『潜熱』『モブ子の恋』…“アルバイト先ではじまる恋”を描いたマンガ4選!

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更新日:2018/8/17

 出勤したらちょうど控え室で一緒になったり、お互いのシフトが被っている時間をこっそり確認したり、上がりの時間が同じだったから駅まで一緒に帰ったり、仕事とは関係ないことでLINEしてみたり、トラブルで困っているときにサッと助けてくれたり……アルバイト先の職場でする恋って、なんだか学校や会社とはまた違ったドキドキがあるんですよね。

 会えるかどうかわからない、会えてもシフトが被っているときだけ。普段の学校生活とは違う居場所で見つかる恋。そんなバイト先で始まる恋物語を描いた漫画をまとめてみました。

【1】同い年同士の素朴な恋にキュンとする!『モブ子の恋』

 舞台はスーパー。主人公の信子は、大学生になって始めたアルバイト先で、同い年の入江くんに淡い恋心を抱きます。ちなみに主人公は、自ら脇役を選んでしまうような、謙虚で地味な女の子。彼女が想いを寄せる入江くんも、真面目で気遣いはできますが、恋愛は初心者でぎこちない男の子。

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 物語が進んでいくにつれて、恋愛に積極的ではなかった入江くんは、信子のことを意識しはじめます。両片想いのじれったいやりとりに、「ああ、私もこんな初々しい時期があったな……!」とときめくこと間違いなしの作品です。

 物語では、見ているこっちが照れ臭くなるようなピュアな恋愛が、ゆっくりと進んでいきます。

 この作品には、主人公よりもずっと背の高い入江くんが高いところにある荷物をとってくれたり、バイト先の同僚同士で遊びに行ったり、バイト終わりに2人でご飯を食べに行ったりと、素朴ながらもバイト先でよくあるときめきポイントが網羅されているのが魅力のひとつ。信子と入江くんはもちろん、ほかのキャラクターもとても自然で、思わず自分の青春時代を思い出すこと間違いなし。

【2】変人だらけのバイト現場は今日も楽しそう?『WORKING!!』

 舞台はファミリーレストラン。こちらは逆に、個性的すぎるキャラばかりが登場し、「こんなファミレスある!?」と突っ込みたくなる作品です。一見冷静で突っ込み役のように見える主人公・小鳥遊くんは、幼女からミジンコまで小さければなんでも萌える変態。店長はまったく仕事をする気のない元ヤン、チーフは常に“帯刀”しているし、同僚も男性恐怖症で職場で男を見かけると襲いかかってしまいます。一番偉いはずのマネージャーは、行方不明の妻を探し続けていてすぐに旅に出てしまうので、雇われ店長にすらなめられている始末。

 タイトルの『WORKING!!』は名ばかりで、基本はこの濃いキャラクターたちのゆる~い日常が4コマになったギャグ漫画です。思わず、ちゃんと接客しているのか心配になるくらい、みんないつもボケたり突っ込んだりしながらだべっている。ただ、たしかにバイト先の楽しみって、こういう仕事の合間の仲間とのやりとりだったりするよなあ、とも感じるんですよね。

 もちろん、ギャグだけではなく恋愛要素もあります。とくに序盤からチーフに想いを寄せる佐藤くんの恋の行方は必見。チーフは店長のことが大好きで、いわば職場での三角関係が発生。店長に惚れ込んでしょっちゅう頬を染めながら話をするチーフに、凹んだりスルーしたりしながらも、決して諦めない佐藤くんが健気で可愛いんです。また、初回から変態丸出しであった小鳥遊くんにも、物語が進むにつれて、ピュアな片想いをすることに。だんだんと恋愛要素が強まってときめきもポイントも増えていく作品です。

【3】年の差28歳! 高校生のバイトの想いは店長に届くのか?『恋は雨上がりのように』

 アニメ化に続き、実写映画化もされて話題になった『恋は雨上がりのように』。こちらの舞台も同じくファミリーレストランです。足を怪我したことから陸上の夢を諦め、ファミレスでアルバイトを始めた17歳の女子高生、橘あきら。彼女は、バイト先の店長である近藤正己に恋心を寄せていました。しかし、店長はバツイチ子持ちの45歳。彼女のストレートなアタックに心打たれるものの、歳の差という大きな障害に店長はうかつによろめくこともできません。

 17歳という若さからか、怖いもの知らずで店長にせまっていくあきら。わざわざ店長に合わせてシフトを調整したり、バイト先で店長の姿にうっとりしたり、もう店長のことで頭がいっぱいな姿がとっても可愛いんですよね。でもたしかにバイト先って、学校と違って一緒に働く仲間の年齢層が幅広くなりやすいのも特徴のひとつ。バイト先の先輩の余裕に惚れ込んで、同い年のクラスメイトが子供っぽく見える、っていうことはあるあるかもしれません。

 また、歳の差恋愛が主軸のように見えるこの作品は、学校でひとつの挫折を経験したあきらが、新しく夢中になれるもの(=店長)を学外で見つけることができ、そしてそこで自分の将来や「本当にやりたいこと」に向き合っていく物語でもあります。あきらと店長、どちらの夢も輝かしく描かれた青春ストーリーです。

【4】いつも同じタバコの銘柄を買うヤクザの客に恋をしました『潜熱』

 舞台はコンビニエンスストア。主人公は女子校育ちで男性が苦手な大学1年生の岡崎瑠璃。大学1年の夏休みにはじめてのバイトを始めます。そこで、彼女は毎日のように同じ銘柄のタバコを買う、あきらかにかたぎではない男性のことが気になるようになります。彼の名前は逆瀬川(のせがわ)さん。スーツ姿で、おそらくヤクザ。でもたまに電話をしているときなどに見せる笑顔は無邪気で可愛い。とくに何か話したわけでもないのに、彼女は、次第に逆瀬川さんに心惹かれるようになっていくのでした。

 ある雨の日、瑠璃は傘をもってきておらず、自分が働くコンビニで買えばいいのに、逆瀬川に車で送ってもらおうと頼み込みます。この彼女の大胆な行動がきっかけで、瑠璃と逆瀬川の関係は急激に進展。あきらかに「そんな男はダメだ」と止めたくなるような相手ですが、恋は盲目、もう彼女は止まりません。

 アルバイトをしていて、お客さんを格好いい(可愛い)なあと思ったり、よく行くコンビニの店員さんがタイプだったり、そういうことってわりとありますよね。でも、だからといってさらに一歩踏み込むのはかなり勇気がいること。いけないとわかっていても止まらない情熱って、実は人生でとても貴重なものかもしれません。そもそもふつうの大学生がヤクザと出会うって、店員と客といった関係以外ではなかなかないかもしれませんね。はたして2人の行く末がどうなるか、まったく予想がつかない物語です。

 アルバイト先で見つかる恋と一口にいっても、同僚同士の両片思いもあれば、店長への一方的な恋慕、店員から客への猛烈など様々。キュンとする素朴な恋愛や、ちょっと危なっかしい関係、同じ職場で一途に想い続ける片思い、たまたま同じ職場で知り合った、(多くの場合)つかの間の関係だからこそ起こる、貴重な出会い。うーん、作品を読み返していたら、私も仕事そっちのけで先輩に片思いしていた時期が懐かしくなってきた。

文=園田菜々