ZIP!気象予報士・くぼてんき氏に聞いた! 本格的な台風シーズン前に知っておきたい防災の正しい情報と備え

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更新日:2021/9/8

くぼてんき: 気象予報士・気象キャスター、防災士

 間もなく本格的な台風シーズンが到来します。

 日本テレビ「ZIP!」の気象キャスターとして活躍し、2021年7月に『くぼてんきの「天気のナンデ?」がわかる本』(あさ出版)を上梓したくぼてんきさんは、防災士としてもさまざまな活動をしているそう。そこで、台風シーズン到来前に、気象災害に関連する防災の基礎知識・対応策についてお話を伺いました。

――日本では、毎年台風のニュースを頻繁に目にしているのですが、いわゆる「台風シーズン」はいつなのでしょう?

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くぼてんきさん(以下:くぼ):8月から9月にかけて本格化し、11月頃まで続く年もありますね。ただ、台風が地震などの災害と違うのは、予測ができるということ。正しい情報を集めて、正しく備えれば命は守れます。

――情報は、天気予報をこまめにチェックすればいいですね。「備え」としては、どんなことがありますか?

くぼ:天気予報を見て、自分の住んでいるところにはいつ台風が最接近して、雨や風が強まるのかを知っておくことが大切です。そして、台風に備えて何をしておくかという、「行動の時間割」を早めに考えておきましょう。

――時間割の内容を教えてください。

くぼ:台風最接近の3日前からだと、このようになります。

<3日前>
・食料や防災グッズを確認して、足りないものがあったら買い出しに行く
・自分や家族が普段から飲んでいる薬があれば、不足しそうな分を病院に取りに行く
・ハザードマップで避難する場所や移動手段をあらかじめ確認しておく

――食料などは、どれぐらいあればいいですか?

くぼ:台風はたいてい1日で通過するので、危険や被害が長引く地震などに比べたら、備蓄は少なくても大丈夫です。ただし、氾濫しやすい川が近くにある場合は、冠水して家から外に出られなくなったり、マンションのエレベーターが動かなくなったりして孤立する可能性があるので、そういう場合は多めの備えが必要。最低でも3日分、可能なら1週間分くらいあると安心です。

――住んでいるところによって、大きく変わりますね。続いて、2日前~半日前までの時間割も教えてください。

くぼ:可能なら、自宅を一番の避難所として過ごすのが理想なんですけどね。その日に、家族全員が同じ場所にいられるとは限らないから、予定の確認は重要です。

<2日前>
・家の周りに飛ばされやすいものはないか確認しておく
・家族の今後の予定を確認し、いざというときのそれぞれの避難場所を決めておく

<1日前>
・スマートフォンなどを充電しておく
・車で避難する場合はガソリンを入れておく
・断水や停電に備え、浴槽に水を張っておく
・自宅周辺に大きな被害が予想されたときは、天気が荒れる前に知人宅やホテルに避難

<半日前>
・テレビやインターネットで雨や風の様子をチェック
・いつでも避難できるよう、動きやすい服装に着替える
・避難指示が発表されたときは、ただちに避難所や安全な場所へ避難を開始する

――ニュースなどでも、「すみやかに、命を守る行動をしてください」とくりかえし呼び掛けてくれています。

くぼ:「注意報」は災害が起こるおそれがあるときに、警報は重大な災害が起こるおそれがあるときに出されます。その基準は地域によって違いますが、「警報」は「出ているときに外にいたら死の危険がある」というほど高いレベルのものです。

 もちろん、「注意報」の段階から十分気をつけなければならないのですが、危険度が上がると「注意報」→「警報」になることは覚えておいてください。そして、「警報」の基準を超えてより重大な災害が起こるおそれが出てくると、「特別警報」が出されることもあります。「大雨特別警報」「暴風特別警報」などが出されるということは、もうすでに災害が発生している可能性が高いので、その前に、避難したり、命を守る行動をするように心がけてください。

――つい、「自分は大丈夫」と思いがちです。

くぼ:正常性バイアスが働いてしまいますからね。子どもはストレートに行動に移す力がありますから、大人たちに対して積極的に避難を呼びかけてほしいと思います。

――防災グッズのおススメなどがありましたら、教えてください。

くぼ:懐中電灯は必須ですが、わが家では、家族全員分の頭につけられるタイプのものを用意して、すぐ取り出せるところに保管しています。あと、浸水するとインフラが機能しなくなりますから、簡易トイレなどを用意しておくと安心です。

――避難所に行ったとしても、インフラ復旧までは時間がかかりそうですから、最低限生活ができるものは準備しておきたいですね。

くぼ:最近、ソロキャンプなどを楽しむ方も増えているようですが、キャンプ用具一式などあると万全だと思います。あと、充電器、コンタクトレンズ、マスクなどの感染防止グッズも今は重要です。意外と忘れがちなのは、現金。コンビニは災害後もすぐに復旧するのですが、電子マネーは使えなくなっていることが多いので、現金がないと買い物ができませんから。

――正しい情報を集めて、備えて、これからどうなるかを予測して行動することが大切。

くぼ:まずはハザードマップを見て、自分が直面しやすい危険を知ることから始めてください。そして、興味を持ってくださった方は、ぜひ防災士資格にもチャレンジしてほしいと思います。家族に防災士がいると安心ですよ。子育て中の女性や、地域のリーダーとして活動されている方、行動力も体力もある中学生ぐらいの若い人にもおススメです。

――確かに!本日は、貴重なお話をありがとうございました。

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