人気沸騰中! “東大”にまつわる書籍。今注目の3冊

文芸・カルチャー

更新日:2019/3/28

 一般的な東大生のイメージといえば“ガリ勉”や“変人”が多いかもしれない。だが、世に多く出ている“東大本”を読んでいれば、それがあくまで“イメージ”にすぎないことがよくわかる。彼らはとにかく、ものをよく考えている。たとえば、勉強法ひとつをとっても、「どうすれば効率よく点数があがるか?」をきちんと考え、それを実行に移している。本稿では、そんな東大生が書いた本や、東大生について書いた本を紹介する。

■東大生クイズ王・伊沢拓司が語る勉強法とは?

『勉強大全』(伊沢拓司/KADOKAWA)

『勉強大全』(伊沢拓司/KADOKAWA)は、東大生クイズ王として知られる伊沢拓司氏が、自身の東大受験や予備校での指導経験を基に、勉強法についてまとめた本である。 “大全”というタイトル通り、「受験とはなにか」「勉強とはなにか」といった心構えから、実際の受験生活や勉強法のコツ、そして受験終了後の考え方までを網羅している。勉強法は、「全員にとってこれが正解」というものがない。だが、どんな場合にも共通する“コア”な部分はある。伊沢氏は、本書でその“コア”を言語化することを目指したそうだ。本書は、すべての受験生のバイブルになりうるだろう。

■男版ビリギャル! 偏差値35から東大に受かった男の読書術

『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(西岡壱誠/東洋経済新報社)

『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)の著者・西岡壱誠氏は、もちろん東大生…なのだが、なんと高校3年時の偏差値は35だったという。2年の浪人期間を経たとはいえ、その状態から東大に合格したというから驚きだ。いったい、どんな勉強をしたのだろうか。西岡氏は、東大合格のポイントが「能動的な読書」にあったと振り返っている。本書は、そんな西岡氏の読書術を紹介したもの。それを実践すれば、「読解力」「論理的思考力」「要約力」「客観的思考力」「応用力」が身につく…というから、受験生のみならず、社会人も必見の内容だ。

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■東大生協で“2018年最も売れた文芸書”

『彼女は頭が悪いから』(姫野カオルコ/文藝春秋)

 最後に紹介する『彼女は頭が悪いから』(姫野カオルコ/文藝春秋)は、前の2冊とはずいぶん異なる“東大本”だ。本作は、実在の東大わいせつ事件をモチーフにしており、東大生の負の側面を描いた小説作品。ごくふつうの家庭で育ち、女子大に進学した神立美咲と、恵まれた環境で育ち、東大に進学した竹内つばさ。恋に落ちたはずのふたりは、やがて“被害者”と“加害者”になってしまう…。その背景にはいったい何があったのか。学歴格差や男女の意識の差を抉り出した本作は、東大生協駒場書籍部の2018年文芸書ランキング1位になったという。

 東大生の本を読んだからといって、誰もが東大に入れるわけではない。だが、ものをよく考えている東大生の“頭の中”は、東大生以外にとっても、学びの宝庫だといっていいだろう。“東大本”を読み、東大生の考えていることを知れば、たくさんの“気づき”が得られるはずだ。彼らは、決して私たちと別の世界に住んでいるわけではない。

文=中川凌