5年後、10年後へ。10周年を駆け抜けたLiSAの未来像――LiSA『明け星 / 白銀』インタビュー(後編)

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公開日:2021/11/20

LiSA

 LiSAの通算20枚目となる最新シングルにして、3ヶ月連続リリースのラストを飾る『明け星 / 白銀』。LiSA再びとなる『鬼滅の刃』の主題歌であり、テレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編のオープニングとエンディングを担っている、両A面シングルだ。今さら説明するまでもなく、“紅蓮華”と“炎”は我々聴き手のエモーションを揺さぶりまくったわけだが、大きな期待を背負って届けられた“明け星”と“白銀”もまた、シンガー・LiSAの真髄が存分に発揮された、会心の一発である。“from the edge”“炎”で制作をともにしてきた作曲家・梶浦由記によるクリエイションと、LiSA自身の進化を印象づける「対応力」が融合し、見事に結実している2曲について、ダ・ヴィンチニュースでは今回も2本立てのインタビューで、LiSAの最新モードに迫ってみたい。後編では、2021年の活動を振り返りつつ、未来への展望を語ってもらった。

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自分のやるべきことに対して、自分が一生懸命注ぐ。それ以外に、答えなんてない

――2021年も残り1ヶ月半になったわけですが、少し早い質問をさせてください。この1年を一言で表すと、どんな言葉になるでしょう。

LiSA:どんな1年だろう…………「確認」。

――その心は?

LiSA:自分自身の確認もあるし、10周年ということもあって、みんなと積み上げてきたものの確認、という意味でもあるし。状況が少しずつ変わったり、変わらなかったりしている中で、実際に自分がそれを目の当たりにしつつ、次の道を歩き始めるための確認をしている感じがします。

――次の道というのは?

LiSA:15周年です。15周年の自分がどうありたいのかを考えながら、その計画を立てるために、現在地を確認しているのが今です。現在の状況と、みんなの気持ちを確認した上で、どこに行こうか、どう進んでいこうかを確認している感覚ですね。

――今年は10周年イヤーで、記念ミニアルバムの『LADYBUG』でも素晴らしいクリエイターの方々と共同作業をしたり、テレビドラマ『プロミス・シンデレラ』の主題歌も担当したし、『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』とテレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編の主題歌もあった。表現者としては、とても充実した1年だったのでは、と思うんですけども。

LiSA:そうですね。ここまで来たからこそ、できていることばかりだと思います。迷っている感覚はなくて、ここまで来られたから、いろんなことをやらせてもらっているんだなって。10周年パーティーをしている感覚ですね(笑)。

――リリース以外にも、音楽番組には今、頻繁にLiSAの名前がプロットされているじゃないですか。観る側にとってLiSAがいるのは嬉しいし、曲が聴けるのも嬉しいことだと思うけど、求められるものがどんどん大きくなっている、ということでもあるのかなと。その状況については、どう感じてますか。

LiSA:まったく安心感はないですし、そこにずっといられるとも思ってないですね。それが当たり前だと思っていない、というか。そこにいたくないということではなく、ずっといられるかどうかはこれからの自分次第だと思っています。期待が大きくなってることについては、求めてもらっていることは頑張りたいです。たとえばテレビの音楽番組に出させてもらうときって、わたしからすると、ものすごいアーティストさんばかりがそこにいるんですね。自分の歌唱前に「スタンバイお願いします」と言われるまでは、「どうしようかな、大丈夫かな」って、まわりをずっと気にしてます(笑)。本番が始まっても、いろんな方がいらっしゃる現場にいさせてもらうので、すごく緊張はしているけど、いざ自分の歌唱になると、もうそんなことは考えていられないです。だから、そういうことなんだと思う。自分のやるべきことに対して、自分が一生懸命注ぐ。それ以外に、答えなんてなくて。

――カッコいい(笑)。

LiSA:だって、気にしてられないですよ(笑)。だから自分は、そこでちゃんと自信を持てるもの、嘘なく伝えられるものを準備して、見てくれる人たちに向けて精一杯注ぐ。テレビでもライブでも対バンでも、それ以外にできることはないなって思います。そんな自分に、この間音楽番組に出させてもらったときに気がつきました。それまで、何に緊張していたのかわからなかったんですよね。自分が歌うことに緊張してるのか、まわりに人がいることに緊張してるのか、逆にお客さんがいないことに緊張しているのか。何に緊張しているのか、自分の中でわからなくて。

――今でも緊張自体はする。

LiSA:今も緊張はしますよ。でも、歌うときに何をもって覚悟を決めてやっているのか、自分の気持ちを解説できなかったんです。そこに、この間気づきました。対バンのライブ経験もたくさんありますけど、相手のバンドのお客さんのこと、自分のことを見に来ていない人たちのことまで考えると、何もできなくなっちゃうんですよね。まずは、そこにいてくれる人たちに何ができるかを精一杯考えること以外、ライブのときは何も考えていないです。だからさっきの答えでいうと、期待されてることに関しては、気にしてないです。頑張れることは頑張りたいし、頑張れないことは頑張れないし、でも期待してもらえるなら、頑張りたい。だけどその頑張り方は、やっぱり目の前の人たちに精一杯やること、その時間に精一杯注ぐこと以外はないかな、と思います。

LiSA

すごくワクワクしているんです。ライブができなかった長い時間を経て、パワーアップした自分や、世界や、みんなに

――シンプルに聞きます。今年、一番嬉しかったことはなんでしょう。

LiSA:ライブかな。ライブができていること、ライブでみんなに会えたことが一番嬉しいです。

――今年チャレンジした新しいことで、手応えを感じられたことは?

LiSA:表情、です。

――どんなチャレンジを?

LiSA:“往け”のミュージックビデオを撮っているときに、歌っている自分の表情を見ていて――なんだろう、たとえばダンサーさんって、顔の表現がとても上手じゃないですか。表情の作り方が上手で、うらやましいなって思ったんです。「悔しい気持ち」を表現したかったとして、わたしは表情よりも先に身体が動いちゃう。感情表現をするときに、顔よりも身体が動くんです。

――役者ではないんだから、普通はそうでしょうね。

LiSA:ですね。でも、“往け”のミュージックビデオの撮影で、“往け”の音源とは別の音を流しながら演技をしてほしい、感情を表現する演技をしてくださいと言われて。自分の内から出た表現として、身体じゃなく何をもって表現できるんだろう、と思ったときに「顔だ」と思いました。顔の表現はまだ全然駆け出しで、発展途上だけど、頑張りたいです。ある女優さんが、眉毛で演技をしているんですよね。それって、顔の筋肉が全部ちゃんと動いてないと、できないことだと思う。韓国映画の俳優さんも、表情の表現がすごいですよね。まだ研究が足りてないけど、頑張ります。

――12月7日・8日には「LADYBUG」ツアー追加公演の日本武道館ライブがあります。かねて、従来のようにライブができなくなっている状況への不安も言葉にしていたけれど、いろんな記憶が詰まった場所である武道館のステージから届けたい想いについて、今の気持ちを聞かせてください。

LiSA:わたし、すごくワクワクしているんです。ライブができなかった長い時間を経て、パワーアップした自分や、世界や、みんなに。10周年を締めくくるツアーの追加公演だから、ワクワクした感じを持ちながら、その先への思いを一緒に馳せられるような時間になったらいいな、と思います。

――自分自身の未来で、楽しみにしてることとは?

LiSA:それもライブになるんですけど、いつか日産スタジアムでやりたいですね。

――東京ドームではない?

LiSA:東京ドームもいつか叶えたいけど、日産スタジアムは、昔一度だけB’zさんのライブを観たことがあるんです。スタジアムで、みんなと伝説的な日を作りたい。日産スタジアムでみんなで歌ったら、それこそフレディ・マーキュリーじゃないですか(笑)。

――確かに(笑)。15周年の話をしてくれたけど、ガルデモやそれ以前のバンド時代も含めると、本当に長い時間、歌と音楽に捧げてきたじゃないですか。10周年を踏まえて、10年後の自分についてどんなイメージをしてますか。

LiSA:10年後となると、だいぶ遠いですね。まず、今のところ15周年までのわたしは、歌を歌ってます。そして、10年後も歌ってると思います。自分が思い描く未来を見たときに、樹木希林さんのようにいられたらいいな、と思います。樹木希林さんは、最後の最後まで樹木希林さんであり続けたんですよね。そんな女性でいたいな、と思います。

――では、今のLiSAにとって、歌とは、音楽とは何ですか。

LiSA:難しいですね……今現在の話で言うなら、ベタな言い方になるけど、自分自身です。やっと、表現したいことと、表現と、自分自身の考えや音とリズムが、ひとつになってきた感じがしていて。やっと、自由に踊れている感じがするんです。今まで、ずーっと鍛練していた気がします。「魔法、出ろ!」って、ずっと言ってた(笑)。こっちで魔法を出して、あっちで剣を振って、みたいな戦い方で、1個1個しかできなかったですけど、身体が動くようになったというか、意識をしなくてもちゃんと四方八方に向くようになったと思います。ピアノのレッスンのような感じですね。楽譜がなくても勝手に手や足が動く、みたいな。その上で、自分が踊ってる感覚・楽しんでる感覚が、やっとひとつになった感じがします。身体と心の使い方、休ませ方のバランスが取れるようになったし、漠然と自分が感じていた気持ちの答えが出せるようになってきたと思います。

前編はこちら


取材・文=清水大輔  写真=中野敬久
スタイリング=久芳俊夫 ヘアメイク=氏家恵子

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2021年11月28(日)


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