残酷なこころの闇を描いた衝撃作… 陰湿いじめ漫画まとめ

マンガ・アニメ

2018/11/24

「生き地獄」。いじめを形容するとすれば、そんな言葉が適当だろうか。毎日通わなければならない場所である学校や会社で日々繰り返される理不尽ないじめ。その陰湿で切れ味の悪いナイフで鈍く刺されるような痛みは、少しずつ、しかし確実に心を蝕んでいく。その先に光を見出だすことはできないのか? あなたのすぐ隣に巣食っているかもしれない「いじめ」をテーマにした5作を紹介しよう。

■障害となるのは「聴こえない」ことだけ?

 生まれつき耳が不自由な少女、西宮硝子と同級生の石田将也、そしてそのふたりを取り巻く友人たちの交流を描いた『聲の形』(大今良時/講談社)は2016年に映画化もされた。コミュニケーションの手段としての「聲」(こえ)。そしてその手段を使うことの難しさがテーマだ。伝えたい、伝わらない…悩みとまどう硝子と将也。

 小学生の頃、聴くことに障害を持つ硝子を率先していじめてしまった将也はその後、自分がいじめられっ子になり心を閉ざす。自死を決意した将也だが、とあることがきっかけで硝子の命を救うこととなり、ふたりの関係に変化が訪れる。傷つきながら、ぶつかり合う、心のゆらぎが描かれる。

■子供はみんな天使…の顔した悪魔

 あどけなく無邪気で純粋な子供たち…そんな大人の勝手な“幻想”を打ち砕くのは『校舎のうらには天使が埋められている』(小山鹿梨子/講談社)。

 赤ヶ瀬小学校4年2組に転校してきた人見知りの後堂理花は、緊張のためクラスのみんなの前での挨拶に困っていた。クラスで恥をかきそうになるといつも助けてくれる美少女蜂屋あいと、野良犬を通じて仲良くなる。あいは以前犬を飼っていたという。しかしそれは、クラスメイトの中からあいが指名した「わんこ」、つまりいじめの対象のことだった。「わんこ」に落とされないために裏切りや駆け引きをする子供達。愛らしい絵と子供たちの残酷さとのギャップに背筋が凍る。

■いじめの恨みは時空を超える?

 タイムスリップという現象がでてくるいじめ漫画、『トモダチごっこ』(ももち麗子/講談社)。両親の離婚を期に母親と東京から仙台へ引っ越してきた村咲みどり。転校先で偶然、幼馴染のあかりと遭遇する。ところがあかりはクラスの女王的存在の伊集院エレナの指示で毎日酷いいじめをうけていた。

 幼馴染のよしみであかりをかばうみどり。やがて、あかりへのいじめは止み、今度はみどりがターゲットになってしまった。かばったはずのあかりに裏切られ、エレナ達の執拗ないじめに耐えられず、みどりは自死を選ぶ。ところが、タイムスリップしてみどりの体は1年前に戻ってきてしまう。今度こそ友達関係をうまくやり直そうとするみどりだが…

■そのひとことで、いじめが始まった…

『メビウスの森』(金子節子/秋田書店)の主人公の上原千夏は、正義感が強くて意志の強い女子高生。穏やかで普通の高校生活を送っていたが、転校生をめぐる仲良しグループとのちょっとした出来事がきっかけで、グループから疎んじられ嫌がらせをされるようになる。教科書を隠され、死ねば?というメモをいれられ、ノートをぐちゃぐちゃにされる。いじめはますますエスカレートし、トイレに呼び出され暴力にまで発展する。

 同じく同級生の市川悠真もトイレで殴る蹴るの暴力を受け続けていた。学校をやめることなくふたりが各々出したいじめに対する答えは?

■リスカは聞こえない心の叫び

『ライフ』(すえのぶけいこ/講談社)はドラマ化もされた話題作。中学3年で受験生の椎葉歩は面倒見が良くて勉強もできる“しーちゃん”という親友がいた。歩は、“しーちゃん”と一緒に居たいがために勉強に奮起し“しーちゃん”よりもテストで良い点をとれるまでになる。そして受験。西校の合格発表の日、歩は自分の受験番号を見つけられたが“しーちゃん”の番号はなかった。

“しーちゃん”は落胆し、「なんであんたなのよ!!」と怒りをあらわにし、歩と絶交する。歩はそんな思いをして入学した高校でも、よかれと思って軽く約束を交わした友人に誤解されつらく当たられ、リストカット常習者となってしまう。

 驚くほど簡単なことで“いじめる側”と“いじめられる側”は入れ替わってしまう。間違いなくいえることは、いじめはやる方もやられる方も際限なく心が疲弊していくということだ。いまだに根絶できないいじめ。私たちひとりひとりにはいったい何ができるのだろうか。

文=水玉璃