釣り大好きライターが、「釣りガール」が活躍するフィッシングコミック【3作品】を読み比べてみた

マンガ

公開日:2023/5/5

「釣りガール」が活躍するフィッシングコミック【3作品】

 コロナ禍で三密を避けられるとあって一気に人口を増やした趣味「釣り」。私もそのタイミングで釣りにハマり、下手な実釣をYouTubeチャンネルでさらすようになって早2年強。私がフィールドとする大阪南港近くで過日開催された“リアル”フィッシングショー大阪は大賑わいで、友人知人がSNSで“釣果”を華々しく公開していた。

 ところで、艦これやウマ娘ほか、美少女系コンテンツが人気を博している。町おこしにも美少女キャラが採用されるなど、どんなコンテンツにも驚異の親和性を見せつけている。

 ということで、「釣りガール」が絶大な支持を得る釣りの美少女系コミックがありそうだな、と探してみると、すでに流行っているようで。前知識なしに3作読んでみたので、作品のファン目線ではない、いちアングラーとしてのフラットなレビューをしてみたい。


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『つりこまち(ヤングガンガンコミックス)』(山崎夏軌/スクウェア・エニックス)

つりこまち(ヤングガンガンコミックス)
つりこまち(ヤングガンガンコミックス)』(山崎夏軌/スクウェア・エニックス)

 個人的に大好きなコミック『ロトの紋章』を出版しているスクエニ発行の釣りコミック。主人公はオリンピックの「釣り」競技で金メダルを獲ることが夢。実際に釣りがオリンピック競技種目だったことがあると、本作を読んで知った。

 キャラクターはいずれも丸みがあって可愛く、今どきの美少女風。主人公は天性の才能をもちながら、過去の出来事から釣りにネガティブな闇を抱えている。そんな主人公に天真爛漫で釣りを愛して止まない少女が接近し、心の闇を振り払う。

 1巻の見どころはクローラーベイト(※釣りメモ1…「ベイト」とは大型魚が捕食する小魚のこと。「クローラーベイト」は、餌となる小魚を模したルアーのうち、水面や浅い水深をクロールするように泳ぐルアーを指す)で誘い出した1メーターを超える大ナマズとの格闘。具体的にどのポイントを狙うのか、環境の変化をどう察知して解釈するのか、魚目線での考え方やそれに付随するルアー操作の仕方(アクション)とは、など具体的な解説、描写が面白い。また、釣るスキル以上に大切な、釣りのロマンを教えてくれる。

 キャラクターの表情が豊かで、感情をほとばしらせる。スポ根好きならハマる作品だろう。絵柄的には、再び『ロトの紋章』を持ち出してみるが、ロト紋のように線がハッキリしていて、躍動感のあるタッチ。可愛いだけでなく、心の闇も光も描かれており、可愛いだけではあまり満足できない美少女系コミックファンを虜にしそうだ。

『おひ釣りさま』(とうじたつや/秋田書店)

おひ釣りさま
おひ釣りさま』(とうじたつや/秋田書店)

 こちらの作品は、釣りの初心者かガチ層に受け入れられそうな渋い作品。無口であまり表情を変えない事務職の硬派な女子(24歳)が、さまざまな釣り物を釣る。1話ごとのページ数は少なめで、1巻ではバス、鯉、シーバス、アジ、ニジマスなど実に12魚種を釣る。釣り方や釣り場もサビキ、アジング、ルアー、釣り堀、管理釣り場ほか豊富で、ハウツー的な要素が多い。これから釣りを始める人が、とりあえずの知識を得るのに最適だと思った。

 本作のコンセプトは、タイトルのとおり、「おひとりさま」ならぬ「おひ釣りさま」。1人で楽しむ釣りスタイルだ。また、「女の1人釣りは牛丼屋に1人で入るのと同じ」だとか、「ナマズゲームはお魚ミュージカルゲーム」であるとか、同期の女子にフェスに誘われても「私もその日ライブなんだ」と断って、プロ釣り師のトークライブに行く、など渋すぎるたとえや言動に、特にシニア層がニンマリしそうだと感じた。私個人的には、テクトロ(※釣りメモ2…テクテク歩きながらトローリング(船を走らせながら魚を誘う)のように自然にルアーを流す釣法)でのシーバスゲットが熱かった。本作の「テクトロB−DASH」(※釣りメモ3…前述のテクトロで掛けたシーバスが泳いで逃げる方向に、自分も『スーパーマリオブラザーズ』のように通常よりも速いBダッシュ(Bボタンを押し続けて疾走するように追いかけて糸を切られないようにする)を、(魚に食わせられたら)実践してみたい。絵柄的には、どこか昭和の雰囲気を感じさせる硬派な絵柄。主人公は、美少女というより美女といったほうが適切かもしれない。

『放課後ていぼう日誌』(小坂泰之/秋田書店)

放課後ていぼう日誌
放課後ていぼう日誌(1)』(小坂泰之/秋田書店)

 主人公は、海の近くに引っ越してきた女子高校生。生き物や血が苦手で、手芸部に入りたい都会っ子だ。そう、本作は、釣りにそれほど興味がなく、すこし興味があっても虫が苦手とか、魚クサイのがイヤとか、血まみれになって締める(絶命させる)のなんて絶対ムリ、という人にピッタリだ。

 ほんわかドジっ子の主人公は、これは漫画であるある展開だが、うまく誘われて不本意ながら、釣って食べる「ていぼう部」へ入部することに。そこで主人公は手芸のスキルを発揮してトラブったリールのラインを瞬時に直して部のメンバーに重宝がられたりしながら、さまざまな魚を釣っていく。

 私個人的には、主人公がサビキ(※釣りメモ4…小魚が捕食するアミエビなどの餌を撒き、その中へ餌に似せた小さな疑似バリ(=サビキバリ)を投入し、小魚に食わせて釣る釣法。特にビギナーフィッシングやファミリーフィッシングで人気)で初めてアジゴ(小アジ)を掛けた瞬間に電撃が走る描写に、私自身が初めて掛けたサビキのサバの思い出を重ね、胸が熱くなった。

 4人の部活美少女メンバーでわいわい言いながら魚を釣る姿にほっこり癒やされる。キャスティング(※釣りメモ5…ルアーなどの仕掛けを竿を使って投げ飛ばすこと)の仕方などのハウツーが勉強になる。絵柄的には丸みがあってほっこりと温かさを感じるタッチ。コメディチックな表情やシーンが多めで、可愛い。

 

 私が愛するショアジギング(※釣りメモ6…船ではなく岸(ショア)からメタルジグ(餌となる魚を模した鉄などの金属)などのルアーを遠投する釣法。スポーツ性があって若い層を中心に人気)的には、暖かく釣りをしやすい青物シーズン真っ只中。SNSで連日公開されるアングラーの釣果に胸をときめかせる毎日だ。往年のファンは釣りを始めた当時の気持ちを思い出させてくれるし、釣りに興味がある人はスタートに最適な今回の3冊。今の時期だからこそ、オススメしたい。

文=ルートつつみ(@root223

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