「描きたいのは、女の子がエロいと思う女の子」人気イラストレーター・tamimoon、創作の裏側

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公開日:2022/2/11

IDENTITY
『IDENTITY』(tamimoon/KADOKAWA)

 街のどこかにいそうでいながら、それでいて浮世離れした尊さをもつ女の子たち。2022年2月現在、フォロワーがTwitter21万、Instagram18万を超える人気イラストレーター・tamimoonが、2月12日に初となる画集『IDENTITY』(KADOKAWA)を上梓した。これまで多くを語ることのなかった本人に、制作に込めた想いについて伺う。

(取材・文=中村真紀)

――tamimoonさんの描くイラストの女の子たちは、放つムードがとても独特です。どんな点を意識して描いていますか?

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tamimoonさん(以下、t) 「色気」はすごく意識しています。女の子から見てエロいと思う女の子、というか。いやらしくないヘルシーなエロさ、色っぽさを描きたいと思っています。服は着ているけど胸元がぐっとあいているとか、上はちゃんと着ているけど、下はパンツだけとか。ほくろの位置とかも重要だったりします。

――生身の人間の存在感を、ものすごく感じます。

t でも、活動初期はどちらかというと、もっと人間味のうすい子たちを描いていたんです。やたら細かったり、色が白かったり、絵全体の色味も彩度低めというか。そういうのがスタイリッシュだと思っていたんですよね。

――それがなぜ、いまのスタイルに?

t 描いているうちに、だんだん女の子たちのことが好きになって、感情移入してきちゃって。実際にいるような、存在感ある女の子たちを描きたいと思うようになっていったんです。いまはどこか浮世離れしているんだけれど、こんな子いたらいいな、どこかにいそうだな、っていうバランスを意識しています。

――唇、手など、それぞれのパーツにすごく臨場感があるように感じます。

t 私、フェチを感じるパーツが多いんです。唇、手はもちろん、目にかかる前髪もすごく好き。あと、わざと汚した感じというか。タバコに口紅のあとがついていたり、染めた髪の根元が黒かったり。これもフェチのひとつなんですけど。いっきに存在感が出ませんか? そういうリアリティから、見ている人が何か感じてくれたらいいな、と。

――街で見かけた女性にアイデアを得て描くこともありますか?

t それはないですね。基本的に、私の絵は妄想なんです(笑)。街中の人を、あ、あの人かわいい、とか思うことはあっても、それを絵に活かすことはほぼない。やっぱり私が描く女の子は、いそうでいていない、リアリティがありながらも現実には存在しない子たちなので。

――すべてのアイデアは、tamimoonさんの頭の中から生まれる?

t 私が本当にかわいいと思う女の子たちに、妄想の中で「これ着てね」って着させたい服を渡して、それを私が写真に収めているっていう感覚です。私がスタイリスト、ヘアメイク、カメラマンをすべて兼ねているような。そういう目線で見ると、私のイラストってまた見え方が変わってくるんじゃないかな、って思います。

――描いていて難しいところはなんですか?

t もっとかわいくなるだろう、って常に考えています。顔を描いた時点ではいい感じだったのに、髪の毛をかぶせたら全然違った雰囲気になったりもするんで。なんでかわいくなくなるんだよ! もっとかわいくなれるだろ!って。かわいくさせるのは自分なんですけど(笑)。

――「かわいい」、をとことん追求する?

t 私は美大で勉強したこともなくて独学なので、画力には自信がないんです。だから、女の子のかわいさで勝負、というか。誰よりもかわいい女の子が描けるイラストレーターでありたい、って思っています。

――今回の画集は、どんな作品になりましたか?

t 私自身初めての画集なので、 出版されたことがもう本当にうれしいです。巻頭にグラビアがあって、うしろのほうにファッションページ、メイクページが入っているっていう、雑誌っぽい構成もすごく気に入っています。

『IDENTITY』目次
『IDENTITY』目次

――「REAL」「VIRTUAL」という章立ても興味深かったです。

t 私もそこがすごく好きなポイントで。「REAL」パートでは、温度が高めの女の子たち、それが「VIRTUAL」で、ちょっと無機質な感じに。そこからまた色味のある世界に戻っていくっていう流れが、我ながらいいなって(笑)。

――そして何よりも、巻頭を飾っている5人の女の子たちのプロフィール発表。ファンにはたまらないと思います。

t この子たちが主要メンバーです、っていうアナウンスは、これまでしたことなかったんですけど、私のSNSでよく登場する5人なんです。今回この画集の出版をきっかけに、彼女たちに名前をつけました。

――名前をつけた理由は、ほかにもあるそうですね。

t そうなんです。これからやっていきたいことがあって、そのためには名前とプロフィールが必要だな、と。そのあたりは画集の中のロングインタビューで、ぜひ(笑)。

 ほかにも、絵を描き始めたきっかけとか、これまであまりパブリックに語ったことのないテーマについてじっくりお話しています。画集のための描き下ろしイラストと一緒に、みなさんに楽しんでいただければうれしいです。

【著者プロフィール】
tamimoon
2020年よりSNSを中心に活動を開始したドロウイングアーティスト。フェティッシュな女性のイラストで人気に火がつき、1年経たずしてSNS総フォロワー数が30万人を突破。

『IDENTITY』の出版を記念し、カドカワストアにてオリジナルグッズが受注販売中 https://store.kadokawa.co.jp/shop/e/eti0375/ (受注期間:2022年2月11日 ~ 2022年2月27日、発送予定:3月下旬ごろ)

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