あの子の体操服を盗んだことで全てが始まった…愛情と狂気が入り混じる歪んだ恋愛漫画まとめ

マンガ

更新日:2018/8/23

 愛情と狂気は、紙一重。相手への想いが強ければ強いほど、恋は危険な形になってしまうこともある。本稿では、そんな狂気的な愛にどっぷり浸れる恋愛漫画をご紹介! 重くて深い恋愛の行方をぜひ見守ってみよう。

■ピュア×ホラーなヒロインがかわいく見えるヤンデレ漫画

 こんな狂気的な想いなら、受け止めたくなるかも…。思わずそう思わされてしまうところが『こはるの日々』(大城ようこう/講談社)の凄いところだ。本作には、ごく普通の常識人・鳥居晃とストーカー思考の睦月こはるが繰り広げる恋愛模様が描かれている。純粋なこはるは先輩である晃を過剰に愛しすぎてしまい、自分の想いをいつも全力で伝えている。時には、極端で異常な行動をとってまでも。そのため、2人の恋愛はどこかちぐはぐしており、背筋が凍るような恐怖感が付きまとっている。しかし、それでもホラーなストーリーに見えすぎないのは、こはるの一途さが読者の心に刺さるからだ。ピュア×ホラーな本書は、斬新な狂気的恋愛漫画として心に残るに違いない。

■思春期ならではの背徳感が詰め込まれた文学漫画

 作品から溢れ出る背徳感がたまらない『悪の華』(押見修造/講談社)は、思春期の多感な心を巧みに描いた恋愛漫画だ。主人公はボードレールを愛する、文学少年の春日高男。春日はある日、放課後の教室に落ちていた大好きな佐伯奈々子の体操着を思わず盗ってしまう。しかし、後日、クラスの嫌われ者である仲村佐和にその光景を見られていたことが発覚。バラされたくない春日に、仲村はある危険な“契約”を持ちかける。本作には思春期の少年や少女たちが抱える特有の闇も丁寧に表現されている。中二病という言葉では片づけられない登場人物たちの癖の強さにハラハラしながら、ぜひ物語の結末を見守ってみてほしい。

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■キャラ設定がおもしろい! キスノートでヤンデレや腐女子と恋愛関係に!?

 ヤンデレが登場する恋愛漫画は、ダークな展開になってしまいがちだ。しかし、『恋愛暴君』(三星めがね/ほるぷ出版)は一筋縄ではいかない曲者たちが登場するにもかかわらず、コミカルだ。物語は主人公の男子高校生・藍野青司の家にある日突然、死神風の少女・グリがやってきたことから始まる。グリは任意の2人を強制的にキスさせるというキスノートを持っていた。だが、このキスノートには「24時間以内にキスしないと書いた者は死に、書かれた者も一生童貞のまま生涯を終える」という副作用があり、ノートに翻弄された藍野は腐女子やヤンデレといった個性豊かな女子たちと恋愛関係を築いていくハメに。彼女たちが見せる独特の愛情表現は必見だ。

■歪んでいるのに泣ける…誘拐犯と14歳少女が見つけた愛とは?

 ネット上で大きな反響を呼んだ『幸色のワンルーム』(はくり/スクウェア・エニックス)は、一風変わった愛の形を見せてくれる。ヒロインの少女は弱冠14歳にしながら、人生に絶望していた。両親からの虐待や友達からのいじめにより、心身ともにボロボロになった少女は自殺をしようと試みたが、お兄さんに止められる。実は、そのお兄さんは少女を毎日ストーカーし、盗撮していたが、お兄さんに誘われた少女は自ら誘拐されることを決意し、同棲し始める。一緒に暮らしていく中でお兄さんの優しさに触れた少女は結婚を誓うようになり、誘拐犯は少女にたくさんの幸せを注ぎ始める。被害者と誘拐犯という特殊な関係である2人は、どんな愛を見つけていくのだろうか。

■衝撃のプロローグ! 一気読み必至なヤンデレ女子の百合漫画

 百合漫画はエロティックに描かれることも多いものだが、『間宮さんといっしょ』(ガオシ/小学館)は、ヤンデレ要素が詰まった斬新作だ。主人公の佐々良は、告白されることが多いモテ女だ。しかし、彼女の恋愛観は狂っており、自分のために死んでくれるほど重い愛情を相手に求めている。そのため、告白されるといつも「いいよ、死んでくれたら」と答えていた。そんな彼女にある日、告白してきたのが、美人の先輩・間宮だった。間宮の告白にもいつも通りの返事をした佐々良は、翌日衝撃的な事実を知ることになる。サイコパスな主人公が描かれている本作は一見怖そうに思えるが、独特の空気感が漂っているため、一度読んだら続きが気になって仕方なくなるはずだ。

 愛の重さや愛情の示し方は人それぞれであるからこそ、恋愛はおもしろく、難しい。大好きな人に向ける愛情は形が歪むと、狂気に変わってしまうこともある。少しゾクゾクする恋愛は漫画の中で楽しみたいものだ。

文=古川諭香