圧倒的な大ヒット! レジェンド級ギャグマンガまとめ

マンガ

更新日:2018/11/5

 ギャグマンガが持つ“笑い”の魅力は、老若男女誰にでも、そしていつの時代にも通じるもの。だからこそ、ギャグマンガの世界では、発行部数が1000万部を超えるような国民的大ヒット作品や、連載終了後も根強い人気を持ち、リメイク版のアニメが制作されるようなものも少なくない。本稿では、そうした“レジェンド級”の大ヒットマンガたちを紹介していく。

■今年まさかのドラマ化! 80年代のツッパリコメディ!

 テレビドラマ化で再び脚光を浴びている『今日から俺は!!』(西森博之/小学館)は、1980年代の“ツッパリ全盛期”を舞台にした不良コメディだ。冴えない青年・三橋は、目立ちたいという思いから、転校を機に髪を金髪&パーマにする。だが、同じ床屋でトンガリ頭にしていた伊藤も同じクラスの転校生で…。お互いに“ツッパリデビュー”したばかりだという秘密を抱えながら、ふたりはツッパリ道をひた走る…。同じ時代に青春を過ごした大人たちにとっては懐かしく、若い世代にはむしろ新鮮な、80年代の“ツッパリ”文化。それでも彼らの根底に流れる“青春”の感情は、どの世代にも通ずるものだ。

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■懐かしい! 再び始動する「グルグル」の伝説…!

 2017年にリメイク版のアニメが放送されたことでも話題となった『魔法陣グルグル』(衛藤ヒロユキ/エニックス)は、「ドラゴンクエスト」的なゲーム世界のパロディが特徴のギャグファンタジー。父に勇者になるように教育されてきた少年ニケと、魔法オババの元で育ったミグミグ族の少女ククリ。ふたりが出会ったとき、新しい冒険の幕が開かれる。そこには、小さな村に伝わる「グルグル」の伝説が関係していて…。2012年から、本編終了後の新たな物語を描く続編も始まっているため、昔読んでいた人も、久しぶりに『グルグル』の世界を味わってみては?

■地球征服にきた宇宙人はとんでもない“へっぽこ”で…?

『ケロロ軍曹』(吉崎観音/角川書店)といえば、登場するキャラクターたちの愛くるしいデザインが印象的だろう。夢見がちな少年・日向冬樹と、その姉・夏美の元に現れたのは、宇宙侵攻軍特殊先行工作部隊隊長・ケロロ軍曹。彼は地球征服のために日向家へと侵入するが、持ち前のへっぽこぶりで彼らにあっさり捕まってしまう。その後、集まった部下たちと共に日向家で地球侵略を企てるが…。『ケロロ軍曹』には、随所にマンガやアニメ、特撮などのパロディが仕込まれている。元ネタがわかればわかるほど、読むのが楽しくなるはずだ。

■卓球部のおバカすぎる日常! くだらなすぎる下ネタに要注意!

 名作ギャグマンガ『行け! 稲中卓球部』(古谷 実/講談社)に登場する「稲中卓球部」の面々は、そろいもそろって変わり者ばかりだ。自分を利口だと思っている大バカ・前野。『あしたのジョー』オタクで髪形まで真似している井沢。24時間エロいことばかり考えているムッツリスケベの田中。ものすごい体臭を持つが心は繊細な田辺…。そんな彼らを部長の竹田(巨根)はまとめられるのか…? 最高におバカなメンツが繰り広げるくだらないネタの数々は、連載開始から25年以上たった今でも色あせない。時代を超える下ネタマンガ。

■好奇心があれば毎日が発見! 「よつば」たちのかけがえのない日常

『よつばと!』(あずまきよひこ/KADOKAWA)は、萌え4コママンガブームを引き起こした『あずまんが大王』(KADOKAWA)のあずまきよひこが描く“日常系”ギャグマンガの金字塔だ。とある町に引っ越してきた強烈に元気な女の子「よつば」と「とーちゃん」、として彼の友達や、おとなりさんの三姉妹たちが過ごす何気ない日常は、何よりも大切なかけがえのない時間。「よつば」は、子供らしい好奇心をエネルギーに、今日も世界のおもしろさを見つけていく…。この『よつばと!』の世界観は、多くの人が「こんな風に暮らしたい!」と憧れる理想だと思う。

■『チャンピオン』が誇る長寿マンガ! ハイテンションな家族が今日も大騒ぎ

『浦安鉄筋家族』(浜岡賢次/秋田書店)は、『週刊少年チャンピオン』が誇る長寿ギャグマンガ。1993年から連載が始まり、タイトルを変更しながら今も続いている。舞台となる大沢木の家族は、毎日ハイテンションで大騒ぎ。小学2年生の小鉄をはじめ、裕太(8カ月)、晴郎(浪人生)、木桜(中学2年生)や父の大鉄(タクシードライバー)は、それぞれみんな本能に忠実に生きている。最近のマンガではあまり見ない、絶妙にリアルなキャラクター造形が印象的で、それが彼らに人間らしい表情を与えている。

■もし、ブッダとイエスが普通に東京にいたら…? 大胆すぎる宗教コメディ!

 ブッダとイエスを大胆にもマンガのキャラクターにしてしまったことで有名なのが、『聖☆おにいさん』(中村 光/講談社)だ。世紀末を無事に乗り越えたふたりは、東京・立川でルームシェアをしながら下界の暮らしを楽しんでいる。お金にうるさいブッダ、つい衝動買いしてしまうイエス…。人間味がありすぎるふたりの日常は、私たちにとっても新たな“救い”に…。先日、山田孝之が製作総指揮を務める実写ドラマ版が公開され、こちらも反響を呼んでいる。

■『絶望先生』の作者が描く、何でもありのブラックコメディ!

『さよなら絶望先生』(講談社)で知られる久米田康治氏の出世作が『かってに改蔵』(小学館)である。かつて神童と呼ばれていた主人公・勝改蔵は、幼なじみの羽美に公園の遊具から突き飛ばされて以来、なにかと思い込みの激しい性格になってしまった。ある日、改蔵は校内で事故に遭い、科学部の部室に運び込まれる。白衣の部長・すずが乳首に電気ショックを与えて改蔵を起こすと、彼は周りの状況から自分が“改造人間”になったのだと思い込み…。改蔵や地丹らの人気キャラクターは、久米田氏の最新作『スタジオパルプ』(白泉社)にも形を変えて再登場しているから、長年の久米田ファンはこちらもチェックしてみてほしい。

 こうして人気のギャグマンガを振り返ってみると、未だに連載が続いていたり、キャラクターが別の形で読者の前に登場していたり…と長く愛されている作品が多いことに気が付く。どうしても物語に終わりがくるストーリーマンガと違い、作者次第でいつまでもそのキャラクターたちの世界を続けられるからだろうか。そんなキャラクターたちは、たとえ読者側に少々のブランクがあったとしても、変わらずマンガの中で私たちを受け入れてくれるはずだ。

文=中川 凌