猫ライターもハマった! とにかくおもしろい“爆笑猫コミックエッセイまとめ”

マンガ

更新日:2018/11/5

 猫は、とても味わい深い動物だ。天使のようにキュートな仕草を見せてくれたかと思いきや、爆笑してしまうほどコミカルな行動も示してくれる。こうした猫の生態を巧みに表現したコミックエッセイは近年、猫好きさん以外からも熱い支持を得ている。そこで本稿では、猫ライターである筆者がぜひおすすめしたい笑える猫コミックエッセイを10冊ご紹介していきたい。

■猫を飼うってこんなにも楽しい! アメブロで大人気を博したうちの猫漫画

 猫を飼っていない方にとって、猫との生活はなかなか想像しにくいもの。しかし、『うちの猫がまた変なことしてる。』(卵山玉子/KADOKAWA)を読めば、猫という動物がいかにかわいくてユニークな存在であるかが分かる。

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 アメブロの猫ランキング第1位となった大人気猫漫画ブログが書籍化された本作には、保護猫会で出会った2匹の猫たちが見せるコミカルな仕草がぎっしりと詰め込まれている。「夜中にじっと見つめてくる」「顔にお尻をくっつけてくる」「箱に詰まる」といった猫ならではの行動に、読者は思わず笑顔になってしまうはず。全編オールカラーであるため、躍動感もたっぷり。本シリーズは現在、3巻まで発売されているので、ぜひ全巻読破してほしい。

■「助けて、我が家にノラ猫が押し寄せてくる…!」全猫ノラな猫コミックエッセイ!

 飼い猫ではなく、ノラ猫とのユーモラスな日々を描いている『飼ってない猫』(関口かんこ/講談社)は、全猫ノラな猫漫画だ。一人暮らしを始めた漫画家・関口氏の家はノラ猫のたまり場に。普通に生活しているだけなのに、続々とノラ猫が家に押しかけてくるという従来にはない設定に、思わずニヤリとさせられてしまう。

 そんなかつてないほどのインパクトを与える本作は全話にノラ猫たちの写真が掲載され、実話保証されているのが特徴。Webでは読めない描き下ろし作品も多数収録されているので、ファンも大満足な1冊となっている。なお、2018年10月19日には第2巻も発売されたので、関口ワールドにハマった方はこちらもあわせてチェックしてみてはいかがだろうか。

■どっちも飼えば100倍楽しい! 天真爛漫な犬と凶悪で愛らしい猫との日々

 猫と犬は共にペットとして家庭でかわいがられているため、なにかと比較されやすい。だが、両者には違ったかわいさやコミカルさがある。そのことを実感させてくれるのが、犬と猫の両方と生活する日々を描いた『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』(松本ひで吉/講談社)である。

 人間に対して従順な態度を見せてくれ、ストレートな表現で愛情を示してくれる犬とマイペースで気ままなのに人間を虜にしてしまう猫は、まったく性格や行動パターンが異なる動物だからこそ、おもしろい。作中で2匹が見せる喜怒哀楽の表現法は、読者のハートを鷲掴みにすること間違いなし。本書内にはとっておきハプニング満載の描きおろしエピソードも大量に収録されているので、お見逃しなく。

■愛のある変態行為が笑える!「猫のお尻、愛しすぎちゃいました」

 突然だが、猫の好きなパーツをひとつ浮かべてほしいといわれたら、あなたはどんな部位を思い浮かべるだろうか。小さな三角形に見える猫耳やぷっくり膨らんだひげ袋、驚くと真ん丸になる目など、猫にはキュンとさせられるパーツが多い。しかし、そんな魅力的なパーツをおさえ、意外に猫好きさんを虜にしているのがお尻だ。

『猫のお尻が好きなんです。』(ななおん/実業之日本社)には、そんな飼い主さんの心境がリアルに綴られている。作者であるななおん氏は愛猫トトのお尻が好きなあまり、人には言えない数々の変態行為を決行! 赤裸々に描かれる愛のこもった変態行為は、爆笑を誘う。なお、おまけページではおすすめの猫グッズや猫毛工作なども紹介されている。

■「いつか心を開いてみせる!」ビビり猫の行動に一喜一憂

 猫は本来とても警戒心が強い動物なので、過去に辛い体験をしたり人間を信じられなくなっていたりすると、距離を縮めるのに時間が必要となる。『ビビり猫・米子さんに懐かれたい。』(浜村ごはん/KADOKAWA)は、人間と猫を嫌っている保護猫カフェ出身のビビり猫・米子さんと、猫を初めて飼う作者との歩み寄りをコミカルに描いた作品だ。心を許してくれない米子さんは。猫雑誌に載っているスター猫たちのように、かわいいポーズや猫らしい動きをなかなか見せてくれない。しかし、米子さんにベタ惚れの著者は「いつか心を開いてみせる」と奮闘するようになっていく。米子さんの行動に右往左往し、一喜一憂する姿にはエールを送りたくなる読者は多いはずだ。

■新たな仲間も増えた! 猫好きなら誰もが知っている王道な猫コミックエッセイ

 元祖笑える猫漫画として知名度の高い『鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!』(鴻池 剛/KADOKAWA・エンターブレイン)は、猫好きなら誰もが知っている王道の猫コミックエッセイ。作者である鴻池氏と飼い猫・ぽんたのゆるい日々を描いた本作はTwitterで人気に火が付き、「第1回次にくるマンガ大賞」でWebマンガ部門第2位に輝いたこともある。コミックには、ウェブでは読めない書き下ろしエピソードも収録。続編となる第2巻では、アルフレッドという新たな猫も加わり、さらに賑やかな猫ライフに。自由きままな猫たちに振り回されっぱなしの鴻池氏が日夜問わず繰り広げる狂騒劇は、お腹を抱えて笑えるほどおもしろい。猫を必要以上に美化せず、ありのままの姿を描いているのも本作の特徴だ。

■クレイジーな猫たちに翻弄されるイカした毎日がここに!

 クレイジーで愛くるしい猫たちとマッドな家族との生活をデスロードの如く描いた『クレイジーキャッツとマッドファミリー』(高嶋あがさ/KADOKAWA・富士見書房)は、爆笑必至なコミックエッセイだ。爆笑のカギを握るのは、好奇心旺盛な4歳のオス猫ちいと用心深い5歳のメス猫ふう。

 高嶋一家は、家族をヒエラルキーな視点で見つめている「ちい」と、人間のふくらはぎや首を噛むのが癖となっているふうに翻弄されている。少々のゲロやハプニングに見舞われながらも猫との生活を楽しむ家族は、深い猫愛を持っている。マイペースで思い通りにならない猫の行動すらも愛おしく感じている作者の毎日は、波瀾万丈でイカしている。多頭飼いの方にも読んでほしい作品だ。

■じんわり笑えて、ほろりと泣ける! 笑顔をくれる「くろねこ愚連隊」とは?

 おもしろさがじんわりと心に染み、気づいたらほろりと泣けてくる。『くるねこ』(くるねこ大和/ KADOKAWA・エンターブレイン)は、そんな気持ちになれる猫漫画だ。商業デザイナーである作者は、なぜかしょっちゅう捨て猫に遭遇する。そして、積極的に「哀れな子猫」を演出する猫の姿を見て、結局家に連れて帰り、里親探しを行っているが中には貰われなかった子もいたため、作者宅ではこうした猫たちによる「くるねこ愚連隊」を結成。

 本作には、「くるねこ愚連隊」と出会ったときの様子や現在の様子が描かれている。泣けるだけではない捨て猫たちの成長記録は、読者の心に強いインパクトを与えるはず。動物愛護は難しそうと思っている方でも楽しみながら学べる1冊だ。

■自由気ままな2匹の猫たちと飼い主が繰り広げる“予測不可能な毎日”

 愛おしいあまり、飼い猫に振り回される飼い主は多い。どうしたら喜んでもらえるだろうと真剣に考えているのに、愛猫に気持ちが伝わらず、空回りしてしまうこともあるだろう。そんな方が共感できるのが、猫の自由さを描いた『猫のきもちがわからない』(おしどりさや/KADOKAWA・メディアファクトリー)だ。破天荒な茶白猫と、おっちょこちょいで不憫かわいい黒白猫との日常をコミカルに描いた本作は、第3回コミックエッセイプチ大賞を受賞した話題作。

 猫の飼い主が納得できる「あるある」が詰まっている。2匹の猫たちが繰り広げる予測不可能な行動は、爆笑必至。猫と人間の感覚は違うからこそ、一緒に暮らすとおもしろいということを感じさせてもくれる作品だ。

■味のあるイラストも大人気! 大型猫ゴメスがくれる不条理な幸せ

 保護施設で出会ったゴメスとのエネルギッシュな日常をまとめた『ゴメスが見てる!?』(ヤマモト喜怒/KADOKAWA)は、味のあるイラストとアメリカンな表現がクセになる作品である。

 家族の一員となったゴメスは自由奔放な態度を見せるため、作者たちは振り回され、不条理な生活を強いられることもある。しかし、それを苦痛ではなく、幸せだと感じさせてしまうのがゴメスの凄いところだ。作中では、作者の子どもとゴメスの触れ合いも描かれているため、ほのぼの感も味わえる。画風からは予想できないほど、猫への愛情が伝わってくるのも本作の魅力だといえるだろう。また、本作には本物のゴメスの写真も掲載されているので、すでにWebで読んだ方もぜひチェックしてみてほしい。

 本稿でご紹介したコミックエッセイを手に取ってみると、猫という動物のユニークさとかわいさが分かるはず。猫ってどんな動物なのだろうと思っている方はぜひ、さまざまな作者が描くコミックエッセイを手に取り、猫の奥深さや愛くるしさを知ってもらいたい。

文=古川諭香