「離婚したい…」もう手遅れ? 漫画で学ぶ夫婦問題、後悔する前に知りたい“夫婦円満の秘訣”とは
公開日:2021/1/23
確かに愛を誓い合い、幸せになるために選んだはずの“結婚”。しかし現実は夫婦関係で辛い想いを抱える人たちが後を絶たない。実際、現代においては「3組に1組が離婚する」と言われており、夫婦関係を円満に維持するのは難しいようだ。
なぜ、夫婦関係はうまくいかなくなるのだろう。「離婚」の文字が頭によぎるほど、夫婦関係に悩んでいる。あるいは、夫(妻)に対してモヤモヤ・イライラを募らせている時は、思わず感情的になって、気持ちがどんどんと悪い方向へ流されやすいものだ。
離婚であれ、継続であれ、夫婦関係において“後悔のない選択”をするには、どうすればいいのか。本稿では、夫婦問題や夫婦円満の秘訣をテーマにしたコミックエッセイ・漫画を8作品取り上げた。
作品内の夫婦たちが何に悩み、どう決着をつけていったのかを知ることは、自分たち夫婦の問題打破や修復のきっかけになるかもしれない。自分の感じているモヤモヤや、置かれている状況に近い作品を見つけ、ぜひ夫婦関係の参考にしてほしい。
- このまとめ記事の目次
- ・夫婦喧嘩ゼロの夫婦に学ぶ“夫婦円満の秘訣”『妻は他人 だから夫婦は面白い』
- ・夫婦のすれ違いは脳科学で解決! 『まんがでわかる 妻のトリセツ』
- ・夫婦関係がうまくいかない理由を知る『話を聞きたがらない夫 悩みを聞いてほしい妻 精神科医が教えるコミュニケーションのコツ』
- ・「夫が大嫌い…」目指すは離婚! キレイゴトなしのエッセイ漫画『離婚してもいいですか? 翔子の場合』
- ・5年会話ゼロの夫婦が迎えた衝撃のラスト! 『妻が口をきいてくれません』
- ・元ダメ夫が解説する「夫のトリセツ」『なぜか、いつも夫は他人ゴト。』
- ・仲良し夫婦が行う“日々の工夫”とは 『僕と妻の場合 僕たち夫婦が仲良く暮らしている理由』
- ・考え方がまるで違う夫婦が仲良く暮らす秘訣『理系クン 夫婦できるかな?』
- ・「離婚」を切り出す前に…夫婦関係がうまくいかない理由を見つめ直そう
夫婦喧嘩ゼロの夫婦に学ぶ“夫婦円満の秘訣”『妻は他人 だから夫婦は面白い』
世の中に存在する人のほとんどは、自分にとって“赤の他人”だ。そして言うまでもなく、夫婦ですら、元は他人である。
夫婦となった他人同士が仲良く過ごす秘訣とは何だろう? そのテーマに迫ったのが『妻は他人 だから夫婦は面白い』(さわぐちけいすけ/KADOKAWA)だ。
本作は出会って8年、夫婦喧嘩ゼロの円満夫婦の“夫”が描いたコミックエッセイ。SNSで話題になった夫婦漫画「イライラしている時の対処法」に加え、作者夫婦の“馴れ初め”や“結婚のきっかけ”などの描き下ろしを70ページ以上収録して書籍化したもので、元は他人の妻と円満にやっていくためのノウハウがすべて詰まった1冊である。
夫婦円満の秘訣は「妻は他人である。ということを絶対に忘れない」
タイトルにもなっている「妻は他人」。この言葉のもつ冷たい響きに、一瞬ドキッとしてしまう人は多いかもしれない。パートナーから他人と突き放されるような、胸に痛い響きがある。
しかし本作が伝えたい「妻は他人」という言葉の真意は、とても温かい、夫婦関係を豊かにしてくれる考え方だ。著者は夫婦円満の秘訣として「妻は他人である。ということを絶対に忘れない」、と挙げている。これは「他人行儀になれ」というわけではなく、「パートナーが自分とは違う個人であることを忘れない」という意味だ。
例えば、パートナーに対して「察してよ!」「言わなくても、分かってほしい…」という考え方は、あまりに理不尽だと著者は言う。エスパーでもない限り、自分の心の声が相手に分かるはずはないのだ。
「そんなことは当たり前…」と思うかもしれないが、なぜか私たちは特別な相手になるほど、そんな単純な事実を忘れやすい。妻(夫)だって他人だと頭では分かっていても、つい求めすぎてしまう。
また、妻(夫)なんだから「やって当たり前」という考え方は、相手の地雷を踏む原因である。本作では不機嫌な妻に対して「(家事を)手伝う?」と聞いても断られてしまう…と悩む男性のエピソードが紹介されている。
せっかく夫が歩み寄って声をかけたのに、何も言わず不機嫌な妻だけが悪いのだろうか…? 著者の考え方は、以下のとおりだ。
炊事洗濯は奥様一人の仕事ではなくて「自分がやるべき生活動作」と考えていれば「手伝う」なんて発想にはならないと思います。共働きなら尚更
このケースでは、夫にとって家事は「手伝う」ものではなくて「自分もやるべき」当たり前の作業である。もちろん、家事をすべてひとりで引き受ける妻が可哀想、家事を任せきりの夫が悪いという話ではない。しっかり話し合って、夫婦間の役割分担ができていれば、「手伝う」という言葉が正しいケースもあるだろう。
問題なのは「家事は夫婦のことなのに、やってもらって当たり前」と夫が思っていること。こんな勘違いを起こさないためにも、妻(夫)は他人という視点は常に忘れずにいたいものだ。
「妻(夫)は他人」という前提が夫婦に「ちょうどいい距離感」を作る
夫婦ふたりの間に「共通の考え」があれば、「それぞれの考え」もあって当然だ。大切なパートナーだからこそ、違いを「理解したい」「理解してほしい」という欲求も生まれるだろうが、それが行きすぎれば、途端に相手の負担になってしまう。
余談だが、心理学用語に「ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマ」という言葉がある。「近づきすぎれば互いの針で傷つけ合い、離れれば寒さで凍えてしまう。試行錯誤の末、ようやくお互いにちょうどいい距離感を見つける」というドイツの寓話をもとにした、人間の心の距離感について表現したものだ。
この失敗を繰り返しながら、お互いにとっていい心の距離感を見つける、というのは、良好な夫婦関係を築くためにも大切なことだろう。すなわち、著者やこの心理学用語が伝えるように、夫婦関係で大切なのは「妻(夫)は自分とは違う」と認識した上で、それぞれの考え方を伝えあい、尊重し合うこと。それこそがシンプルに、夫婦円満を叶える秘訣といえるのではないだろうか。
著者いわく、本作は「人はそれぞれ異なるもの」という前提で、明確なテーマやメッセージ、アドバイスなどはあえて盛り込まず、個人的な日常の出来事=単なる事実を描いてきたという。その事実のなかに「共感できる」部分があれば、さっそく、自分たち夫婦がよい関係性を築くためのヒントとして活用してみるといいだろう。
夫婦のすれ違いは脳科学で解決! 『まんがでわかる 妻のトリセツ』
なぜ妻は突然、怒り出すのだろう。その理由がさっぱり分からない、だから仲直りもできないし、余計に怖い…。そんな“理不尽な妻”に悩める夫たちへ、とっておきの1冊がある。『まんがでわかる 妻のトリセツ』(黒川伊保子:著、堀田純司:シナリオ、井上菜摘:漫画/講談社)だ。
本書は、人工知能研究者・黒川伊保子氏によるベストセラー『妻のトリセツ』(講談社)を、とある夫婦の日常を描いたストーリー仕立ての漫画で、より分かりやすくした1冊だ。脳科学の見地から、夫という役割をどうこなすのか、理不尽な妻との上手な付き合い方を指南する。
夫婦のすれ違いは「男性脳」と「女性脳」の違いが原因
結婚生活に夢を見ていたのは過去の話で、「妻が怖い」と家庭に居心地の悪さを感じている夫は多いようだ。妻はなぜ、こんなにイライラしているのか、妻の“地雷”はどこにあるのか…、それを理解するためには「男性脳」と「女性脳」の違いを知る必要があるという。
例えば、妻から「過去のことをいつまでも責められる」とウンザリしている夫は多いかもしれない。「もう反省したし、謝ったし、仲直りもしたはずなのに、今の自分にどうしろって言うんだ…」と理不尽に感じているなら、それは“誤解”だ。
脳科学の見地からすると、男性にとっては“過去になった”ことでも、女性にとってはある意味ずっと“今のこと”なのだという。女性脳は過去の出来事を「感情」のインデックスをつけて記憶し、何気ない一言をトリガー(引き金)にして、一気に記憶を呼び出せる能力がある。女性脳は過去の嬉しいことも、悲しいことも、まるで今経験しているかのように、みずみずしく思い出すことができるのだ。
これは子どもを無事に育てるために培われたスキルであるため、妊娠中や育児中は余計にトリガーが刻印されやすい。仮に妊娠中に夫が不貞を働こうものなら、妻からするとそれはいつまで経っても「もう済んだ話」にはならないのである。
夫から妻へ歩み寄るためのキーワードは「共感」
とはいえ、どれだけ悔いても、過去をやり直すことはできない。そもそも最初から完ぺきな夫(妻)なんていないだろう。しかし脳科学の知識を活用すれば、悪化した夫婦関係を修復するチャンスはいくらでも作ることができる。
例えば、女性脳が“共感”を求める傾向にあるというのは、この手の話で耳にしたことがあるだろう。そして男性脳は共感より、問題解決を求めるため、つい妻にとっての“余計な一言”を投げかけてしまいやすいのだ。
本書は、日常にありがちな「妻の地雷」を踏まないためには、夫から妻へ歩み寄る気持ちが大切だという。例えば、TVで出産シーンが流れた時に「子どもを産むのってこんなに大変なことだったんだ、わかってあげられなくてごめんな」と声をかけることは、妻の悲しく辛い記憶を和らげる効果がある。負の感情ばかりが、トリガーになるわけではないためだ。
本書は悩める夫に対して、態度だけでもいいから「妻に共感するフリ」をするよう促している。女性の立場からすると「フリとはなんだ!」と納得いかないかもしれないが、そもそも男と女の脳は違い、男性は共感が苦手な生き物と理解しておくことが大切だ。
その他、本書は男性脳ではなかなか理解できない妻を絶望させるセリフや嫁姑問題について、脳科学をベースにしてロジカルに解説する。問題解決を図りたいと悩める夫にとって、本書はまさに理想的な「妻のトリセツ」といえるだろう。
夫婦関係がうまくいかない理由を知る『話を聞きたがらない夫 悩みを聞いてほしい妻 精神科医が教えるコミュニケーションのコツ』
子育ての悩みを夫に色々と相談したいのに、話を聞いてくれない。自分ばかりが頑張って、空回りしている感じがする。
そんな寂しさと悩みを抱えた主婦を主人公として、夫婦間のコミュニケーションや子育てがうまくいかない理由をコミック形式で解説した1冊が『話を聞きたがらない夫 悩みを聞いてほしい妻 精神科医が教えるコミュニケーションのコツ』(岡田尊司:監修、原わた:漫画、伊東フミ:作画/KADOKAWA)だ。
本作では「愛着スタイル」をキーワードに、うまくいかない夫婦関係や子育ての理由を論理的にあぶり出し、家族みんなが生きやすく、幸せになる方法を精神科医の著者が解説する。
著者の岡田尊司氏は『愛着障害』(光文社新書)、『人間アレルギー』(新潮社)など多数の著作を通じて、人々の悩みや不安に向き合っている精神科医。生きづらさを感じながら日々過ごしている人の「安全地帯」を作りたいとの思いから、大阪に心療内科クリニックを開院している。
パートナーへの不安、モヤモヤは「愛着のクセ」のせい?
著者いわく、夫婦間で起こるモヤモヤ、虚しさの原因は、自身が親との関係で身につけた「愛着のクセ」が関係しているという。愛着とは、簡単に説明すると「人と人を繋ぐ絆のようなもの」だ。
例えば、幼少時に親との関係が安心できるものではなかった人は、つねに人の顔色をうかがう〈不安型〉、親に甘えられなかった人は、他人と向き合うことが苦手な〈回避型〉といったふうに、子どもの頃の環境によって愛着スタイルは作られていく。
本作の主人公である妻は〈不安型〉で、夫がイライラしていれば自分が何かしたのだろうかと不安に思ったり、子育てについて他人事のような夫の態度に孤独感を強めたりしている。
相手から嫌われたくない、相手に受け入れられているか気になるとの思いが人一倍強い〈不安型〉は、必要以上にひとりで悩みを抱え込みやすいようだ。さらに、愛情の飢餓感が強いため、パートナーへの期待値が高い傾向もある。
もちろん、心配性すぎの不安型がすべて悪いという話ではない。愛着(心)のクセを理解することで、自分の感じている不安やモヤモヤは和らげられるかもしれない、ということだ。夫婦の問題はふたりのこと…には違いないが、まずは自分自身を知ることが、心をラクにして生きるための大きな一歩となるかもしれない。
夫婦問題の原因は「愛着スタイル」が異なるから
とはいえ、夫婦間のモヤモヤのすべてが、自身の愛着スタイルに起因しているわけではない。著者いわく夫婦がすれ違うのは、「それぞれが異なる愛着スタイルを持っているから」だという。
例えば、本作の夫は幼少時、親に甘えられなかったタイプに多い〈回避型〉という愛着スタイルを持っている。「自分にはそんなもの必要ない」と自分を守るクセができてしまい、一匹狼的なライフスタイルになりやすいのだという。
人一倍不安を感じやすく、それを相手にぶつけてしまいやすい〈不安型〉の妻に対して、〈回避型〉の夫は、そもそも他人と向き合うことを苦手としているため、すれ違いが起こりやすいのである。愛着スタイルが違うと、相手に対して求めていることや、安心できる反応も異なるため、モヤモヤの種ができやすいのだ。
本書では、自分の愛着のクセのせいでパートナーにモヤモヤしている人、そして異なる愛着スタイルを持つ夫婦が幸せに生きる方法を解説する。具体的なモヤモヤ解消法を、さっそく日常に役立ててみてはどうだろうか。
この記事で紹介した書籍ほか

妻は他人 だから夫婦は面白い
- 著:
- さわぐち けいすけ
- 出版社:
- KADOKAWA
- 発売日:
- 2017/11/22
- ISBN:
- 9784047348967

まんがでわかる 妻のトリセツ
- 著:
- 黒川 伊保子, 井上 菜摘, 堀田 純司
- 出版社:
- 講談社
- 発売日:
- 2019/09/30
- ISBN:
- 9784065176078

話を聞きたがらない夫 悩みを聞いてほしい妻 精神科医が教えるコミュニケーションのコツ
- 監修:
- 岡田 尊司
- 著:
- 原 わた, 伊東 フミ
- 出版社:
- KADOKAWA
- 発売日:
- 2019/02/01
- ISBN:
- 9784040693842

離婚してもいいですか? 翔子の場合 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
- 著:
- 野原 広子
- 出版社:
- KADOKAWA
- 発売日:
- 2018/04/13
- ISBN:
- 9784040695402

妻が口をきいてくれません
- 著:
- 野原 広子
- 出版社:
- 集英社
- 発売日:
- 2020/11/26
- ISBN:
- 9784087880489

なぜか、いつも夫は他人ゴト。 (サンクチュアリ出版)
- 著:
- ザビエル
- イラスト:
- あべさん
- 出版社:
- サンクチュアリ出版
- 発売日:
- 2018/03/07
- ISBN:
- 9784801400504

僕と妻の場合――僕たち夫婦が仲良く暮らしている理由
- 著:
- 漢弾地
- 出版社:
- 飛鳥新社
- 発売日:
- 2017/11/29
- ISBN:
- 9784864105804

理系クン 夫婦できるかな?
- 著:
- 高世 えり子
- 出版社:
- 文藝春秋
- 発売日:
- 2012/06/14
- ISBN:
- 9784163753706
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