多いです。最近はオフィシャルファンアプリ「かりんのパレット」というものを始めて、日常系の投稿はそこのタイムラインでつぶやくことが多いですね。お仕事のオフショットをアップしたり、ボイスメッセージや私の描いた絵日記とかも更新されたりしています。みんなのコメントが読めるのでそれを読んだりとか、みんなから質問を募集して答えたりもするんです。マネージャーさんが投稿することもあるんですけど、ファンの方の「花林さんってどんな子ですか?」っていう質問に答えているのが興味深かったです(笑)。

——声優同士の交遊関係は、最近どうですか?

高橋:毎週月曜日に更新されている『アサルトリリィ ラジオガーデン-OVERFLOW-』の収録でみけちゃん(井澤美香子ちゃん)によく会っているので、みけちゃんが好きなお笑いの話をしたりラスバレ(アプリゲーム『アサルトリリィ Last Bullet』)の話をしたりするのが楽しいです。次のラジオガーデンはどうしようかって真面目な話も。アサルトリリィのポップアップショップに、こっそり一緒に行ったこともあります。展示会も一緒に行きました(笑)。

——今回は5年間を経て『声優図鑑+」になりましたけど、次の5年後に向けた展望を教えてもらえませんか?

高橋:5年後はもう30代になるので…ちょっと落ち着いていたらいいなって思います!マネージャーさんとお話した時に、もう20代後半になりましたよって言ったら驚かれました。ずっと私のことを見てくれているから、妹や自分の子どものように思ってくださっているみたいなんですよ。私自身も自分のこと大学生くらいの年齢感で捉えていて(笑)、いつまでも子どもっぽいと思われたらダメだよって言われて、最近お料理を始めました。5年後には、家事がテキパキとできて、大人としてちゃんと生きていられたらいいですね。

——最後に、記事を読んでいるみなさんにメッセージをお願いします。

高橋:ここまで読んでくださったあなた、本当にありがとうございます! 5年前、またインタビューを受けることがあったら大人っぽくなっているといいなとお話してましたけど、今でも「孫」と言われるし、実際あんまり変わってないかと……(笑)でも、実は進化しているんだと感じていただけるようにこれからもがんばります。あたたかく見守っていただけたら幸いです!

——高橋さん、ありがとうございました!

【声優図鑑+】高橋花林さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑+」をお楽しみに!

高橋花林

高橋花林(たかはし・かりん) 青二プロダクション所属

高橋花林(たかはし・かりん) Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト