『アイドルマスター シンデレラガールズ』の10年を語る②(赤城みりあ編):黒沢ともよインタビュー

アニメ

公開日:2021/9/30

赤城みりあ
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 2021年、『アイドルマスター シンデレラガールズ』がプロジェクトのスタートから10周年を迎えた。10年の間にTVアニメ化やリズムゲームのヒット、大規模アリーナをめぐるツアーなど躍進してきた『シンデレラガールズ』。多くのアイドル(=キャスト)が加わり、映像・楽曲・ライブのパフォーマンスで、プロデューサー(=ファン)を楽しませてくれている。今回は10周年を記念して、キャスト&クリエイターへのインタビューをたっぷりお届けしたい。第2弾は、初期から『シンデレラガールズ』に参加してきた赤城みりあ役・黒沢ともよに、楽曲やライブの思い出を語ってもらった。


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努力したらその分の結果が出るもの、と教えてくれたのは、応援してくださった皆さんのリアクション

――黒沢さんは2013年から参加されていますが、『アイドルマスター シンデレラガールズ』の10周年について、どのような想いがありますか。

黒沢:長く続いてよかったなあ、すごいなあと思います。最近はたくさんの新しいアイドルが次々に登場しているので、ちょっとOGっぽい感じもありつつ(笑)。どんどん成長細胞が入れ替わっているというか、新しい雰囲気が取り入れられているプロジェクトだなって感じます。

――黒沢さんが演じる赤城みりあと出会ってからも、長い時間が経ちましたね。彼女に出会ったときの印象と、楽曲やお芝居を通して変わってきた印象について、お話を聞かせてください。

黒沢:始まった当時のディレクターさんからは、赤城みりあは無邪気で、アイドルを遊びのように楽しめる純粋無垢な女の子のような人にしたい、というオーダーがありました。不安とか緊張よりも、小学生らしい悩み――宿題間に合わない!とか(笑)、そういう悩みをプロデューサーに相談するけど、天性のアイドル性がある子で、笑顔も絶やさないし人に元気を与えるような存在感が欲しい、とはずっと言われていました。それから歩みを進める中で、徐々にプロデューサーをゆさぶるセリフというか(笑)、衣装もカッコよくなってきたり、「もっとあざとくやってください」「もっと小悪魔っぽく」「元気いっぱいだけど、ちょっと大人っぽい艶っぽい瞳で見上げるような表情をイメージしたセリフのニュアンスが欲しいです」というオーダーも増えてきていて。長く皆さんに応援してもらう中で、みりあが大人になっていく姿をピックアップしようとしてもらえているかなって、毎回の収録で感じることが増えました。

――『シンデレラガールズ』では、わりと演者さんのパーソナルな部分がいつの間にか演じたアイドルに滲んでいく、反映されていく部分もあるのかな、と思います。もともとは1枚のイラストだったけど、ボイスがつくシーンをたくさん演じる中で、どんどん血が通って動き出していくところもあると思うんですが、黒沢さんの中で赤城みりあのイメージはどのように固まっていったんでしょうか。

黒沢:イノセント感というか、純真無垢、素直、元気が最初からのテーマだったので、最初から印象としてはブレていないです。でも、TVアニメになって、アニメーターさんが絵を動かしてくれたときに、クシャっとした表情が多かったことを受けて、(城ケ崎)莉嘉は大人になることを夢見る子ども、みりあは子どもであることを楽しむ子ども、みたいな位置付けが自分の中ではしっくりきて、役を深める手がかりになりました。アニメーションのみりあのクシャって笑いながらピョコピョコしてる動きを思い描いて、ライブのときも動いたりしています。

――みりあを演じていて楽しいと思う部分、逆に難しいなと思う部分は、それぞれどういうところですか。

黒沢:楽しいのは、やっぱり純粋になれるところです。素直になれる、イコール目の前のことがすべて、になれるので、自分もそうなっていくような気がして、みりあとともにすべてのことを素直に楽しめるようになっていると思います。逆に、みりあと自分の年齢が近かったときは、柔軟に考えられたことも、「10歳の女の子ってこんなこと言うのかしら」と25歳の黒沢は考えてしまうところもあり、そこは難しいところではあるなあ、と思っています。

――黒沢さんは子役からキャリアを重ねているわけですが、10代後半から20代前半の間にいろいろな作品に出ていく中で、黒沢さん自身が成長していく過程に『シンデレラガールズ』やみりあがいたのではないかな、と思います。『シンデレラガールズ』に関わってきて、自分の変わった部分や成長した部分、あるいは新しい一面が見つけられたとすれば、それはどういうところだと思いますか。

黒沢:声の仕事を始めてすぐに、一番大きなステージを用意してくださったのが『シンデレラガールズ』でした。もともとアイドルではないから、ステージパフォーマンスはあまり得意ではなかったんですけど、たくさん練習したら「ともよちゃん、歌もダンスもできてすごいね」って言ってもらえたのは、17歳のわたしにはすごく大きかったです。努力したらその分の結果が出るものなんだな、と教えてくれたのは、応援してくださった皆さんのリアクションでした。『シンデレラガールズ』にはアイドルがたくさんいて、お姉様たちの中で大橋彩香ちゃんとわたしだけが圧倒的に年下だったんです。高校3年生くらいで「わからないことはわからない、理由を説明してくれ」みたいな、思春期真っ只中の視野が狭くなってしまう時期に、佳村はるかちゃんや松嵜麗さん、五十嵐裕美さんが「こういうときはこうするといいんだよ」って教えてくれて、皆さんと長い時間を一緒に過ごすことで、勉強することができたなって思います。

――なるほど。始まった当初から同年代として活動してきた大橋さんとのエピソード、それと他のキャストさんの熱い想いに触れて感銘を受けた出来事について聞かせてもらえますか。

黒沢:大橋彩香は、ほんとにお互いの出たてのタイミングに出ていたレギュラーが全部一緒で、『プリキュア』『アイカツ!』『シンデレラガールズ』もそうですね。今でも親戚みたいに仲良くしていて、歌の先生も整体の先生も一緒(笑)。今、ここまで仲良くなったのは、『シンデレラガールズ』は定期的にライブがあって、一緒に進んできた中で、彩ちゃんは基本冷静沈着なので、わたしが困ったときにずっと助けてくれていたからです。皆さんの熱い想いに関しては、事務所の先輩である松嵜さんと五十嵐さんの衣装や髪型などヴィジュアル面に対する想いだったり、こだわりだったりが、カッコいいなあって感じていました。役に対する取り組み方が、クリエイターのひとりのような感じなので、本当にすごいなあって思います。

黒沢ともよ

黒沢ともよ

『アイドルマスター シンデレラガールズ』は故郷(ふるさと)の道場のような感じ

――黒沢さんの中で、特に記憶に残っているライブがあれば教えてください。

黒沢:ライブは全部印象的ですが、ツアーで行った静岡公演が特に印象的です。このツアーまでは必ず大橋彩香がセンターにいたのですが、その公演ははじめてるーりぃ(青木瑠璃子)がツアーリーダーで、センターのライブだったんです。そのときのるーりぃが本当に頑張っていて……。その姿を見ていたので、「成功させなきゃ!」という意識が特に強かったライブでした。あとは個人的に、ドームとか大きいところが好きなので(笑)、『シンデレラガールズ』の単独を西武ドームでできたのは本当に気持ちよくて、超ハッピーだった記憶があります。

――黒沢さんが個人的に思い入れのある楽曲と、その理由を教えてください。

黒沢:思い入れの強い楽曲は、“私色ギフト”です。アニメーションでちゃんと時系列が進んでいって、ストーリーがあって、彼女が生きているまわりの世界も描かれていくことがそれまでになかったので、ストーリーを生きた上でそのまま取り組めた“私色ギフト”はとても思い入れの強い曲のひとつです。歌いながら背景が自分の中で浮かぶので、アニメ関連の曲はすごく好きで、“私色ギフト”や“Shine!!”“GOIN’!!!”もお気に入りです。

普段はゲームで物語が進んでいくので、最初は絵が1枚しかなくて、自分のセリフの中から「きっとこういうことがあったんじゃないか」って、ゲームの音響ディレクターさんと話し合いながら、想像で録っていく作業になるんです。なので、流れを感じて演じられたアニメは特別な時間でした。

――『シンデレラガールズ』はとにかく音楽が多彩で、面白い曲がたくさんあると思うんですけど、その中でも衝撃的だった曲を選ぶとしたら、個人的にはみりあのソロの“Romantic Now”が入ります。

黒沢:おお~っ。イノタク(井上拓)さんがめっちゃ喜びますね。

――まさに、「イノタクさんさすがだな」と思う楽曲ですが、CDとしては2013年にリリースされた曲で、聴いた当時も、今聴いても、すごい曲だなあって思うんですよね。“Romantic Now”の制作当時や、ライブで披露したときのお話をぜひ聞きたいんですけども。

黒沢:“Romantic Now”は、歌っていても聴いていてもとっても楽しくて、大好きな曲です。でも実は、楽曲を初めて聞いた時は「キャラソンなのにただただイケてる!」と不安でした……(笑)。というのも、ある時期まで、『シンデレラガールズ』のソロ曲は“あんずのうた”しか知らなかったんです。“あんずのうた”や“メルヘンデビュー”があまりにもキャッチーだったので、17歳の浅はかな私は、“Romantic Now”でライブで皆さんに盛り上がってもらえるか不安になってしまい、「動けるだけ動かしてほしい、ダンスもなるべく多くつけてほしい」と、あの振り付けを踊ることにしました。1曲のために、考えられないくらいの回数のリハーサルを組んでもらったんです。こんなにキャッチーだねと言ってもらえる楽曲になるとは、当初は思えていなかったんですよね。未熟ゆえに。

――ほんとですか(笑)。

黒沢:“あんずのうた”がわたしを支配していたので(笑)、この曲のために自分ができることを全部しようって思った記憶があります。でも、実際に披露してからは皆さんにすごくキャッチーだねって言っていただけるし、そもそもイノタクさんの曲が素敵ですし。

――同じくみりあのソロの“わたぐも”についてはどうですか。“Romantic Now”とはだいぶテイストが違う楽曲ですけども。

黒沢:西武ドームで1回だけ歌っていますが、みりあがひとりでしゃべっている、プロデューサーとふたりで夕焼けを見ながらしゃべる、みたいなテイストの楽曲ではあったので、大きなドームで、みんなが隣にいるような気分になってくれたらいいなあって思いながら歌わせてもらいました。そのときの照明が本当に素晴らしくて、夕焼けに見えるように最後までオレンジの光を調整してくださったんですね。西武ドームは屋外なので、実際の公演時間にならないと照明の具合は演者にはわからないんです。だから「こんな照明になるんだ!」って、本番で歌いながらわたしも一緒に体感できて、お客さんと同じように実景で夕陽に感動しながら歌えたのは、とても豊かな時間でした。

――黒沢さんにとって、長い時間を一緒に過ごしてきた『シンデレラガールズ』とはどんな存在であるかを一言で言ってもらうとすると、どんな言葉になりますか?

黒沢:え~~っ? 『アイドルマスター シンデレラガールズ』を一言で……う~ん、なんだろうなあ、一言で表すと、ですよね?

――一言じゃなくてもいいですよ(笑)。

黒沢:諦めないでください、まだわたしを諦めないでください(笑)。

――(笑)。

黒沢:声優としての母校のような感じではあります。声の仕事を始めたばかりで、声優としてライブも経験していなかったときに、ちょうどアニメもあって稼働も多くなり、ほぼ毎日『シンデレラガールズ』の仕事をしていた時期がありました。その後で、当時の経験を活かしながら別の作品にも携わり続ける機会が増えて、でもときどき帰ってきてみりあをやらせていただける機会があるので、なんていうんですかね、故郷(ふるさと)の道場みたいな感じです(笑)。

――(笑)面白いですね。でも実際にはその道場を卒業しているわけではなく、現在進行形で関わっている、という。

黒沢:わたしの中で、3rdライブがTVアニメの集大成で、そこで気持ち的には一段落した感覚もあります。3rdライブ以降、自分が前に出る意識がなくなったというか、みりあを押し出すというよりも、ライブ全体として「ここはしっとりパートだな」「ここはみんなに盛り上がってほしい流れだな」って考えて、ライブの成功や、一緒にユニットで出るアイドルが新しい子だったら、その子がかわいく見えるようにポジショニングしよう、ということを考えるようになった気がします。自分に時間をかけていい立ち位置ではなくなった認識があって、もちろん自分もちゃんとやらないといけないけど、まわりのことをよく考えるようになりました。その立ち位置に“みりあとして居る”ことが今の理想です。

――では、10代から今まで、長い時間を一緒に歩んできたみりあに、黒沢さんから今かけたい言葉はなんですか。

黒沢:わたしは10年進んでいますけど、彼女は10歳のままじゃないですか。一緒に成長できていたら楽しかったね、という想いがまずありますね。20歳のみりあが見てみたい気持ちもありますけど、もし10歳のままいるんだとしたら、変わらないでいてほしいなって思います。いつまでも時代に流されず、駆け巡っていてほしいです。

取材・文=清水大輔

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出版社:
日本コロムビア
発売日:
ISBN:
4549767120935