【シリーズ累計部数3万3000部】遊んでいたら頭が良くなる!? 子どものやる気を引き出すドリルが話題

暮らし

公開日:2022/5/27

この記事は2022年5月13日 19時21分の情報です

 重版・増刷されている話題の書籍のトピックを、ダ・ヴィンチWeb編集部がピックアップしてお届け! 今回は『算数と国語の力がつく 天才!!ヒマつぶしドリル ちょっとやさしめ』『算数と国語の力がつく 天才!!ヒマつぶしドリル ふつう』(田邉 亨:著、伊豆見 香苗:イラスト/学研プラス)をご紹介します。

 2022年4月21日に発売した『算数と国語の力がつく 天才!!ヒマつぶしドリル ちょっとやさしめ』『算数と国語の力がつく 天才!!ヒマつぶしドリル ふつう』(田邉 亨:著、伊豆見 香苗:イラスト/学研プラス)の2冊が、発売2週間あまりで大増刷となった。

advertisement

『算数と国語の力がつく 天才!!ヒマつぶしドリル』「ちょっとやさしめ/ふつう」の2冊。2冊とも大ヒット中だ。

 楽天ブックス 数学部門 週間売上2週連続第1位(2022年4月25日~5月1日、5月2日~5月8日「ちょっとやさしめ」)を記録し、リアル書店でも好調に売れている『算数と国語の力がつく 天才!!ヒマつぶしドリル』シリーズ。発売2週間あまりで大増刷が決定し、シリーズ累計部数3万3000部となった。タイトルからして、他のドリルとは一線を画しているこの本、誤解をおそれずにいうと“ちょっとヘンなドリル”はなぜ売れているのか。この本を企画・プロデュースした宮崎純氏に話を聞いてみると、そこには子どもを楽しませたいという強い気持ちがあった。

学習効果の高さよりも、気軽に学べることを押し出したかった。

――4月下旬に発刊した『天才!!ヒマつぶしドリル』シリーズ、2週間あまりで累計発行部数3万3000部に到達とのことですが、これは大ヒットと言っていいですよね?

宮崎:そうですね。業界的にいうと参考書・ドリルというのは、年間1万部売れたらヒット作と言われます。ですから、2週間ほどで3万3000部というのは大ヒットと言っていいのではないでしょうか。自分で言うのもおこがましいですが…。

――そもそもこの本はどういった経緯で作ることになったのでしょうか?

宮崎:編集部の先輩が、著者の田邉先生を私に紹介してくれたのが始まりです。田邉先生は滋賀県彦根市でりんご塾という塾を開いていて、そこでは算数オリンピックの金メダリストを毎年のように輩出しています。しかも公立小学校に通う、いわゆる普通の小学生が塾の指導によって伸びてメダルを取っているんです。これはすごいなと。

 どんなことをしているのかと聞くと、田邉先生が自作しているプリント教材を授業に組み込んでいるとのことでした。それを見せてもらったところ、すごく面白い。算数の力も国語の力も伸びるし、思考力も身につくぞと思いました。なにより、パズル形式の問題を解くのがただただ楽しい。これをなんとか多くの人に届けたいなと思ったので、企画をしました。

算数ページの紙面。ユニークな問題で思考力が磨かれる。
国語ページの紙面。パズルや迷路を解きながら知識が身につく。

――そんなプリントがもとになった本を、なぜ『ヒマつぶしドリル』というタイトルにしたのでしょうか? もうすこし学習効果の高そうなタイトルにしてもいいような気もします。

宮崎:学習効果が高そうなタイトルにすると、勉強が好きな子や得意な子にしか届かなくなってしまうかなと思ったんです。もともとの田邉先生のプリントも、頭がいい子しか解けないものじゃありません。試行錯誤すれば誰だって答えにたどり着けるものです。

 田邉先生の話を聞いて「いいな」と思ったのは、子どもたちはこのプリントを楽しそうに解いているということ。解けたら「次のプリントちょうだい!」って輝いた目で言ってくると。そういう自主的に学びたくなるプリントなのだから、楽しい気持ちで気軽に、多くの子にチャレンジしてほしい。だから勉強が好きな子も苦手な子も「ヒマつぶしにこの本で遊んでみてよ」っていう思いで、『ヒマつぶしドリル』というタイトルでいきたいと私のほうで決めました。

――このタイトルにしたいと伝えたとき、著者の先生はどんなリアクションでしたか?

宮崎:伝える前は「さすがに怒られるかなぁ?」とちょっとビクビクしていました。温厚な先生なのは打合せでわかっていましたが、ご自身がいままで一生懸命作ってきた大事なプリントたちですからね。「ヒマつぶしとはどういうことだ!」って怒られてもおかしくない(笑)。

 でも、怒られるどころか田邉先生も「すごくいいですね!」と賛同してくれました。「ヒマな時間の使い方ってすごく大事ですもんね。」という話を力説してくれて、その話を文字にしてもらったのが本書の“はじめに”です。すごくいい文章で、「“はじめに”の文章にしびれた」っていうレビューもたくさんいただいています。

心を掴む“はじめに”の文章。でも、キャラたちには響いていないのが、本書らしさでもある。

子どもダマしにはしたくない。子どもが長く付き合える媚びないイラストを目指した。

――この本のイラストは伊豆見香苗さんが担当されていますが、どういったところが起用の理由でしょうか?

宮崎:やはり本をパッと見て「面白そう」と思ってもらうためには、問題が面白いだけではなくて、見た目も大切です。だから、ナビゲートしてくれるキャラクターを設定して、イラストが多い、見た目にも楽しい本にしたいと思っていました。

 でも、かわいいだけのキャラが描かれたドリルって、すごく冷めませんか? これは僕自身がひねくれている子どもだったからなのかもしれませんが、大人から渡されたドリルにあるかわいいイラストって「子どもって、こういう絵が好きなんでしょ?」っていう決めつけがあるような気がして…。「そんな子どもダマしには引っかからないぞ」って反発していました。

 だから、子どもが本当に楽しむ本を目指すなら、媚びないし思い通りにならない、「ちょっと生意気だけどかわいい」というキャラにいてほしいなと思ったんです。そんな観点でイラストレーターさんを探していたところ、伊豆見さんを発見し「この人だーー!!」って思いました。

 伊豆見さんと話したのは、メインキャラの“ヒー”と“マー”は「頑張ろう」とか「●●がよくわかったね」みたいな教訓めいたこととかは、絶対に言わせたくないねってこと。ヒーとマーは「やりたくないよ~」とか「おなかすいた~」とか言ってます(笑)。それが子どものリアルに近いし、そういうキャラのほうが子どもは長く付き合いたいはずだと思ったので。

 方向性を理解いただいたうえで、あとは伊豆見さんの才能をいかんなく発揮してくださいとお願いしました。思う存分、楽しんで描いてくれたようだったので、嬉しかったですね。

子どもたちが友だち感覚で付き合いやすい、ちょっと不真面目で生意気なキャラたち。
本ごとにオリジナルキャラが満載。伊豆見香苗ワールドが炸裂。

――企画の主旨もイラストでの世界観づくりも一貫して「子ども目線」で、子どもに楽しんでほしいということですね。

宮崎:そうですね。僕が子どもだったら絶対に欲しくなる本を目指しました(笑)。

―-発売してまだあまり経っていませんが、読者からの感想や反響はありますか?

宮崎:いちばん嬉しかったのは「いままで1冊もドリルをやり切ったことがなかったウチの子が、このドリルはやり切りました」って、Twitterで言ってくれた人がいたことですね。勉強が好きな子はもちろんですが、そういう子にも届けたい気持ちで作ってきたので。

 あと、「自分は大人だけど、脳トレにすごくいいです」って言ってくれる人が多くいたのも嬉しい発見です。いろいろと子どもだましで作っていない分、大人も自分の本として楽しめる本になったんだなと推測しています。

――本日はありがとうございました。最後に何か伝え残したことがあればお願いします。

宮崎:子どもにとってのヒマつぶしといえばYouTubeやゲームが多いかもしれません。それも悪くないですが、ヒマな時間に楽しい“学び”はいかがでしょう? ぜひ、『天才!!ヒマつぶしドリル』をリアル書店やネット書店でチェックしてみてください。

聞き手=中西亮太

プロフィール
宮崎純●株式会社学研プラス シニアプロデューサー。2005年入社。これまで手掛けた主な書籍に『やさしい高校数学』シリーズ、『宇宙一わかりやすい高校●●』シリーズ、『勉強のトリセツ』シリーズ、『5分で論理的思考力ドリル』シリーズ、『2分で読解力ドリル』シリーズなど。2020年3月に発刊した担当書籍『なぜ僕らは働くのか~君が幸せになるために考えてほしいこと~』は、2020年度いちばん売れた児童書(20年4月~21年3月、日販調べ)となる。難しいことも楽しくわかりやすく伝えることを信条とし、新しい学びを常に市場へ提案している。