徳井青空「いろんな人を巻き込んだ楽しいビジネス展開が大好きなんです」【声優図鑑】

アニメ

更新日:2022/2/14

徳井青空

 キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチWebの恒例企画『声優図鑑』。第281回目に登場するのは、『ラブライブ!』矢澤にこ役、『ウマ娘 プリティーダービー』テイエムオペラオー役などを演じる徳井さんです。

数多くの人気作品に出演しながら、漫画やお笑い、オカルトなど、趣味を生かした活動も増えている徳井さん。最近は「自分の着替えのひとつ」と語るバーチャルアバター「徳井V青空」も話題になっています。そのアイデアの源や、転機になった作品などを聞きました。

『ミルキィホームズ』のネロ役はもう一人の自分

——声優になる前は、漫画家や芸人などエンタメ系のさまざまなジャンルに興味を持っていたそうですが、子どもの頃にどんなものから刺激を受けて、その感性が育っていったのでしょうか。

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徳井:初めてアニメを観たり、漫画を読んだり、ゲームをしたりっていうメディアミックス的な展開に触れたのはポケモンで、その影響は大きいのかなと思いますね。ちょうどゲームが出てきて、流行り始めたのが小学校低学年の頃。それが、グッズを集めたりポケモンセンターに行ったりするようなオタク的な活動のきっかけになりました。

——漫画を描き始めたのは?

徳井:家に漫画がたくさんあったし、コロコロコミックやジャンプでギャグ漫画を読むのも好きで、自分もギャグ漫画を描くようになりました。もともと王道の冒険漫画や四コマ漫画をよく描いていたんですけど、連載の時に描きたいと思ったのはやっぱり四コマ漫画でしたね。

——声優になってから転機になった作品は何でしょう。

徳井:『ミルキィホームズ』です。養成所(ドワンゴクリエイティブスクール)に通っている時に「参加してみませんか」とお声がけいただいて、声優デビューのきっかけになった作品なので。最初はゲームの出演でしたけど、そこからゲームの主題歌を声優さんたちと歌ったり、アニメに出させてもらったり、想像以上の展開があって驚きました。

——ライブ活動も始まっていきましたね。

徳井 :声優さんが歌ったり踊ったりするステージは今までもありましたが、キャラクターと同じ衣装を着続けて定期的なライブを行うのは、『ミルキィホームズ』が開拓したスタイルなのかなと思っています。最初はゲーム、その後はアニメの新シリーズに合わせた衣装で、基本的には変わらず4色。常にキャラクターを背負ってステージに立っていました。「『ミルキィホームズ』はファミリー」ってよく言うんですけど、ネロはもう一人の自分であり、キャラクターも含めてみんなファミリーだなと感じます。

8人のためにも頑張っていたμ’s時代

——『ラブライブ!』のμ’sもその流れの一つに乗った作品なんでしょうか。

徳井:そうですね。プロデューサーの方がミルキィのライブを観て影響を受けたという話を聞いて、やっぱりすべてはミルキィから始まっているんだなと思いつつ、スクールアイドルがライブをするという新しい形も加わっていて。音楽が中心となった物語で、ミルキィ以上に楽曲に力を入れて作られた作品だと感じます。

——楽曲の良さというのは、メンバーの徳井さんご自身も感じていましたか?

徳井:はい、当時から本当にいい曲ばかりだな〜と思ってました。ライブ前にたくさん練習するんですけど、いい曲だから何度も練習したくなるし、聴くたびにやっぱりいい曲だなって。ライブで披露できる楽曲の数は限られているから、「今回はあの曲が聴けないのか〜」とか「この曲を披露できて嬉しい」とか、自分たちの曲だけどファンのひとりとして楽しんでいるところがありましたね。

——スクールアイドルというのも応援したくなる存在で。

徳井:女の子が9人も出てくるだけですごく幸せな空間だと思いますけど、みんなかわいいのに中身はすごくスポ根というか(笑)。本当に力強いし、9人それぞれが強い意志を持っているからこそ憧れがすごくあるような気がします。9人に「ついていきたくなる」っていうのが魅力だなと。

——後輩たちも続々と登場していますね。

徳井:そんなふうに物語が受け継がれていくとは思っていなかったので、すごくうれしいですね。一番新しい『ラブライブ!スーパースター!!』のLiella!では公募で決まった伊達さゆりちゃんがセンターを務めているんですけど、小学校の頃から作品を観てくれていたらしくて。私たちが一生懸命頑張ってきた姿を見て、自分もそこに参加したいと思ってくれたなんて、うわーすごい!って思いました。すごくうれしいです。

——すごいことですよね。みなさんが本当に頑張ってきたからだと思いますが、その頃を振り返ると、μ’sはどんなグループだったと感じますか。

徳井:最高のチームワークだったと思います。タレントさんとか歌手の子とか、みんな経歴が違っていて、「声優さんだけじゃないチームってどんな感じだろう」って最初は思っていましたけど、それがすごくいいバランスで。たとえば、お芝居のことは経験豊富な南條(愛乃)さんに聞いたり、ライブでは歌手のPileちゃんの振る舞いを参考にしたりして、みんながリスペクトしあっていたのがよかったのかなと思います。

——素晴らしいチームワークを通して得たものもありましたか?

徳井:それはすごくあると思います。作品が盛り上がって得られたことももちろんありますけど、μ’sというチームの中で、自分のためというより8人のためにライブを頑張りたいとか、みんなの力になりたいって思うようなエネルギーの生まれ方がすごくあって。得られたものはすごく大きいし、忘れられない経験になりました。

いろんな人を巻き込んでものづくりをするのが好き

——2020年4月にはYouTubeのチャンネルも開設していますね。もっともチャレンジングだったのはどんな企画ですか?

徳井:アプリを利用して「まったく知らない人と電話で話す」っていう企画は新鮮でしたね。こういう仕事をしているとネットで知らない人と出会う機会ってなかなかないじゃないですか。「もしもし」の第一声でプツンと切られちゃうという失敗が何度もありましたね。作った感じの声ではなく、ノーマルなテンションのほうがうまくいきました(笑)。

——他にも、さまざまな業界の方が集まるイベントに参加するなど、マルチな活動が年々増えていますね。

徳井:もともと趣味が多くて、ものを作るのが大好きだし、体が趣味でできているようなタイプなので(笑)。それがどんどんお仕事につながるのはうれしいですね。興味があることを楽しんでやっているだけ、みたいなところもあります。趣味の延長だからこそ極めたくなって、試行錯誤しながら楽しんでます。

——最近は本人のバーチャルアバター『徳井V青空』も話題になっていますが。

徳井:これからバーチャル空間での展開があった時に、これまでの経験を生かした“自分”としてその場を楽しみたくて、どうしてもやってみたかったんです。私の顔がまったく出ないVだけの番組もあって、「ラブライブに出演して…」みたいに、私自身を俯瞰したような発言もできるのが面白いなと思ってます。設定上ではなく、私の「着替えのひとつ」みたいなイメージですね。

——バーチャルアバターもそうですけど、お仕事で次の時代を見据えていきたいといったお気持ちもあるのでしょうか?

徳井:楽しいビジネス展開が大好きで、テレビでも『カンブリア宮殿』と『ガイアの夜明け』は毎週録画して観てるんですよ。いろんな人たちのものづくりによって社会が動いていくのがすごく面白いなと。なので、YouTubeの企画もみんなで作るのが面白くて、いろんな人を巻き込んでいます。

——ちなみに、ソロデビューする声優さんが多い中で、これまでにデビューを考えたことは?

徳井:ありがたいことに何度かお声がけいただいたことがあるんですけど、やっぱり自分はキャラクターとして歌うのが大好きなので、自分自身で歌うとなった時に、楽しめるかどうかわからなかったんです。キャラクターの気持ちを芝居や歌で表現するのが好きなんですよね。

やりたいことがありすぎて時間が足りません(笑)

——忙しい毎日だと思いますが、お休みの日はどのように過ごしていますか?

徳井:ベタですけど、家のお掃除と洗濯をして、昼寝をしてサウナに行って終わりっていう感じですね。サウナが好きで、お仕事が早く終わった日に行くこともあります。汗をかいて全身の血行をよくするのが気持ちいいんですよね。私、運動が苦手なのでジムに行ったりするのがまったく向いてないし、できればやりたくないので(笑)。運動と同じようなスッキリ感があるサウナは、とても向いているな〜と思います。

——最近食べておいしかったものを教えてください。

徳井:ちょっと前に京都でイベントがあって、素敵な老舗ですきやきを食べたんですけど、それがめちゃくちゃおいしくて。ごはんのおかわり自由だったので、もうお腹がぱんぱんになるくらい食べました(笑)。おひつにご飯が入っていて、もう何回お茶碗に盛ったのか覚えてないくらい。女将さんが手際よく作ってくれて、いいお肉と甘辛いタレでご飯が進みました。

——もし、いつも頑張っているご褒美に何でも買っていいと言われたら、何がほしいですか?

徳井:でっかいポテチですね! 海外で売っているようなビッグサイズを、誰にも止められることなく食べきりたいです。普段もお菓子が大好きでポテチをけっこう食べるんですけど、でっかいのは少しずつ食べないと…とわかっていながら食べきっちゃうんですよ。なので、ここぞという時にでっかいのを食べたい。映画を観ながらとかではなく、もう何も考えずにポテチだけに集中して(笑)。

——ポテチ愛が伝わります(笑)。最後になりますが、ファンの方へのメッセージをお願いします。

徳井:おかげさまで、たくさんの作品に恵まれて、10年以上も声優を続けさせていただいて、楽しく生きています(笑)。これからも、もちろんお芝居を続けたいですし、アイデアを出すのが好きなので、趣味やものづくりを通して、いろんな人と、いろんなことができたらいいなと思います。今はやりたいことがありすぎて時間が足りないくらいです。これからもいろんな活動をしていくと思いますが、応援してくれたらうれしいです。

——徳井さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】徳井青空さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

徳井青空

徳井青空(とくい・そら) エイベックス・ピクチャーズ所属

徳井青空(とくい・そら)Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト