NHK上方漫才コンテスト、ytv漫才新人賞、関西二冠のお笑いコンビ・ビスケットブラザーズに刻まれる“デジタルタトゥー”とは?

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公開日:2021/11/11

ビスケットブラザーズ
ビスケットブラザーズ・きん(左)、原田泰雅(右)

 昨年は『ytv漫才新人賞決定戦』、そして今年9月には『NHK上方漫才コンテスト』と関西賞レース二冠を達成したビスケットブラザーズ。『キングオブコント2019』(TBS系)ではファイナリストにもなっている実力派コンビだが、いまだに「東京の芯は捉えきれていない」という。これからのお笑いシーンをかき回してくれそうな注目の2人を直撃した。

(取材・文=さわだ 撮影=島本絵梨佳)


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『NHK上方漫才コンテスト』では、「歴史の重みをフリに使わせていただきました」

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――『NHK上方漫才コンテスト』優勝おめでとうございます。反響はありましたか?

きん: 東京では『ザ・ベストワン』(TBS系)の収録もありましたし、関西でもたくさん番組に呼んでもらえてます。

原田泰雅(以下、原田): 『上方漫才コンテスト』は今年で51回目と歴史が深いので、特に大阪では仕事がやりやすくなると聞きました。ザ・ぼんちの里見まさと師匠も「第2回はうちが獲ったんよ~」って話しかけてくれましたし、ありがたみを感じてますね。

――これを機に東京進出は?

原田: いや~大阪は飯が安いですからね! 離れられるかどうか……大阪在住で東京の仕事ができるならそれがいいです。

きん: 誰かが強く背中を押してくれたら行きます(笑)。

原田: 大阪でも今までやれなかったトーク番組とかやっと出られるようになったので、もうちょっと力をつけてから行きたいです。まだ僕たち舞台仕様の芸人なので。

――昨年は『ytv漫才新人賞決定戦』でも優勝されました。賞金は何に使われたのですか?

原田: 後輩に自転車買ってあげたりとか、スケールのちっちゃいプロ野球選手みたいなことはしました。

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――原田さんは親に仕送りをもらっていると聞きましたが……。

原田: はい。最近ももらいました。

きん: え? まだもらってんの? こわ……贅沢しなかったら生活できるはずなんですけどね。

原田: それは贅沢がしたいので仕方ないです。あと後輩の結婚のご祝儀がね。3万円って絶妙に嫌な額なんですよ。生活を苦しめるラインをちょうどついてきてる。

きん: こいつからご祝儀もらっても嬉しないな。

――大阪ではさまざまな賞レースに出ていますが、大会によってネタの使い分けはあるんですか?

きん: 『上方漫才コンテスト』だけはありますね。やっぱりNHKさんなんで下ネタとかバイオレンスすぎるものはダメとかいろいろあるんですよ。だからできるだけ上品なネタを選んでました。

原田: 僕らの場合はそんなつもりなくても卑猥に捉えられたりするんで。

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――今年はそのチョイスが生きて優勝につながった?

きん: いや、それが逆なんですよ。今年はそういうのを度外視したネタをやったんです。

原田: 自分たちでやっていて楽しいネタを選びました。「お前らNHKで何やってんねん!」「この大会はそんなんちゃうぞ!」みたいに、スベっても美味しくなるような。それで優勝したんでビックリしました(笑)。

きん: 歴史の重みをフリに使わせていただきました。

2人が感じる東京と大阪の違いは? 「3人目のイケメンツッコミ出てきて! って思われる」

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――霜降り明星さん、コロコロチキチキペッパーズさんなど同期(NSC大阪校33期生)の芸人さんが賞レースで結果を出していますが、意識はされていますか?

原田: コロチキの『キングオブコント(KOC)』優勝が芸歴5年目なんでめちゃめちゃ早かったんですよ。それまでは円熟した芸人さんが獲る大会だと思ってたんで、そんなことってあるん? みたいな。頭真っ白で理解ができなかったです。

きん: 僕なんてナダルと一緒にコンビニでバイトしてましたからね。これからこいつどうなってくん? って。

原田: そんで、きんもフワフワしてたのかわからんですけど、ナダルと一緒にコンビニ辞めたんですよ。あれどういう意味やねん。

きん: 今振り返っても意味わからんです。僕は生活安定してないのに。

原田: でもコロチキにはラインを引いてもらったと感じました。劇場で見てたネタだったので、これくらいウケればいけるんやって。

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――最近では東京でのお仕事も増えてきました。大阪との違いややりづらさなどは感じますか?

原田: 僕らのコントってお客さんにツッコミを入れながら観てもらわないと難しい部分があるんですよ。2017年に初めて『KOC』準決勝進出して東京来たんですけど、みなさん演技うまくていい感じのコントやってる中、僕だけデッカいアフロ被って派手なメイクしてるんです。きんはきんで太ってるし、ちゃんとしたツッコミじゃないし、もうお客さんからしたら「見方わからん!」みたいな。「3人目のイケメンツッコミ出てきて!」って気持ちがすごい伝わってきました(笑)。

きん: 持ち時間4分やったんですけど、ウケ出したのは3分40秒くらいやったかな。そんだけかけてお客さんもやっと見方がわかったみたいで、ラスト20秒だけウケました(笑)。

原田: 後でTwitter見たら、「死ぬほど面白かった!」っていう投稿をしていた2人にだけ刺さってましたね。

きん: 地方営業とか行ってもそんな感じなんですけど、高知かどっかの空港でおじさん1人に出待ちされたこともありました。僕らそういう感じなのかもしれないです(笑)。

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原田: 最近はネタ番組も出させてもらえるようになりましたし、ライブでもウケるようになってきました。でもまだ東京の芯は捉えきれてない感じがします。

原田のプロフィールに刻まれる“デジタルタトゥー”とは?

――仲が良いイメージがありますけど、ケンカはするんですか?

きん: 最近はお互い丸くなってしないですけど、昔は考えられる理由の全パターンでケンカしましたね。

原田: きんって養成所のとき、実家の香川に月2~3回のペースで帰ってたんですよ。ネタ合わせしたいのに出来なくて同期の前で取っ組み合いです。

きん: 単純にホームシックでした。

原田: 当時は金髪にピアスもしてて、さぞかし親に迷惑かけてるんやろうなって思ったらホームシックってなんやねん。めっちゃ腹立ってましたね(笑)。

きん: 原田は会話の仕方を知らなすぎるんですよ。僕にはええんですけど、「ごめん」と「ありがとう」はちゃんと言った方がええでって教えたのを覚えてます(笑)。

原田: 「ありがとう」も「ごめん」も知ってはいたんですけど、ひとりっ子やから18歳まで使うことなかったんですね。

きん: どういうことやねん。ひとりっ子やからとかの問題ちゃうって。

――原田さんはプロフィールの趣味欄に「漫画を作成」とありますけど、どこで読めるのですか?

きん: 言われてしまいましたね。

原田: 漫画なんて描いたことないですよ。

――え? でも、しっかり書いてありますよ。10冊以上って具体的に……。

原田: それ以上は勘弁してください。

きん: 嘘書いてるんですよ! 僕も昔「人間ポンプができる」って嘘書いて消しました! なんで消さなかったん!?

原田: 俺も消したはずやのになんで残ってんの? おかしいわ。デジタルタトゥーやん。

きん: ほんまにあかんで!

原田: いや、でも単独ライブのVTRとかで絵描いたりとかはしてるんで、完全な嘘ではないんです。

きん: 漫画描いてないなら嘘やん。

――漫画の仕事来たらどうするんですか?

原田: それはまぁやりますけど。

きん: え? 大丈夫なん!?

ビスケットブラザーズ

ビスケットブラザーズ 単独ライブ 開催決定!
【東京】 2022年1月14日(金) ルミネ the よしもと
【大阪】 2022年1月22 日(土) よしもと漫才劇場
※詳細は後日、改めて各劇場HPで発表いたします。

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