磯村勇斗さんがおすすめする「いろいろな想像力を膨らませてくれる、ロマンのある本」とは?

あの人と本の話 and more

更新日:2021/12/23

磯村勇斗さん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、磯村勇斗さん。

(取材・文=松木智恵 写真=TOWA)

 都市伝説好きで知られる磯村勇斗さんが選んだ一冊は『私が見た未来』。表紙に「大災害は2011年3月」と書かれており、東日本大震災を予言していた本として有名に。さらに完全版には、2025年に新たな大災難が起こるとも記されている。

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「たつき諒さんの予言については元々うわさで聞いていたんです。最初は初期の本を手に入れたくて調べたんですけど、すごい高値が付いていて。これは無理だなと思っていたら完全版が10月に発売されると知って、すぐに予約をしました。読んでみて、皆さんが大災難の予言を信じるか信じないかは置いておいて、まずは本の中にあるメッセージを広める必要があるのかなと思ったので、ここで選ばせていただきました」

 予知夢はあると思う、と磯村さん。

「脳は宇宙と構造が似ているとも言われているし、科学で証明しきれないほどの未知の生態系ですから。僕も仕事中に『あ、このシーンを前に夢で見たな』と思うことが何回かあったので、自分では正夢を見るタイプだと思っています。もちろん大災難は起きないでほしいけど、いろいろな想像力を膨らませてくれるロマンのある本だなって思っています」

 そんな磯村さんは現在、観る人の感性をダイレクトに刺激する唐十郎脚本の舞台『泥人魚』に挑んでいる。

「唐十郎さんの作品は頭で捉えるより、心で感じていくもの。言葉遊びと言いますか、独特な言い回しが多い舞台を創られる方という印象がありました。なので最初にこのお話をいただいた時は驚きましたし、自分がこの舞台に立てるんだろうかという不安もありましたね。いただいた台本を読んだ時の率直な感想は『分からない』でした(笑)。でも何度も読んでいく中で、長崎、諫早湾の通称〝ギロチン堤防〟をテーマに、その地で生きた人たちの魂が蘇ってくるというか、汚れた海が少しずつ美しくなっていくような会話がなされている気がして。そういう世界が描かれている作品なのかなと感じました」

 役作りのため、事前に長崎を訪問。演じる蛍一へ思いを馳せた。

「物語はフィクションではありますけど、実際に堤防を見るか見ないかでは本番の時に思い浮かべられる情景が違いますから。宮沢りえさんをはじめとしたキャストの皆さんは本読みの時点から、ものすごいエネルギーを飛ばしていらっしゃって。僕もここで引いたら負けだなと思って熱を込めました。本番でも常に本気でぶつかっていこうと思います」

ヘアメイク:佐藤友勝 スタイリング:齋藤良介 衣装協力:ジャケット6万3800円、シャツ2万7500円、パンツ3万9600円、ネクタイ7700円(すべてNEEDLES/ネペンテス TEL03-3400-7227)

いそむら・はやと●1992年、静岡県生まれ。近作にドラマ『演じ屋』、大河ドラマ『青天を衝け』、『箱庭のレミング』、映画『東京リベンジャーズ』『劇場版『きのう何食べた?』『彼女が好きなものは』など。出演映画『前科者』が2022年1月28日に公開予定。

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COCOON PRODUCTION 2021『泥人魚』

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作:唐 十郎 演出:金 守珍 出演:宮沢りえ、磯村勇斗ほか Bunkamuraシアターコクーンにて、12月29日(水)まで上演中
●港の町を去って、今は都会の片隅にあるブリキ店で暮らす蛍一(磯村勇斗)。店主の静雄(風間杜夫)は、陽が落ちると急にダンディな夜の詩人と化す。そんな中、蛍一を探して、やすみ(宮沢りえ)という女が現れる。