四肢を切断された若い女性…心底怖いのに美しすぎてページが閉じられない! 美麗な画風が余計に怖いおすすめホラー漫画まとめ

マンガ

更新日:2018/12/3

 人はなぜホラー漫画やホラー映画、そしてホラーゲームに惹きつけられるのだろう? 心理学的にはホラーの魅力は、「自分の限界を試して乗り越えたり、恐怖と向き合って克服したりすることで満足感が得られるところ」なのだそうだ。

「恐怖」を味わうその「快感」を人類は覚えてしまったのだ。そんな「快感」を貪欲に求めているあなたへ、きっと満足いただけるであろう“絵が綺麗”で奥深いホラー漫画を紹介したいと思う。

■美しく渦巻く“うずまき”の呪い、蝕まれ狂気へ向かう先に光はあるのか

『うずまき』(伊藤潤二/小学館)

『うずまき』(伊藤潤二/小学館)中で、うずまき状の死体となって発見される父親、カタツムリ(=ヒトマイマイ)になってしまう人間…など、呪われた町・黒渦町を舞台に次々と起こる禍々しい惨劇や怪奇現象の全てに共通しているのが「うずまき」だ。強烈な渦や竜巻のように逃れることのできない恐怖、そして抗うことのできない運命に翻弄される若い主人公とその恋人。この呪いは果たしていつか収まるのか…。

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「うずまき」という形の持つ神秘性をモチーフとして、独特かつ繊細な画力で描かれた本作の世界観をぜひページをめくりながら味わってほしい。

■猟奇殺人と巨大な陰謀の関係に戦慄する! グロテスクな描写が物議を醸したショッキング・サスペンス

『多重人格探偵サイコ』(大塚英志:原作、田島昭宇:作画/KADOKAWA)

 主人公の恋人が、両手両足を切断された状態で、箱詰めされて宅急便で届けられる…こんな描写がページを開いて目に飛び込んできたら、ショックを受けない読者はいないだろう。

 次々と展開するショッキングでグロテスクな猟奇的事件。およそ理解不能な猟奇的犯行とそれに立ち向かう主人公の青年にも隠された“多重人格者”としての過去。犯行の手段や動機、そしてそれをやりこなす犯人の正体など、ミステリーとしての導入から、最終的には国家レベルの陰謀にまで引きずりこまれるストーリー。主人公と読者が辿りつく先は果たして…。

■「ひとめ惚れ」ほど恐ろしいものはない。魔性の美少女に狂わされる人間たちの闇

伊藤潤二傑作集 1 富江 上』(伊藤潤二/朝日新聞出版)

 川上富江は、黒髪と妖艶な目が印象に残る誰もが息を吞むような美貌の持ち主である。その魔性の魅力に男たちは次々と惹きつけられていくのだが、それが悲劇の始まり。富江に魅せられた男たちは、さまざまな理由で例外なく富江に異常な殺意を持つことになるのだ。

 だが、殺された富江は何度殺害されても何度でも蘇る。バラバラにされた肉片、細胞、血液、それぞれから蘇り無数に増殖し、それぞれの富江がさらに新たな男たちを狂わせていく。「一目惚れ」というごく日常的な出来事から人生を狂わせていく男たち。この負の連鎖に終わりはあるのか…。

■幼馴染同士の秘密は殺人。罪の意識と裏切りの予感に苛まれ嘘を積み重ねる彼らの未来は…

『骨が腐るまで』(内海八重/講談社)

 幼馴染5人組の秘密、それは11歳の夏に殺人を犯し死体を埋めたことだ。彼らは毎年夏祭りの日に死体を確認し、秘密を守り抜く誓いを新たにする。けれども16歳になった夏、何者かによって白骨化した遺体は持ち去られてしまった…。一体誰が、何のために? それに秘密はどこからバレたのか?

 骨があった場所には代わりに携帯電話が置かれており、そこにかかってくる電話で脅迫され、新たな罪と嘘を重ねていく主人公たち。「もう誰も信じられない」と追い詰められた極限の状況下で事態はさらに…?

■番外編:70年代のオカルト・奇怪少女漫画を一挙解説! 怖くて懐かしい世界を堪能せよ!

『大人の少女マンガ手帖 オカルト・怪奇ロマン』(『このマンガがすごい!』編集部/宝島社)

 無残な首なし遺体、「ザクロは血の味」というセリフ、愛らしい表情で残酷な殺人を平気で犯す美少女…。1970年代は、個性豊かな少女マンガ系ホラーの黄金時代だった。

 少女漫画の巨匠たちが描いてきた数々の作品はどれも色褪せることなく、見る者を震え上がらせる。今なおゾクッとさせられる名シーン、忘れたくても忘れられない恐怖の作品ランキング、インタビューや特別漫画を掲載している本書を手にすると、懐かしい思い出とともにあの恐ろしい記憶も鮮やかに蘇るはず…。

 ホラー漫画の醍醐味は、その恐ろしいストーリーもさることながら、私たちの恐怖心を煽り立てるそのページに込められた画力だ。ここで紹介したマンガたちは、どれも眺めるだけでゾクゾクするような見ごたえのあるものばかり。恐怖と直面することで得られるのが「快感」ならば、これほど適したものもないだろう。ぜひストーリーと美麗な絵から「恐怖」をたっぷりと味わってほしい。