1オクターブ半音域を拡げた男が語る自分の歌を磨き上げるコツとは? 人気歌い手ウォルピスカーターインタビュー

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公開日:2022/1/14

自分の声をチカラにする

著:
出版社:
KADOKAWA
発売日:
自分の声をチカラにする
『自分の声をチカラにする』(ウォルピスカーター/KADOKAWA)

 ニコニコ動画やYouTubeなどで動画の総再生回数が3億回を超える人気歌い手ウォルピスカーターさん。自己流のボイトレ法で1オクターブ半も音域を拡げたことも注目を集め、高音出したい系男子としてラジオなど活動の幅を広げている。その初の著書となる『自分の声をチカラにする』(KADOKAWA)が2021年12月16日に発売された。本記事では、ウォルピスカーターさんの歌に対する意識についてインタビュー形式で紹介していく。

(取材・文=山岸南美 イラスト=docco)

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幾度となく録音を繰り返し、徹底的に自分の声を知るところからスタートする

――ウォルピスカーターさんが自分の歌の良し悪しを意識するようになったのはいつ頃ですか?

ウォルピスカーターさん(以下、ウォルピスカーター):歌いはじめてすぐでした。といっても、僕の場合は高校で軽音楽部に入っていたので録音して聴き直すというのが当たり前の環境だったのも大きいです。なので、意識する前からやっていたことでもありますね。自分の歌を録音して聴き直すと「こんな声で歌ってんの!?」って驚くと思うし、気恥ずかしいような感じもあると思いますが、すごく大事なんですよ。

――聴き直してどういう部分を直していくんですか?

ウォルピスカーター:初期の頃によくあるのは、歌いまわしが変にかっこつけているように聴こえてしまうことですね。初めて自分の歌を聴いたときに「なんだこれ……」って思えたら伸びしろがあります。むしろ怖いのは「意外に歌えてるじゃん」って感じてしまうことですね。歌いはじめたばかりで上手に歌えるなんてことはほぼないので、自分で自分の歌声に酔ってしまっているという可能性が高いです。ほかにも、ビブラートの長さやこぶしを入れる箇所を少しずつ調整していくと曲全体がまとまっていくと思います。

他人の厳しい意見も受け入れて、自分の声をブラッシュアップする

――自分で聴く以外に自分の声を知る方法というのもあるんですか?

ウォルピスカーター:自分で聴く、というのは絶対にやってほしいことですが、自分以外の人に聴いてもらって意見をもらうのも大事なステップです。僕の場合は「歌ってみた」という環境があったので、リスナーの人から「かっこつけてる」とか「高音がきれいに出てない」という指摘をもらうことが多かったです。それ以外にも仲の良い友だちの前で歌ってどんなふうに聴こえているのかを教えてもらうことはありますね。ただ、このときに「上手だよ」とか表面的なことを言ってくれる友だちだとあまり収穫がないので、ズバッと指摘してくれるような人間関係を築いておくのも必要になってきます。

――他人に自分の歌をダメ出しされるのは精神的につらくないですか?

ウォルピスカーター:もちろんつらいです。「歌ってみた」で動画をアップする時は当然上手に歌えたと思っている場合が多いですし、それなりに試行錯誤を重ねた結果に対してマイナスの意見をもらうのはダメージが大きい。それでも自分の歌がどんなふうに聴こえているのかを客観的に知るためには、このつらい時期を乗り越えないといけないんです。ある種の素直さや、柔軟さが自分の歌になっていくんだと思います。

他人のテクニックを真似て、歌の幅が広がっていく

他人のテクニックを真似て、歌の幅が広がっていく

――歌の上手い、下手にはテクニックの部分も入ってくると思いますが、ウォルピスカーターさんはどのようにテクニックを身につけたんでしょうか。

ウォルピスカーター:一番手っ取り早いのは自分以外の人が歌っているのを真似ることです。歌い方を真似るというと、声の出し方だけに注目しがちですが、きちんと身振り手振りまでコピーするのが僕は大切だと思っています。例えば、好きな歌手のライブ映像や歌番組で歌っている姿を見て、手を伸ばしているのか、足に力が入る瞬間はどこなのかまでしっかりと見ていきます。そうすると、声の出し方がより正確につかめるようになっていくんです。

――テクニックを習得できたあとで、自分なりに歌に加えていけばそれがアレンジになるということですね。

ウォルピスカーター:アレンジというと、テクニックを自分で0から生み出したりその人しか持っていない個性を出したりするように思われてしまうのですが、そんなことはほぼないです。アレンジというのは、既存のテクニックを自分なりに吸収してアウトプットに変えていくということだと思っているので、テクニックが何もない状態ではアレンジを入れることができません。なので、真似るというのを恐れずにやってみてほしいと思います。

歌う前に自分の気持ちを整え、最高のパフォーマンスを

歌う前に自分の気持ちを整え、最高のパフォーマンスを

――歌に必要なものはテクニック以外の部分だとどういったものがありますか?

ウォルピスカーター:よく言われることですが、なにより自分の気持ちを整えることが大切です。例えば失恋の歌を歌うなら寂しい気持ちを作りこんでおく。楽しい曲を歌うなら自分の気持ちを盛り上げてから歌うことですね。ほかにも、高音が続く曲なら「絶対に出せる!」と高音を出しながら気持ちを高めたりしています。このときに、ちゃんと高音を出しながら自分に肯定的な言葉を投げかけるのが大切になってきます。「高音を実際に出せている」という経験が自分に自信を与えてくれるし、本当に出るようになるんですよ。

――気持ちを盛り上げるためにしていることはほかにもあるんですか?

ウォルピスカーター:歌う前には身体をほぐすようにしています。足を動かしたり肩甲骨まわりをほぐしたりすると、身体が温まってきてより声が出やすくなります。僕はライブ前によく緊張するんですが、そういう時には鏡に向かって笑顔で高笑いしています。まわりから見たら結構引かれる絵面だと思いますけど、緊張は歌う時に悪い影響が出てしまうので。

――緊張しているとどういった悪影響が出るんでしょうか?

ウォルピスカーター:緊張している状態だと喉が渇くのが一番大きな問題ですね。喉に水分が少ない状態だと高音もかすれてしまいますし、それ以外の音もきれいに繋がらなくなってしまいます。身体の動きも悪くなってしまうので、なるべく緊張しないような環境を作ることは意識しています。さきほど気分の調子を整えることが大事という話をしましたが、緊張していると気分も乗らず、曲調に合ったパフォーマンスが出来なくなってしまいます。

――最後に、書籍でボイトレ法について語っているとのことですが、読者に伝えたいことはありますか?

ウォルピスカーター:僕は、既存のボイトレに「なるほど!」と思える部分があまりなくて、仕方なく自己流のボイトレを模索してきました。なので、既存のボイトレでしっくりくる人はそれを続けてもらっていいと思っています。僕がこの本で伝えたいのは、僕と同じように今世の中に広がっているボイトレが理解できない人に「こういう道もあるよ」と教えてあげたい。ボイトレが理解できないからといって歌の道を諦める必要もないし、それで折れてしまうにはもったいない人がたくさんいると思います。また、僕がボイトレを始めた頃はまだ高音に特化した先駆者があまりいなかったので、これから高音を極めたいと思っている人たちにも届けばいいなと思っています。

読者に伝えたいこと

【著者プロフィール】
ウォルピスカーター
“高音出したい系男子”の異名を持ち、ハイトーンボイスを武器に多くのファンを魅了する人気歌い手。実直な“高音”へのこだわりを掲げる「ウォルピス社」社長でもある。ニコニコ動画やYouTubeで投稿した動画の累計再生回数は3億回を突破し、動画投稿だけではなく、これまでに4枚のアルバムをリリース。過去開催されたワンマンLIVEは全てSOLD OUTするほどの人気を誇る。レギュラーでラジオパーソナリティーも務めるなど、多方面で活躍。
YouTube:https://www.youtube.com/c/wolpiscarter
Twitter:@wolpis_kater
公式サイト:https://wolpiscarter.com/

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