「5cmスクワット」「あいうべ体操」…筋力ゼロでも大丈夫!『1分最弱筋トレ』&『ズボラゆるトレ』の著者おすすめのトレーニング方法

マンガ

公開日:2022/4/2

筋力へなちょこ女子が行き着いた 1分最弱筋トレ
『筋力へなちょこ女子が行き着いた 1分最弱筋トレ』(たかツキなほり:著、鈴木孝佳:監修/KADOKAWA)
筋力ゼロでもできる ズボラゆるトレ
『筋力ゼロでもできる ズボラゆるトレ』(いしかわひろこ/KADOKAWA)

「運動はしたいけど、そもそも運動するための筋力がありません」――。そんなジレンマを抱える女性たちの救世主とも呼べる本が発売されました。それが、『筋力へなちょこ女子が行き着いた 1分最弱筋トレ』と、『筋力ゼロでもできる ズボラゆるトレ』(KADOKAWA)。筋力に自信のない人でもできるトレーニング方法を、漫画でわかりやすく紹介しています。

 著者のたかツキなほりさんと、いしかわひろこさんも、30代半ばに入ってから、圧倒的な筋力の衰えを実感するようになった当事者たち。本の中で紹介されている“運動不足あるある”は、どれも、共感できるものばかり!

 そこで、著者のお二人をお招きして、運動不足によるトラブルや、筋トレ後の驚きの変化などについてお話を伺いました。

(取材・文=中村未来)

30歳を超えて急にやってくる“痛み”
運動不足を実感したときには、すでに手遅れ!?

――「朝起きた瞬間から具合が悪い」「ドライヤーがしんどい」など、お二人が明かすエピソードは、どれも30代女性の共感を呼ぶものばかりでした。そんなお二人のこれまでの運動歴について教えてください。

いしかわひろこさん(以下、いしかわ) 私は子どもの頃から運動が大嫌いでした。足も遅いし、ボールも投げられないし、逆上がりもできません。これまでの人生で一番運動したのが、子どもの幼稚園の送り迎え。それくらい、運動とは無縁の人生を送ってきましたね。

たかツキなほりさん(以下、たかツキ) 私はいしかわさんとは逆で、子どもの頃から運動は好きなんです。中学校時代も卓球部だったし、父親とよくキャッチボールをして遊んだりしていました。ただ、大人になるにつれて「汗かくのしんどいなぁ」と思うようになってしまって。どんどん動かなくなっていった結果、気づいたら、筋トレもストレッチもできない体になっていました。

いしかわ 運動不足の弊害って、30歳を超えてから、急にやってきますよね。これまでは“しんどい”で済んでいたのが、今度“痛み”を伴うようになる。肩こりや腰痛の痛みはレベルアップする上に、30歳を超えると不調は寝ても回復しないんですよ。体が動かなくなってますから。

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たかツキ そうなんですよ! 私も、隣町のパン屋まで往復1時間歩いただけで、翌日、お尻と足の裏側がものすごい筋肉痛になりました。自分でも衝撃でしたね。スカートをはいて鏡の前に立ったときも、驚きました。前よりも明らかに膨らんでるんですよ。マスクのせいで、顔の緊張感もなくなってるし、全身がゆるんでるな と感じていました。

いしかわ 体って自分でも気づかないうちに衰えていきますよね。私、子どもの卒園式のとき、姿勢良く座り続けることができなかったんです。普段家で、ダラーっと座ってるから、正しい姿勢をキープする筋肉がもはやないんですよ。おまけに代謝も落ちてるから、体が冷えて仕方ありませんでした。ヘビやカエルと一緒です。気温とともに自分の体温も下がるんです。

たかツキ 筋力がない=冷え性というのも、この年になってようやく実感したことの一つです。一年中、常に足が冷たいです。

いしかわ 下半身の変化は、特にわかりやすいですよね。私も足のむくみがひどくて、靴下はくと、ゴムの跡がずっとついちゃう。体の中の悪いものが、下へ下へと溜まっていくんです。

「5cmスクワット」に「あいうべ体操」
著者お気に入りのトレーニング

――『最弱筋トレ』と『ズボラゆるトレ』では、そんな、筋力不足のお二人でもできるトレーニングがたくさん紹介されています。特におすすめのトレーニングを、それぞれ教えていただけますか?

ズボラゆるトレ
『ズボラゆるトレ』より

いしかわ 私が気に入っているのは、「5cmスクワット」ですね。普通のスクワットと違って、膝を少し曲げるだけでいいんです。それでも、下半身の筋肉がグワーッと動く感じがしていいですよ。あとは、座りっぱなしで体が重く感じるときには、「カーフレイズ」。ふくらはぎを動かすと、下半身が温まります。料理中や歯磨き中など、スキマ時間にできるのもいいですよね。

やせストレッチ
『ズボラゆるトレ』より

たかツキ 私は、前著の『やせストレッチ』で紹介している「ぐるぐるストレッチ」をよくやります。これはストレッチなのですが、背中の筋トレにもなるので一石二鳥なんです。『最弱筋トレ』では、顔のトレーニングが好きですね。「あいうべ体操」と「舌回し」。これをすると、翌日、口角がぐっと上がります。

やせストレッチ
『やせストレッチ』より

最弱筋トレ
『最弱筋トレ』より

いしかわ 私も『最弱筋トレ』を読んでから、マスクの下で、「舌回し」をやるようになりました。あと、「目線ずらし」と「目線回し」もいいですよね。家で過ごしていると、体よりも目を酷使しがちじゃないですか。スマホとかゲームで。でもこれをすると、目の奥や頭の横の疲れがスッキリするんです。

ズボラゆるトレ
『ズボラゆるトレ』より

たかツキ 目って意外と疲れてるんですよね。私も『ズボラゆるトレ』の低気圧を和らげるスッキリ3点セットで紹介されていた、「肩回し」がお気に入りでよくやっています。前傾姿勢が癖になっているので、これをするだけでかなり楽になるんです。

 いしかわさんの描く、モデルさんの絵はすごく私好みで、見るだけでモチベーションが上がります。「こうなりたい!」と思えるスタイルなんですよね。かと思えば、78ページの「下半身が育っている」コマには笑いました。下半身太りの悲惨さがすごくコミカルに表現されていますよね(笑)。

ズボラゆるトレ

いしかわ そう言っていただけると嬉しいです! 私も、たかツキさんの絵柄が大好きなんです。エクササイズを描く漫画家あるあるだと思うんですけど、ポップに描こうとすると、人体の表現が難しくなるんですよね。でも、たかツキさんの絵柄は、ポップなのにちゃんと体の動きがわかるんです。特に『やせストレッチ』56ページの右下のコマとかすごいですよ。「巻き肩」の特徴的な姿勢が、分かりやすく描かれています。絵が可愛いのは大事です。このトレーニングやってみたい!って思えますから。

やせストレッチ

「トレーニングしよう」と思うとしんどい
スキマ時間を使ってできるものから

――トレーニングをする前とした後では、体に変化はありましたか?

たかツキ すごく変わりました。一番は寝るときの姿勢が良くなったこと。じつは私、仰向けで寝られなかったんですよ。反り腰がひどいうえに、膝もむくみでパンパンだから、体が真っ直ぐ伸びないんです。それが、筋トレを始めてから徐々に改善していきました。仰向けで寝られるようになったときは、ちゃんと効果が出ていることを実感しました。

いしかわ 私も筋トレを習慣化したことで、断然疲れにくくなりましたね。今までは筋力がなかったので、その分を「ヨイショー!」と反動をつけることでカバーしていたんだと思います。たとえば、棚の上の物を取るにしても、全身の力を使って「ヨイショー!」とやるから、すぐに体力の限界を迎えちゃう。でも筋トレを始めて、腕、足、お腹など、効率的な力の入れ方がわかるようになりました。

――いくら簡単なトレーニングとはいえ、最初の一歩を踏み出すのが一番難しいんですよね。トレーニングを始めるのをためらっている読者はどうしたらいいでしょうか。

たかツキ 私みたいに運動から長年遠ざかっている人は、まずは自分の体に興味を持って動かすことから始めるといいと思います。いつもより大股で歩くとか、表情筋を動かして話すとか。体を動かしたり、触ったりしているうちに、「じゃあ、この筋肉を動かしてみよう」と思えたら、筋トレの始めどきです。最初は、そのくらいスモールステップでいいと思います。「トレーニングしよう」って思うと、しんどくなって、余計遠ざかりますから。

いしかわ しんどくなりますよね(笑)。私は、本当に運動が嫌いなんですけど、スキマ時間に筋トレをプラスするようにしたら無理なく続けられるようになりました。歯磨きしている間はおしり締めるとか、料理中はお腹と背中に力を入れるとか。でも、一番いいのは体の調子が良くなるのを感じることだと思うんです。私の場合、スキマ時間を活用しつつ、週2回は散歩などまとまった運動時間を取り入れるようにしています。というのも、トレーニングした方が体の調子がいいんですよ。するのとしないのとでは、メンタル面も全然違うので、ついやりたくなっちゃいます。

たかツキ たしかに、一度効果を感じると、止められなくなりますよね。私もなんで毎日、顔のトレーニングをするかというと、翌朝自分の顔を見るのが楽しみだから。口角がきゅっと上がった自分を見るとハッピーになれるので、続けられるんです。

「わかりみしかない」「私のための本ですか?」
運動不足を嘆くのは、あなただけじゃない

――読者の方々からの反響も大きかったと聞いています。

いしかわ 「わかりみしかありません!」という感想をたくさんいただきました。たかツキさんもおすすめしてくれましたが、低気圧スッキリ3セットは、「やってみたら、すごく体の調子がよくなりました」という、読者の声が聞けたので、嬉しかったです。

たかツキ 私も、「これは私のための本ですか?」という感想が多かったですね。しんどいけど、病院に行くほどじゃないし、どうしたらいいかわからないと悩んでる人って多いんですよね。そんな方には、ぜひ読んでいただきたいです。私の祖母も「これなら、おばあちゃんもできるわ」って言ってるくらい、ゆるいトレーニングなので。

――筋力がついて、体も変化したということですが、今後、挑戦したいことはありますか?

たかツキ もう一度、パン屋まで歩いて行きたいですね。きっと今なら、筋肉痛にならないはず(笑)。今まで電車で行っていた場所も、自転車や徒歩で行ってみたいなと思っています。しんどい状況から脱却しつつあるので、そんな些細な日常を大事にしていきたいです。

いしかわ 私は今までの人生で、運動を楽しいって思う瞬間が一度もなかったんです。でも、最近やっと、体を動かすって楽しいのかもって思えるようになってきました。いつか「運動が趣味です」って言えるくらいになれたらいいなと思います。

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