若松来海「日本人として日本の良さを広めていける声優になりたい」【声優図鑑】

アニメ

公開日:2021/12/13

若松来海

 キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第275回目に登場するのは、『創彩少女庭園』結城まどか役、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』篠目ヨヅル役などを演じる若松来海さん。

幼少期から学生時代は習い事などでメンタルを鍛えられ、地元でのタレント活動を通して役者を目指すように。厳しくも楽しいエピソード満載のインタビューに注目です!

子どもの頃によく言われたのは“ウーマクー”

——声優になりたいと思ったきっかけを教えてください。

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若松:もともと幼稚園の年長さんから新体操をやっていて、大会に出てるのを見たお母さんがミュージカルに誘ってくれたので、中学3年生までミュージカルをやっていたんです。歌が楽しくて、ボイトレに通ったり、地域でアイドル活動をしたりするうちに、自分が一番興味があるのは演技なのかなと思って。その中でも、声優はいろんな職業とか人以外のキャラクターになれたりするのがすごいなと。もともと物語の中に入り込むのも好きなので、自分ではできないことを声優として演じられるようになりたい、と思うようになりました。

——若松さんは沖縄のご出身なんですね。

若松:はい。小学校までは沖縄で、中高は静岡でした。静岡での思い出も多いんですけど、沖縄県が大好きなので、沖縄をPRできるような仕事をすることも将来の夢のひとつです。

——いいところですよね。どんなところが好きですか?

若松:まず人があったかいところです。身内感が強くて、「知り合いだったっけ?」みたいな人ともすぐに打ち解けられます。イベントごとの盛り上がりもすごいんですよ。小学校の運動会にかき氷の屋台が出たりとか、基地がまるごとハロウィンの街になるようなイベントも、子どもの頃はよく参加してました。三姉妹でエイサーっていう伝統芸能を習っていて、祭典に必ず出ていたのもいい思い出です!

——楽しそうな思い出ばかりですね。幼少期はどんな子どもでしたか?

若松:小さい頃から沖縄の言葉で「来海は“ウーマクー”だね」って言われてました。簡単にいうと「どうしようもない、やんちゃな子ども」。よく言えば、好奇心旺盛というか。たしかにいろんなことに興味があるし、人とコミュニケーションを取るのが大好きで、友だちからも「距離がおかしい」「距離感が近すぎる」って言われたりします(笑)。

学生時代にメンタルを鍛えられました

——中高生を過ごした静岡ではどんな思い出がありますか?

若松:中学までは新体操を習っていて、高校ではダンス部と生徒会に入っていたんですけど、うちは勉強重視のスパルタ教育だったので、中学生の頃は勉強ばっかりしていました。2泊3日で塾の合宿があったんですけど、ご飯の時間は10分だけ、移動時間も「走れー!」って言われて、朝8時半から夜10時まで勉強。年始も朝からフルで授業があったんですよ。厳しいからこそみんな仲良くて…早朝に起きて初日の出を見に行ったりして楽しかったです(笑)。

——高校の生徒会では副会長を務めていたとか。

若松:3年間、副会長でした。本当は高校2年生の代から役職が決まるんですけど、なぜか1年生の頃に先生から声をかけられて、2代連続で務めることに。副会長って、全校生徒が集まるような会の司会をしたりインタビューをしたり、人前で喋ることが多くて。その頃から人前に立つことは好きだったんだろうなと思います。

——高校生の頃、アルバイトで稼いだお金で東京に通っていたというのは?

若松:お仕事で東京に通うようになったんですけど、習い事ではなくお芝居を職業にすることを親から反対されて、お金は出せないよと言われたから、それなら自分で稼ごう!と。高校の3年間、平日は塾、週末は巫女のアルバイトをしながら、レッスンやオーディションで東京に通っていました。忙しかったけど、学校で友だちと遊ぶのが息抜きでしたね。友だちのおばあちゃんがやっている中華料理屋さんに出前を頼んだりとか。生徒会役員だったし、ラーメンを教室で食べる勇気はなくて、隠れてコソコソと食べましたけど(笑)。

——まさに青春ですね(笑)。大変な時期も友だち同士で楽しく過ごそうという。

若松:私としては楽しかったです。私、小学校の頃の新体操が一番大変だったんです。新体操の先生って怖いのが“あるある”みたいで。どれだけ怒られても「もっと練習させてください!」と食らいつく根性が小学生の時に養われた気がします。

——それで厳しい毎日にも耐えられたと。

若松:小学校の頃にメンタルが強化されたのかもしれません。今では、少し優しくされると「甘やかされてるのかな」って思うことがあります(笑)。

日本人として日本の良さを広めていける声優に

——声優になりたてのお仕事で覚えていることはありますか?

若松:そうですね…。『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』の篠目ヨヅル役は、自分とは全然違うキャラクターだったから戸惑いが多くて。落ち着いて淡々と喋るような女の子なんですけど、気を抜くと抑揚がついて不自然になるので、周りの方のアドバイスをいただきながら心を鎮めて演じています。「任せてもらっている役なんだだから、OKを出してもらえたならそれが正解なんだよ」っていうマネージャーさんの言葉を信じながら。

——頼りになる言葉ですね。『創彩少女庭園』結城まどか役は天真爛漫のキャラクターなので、ご自身の雰囲気に近いような…。

若松:私の性格そのままで演じさせていただいてます(笑)最初はそこまで意識していなかったんですけど、演じているうちにどんどん似てきている気がします。私は“やらかし”が多くて、お水を現場でこぼした時に「まどかならやりそう」と言われたりして(笑)。一緒に演じている黒木ほの香さん、大和田仁美さんも、そのまんまだなあって。3人揃って、そのまんまの雰囲気をお届けしています!

——これから演じてみたい役はありますか?

若松:読書が好きで、特に森見登美彦さんの作品が大好きです!アニメ化された作品でも、原作を読んだ時のような空気感がスルッと入ってきて、私がやりたいのはこれだ!私もこういう演技をする人になりたい!と。森見さんの作品に出るのは目標の一つだし、小さい頃から見ているアニメにも声をあててみたいです。『トムとジェリー』から始まり、『サウスパーク』『スポンジ・ボブ』『おくびょうなカーレッジくん』などが大好きです。

——英語も得意なんですよね。

若松:小さな頃から習っていたので日常会話くらいは…どちらかというと喋るより書くほうが得意ですね。これは声優に限らずですが、海外でも通用する人間になりたくて、今でも英語をトレーニングしてます。ゆくゆくは、声優を介して得られたお仕事やイベントなどで、日本人として日本の良さを広めていける声優になりたいです。森見さんや泉鏡花さんの作品って、日本語で読んだほうが断然面白いんですよ。海外の人たちにも原文のまま読んでほしくて、それを促していけるようなお仕事をしたいです。

——ご自身でも小説を書くのが特技だとか。

若松:好きと言っていたら、いつのまにか特技になってしまって(笑)。物語に入り込むのが好きなので、道端歩いていていいな〜と思ったら「作詞しちゃおう」みたいな、“こじらせ”っぽいんですけど(笑)。書くことが好きなんだと思います。

——最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

若松:私は元気はつらつで、「よく食べてよく寝てよく笑う若松来海です」がキャッチフレーズなんですけど、まさにその通りにハッピーに生きています。みなさんも、よく食べてよく寝てよく笑って、はつらつに生きていきましょう!

——若松さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】若松来海さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

若松来海

若松来海(わかまつ・くるみ) スターダストプロモーション所属

若松来海(わかまつ・くるみ)Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト