生き残りに必要なのは運? 知識? あなたの生活で役立つかもしれないサバイバル系漫画5選

マンガ

更新日:2018/9/10

 生きることについて、真剣に考えたことがあるだろうか。“当たり前”が続いていた毎日が、ある日“当たり前”ではなくなり、突然消えてなくなったら? いつも仲良くしていた友達と、“命の椅子取りゲーム”をしなければならなくなったら? 人は、最も失いたくないもの――「命」が危機にさらされたとき、その本性を表すという。笑顔という包み紙をベリッと剥がしたその裏の“本当の顔”を見たい。そんなあなたにおすすめのサバイバル漫画を5作紹介しよう。

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■サバイバル漫画の原点がここにある!

『漂流教室』(楳図かずお/小学館)

『漂流教室』(楳図かずお/小学館)は、初出は1972年。もはや古典とも呼べる多くの人が知る作品だ。小学6年生の高松翔が、母親と大げんかをしたまま学校へと飛び出したその日、大地震で校舎が崩壊してしまう。生き残った生徒たちが建物からやっと外へ出ると、そこに広がっていたのは荒廃した未来都市。そう、倒壊した校舎ごと時空を超えてしまったのだ。仲間同士の協力、対立、孤立、恐怖、狂気…翔たちはさまざまな困難にぶつかりながらも生きることを諦めない。導いていく立場であったはずの大人が暴走してしまうというエピソードも、現代社会に通じるものがある。サバイバル漫画の金字塔ともいえる色褪せない作品。

■人類滅亡を救うのは、選ばれし者たち

『7SEEDS』(田村由美/小学館)

『7SEEDS』(田村由美/小学館)で描かれるのは、隕石衝突で危ぶまれる人類滅亡の事態を回避するために誕生した政府のプロジェクト。選ばれた健康な若者を冷凍保存し、種の保存を図るというものだ。そして人類滅亡後のディストピアと化した地球に、選ばれし者たちが“解凍されて”放たれる。愛する、疑う、信じる…もがきながらも生きぬく道を模索するさまが、複数の主人公たちの目線で語られる。ジャンルは少女漫画だが、テーマと内容は骨太。男性が読んでも充分に楽しめる、10年以上にわたり人気を博しているSF長編サバイバルストーリーだ。

■現代版“島送り” そこで死ねないなら、生きるしかない

『自殺島』(森 恒二/白泉社)

『自殺島』(森 恒二/白泉社)は、生きる意志がなく、自殺未遂を繰り返す“常習指定者”たちが送り込まれる無人島だ。もちろんこの「自殺島」の存在は、公には知られていない。リストカットとオーバードーズを繰り返してきた主人公セイはある日、運び込まれた病院で、生きる意志がないことを認める書類に署名をする。そして、生きる義務を放棄した“常習指定者”として、島に送られる。島で出会う、さまざまな事情を背負った人間たちとの交流の中で、あることに気づいていく。「死ねないなら…生きるしかないんだ」と。生きるとは? という普遍的な問いを、島でのサバイバルの中で見出していく。

■クラス全員にかけられた催眠術、仲間同士の殺し合いの火ぶたが切って落とされた…

『シグナル100』(宮月 新:原作、近藤しぐれ:作画/白泉社)

『シグナル100』(宮月 新:原作、近藤しぐれ:作画/白泉社)は、高校が舞台だ。学級崩壊を起こしたクラスの生徒たちに復讐を企てた「下僕」というあだなを持つ担任教師。その復讐の方法とは「自殺催眠」をかけて、生徒たちを皆殺しにするということだった。「笑う」「走る」「指差す」などの何気ない行動がトリガーとなり、ひとり、またひとりと、自ら命を落としていく。たったひとつの生き残る術は、「クラス全員の死を見届けること」。つまりこれは、クラスでひとりしか生き残れないということを意味する。学校という日常が、殺し合いという非日常の場に変わる…絶望的な心理戦のサバイバルデスゲームが繰り広げられていく。

■スクールカースト、いじめ…そんなピラミッドが崩れたとき

『リミット』(すえのぶけいこ/講談社)

『リミット』(すえのぶけいこ/講談社)は、戦国時代の下剋上さながらに力関係が容赦なく入れ替わる女子高生の不安定な友人関係を描く。スクールカーストの上位グループで要領よくポジションをキープしていた今野水希。だが、学校行事の交流キャンプで起こったバス事故で、全てがひっくり返ってしまった。生き残った女子5人は、カースト上位のハル、いじめられっ子の亜梨紗、冷静な知恵子、気弱な千影、そして水希。さらに、唯一の男子、日向晴明が加わり、女子高生5人の関係が大きく揺らぐ。いじめられていた亜梨紗の豹変ぶり、ハルの水希に対する劣等意識…極限状態に追い込まれた人間の変わるさまを、リアルに描写する作品だ。

 自然災害、事件、事故。いつ何が起こってもおかしくない世の中に私たちは生きている。隣り合わせにある災厄から身を守るには、事前準備として防災グッズやある程度の備蓄はもちろん大事だ。だが、サバイバルにもっとも欠かせないもの、それは、誰にも負けない強い意志と信じる力を持ち続けることなのではないか…サバイバル漫画を読み終えて、そんな印象が強く頭に残ってしまうのは、私だけだろうか。

文=水玉璃