中条あやみさんが選んだ1冊は?「さまざまな感情が描かれて、言葉の豊かさや情緒に魅了されます」

あの人と本の話 and more

公開日:2022/3/12

中条あやみさん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、中条あやみさん。

(取材・文=五十嵐 大 写真=山口宏之)

「小学生の頃、実は詩を書いていたんです」と照れくさそうに笑いながら教えてくれた中条さん。以来、詩という表現技法に魅せられていき、書店に寄れば詩集を手に取るように。

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「この本には、ひとりの男性が経験したさまざまな感情が込められているように感じました。きっと人生のなかでいろんなことがあったんだろうな……と想像したくなるくらい。自然の描写も美しくて、読んでいて情景が浮かぶところも好きです」

 中条さんにとって、詩は“言葉のアート”だという。

「美術館を巡って絵画を鑑賞するのも好きなんですが、詩もそういったアートに近い気がします。作者はどんな想いを込めたんだろう、と余白を読み解く楽しみがありますよね。同時に、自分自身の凝り固まった考えを崩してくれることもあって。特にお芝居をする前にこういった“アート”に触れることで、『こんな風に演じてみようかな?』と表現に自由さが生まれるのを感じるんです」

 日々インプットすることで、俳優としての表現力に磨きをかけることを忘れない。そんな中条さんにとって、『君と世界が終わる日に』で演じている小笠原来美は、これまでで一番難しい役柄だったそうだ。

「特にSeason3になってからは『他にないサバイバルドラマを作ろう』と、現場での気合いもすごくて。究極の選択を迫られる瞬間が描かれるので、とても苦しい展開が待っているんです。それを演じるのは本当に大変でした。ただ、現実には起こり得ない設定とはいえ、描いているのは人間の本質なんですよね。だから来美のことがまったくわからないわけでもない。答え合わせをするように演じていく過程は、他では味わえないような楽しさを感じるものでもありました」

 Season3での来美は“母親”としての強さも見せてくれる。

「子どもが生まれたことで、来美には守るべきものができました。人って、守るべきものがあると変わるんですよね。ゴーレムが徘徊する絶望的な世界をひとりで生きていく自信はないけれど、子どものために生きようとする来美の気持ちはわかる気がします。それでもクランクアップの日まで来美として生きることがしんどい部分もあって……。それくらいハードな作品でしたから。だからこそ、ぜひ楽しんでもらいたい。刻々と状況が変わっていくなかで、来美も含めた登場人物たちがどんな選択をするのか、見届けてください」

ヘアメイク:山口朋子(HITOME) スタイリング:沢田結衣 衣装協力:トップス5万600円、パンツ7万3300円(共に 3.1 フィリップ リム/3.1 フィリップ リム ジャパンTEL03-5962-7061)左ピアス7万7000円(シャルロット シェネ/エドストローム オフィス TEL03-6427-5901)*すべて税込

なかじょう・あやみ●1997年2月4日、大阪府生まれ。ファッション誌『Seventeen』のオーディションをきっかけにモデルデビューし、人気を集める。2012年にはドラマ『黒の女教師』で女優デビューを果たし、以降、さまざまな映像作品で活躍する。待機作に映画『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~』など。

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脚本:丑尾健太郎、佃 良太 音楽:Slavomir Kowalewski、A-bee、Antongiulio Frulio 出演:竹内涼真、中条あやみ、笠松 将、飯豊まりえ、玄理、小久保寿人、横溝菜帆、キム・ジェヒョンほか
●ウイルスにより“ゴーレム”と呼ばれるゾンビが蔓延する世界。生き抜いてきた響(竹内)はゴーレムウイルスに感染し消息を絶った恋人・来美(中条)を探す旅に出る。そんな中、謎の宗教団体「光の紋章」と鉢合わせて……。
(c)HJホールディングス